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患者さんの家族の協力
珍しく2日連続でブログ更新!
実は上の娘二人が通う学校に寮ができて、体験入寮という形式で日曜から土曜までまるまる1週間、面会謝絶の状態です・・・。寂しい反面、僕自身は時間が空いて仕事がはかどっています。
小学1年生の子に大丈夫だろうか?と本心では心配していますが、うちの子含め、最近の子供は間違いなく過保護に育っていますし、自立心・自尊心の形成にはいいことなのかな?学校の先生方も大変でしょうが、信じて見守る今週です。

実は、僕の外来では患者さんに結構厳しいことも話すのですが、今日はそれについて。

患者さんの家族の協力
僕は毎週必ず、糖尿病網膜症の手術をします。多い週は網膜症の手術だけで10件をこえることも。
網膜症にもいろいろな病態があり、出血で濁って見えない人が手術で視力を取り戻すケースもありますが、多くの眼底疾患の手術は「回復ではなく、失明を防ぐため。悪化を防ぐため」の手術であり、白内障と比べると術後に喜んでもらえることが少ない手術です・・・。
それでも、治療をして将来の失明を防ぐことに僕はやりがいを感じています。
そして、せっかく一度救った目が再度悪化して再手術をしたり、最終的に見えなくなっていくのを見るのは、本当にやるせない気持ちになるのです。

糖尿病で網膜の血管が半分詰まった時には、レーザー治療で網膜を半分殺して、目の機能を半分にすることで、残った半分の血液で網膜を賄える状態にバランスが取ります。手術でレーザーを追加したり、出血を洗い流したり、増殖膜(カサブタ)を除去したり。網膜の手術の成績は日進月歩で、大出血で失明というケースはほとんどない時代となりました。
しかし、レーザー治療も手術治療も決して網膜の血流を正常の状態に戻したわけではないのです。半分の血流で賄えるように一度バランスを取っただけ。
その後にさらに血管が詰まって、血流が30%しかなくなればバランスが崩れ、20%間引くための追加の治療が必要ですし、最終的に全ての血流がなくなったら誰がどうやっても失明してしまうのです。

当院かかりつけの患者さんは、よくご存じだと思いますが、僕はその後の全身コントロールに関して、かなり口うるさい医者です。
せっかく一度助かった目が再度悪くなっていくのが本当に嫌なのです。いつもお願いをしていますが、
・糖尿病網膜症で手術を受けたような人は絶対に禁煙をして頂きます。
外来で煙草臭い人がきたら、ポケットにあった煙草を診察室で捨てることも多々あります。
厳格な血糖コントロールや血圧コントロールにも口を出します。
糖尿病もピンキリで、不摂生の塊のような人の血糖がよかったり(軽い糖尿)、食事も運動も禁煙もしっかりやっているのに血糖が下がらない(悪い糖尿病;家族歴など)。そういう可哀想で重篤な糖尿病の方もいるので一概には言えないのですが、外来でまだまだ努力の余地がある人がいれば、いろいろとキビしいことを話してしまいます。

ここでお願いなのですが、糖尿病の管理というのは一人ではなかなか難しい
のだということを、家族の方にも必ず知っておいてほしいのです。手術前後は基本的に全患者様のご家族をお呼びしていますが、そこで僕がよく言っているとても嫌味なセリフがあります。
「普通の家族が外出後にお饅頭やアイスのお土産を買ってきたら、ほほえましいと思うのですが、あなたが食事の調節を考えずに、ただ患者さんにアイスを買ってきて渡したら、早く死ね。と言っているのと同じですよ。」
自分でもかなりひどいことを話していると思いますし、伝えた直後にご家族の表情が強張っていることに気が付くことも多々あります。
が、憎まれても、これが僕の仕事なのです。

