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第53回 日本網膜硝子体学会総会
硝子体学会も無事に終わり、帰路についています。今日は新幹線「のぞみ」からブログを書いてみます。電車オタクではありませんが、新幹線「はやぶさ」にも乗ってみたいな。(不在にて数件の緊急診療をお断りしてしまいましたが、申し訳ありませんでした。)

53回 日本網膜硝子体学会総会
今回は「YAGレーザーによる術前処置を施した硝子体手術時の前嚢収縮の切除効率と安全性」という演題で発表をさせて頂きました。(⇒昨日のブログ参照
昨日、前嚢収縮によって、視力の低下、眼内レンズの性能の低下などを生じることを記載しましたが、実は前嚢収縮は患者さん側の症状・問題だけでなく、医師側にも問題を起こすことがあります。それは、患者さんの眼底(目の奥)が見えにくくなることです。
眼底検査をするときには、瞳孔を大きく広げる目薬を使用します。瞳孔が小さいと視界が狭く目の中を覗き込む時に邪魔だからです。同じように、前嚢収縮でもレンズの前面を覆ったリング状の混濁が邪魔をして、眼底が見えにくくなってしまいます。
特に糖尿病の方の白内障手術では前嚢収縮が起こりやすいのですが、糖尿病の方は白内障手術が終わっても一生涯、眼底検査での糖尿病網膜症(眼底出血)の評価を続ける必要があります。この時に、前嚢収縮があると眼底の隅っこが見えなくなってしまったり、診察が困難になってしまうので、YAGレーザーによる切開をしておくことが重要なのです。
しかし、実際には治療されずに前嚢収縮が進行し、将来的に糖尿病網膜症が悪化して硝子体手術(目の奥の手術)を受ける場合に、僕たちが手術中に目の中を覗くのに邪魔になってしまうことがあります。
本来、白内障術後に前嚢収縮が起こり始めた場合に、予防的にYAGレーザーで切開をしておけば、このような処置も不要なのですけどね・・・。なぜだか日本では治療をしない先生だらけなのです・・・。

硝子体手術をする場合に、眼底が見えにくいことは手術の安全性・成績に不利なるので、多くの講演や教科書では手術中に剪刃(ハサミ)を使って、混濁・収縮した前嚢を切除してから手術をすることが勧められていましたが、やってみるとレンズがずれてしまうリスクがあったりと、ハサミで処置をするのは結構難しい処置です。
ハサミで切開は難しい
ところが、手術前にYAGレーザーで切開を入れておくと、ものすごーく簡単に除去できちゃうことがわかりました。レンズの動揺もなく、チン氏帯にとても優しく手術できます。

前嚢収縮が広がると、手術中の眼底が見えやすくなります。

左が治療前、右が治療後
ワイドビューイングシステムでは、ある程度の前嚢収縮は関係なく手術できますが、術後診療含めて、視認性が改善するのは良いことですよね。
専門的ですが、混濁部を攝子で引っ張って除去しますが、治療後によく観察すると、多くの場合で前嚢組織は残ったままで、混濁した組織(筋線維芽細胞様化した水晶体上皮細胞)のみが除去できているようです。このためにチン氏帯への負担が少なくなるようです。
本当にものすごーく簡単に除去できるので、眼内レンズ眼に硝子体手術をする時には是非やってみてほしいのですが、写真では伝わりにくいので、動画をYOU TUBEにUPしておきます。
⇒手術動画はクリックしてください。

治療のサンプル写真です。
左:治療前、中央:YAGレーザー後、右:手術後
症例1

症例2

やっぱりキレイな方が診察も気持ちいいです。

学会では、相変わらず抗VEGF薬(ルセンティス・アイリーア・アバスチン)の治療成績の発表が多く、この数年同じ発表ばかり。「いい加減あきあきです・・・。」という部分もありましたが、個人的には、スペインからいらしたJeroni Nadal先生の講演はとても面白かったです。特殊な腫瘍性病変に対して、網膜に針糸を通して栄養血管を縫合して閉塞させてしまう。というものでした。網膜を縫うなんて、思いもよらないアイデアです。こういうアイデアから始まって次世代の治療へとつながっていくのでしょうね。
| 白内障 | 20:48 | comments(0) | - |
前嚢収縮(ぜんのうしゅうしゅく)
11月28日から30日に、大阪で学会が開かれています。2週前に神戸の学会で発表したばかりですが、本日再び関西へ。
僕は、「YAGレーザーによる術前処置を施した硝子体手術時の前嚢収縮の切除効率と安全性」という演題での発表となります。

硝子体学会なのですが、前嚢収縮という病態自体は、白内障手術に関連するものです。今日は、まず前嚢収縮についての記載をしてみたいと思います。
前嚢収縮(ぜんのうしゅうしゅく)
近年の白内障手術では、濁った水晶体・レンズを丸々交換するのではなく、濁りを包んでいる透明な袋(水晶体嚢)の前面に丸い穴をあけ(CCC)、内部の濁りのみを取り出して、残った袋に人工のレンズを入れる。ということが行われています。(⇒白内障手術の詳細は以前のブログを参照
手術中は、濁りをできる限り残さずにキレイに掃除するのですが、残念ながら細胞レベルではある程度の濁りは残ってしまいます。多くの方では、濁りの細胞が少しくらい残っても問題なく経過するのですが、一部の患者様で濁りの細胞が分裂・増殖し、形を変えてレンズの周囲で広がってしまうことがあります。
レンズの後面に濁りが広がった場合は、後発白内障と呼ばれます。後発白内障は視力低下に直結するため、YAGレーザーというレーザー光線によって濁りを除去する簡単な治療が行われます。(⇒後発白内障は以前のブログを参照
逆に、レンズの前面、水晶体を包んでいた袋(水晶体嚢)に開けた穴(CCC)の周囲で、濁りの細胞が増殖し、穴が閉じてきてしまうような病態を、前嚢収縮と呼びます。

赤矢印の先、白いリング状の濁りが前嚢収縮です。濁っている部分は光がとおらないため、視界が狭くなります。

前嚢収縮によって起こる症状
・コントラスト感度の低下
  (白と黒は判別しやすくても、白と灰色は判別しにくいなど)
・グレア
  (夜間のライトのまぶしさなど)
・眼内レンズの偏心・変位・傾斜
  (袋のヒキツレによって、中のレンズがずれる)
・視野の狭窄、視力低下
  (収縮・混濁が中心近くに及んだ場合に発生)
・眼内レンズ落下
  (中等度〜重度の場合に起こりえます)
とくに、近年使用頻度が増えている、非球面レンズ、乱視用トーリックレンズ、多焦点レンズなどの高性能レンズは偏心・変位・傾斜によって、本来の性能を発揮できなかったり、逆に通常のレンズよりも見えにくくなってしまうことがあり、術後の診察で前嚢収縮を見た場合には、きちんと治療をする必要があるのですが、なぜだか日本の先生は、中心視力が低下するほど重度の前嚢収縮になるまで治療をせずに放置をする場合が多いようです。(治療によって、ある程度の偏心は戻りますが、重度のものや乱視の軸が大きくずれてしまった場合は完全には戻せません。)