糖尿病網膜症で手術が必要になった方の多くは、あまり自制心が強い方ではありません。(全員がそうだといっているのではなく、ある程度の傾向があるという意味。きちんとしている患者さんも沢山います。)そういう人のそばで、家族が好きなものを好きなだけ食べている時に、「あなただけ我慢して」というのは現実的でありません。
煙草も同じです。禁煙後の再発は周りの人が吸っていたので。というのが一番のリスクになるのです。
眼科でご家族含めて説明した後は、かかりつけの内科様にも、家族全員で一緒に受診して「どうやったら血糖コントロールがよくなりますか?」と聞いてきてもらうようにしています。

目が見えなくなった人を、ご家族自身で介護するというのはものすごく大変なことです。目が見えている間に、食事や運動に気を使ってあげたり、緑内障の人は朝晩目薬をつけてあげたり。そっちの手間の方がよほど楽なはず。
糖尿病、生活習慣病、慢性疾患はご家族の方の協力で予後が大きく異なります。受診時はできる限り一緒に診察室に入るようにして下さい。

「若造がえらそうな事を言いやがって!!」と思う方も大勢いるかと思います。そう思われても、術後も禁煙できずに失明していく人を見るほうが僕は嫌なのです。

眼科医だから「目だけ見てればいい」とは思いません。当院で手術を受けた人が、生命予後も、そしてその後の人生観まで変わってしまうようなお手伝いができればと思って診療を心がけています。
| 糖尿病網膜症 | 23:18 | comments(2) | - |
医院の特徴と患者さんの選択
しばらくブログを更新しないと、様々な方面から元気がないの?と連絡を頂きますが、全くそんなことありませんよ!
・金曜の夜は丸の内で勉強会の講師(終電遅延・・・。)
・土曜は栃木県で手術(硝子体・緑内障など10件)
・日曜は京都で企業のアドバイザリー会議(新幹線日帰り)
・月曜は当院で手術などなど多数
・火曜は午後にひたちの眼科で硝子体7件
・今日は当院で白内障9件、硝子体8件、緑内障濾過手術2件
毎日パワフルに働いています!
(今日一番の難症例は宮井副院長の増殖糖尿病網膜症で、僕より大変そうでしたね。スタッフの皆さんはあとかたずけもあり大変でしたが、この重症度と件数で18時に終われるのは当院の誇らしいところ。いつもありがとう。)

今日は県外からの網膜剥離の紹介もありましたが、入院ベットが満床にて日帰り手術。明日前医様受診の約束でお戻り頂きました。
が、基本的には遠方からの手術は極力お断りしています。

あそこの医院ではOKなのに、ここではダメなの?という物事ってありますよね。
医院と患者さんにも相性があるのだと思います。
医師は基本的には受診された患者さんを診療する義務がありますが、基本的に当院はこんな医院です。ということに関して記載してみたいと思います。

当院の方針

 ̄麒の患者様の手術は、原則紹介状のある方のみ
本日の網膜剥離患者様は県外からですが、よく知った先生からの紹介です。治療後の観察も安心してお任せできます。このブログを見て頂くこともあるのか、わざわざ飛行機でいらして頂く患者さんが毎週必ずいます。ネットを利用するくらいですので、どちらかというとお若い患者さんが多いのですが、みなさんお仕事をされている方が多いようです。手術希望で来る時には「術後の観察も必ず来れます!」と多くの方が言うのですが、実際に手術が終わってしまうと予定通院が守れなかったり、「その週は仕事で。3週後ならこれます。」などと、なかなか受診が安定しないケースを多々経験しました。
手術って、予定通りの結果にならないことや、術後に使う点眼薬が合わないなど、様々なリスクがあるのです。手術をやってしまって、術後の診察ができない。どこかの先生に任せてしまおう。ということは僕たちにはできません。
信頼している知り合いの先生に任せる場合は別ですが、もし他院様で術後観察中にトラブルが起こった場合は、どちらの先生が責任を取るのでしょうか・・・。
苦労して遠方から受診して頂くのはとてもありがたいことですが、やはり手術は術後まで含めて責任をとれる状況でのみ引き受けたいと考えます。
(診療相談など、セカンドオピニオンは遠方からでも全く問題ありません。また遠方からでも紹介状があれば別です。紹介状の内容である程度のお相手の先生の考え方が判断できるものです。)