前嚢収縮を起こしやすいケース
・年齢が若い
  (残った濁りの細胞の細胞分裂能力が高い)
・術後炎症が強い
  (手術が長引いたり、手術後の点眼薬をサボったりする方)
・糖尿病の方
・網膜色素変性症の方
・PE/落屑症候群
  (瞳孔周囲に白いフケ様物質のたまる体質の持ち主)
・他の手術との同時手術
  (硝子体手術や緑内障手術)
通常、強い前嚢収縮は数週間〜半年程度で生じ、軽度のものでは、その後も長期間をかけてゆっくりとは進行するものもあります。
当院では標準的には白内障手術後、翌日、1週後、さらに2週後、さらに1ヶ月後、さらに2ヶ月後、さらに4ヶ月後というスケジュールで診察をしています。その後は1年か2年に1回の定期検診をお勧めしています。
稀に、「白内障手術後の検査なんて、1ヶ月もみれば十分」とおっしゃる先生がいますが、そういう先生は球面の単焦点レンズしか使用しないのでしょうか?トーリックレンズをいれて、もし収縮が起こって強く偏心してしまったらどうするのだろう?非球面レンズが逆に視力を低下させてしまったらどうするのだろう?と多々不思議に思います。

治療法
後発白内障と同じく、YAGレーザーというレーザー光線を照射して、その衝撃で前嚢収縮を切開します。切開を入れると張力によって小さくなったCCCが広がり、その後の収縮を抑制してくれます。

上記でで紹介した同じ症例の治療後です。YAGレーザーの切開により、混濁した白いリングが広がり、光が通過する範囲が広がっています。(後発白内障も同時に治療)
教科書的には糖尿病の方など、上述したようなリスクの高い症例では、軽度の前嚢収縮であっても予防的に前嚢の切開をしておくべきとされています。
目薬の麻酔薬を使用して、痛みもない2分程度の治療です。治療直後から洗顔洗髪含めて制限はありませんが、2週間ほど目薬を付ける必要があります。
この治療、保険点数がついていないようで??、当院ではリスクの高い症例などでは無料でYAGレーザーを施行しています。
(後発白内障と同時に治療する場合もあり、その場合は1割負担で1000円強、3割で3000円強の費用がかかります。)
| 白内障 | 23:47 | comments(0) | - |
白内障手術:瞳孔拡張リング 手術動画
お久しぶりです。ブログの更新が1ヶ月ほどあいてしました。
最近、「you tubeをみたのだけど」と、面識のない眼科の先生方から電話やメールなど、質問を頂くことが増えています。もらった電話で、僕も新しい知識を頂いたり楽しいものです。
今日は先週の手術の動画をUPしてみます。
眼科の先生方で、何かアドバイスなどあればぜひご連絡ください!

小瞳孔の白内障手術:瞳孔拡張リング(手術動画)
今回は動画がメインです。以前に基本的な内容は記載したことがあります。そちらもご参照ください。
白内障手術を安全に行うには、目薬を使用して瞳孔を開く必要があります。
当院では手術の1時間くらい前から、1種類の目薬を2〜3回使用しています。多くの患者様では、瞳孔(茶目)が大きく開いて安全に手術が可能ですが、様々な理由によって瞳孔が大きく開かない状態を小瞳孔(しょうどうこう)と呼び、少し手術が長めになったり、難しくになったります。
(小瞳孔に関しては、以前のブログをご参照ください→小瞳孔IFISの手術例

瞳孔を無理に広げることは、あとで瞳孔機能に障害が起こることもあり、好ましいことではないのですが、あまりに小さい場合に無理な手術をして合併症を生じるもの問題です。当院では概ね直径4mm以下の瞳孔の場合には、切開をしたり、瞳孔拡張リングを使用した手術を行うようにしています。(リングを使用するのは1年に2回くらいです。)


これは手術前の写真です。お若い時にケガか病気によって角膜(黒目)が濁ってしまったようです。瞳孔は中心をずれて、やや右下に針の穴のような隙間があるだけ。瞳孔を開く目薬をつけても3mm以下の瞳孔です。また、外傷後などの症例は他にも何か異常があって手術が難しいことがあるので、きちんと瞳孔を広げて手術をした方が安全そうです。
下の左の四角◇が、瞳孔を広げるリングです。これを使って手術をしました。