外来手術は付き添いが必要です
当院では、以前より視力に影響する手術を、外来手術で行う場合には極力付き添いをお願いしています。白内障手術がいくら簡単に終わるといっても「自分で運転してきました。」というのは僕はどうかと思うからです。
「お酒を飲んでも私は運転大丈夫。」「てんかんの薬を飲み忘れたけど、きっと僕なら大丈夫。」と口で言うのは自由ですが、万が一事故の時に相手の被害者の方にそんな言い訳が通用するでしょうか?
例えば、我が子が事故にあった時に、眼帯をしてる人や前日に白内障手術を受けた人が車から降りてきたら、みなさんは相手の人を許せますか?
もともと片眼で運転の資格を更新している人と異なり、手術後の片眼眼帯での運転はリスクが高いのは当たり前ですし、手術翌日の視力検査では両眼1.0が見えてもショボショボして見え方が不安定なことだってあるのです。
当院では手術によってある程度の目途(両眼白内障なら4日目から)と、実際の診察の結果をみて運転再開の日時をお伝えし、その期間の付き添いや、送迎(公共の交通機関含めて)が難しい人は入院をお勧めしています。
先月の実話ですが、県南のショッピングセンターで白内障手術を受けた患者さんが、夜になって目の具合が悪いと救急隊から紹介を受けました。まず手術当日に担当医と連絡が取れなかったことにビックリしましたが、さらに驚いたのは、片目がほぼ失明している目で、反対の目の白内障手術をして、そのままボンヤリした視界で、自分で車を運転して帰ったというのです。そして夜に眼圧が高くなり、当院を紹介されても運転ができないと。。。
「全て日帰りで対応できます!」と広告する医院が増えていますが、飲酒運転で、お酒を提供したお店にも罰則があります。術直後の患者さんが事故を起こしてしまったら、医院の責任は??。僕は怖くて手術できません・・・。
先日、認知症の方の運転免許に関して法令の改正がありました。基本的には認知症と診断を受けると免許の返納をお願いする方向になるようです。認知症薬を処方している医師は、患者さんの免許に関して刑事的責任はないようですが、民事的な責任は問われうる。という厳しいものになります。
手術直後の運転を許可した場合には、眼科医も民事的な責任は追及されうるということなのでしょう。
(手術を断りたくて書いているわけではありません。通院が困難な人、ある種の認知症の人、全身状態が悪くて心配な人は入院がベターだという意味です。)

6杁淌戞重症度の高い方の治療を優先します
医療って、万人に対して完璧な対応ができればそれに越したことはありません。多くの医者が若い時には、そこを目指すのですが、マンパワーもお金も有限ということに気が付き、自分たちにできる範囲で現実的にやれることが目標となっていくのだと思います。
多くの患者さんを治そうとすれば、どうしても待ち時間のコントロールがうまくいかなくなりますし、逆に患者数は少なくても念入りに診察したいという医院もあります。待ち時間というと自動会計システムやインターネット予約などの導入を考える医院もありますが、そこに経費をかけるなら、最高の手術機器や最新の検査機器の導入を夢見る医院もあるのです。
当院は第一に緊急度・重症度の高い治療を優先しています。「今手術が必要!」というケースがあれば、緊急手術で急に外来が中断して待ち時間が長くなったり、外来の担当医が変更になることもあります。
もちろん、それで待ち時間が延びてしまった患者さんには申し訳ないと思います。ただ、当院のかかりつけの患者さん本人が、急に重篤なケガや疾患を発症した時には、どの医院より早く治療ができるように尽力しているつもりです。
それがいいことか、悪いことかは人によって価値観が異なりますが・・・。