手術動画←クリックを


通常の白内障手術は目薬の麻酔しか行いませんが、瞳孔(茶目)に触ると少し痛みがあるので、リングを使用する場合の手術開始時には麻酔の注射が必要です。
手術時間が数分余分にかかりましたが、とてもきれいにできました。

手術翌日の写真です。瞳孔の形もまずまずです。
| 白内障 | 23:39 | comments(6) | - |
白内障手術 入院か日帰りか
今日は土曜日で、開業医様で硝子体手術を12件、白内障や翼状片などを十数件担当しました。その後、網膜剥離の緊急手術のため夕方から別の開業医様に移動。黄斑(視界の中心部)がはがれていたので、週明けまで待ってもらうよりよい結果になると思います。土曜日に手術をすると日曜日にも診察が必須です。開業医の先生たちは通常、日曜日に診療をすることは少ないと思いますが、僕の周りには熱心な先生たちが多くて、自分も頑張らなくてはですね。

さて、今日の開業医様では両眼の白内障や硝子体手術を行った患者さんがいましたが、特に硝子体の手術後は麻酔が切れるまでの数時間は見えないので、近くの病院に入院して観察するそうです。
白内障手術は両眼同時でも手術の直後からある程度は見えてしまうので、基本的には外来手術で十分ですが、希望によって入院するかたもおられます。
今日は、外来でよく質問を受ける、「入院か日帰りか?」について書いてみます。

白内障手術 入院?日帰り?

1.基本的には日帰りで十分な手術です。
歯医者さんで虫歯の治療をした時に、入院しよう。とは思わないですよね?
全身麻酔で心臓やおなかを切る手術と異なり、白内障治療は通常は点眼麻酔(目薬の麻酔)で施行します。全身麻酔のようなトラブルもありませんし、意識もなくならず、手術中は僕たちと世間話などをして過ごします。
当院ではほとんどの症例で、両眼を同時に行いますが、眼帯もせずに手術直後からある程度見えるので、付き添いは必要ですが特に問題なくお帰り頂けます。
そもそも欧米では、白内障手術では保険を使って入院することはできないそうです。それくらい簡単で、安全性の高い手術と考えられています。
費用も日帰り手術の方が安価になります。

患者様やご家族様から「入院の方が安全ですか?」という質問が多々あります。
答えはNOです。白内障手術で最も怖い合併症は、眼内炎といってバイ菌の感染によるものですが、入院だからキレイとか、自宅だから汚い。ということは言えません。そもそも病院は無菌ではありません。少しの風邪で内科を受診したら、待合室でインフルエンザをもらってきた。なんて笑い話がありますが、病院は病気の人、咳をする人、弱っている人、メヤニが出る人が密集する場所です。キチンと掃除や換気をすれば、ご自宅の方が細菌が少ないこともあるのです。
報告にもよりますが、中には入院の方が眼内炎の発症率が高いという報告があります。これは、病院が危ないというよりは、もともと体が弱っている人、合併症になりやすい人が入院を選ぶことによって起こった、統計的な偏り(バイアス)と思われますが、どちらにしても入院の方が安全ということはないようです。
ちなみに、僕は白内障手術を十数年間、かなりの患者さんを執刀していますが、今まで感染症を起こしたことがありません。なので、日帰りと入院の成績を比べることはできませんが、あまり起こらない合併症と考えてよいでしょう。
*術後3〜4日程度は洗顔ができない。手術後は目薬をきちんとつけるなどは、入院でも日帰りでも守らなくてはいけません。