久しぶりの記載で長文になってしまいましたが、基本的にはかかりたい医院を選ぶのは患者さん自身ですし、なんでも相性だと思います。
ハキハキと指導する少し怖い先生を好きな患者さんもいるでしょうし、物腰が柔らかいと優柔不断に見えますが、優しいといわれる先生を好む患者さんもいるでしょう。
当院をよいと思っていただける方もいるし、他の医院様を希望される方もいるでしょう。
今日の投稿は当院を受診する際に参考にして頂ければと思います。
| クリニックのこと | 23:29 | comments(0) | - |
H28年の治療実績
あけましておめでとうございます鏡もち
年末に2名の網膜剥離の患者様の紹介があり、元旦も診療となりましたが本日無事に退院となりました。
今年は短いお正月休みですが、あさっての4日からは手術が目いっぱい予定されていますので今日はゆっくり休みます。


H28年の治療実績を集計しました。
昨年もとにかく重症例の患者様の紹介が多かった1年でした。
日本中というか、世界中で抗VEGF薬の注射による治療が伸び続けていますが、当院でもとうとう年間の注射件数が1000件を超えました。
糖尿病網膜症などで注射で抑えるケースもあり、硝子体手術の件数は減るはずですが、どうにも当院に紹介となる症例は網膜剥離など手術以外では失明を防げない患者様が多いようです。眼科では最も大変とされる硝子体手術の件数は386件と大幅に伸びました。
宮井副院長のおかげで、1年程前は手術の待ち時間が大幅に減ったのですが、最近また少しづつ伸びているような・・・。白内障は視力良好の軽症例や、術後通院が難しそうな遠方からの患者様の手術はお断りしているためか、少し件数が減りました。
今年も近隣の重症患者様を中心に、地域医療の中核として頑張ります!

治療実績(H28年1月〜H28年12月)

観血的手術合計 2365件
内訳
・白内障手術 1542件(眼内レンズ交換含む)
・網膜硝子体手術 386件(糖尿病・網膜剥離・眼底出血・黄斑円孔     ・黄斑前膜など)
・緑内障手術 117件
・眼瞼(まぶた)の手術 131件(眼瞼下垂・さかさまつげ・霰粒腫など)
・結膜の手術 120件(翼状片・結膜弛緩症など)
・角膜の手術 41件(角膜移植・角膜形成術など)
・涙器の手術 12件
(NSチューブ・涙嚢の手術)
・その他の手術 16件(斜視、レンズ整復、瞳孔形成、眼窩など)


レーザー手術合計 292眼
内訳
・網膜光凝固 117眼(糖尿病・眼底出血などに対するレーザー)
・緑内障レーザー 19眼(SLTレーザー・虹彩切除LI)
・YAGレーザー 156(後発白内障に対するレーザー)

*手術数は基本的に保険診療で請求された件数です。両眼同時手術などは2件と計算しています。 白内障の手術時に、逆さまつ毛や眼瞼下垂の手術を追加で行うことがありますが、それらはカウントしておりません。

抗VEGF薬 硝子体注射 1053件加齢黄斑変性症や黄斑浮腫などに対する注射です。ルセンティス・アイリーア・アバスチン)

ステロイド薬 テノン嚢注射 401件(糖尿病や網膜静脈閉塞症などでの黄斑浮腫、ぶどう膜炎などに対する注射です。トリアムシノロン・マキュエイド)
| 治療実績 | 22:21 | - | - |
白内障術後の眼鏡作成に補助がおります(石岡市)
当院では今週だけで12件の硝子体手術がありました。
5月は非常勤で出張手術をしている、ひたちの眼科様でも硝子体12件、もりや眼科様でも硝子体12件と、難症例の執刀が増えています。
当院で手術に使用しているのは現在最上位の硝子体手術機器であるコンステレーションですが、春からは土浦市の尾澳祺瞥佑任眛各頂きました。僕が伺う医院のほとんどでコンステレーションが導入され最小の27ゲージ(0.4mm)での傷口での手術ができます。一部の超重症例の除き、開業医様でも手術が可能となっています。網膜・黄斑疾患で手術が必要な方で、遠方の患者様はまずはお近くの眼科さんに相談してみてください。(入院が必要など重度の病態では当院に紹介になります。)

さて、近隣では石岡市に限っての話ですが、白内障の手術後に眼鏡が必要な場合の作成費用に補助がおりるようになりました。
老人性白内障補助眼鏡等購入費用助成事業
これまでも古河市など、茨城県内で眼鏡作成に補助がおりる市町村がいくつかあり、羨ましいと感じていました。市議の方に「石岡市はどうでしょう?」なんて相談をさせて頂いたこともあったのですが、この春から認めていただけたようです。尽力頂いたご関係者の方々、誠にありがとうございます。
石岡市のホームページより抜粋させて頂きます。
目的:
65歳以上の高齢者が老人性白内障の治療により水晶体の摘出手術を受けた場合,補助眼鏡等の購入費の一部を助成することにより,経済的負担の軽減や外出の手助けになります。
対象者:
市内在住であり市県民税が非課税の65歳以上の方で,視力矯正のため補助眼鏡等を使用する必要があると医師が認めた方。(ただし,生活保護法等その他の規定により,補助眼鏡等の購入に要する費用の支給を受けることができる方を除く。)
内容:
老人性白内障補助眼鏡等の購入費の半額で,20,000円を上限に助成します。
また,お一人につき一回の助成となります。
申請方法:
申請書に必要事項を記入し,本庁・高齢福祉課(長寿いきいき館)で申請してください。
また,申請時に下記のものが必要になります。
補助眼鏡等を購入した際の領収証(使用者本人の氏名が記入されているもの)
医療機関の証明書
使用者本人若しくは家族などの振込先口座番号などを確認できるもの
認印

とは言っても、地域柄、当院では裸眼での運転免許証の更新を希望される方が多く、乱視矯正を得意とする当院ですので、術後は裸眼で過ごす方がほとんどかと思います。老眼鏡も乱視が少ないと既製品でも見えてしまうので、実際にはデスクワークなど手元を優先にあわせた患者様など、対象の方は多くはないと思いますが、眼鏡作成に関して質問があればお問い合わせください。
| 石岡市・茨城県 | 21:02 | comments(3) | - |
角膜移植術 (輸入角膜移植)
きのこオレンジ今日は次女の入学式があったようです。仕事なので夜に様子を聞くだけですが、「早く小学校に行きたい。月曜日まだかな!」と、楽しそうな様子は見ているこちらも嬉しくなります。
きのこグリーン今週末は仙台で日本眼科学会総会があるのですが、今日も栃木県の患者様ですが超重症の糖尿病網膜症の手術(しかも両眼)があり、明日も診察が必要ですので学会参加は断念・・・。

穴だらけで血管新生緑内障もあり、今年一番の症例でした。
きのこブルーこの春は新しい眼科検査機器が3つも導入されました。きっと今日の学会で一番注目されているであろう、カールツァイスのOCTアンギオグラフィーも茨城県で初導入となっています(現時点では県内では1台のみ稼働)。地域の患者さんに最新の優れた医療機器で診療にあたれるのは本当に幸せです。
と、いいことも悪いことも沢山の春です。
糖尿病の手術も上手くできたし、結局はいいことばかりなのかな?

今日は、昨年の春に導入した輸入角膜移植に関して記載します。
角膜移植術(輸入角膜移植)
角膜は眼球の表面で光を透過させたり、光を屈折(ピントをあわせる)のに役立つ臓器で、一般的には黒目というとわかりやすいでしょうか?(下図の赤矢印)

角膜(黒目)は、それ自体が茶色や黒色なわけではなく、透明な膜で内部の組織が透けて茶目や黒目として観察されます。
ケガや病気などで角膜が濁ってしまうと、光が通りにくくなり視力が障害されますが、重度の濁りで他に治療法がない場合に行われる最終手段が角膜移植になります。
濁ってしまった自分の角膜の全て、または一部を切除して、新しい透明な角膜を移植する手術ですが、人工角膜は実験としては進んでいるものの未だ実用段階ではなく、標準的にはお亡くなりになった方の角膜を頂いて移植することが広く行われています。