2.入院が望ましい場合
では、全員が日帰りがよいのかというと、そうではありません。例えば以下のような場合には入院の方がよいかと思います。
・一人暮らし
万が一にも、夜間に具合が悪くなった場合などに、視力が悪くて電話がかけられないなど、病院に連絡が取れない場合は困ってしまいます。 
・送り迎えや通院が困難
基本的にはどんな日帰り手術も、何かあった時に1時間以内に受診ができることが望ましいと考えられています。手術直後は自分での運転が難しいので、送迎や付き添いが困難であったり、遠かったり、交通手段が不便である場合などは、もしもの場合のために入院が望ましいと思います。
*これは、医療サイドの受け入れも同じです。開業医様など入院設備のない医院で手術を受ける場合、ほとんどないとはいえ、ごく稀にでも強い痛みが出たときや、もしも転んで目をぶつけてしまったときなど、緊急時は夜間でも連絡がとれるのか?、どのように処置をしてもらえるのかどうか?などはよく相談して、手術する医院を選びましょう。
・一部の認知症の方
多くの認知症の方は、入院によって環境が変わってしまうと、認知症が一過性に悪化してしまうようです。ですので、日帰りの方が望ましくなります。ただし、認知症の程度や、家族構成(特に一人暮らしなど)によっては、通院の予約が分からなくなってしまったり、手術後の目薬を理解できなくなってしまうケースもありえます。総合的に判断して、入院が望ましい場合もあるでしょう。

このように書くと、多くの方が外来手術ですみそうですが、実はそうではありません。実際には、一人暮らしの高齢者はどんどん増えていますし、茨城県では手術をする眼科医の数が少なく(医療過疎)、当院にも1時間以上かけて受診される方が数えられないほどいらっしゃいます。当院では全体として外来手術の方が多いですが、入院が必要・必須なケースも確実に存在するのです。

さて、H26年4月に診療報酬改定がありました。
20床以上の病院に入院して白内障手術を受ける場合、片目のみの手術で退院する場合は、診療報酬が高くなって病院の利益が大きくなります。逆に、1回の入院で両眼の手術をすると病院が赤字になってしまうという特殊なルールができました。
当たり前ですが、病院も赤字ではやっていけませんので、片目が終わったら1回退院して、あとで再度入院して反対の目。という面倒なことが必要になったのです。
厚労省の狙いは、医療費削減のために、入院を不便・高額にさせて、安くすむ日帰り手術を増やそう。というものだと思いますが、もともと入院を選ぶ人は、それなりに理由があって入院を希望します。もし、入院を希望する患者さんが少なくならなければ、医療費削減どころか医療費が増加してしまうのですが、2年後の診療報酬改定までにはうまくいったのかが判明するのでしょう。

当院は幸い19床のクリニックであり上記のルールに該当しませんでした。当院ではこれまで通り両眼の白内障手術が2泊3日の1回の入院で行えます。時間も費用も非常にお得な医院となってしまったので、患者さんにとってはとてもよい医院なのではないでしょうか?
ただ、自分自身では最高の手術機械と最高のレンズを使用して、そして手術技術を磨くため誰より研鑽しているつもりですが、当院で行う白内障手術よりも、他の20床以上の病院で行う手術の方が、保険点数が高いというのはちょっと寂しく思います。僕の手術よりも、大学病院の研修医の先生の手術の方が点数が高いなんて。
保険診療って公平なはずなのに、医院の規模で差がでるのは少し納得がいかないと思うのは僕だけでしょうか・・・。(医療サイドだけではなく、同じ医療に患者さんが支払う医療費も、施設によって異なります。)
| 白内障 | 07:29 | comments(0) | - |
眼内レンズ脱臼(落下) 眼内縫着術 動画
今日から9月ですが、重症例の紹介もなくのんびりとした月初めでした。
先月は網膜剥離や眼内レンズ落下(脱臼)などの準緊急手術が多かったので、9月は少しのんびり出来るのでしょうか?
昨日数えたところ、8月だけで5件の眼内レンズ縫着を行っていました。(山王台3件、他院2件)眼内レンズ落下はそうそうあるものではないのですが、本日退院の患者様がビデオの公開に賛同頂けたので、お言葉に甘えさせて頂きます。

眼内レンズ落下・眼内レンズ縫着術
 ↑ 動画クリック


先日、CTRのブログ(CTRCTRCTR)でも書いてみたのですが、眼内レンズを支える眼球内の構造が弱いと、手術後に眼内レンズがずれたり、目の奥に落下(脱臼)することがあります。
眼内レンズの落下は、レンズがなくなってしまうために、極度の遠視となり分厚いメガネが必要になるだけではなく、目の奥の組織を傷つけて網膜剥離をきたし失明に至るリスクを生じます。

以前に、眼内レンズの亜脱臼(少しズレた)に関するブログを書いたことがあったのですが、8月は亜脱臼ではなく、落下(脱臼)ばかり4名の手術を担当しました。(全員、僕が白内障手術をしたわけではありません。)

今回、ビデオの公開を許可頂けた患者様は、60代の男性です。1年前に眼球穿孔というケガで白内障手術が必要になり、県南の開業医様で手術を受けましたが、外傷後の白内障は難しいもので、少し不安定な形でのレンズ挿入となり、その後に落下のリスクのある症例として当院を紹介となりました。
(決して開業の先生の手術に問題があったわけではありません。外傷後の白内障はもともと難しく、少し不安定でも眼内レンズをいれることができたのは、先生が非常に優秀で上手だったからです。もしも技術のない先生であれば、レンズの挿入どころか、合併症で大変なことになっていた可能性もあります。)

1年前の写真です。分かりにくいですがレンズが左側にずれています。患者さんは、これでもきちんと見えています。
残念ながら、自覚症状が乏しく定期検診にいらっしゃらなくなってしまったのですが、今回、急に見えなくなったと来院されました。

診察すると、レンズが眼底(目の奥の方)に落ちています。

眼内レンズが落下した場合の手術としては大きく2つの種類があります。
A.落下した眼内レンズを再利用し、目の中に縫い付ける。
B. 落下したレンズは取り出し、新しい別のレンズを縫い付ける。

Aの利点は、傷が小さく済むことです。
Bは、落下したもとのレンズが濁っていたり、近視や遠視などの屈折度数が合わない場合に、新しいレンズでよりより視力を期待できることが利点ですが、通常はAに比べて傷が大きめになります。近年多用される1ピースレンズは、Bの手術に向かないなど、眼内レンズの性状によっても向き不向きがあります。
今回は、レンズの特性などからAの手術となりました。

今回は、外傷後なので仕方のない症例ですが、手術後の高齢化や、CTRやその他の手技により、無理にでも眼内レンズを縫わずに終わる先生が増えていますので、今後はどんどんレンズが落下する症例が増えてくるのだと考えています。そのような患者さんたちに少しでも参考になればと思います。
(CTRなどを使用する条件・適応がきちんとしていればいいのですが、残念に思う症例も多々あります)

(眼科医の先生には、縫着刺入部が角膜より過ぎるという意見を頂きそうな動画ですが、術前のレフ値から、わざとやや角膜よりにしています。正視に近づけて、術後2日の時点で裸眼で視力0.7とすることができました。)

追記:術後1週で視力1.2と回復しました。よかったです。
| 白内障 | 21:26 | comments(0) | - |
白内障手術 手術費用(当院は両眼同時に治せます)
今週はお盆のせいか、午後の外来が空いています。(そうは言っても1日100名強の来院がありますが。)ちょこちょこ「お盆もやっているの?」と質問があります。僕は筑波大、土浦協同病院、当院でしか就職したことがないのですが、どの病院にもお盆休みというのがなかったので、「普通は休みなの?」と逆にビックリしたり。
「仕事が休めないから、お盆休み中に手術を受けたい。」という患者様も多くて、当院では今週も通常通りの診療体制です。
週末は、友人の先生の医院で16名の手術を担当します。両眼の人も多く、1日の件数では今年最多の手術件数となりそうです。集中力が途切れないよう頑張ります!