左が手術前の角膜が濁った状態。右が移植後になります。

国民性や宗教観によるものと思いますが、日本人は移植のドナー登録には消極的といわれ慢性的に角膜が不足している状態です。多くの場合で移植を申し込んでも数ヶ月から数年の待ち時間が発生し特に茨城県は待ち時間が長いようです。移植希望者(需要)>角膜提供者(供給)

幕内先生はじめ様々な関係者のご協力により、平成27年4月より当院にてアメリカから安全に角膜を輸入することが可能(茨城県初)となりました。角膜輸入費用は当院にて負担していますので、患者様のご負担は通常の保険診療の手術費用のみで治療が受けられます。
初回移植例から1年がたちますが、これまでの症例では1例のみ軽度の拒絶反応(すぐ回復)があった以外は大きな合併症もなく、全例で視力回復を得られています。角膜移植にも様々な術式がありますが、詳細は別の機会に掲載していきたいと思います。

当院ではアメリカより、Aランク(最高ランク;角膜内皮細胞数が多い)の角膜で、フェムトセカンドレーザーで術式に応じたデザインカットがされたもののみ輸入してます。アベノミクスのためか円安で輸入額が高額となり、病院経営にはかなりの負担の大きいマイナスの手術です。大変申し訳ありませんが、現時点では茨城県内の患者様のみ、そして県内の眼科の先生からの紹介状があるケースのみお引き受けしています。
(角膜の費用を患者さんに請求することは混合診療のリスクがあり、お引き受けしていません。)

眼科医の先生方へ
全層移植の再手術など、高リスクの手術は専門的には行っていません。PEA+IOL後の術後水疱性角膜症に対するDSAEK(角膜内皮移植)は低リスク好成績で対応可能です。安心してご紹介下さい。

日本の法律、アイバンクでは角膜を金銭的に購入することは禁止されています。が、角膜が必要で困っている患者さんが沢山いるのも現実です。倫理的に何があってる間違っているという問題はこのブログで討論するものではないと思いますので質問はお控えください。
| 角膜移植・水疱性角膜症 | 23:15 | comments(2) | - |
結膜浮腫
久しぶりの更新です。
日々の診療と、双子(合計4怪獣)の子育てに奮闘している毎日です。
山王台病院の桜もほぼ満開で、帰宅時に目を奪われた桜のライトアップの写真をとってみました。


春といえば花粉症ですが、今日は急性のアレルギー性結膜炎で生じる結膜浮腫について記載します。

結膜浮腫

白目の表面の粘膜を結膜といいますが、結膜浮腫は結膜に水がたまった状態です。全身性の浮腫・むくみ(腎臓の機能低下や、心不全、寝たきり、)と合わせて生じる場合もありますが、アレルギー性結膜炎で目を擦ってしまった場合などにも度々起こる症状です。

もともと血管には穴(窓構造)があいていて、窓から酸素や二酸化炭素、栄養分などの物質の受け渡しをしているのですが、アレルギーや、擦過(こする)などによる炎症が起こると、血管が開いて窓が大きくなり、普段は漏れださない血液の液体成分(血漿)などが血管の外に漏れだしてしまう
ことがあります。
皮膚の血管から水が漏れだして膨らむと蕁麻疹になったり、スズメバチや蕎麦アレルギーなどのショック症状の場合は全身の血管が開いて、血管の外に水が漏れだし血圧が下がってしまいます。

結膜浮腫は結膜の血管が、急性のアレルギーや、さらに擦ってしまうことによる炎症によって血管が開いて、窓が大きくなり漏れだしたお水の成分がたまってしまう現象です。
年間を通してみると、動物の毛が入って生じることが一番多い印象ですが、今年の3月はスギ花粉症で来院される方が本当に多くいました。
休日や夜間の救急問い合わせで、一番多いのは結膜下出血という結膜の内出血で、治療せずとも治ってしまう病態なのですが、今年の3月に関しては結膜浮腫が一番多くて、「白目が飛び出てきてしまった。」と、なんと救急車で来られたお子さんまでいたり・・・。
(結膜下出血も結膜浮腫も救急受診の必要性はないのですが、結膜浮腫は比較的、目を擦ってしまうお子さんが多く、お母さんが心配して電話というケースが多くなるようです。)

「白目が飛び出た」「ゼリー状にブニョブニョしている」「目が閉じにくい」「目が痒い」「赤い・ゴロゴロする」など、急激な症状を心配されるようで、「きっと花粉です。」と電話で答えても、「花粉なんて信じられない。とりあえず診察してほしい。」という方が多くを占めます。
空気中から目に入る花粉の量は多くなくても、実は茨城県の県庁所在地・水戸市は日本を代表する花粉の飛散量を誇っています。車のボンネットを指で擦ると黄色くなるのを経験したことがある人は多いはず。大量に花粉がついた指で目をこすると重度のアレルギーを生じるのはイメージしやすいでしょうか?
明らかに動物の毛が入ったまま。ということでなければ、
結膜浮腫の多くは数時間、もしくは翌朝には自然に軽快します。

ステロイドの点眼薬を使用すると治りが早いので、受診をされた場合には、リンデロンやフルメトロンという点眼薬が処方されるかと思います。

来年の茨城県の花粉が多くなるかは不明ですが、「白目が飛び出た」などのフレーズでインターネットで検索して、このブログを読んで頂くことで救急車などは呼ばないで落ち着いて対応してくれたらいいな。なんて思いながら久しぶりのブログを終わります。
| アレルギー性結膜炎(花粉症も) | 23:32 | comments(0) | - |
カーサ フェリーチェ (サービス付き高齢者向け住宅)
あけましておめでとうございます鏡もち
今年は申年。日本が活発で景気のいい1年になるといいですね。短いお正月休みでしたが書初めなどしてゆっくり過ごしました。

4日の仕事はじめから、当院は例年通りフル回転です。今週は手術が約50件、昨日も今日も網膜剥離の手術があり、ステロイドパルス療法などでの入院も2名(原田病・抗アクアポリン4抗体陽性視神経炎)と、申年らしい活発な1年になりそうです。

今日は山王台メディカルタウンの新施設、カーサ フェリーチェのご紹介です。
カーサ フェリーチェ 
(サービス付き高齢者向け住宅)

ご高齢での単身者やご夫婦など、ご自宅で過ごしにくくなった方が、老人ホームよりは自由度の高い施設で、適度な介護や医療と連携して過ごして頂くことができる施設です。
カーサ フェリーチェ(日本語訳:幸福の家)は山王台病院に併設され、透析・在宅酸素・胃ろう・人工肛門・留置カテーテル・インシュリンなどを含め、もしもの場合にも山王台病院での高度医療を早急に受けることができます。常磐線沿線など都内からの入居者様にもいらして頂いていますが、まだ若干名の空室を残しています。ご興味のある方はご連絡をどうぞ。
0299-56-3535

11月に行われた竣工式での写真をUPしてみます。
幕内先生らしいセンスあふれる素敵な内装・インテリアで、本日眼科を受診された入居予定の患者様からも、入居を楽しみにしているとの声を頂きました。
(写真の多くは素人の僕がスマートフォンで簡単にとったものです。実物はもっと明るく暖かな施設ですので、ぜひ見学にいらして下さい!)





お風呂も個室、大浴場など。


キッチンもキレイ。

ベッドルームもデザインが様々で、どの部屋にしようか迷いそうです。



サービス付き高齢者向け住宅は欧米に比べて、日本では遅れている分野とのことです。適度なプライバシーを保持しつつ、仲の良いかたを作って、ある程度の団体生活。ちょっと楽しそうですよね。
| クリニックのこと | 23:35 | comments(0) | - |
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