さて、先日、高額療養費に関するブログを記載しました。
[斗榿颪寮度⇔斗榿颪両綣蠅併箸な
今日は眼科の手術で最も多く、質問も多い、白内障手術の費用について記載してみます。
白内障手術 手術費用
*のマークを付けたものは、
標準収入の家庭で、高額療養費を利用した金額になります。

外来手術
・片眼手術
 70歳以上 1割負担 12000円*
 70歳以上 2割負担 12000円*
 70歳未満 3割負担 45000円

・両眼同時手術
 70歳以上 1割負担 12000円*
 70歳以上 2割負担 12000円*
 70歳未満 3割負担 80000円


入院手術(2泊3日)
・片眼手術
 70歳以上 1割負担 20000円
 70歳以上 2割負担 40000円
 70歳未満 3割負担 58000円

・両眼同時手術
 70歳以上 1割負担 33000円
 70歳以上 2割負担 44000円*
 70歳未満 3割負担 81000円*

入院の場合、この他に食事として1560円が加わります。
(食事は高額医療に含まれません。1日目昼〜3日目朝;合計6食分)

例えば、手術中に血圧が上がって薬を追加することもありますし、手術で特殊な材料を使用することもありえます。手術費用は、使用する薬剤・機材の量によって個人ごとに多少の増減があります。
また、所得金額によって、高額療養費の上限や、負担する医療費も異なりますので、正式な金額は病院で相談をしてください。
多焦点レンズは自由診療(保険診療外)になります。別途相談ください。
| 白内障 | 21:55 | comments(4) | - |
CTR(水晶体嚢拡張リング) 手術動画
ちょっと体調不良にて、辛い数日を送っていましたが、
持ち前の元気さで無事復活しました。
さっそくビールを片手に、ブログを更新してみます。

難症例の白内障手術:
CTR(水晶体嚢拡張リング) 手術動画

前回、難症例の白内障手術、CTRについて´△魑載してみましたが、眼科の先生より動画の要望(書き込み)を頂きまして、You TubeにUPしてみました。
外傷例などはもともと難しいので、キレイな白内緒のビデオとは違いますし、今後キレイな録画例を待ってもいいのですが、7月1日発売で、眼科の先生には翌日の使用経験というのは珍しいと思いますので、一応そのままUPしてみます。

CTR;手術動画(クリック)

明日は午前がクリニックで外来。午後は県外の医院様で硝子体手術や、難症例ばかりの白内障手術が多数待っています。CTRを使うような症例はあるのかな??
(難症例は大変ですが、僕は難しい手術が好きなようです。)
| 白内障 | 22:58 | comments(4) | - |
難症例の白内障手術:CTR(水晶体嚢拡張リング)
今日は先日の話題の続きで、難症例の白内障:CTRの利用について書いてみます。

難症例の白内障手術:CTR(水晶体嚢拡張リング)
まず、先日記載した白内障の患者様の写真です。

外傷後の昔の治療で、写真の左下のほうは角膜(黒目)が白や黒に濁っているのですが、この部分のチン氏帯(眼内で水晶体を支える糸)が切れてしまい、瞬きをするだけでも水晶体がグラグラと揺れています。
このような症例では、通常の手術をすると手術中に水晶体嚢が縮んでしまったり、水晶体嚢ごと目の奥に落ちてしまって、眼内レンズが入れられなくなってしまうことがあります。

まず目薬の麻酔をしたあとに、簡単な注射の麻酔をして、目をあけっぱなしにする器械を付けます。

手術では上下反対になるのですが、手前側(目の上方)に白内障手術をするためのメインの傷をつけます。(この患者様は、固定内斜視と呼ばれる合併症があり、どんなに頑張っても目が正面を向けないので、少し写真が右上に寄ってしまいます。)
一般的な患者様より瞳孔(黒目)が広がりにくい患者様です。通常では、これくらいで十分手術が可能ですが、難症例の患者様では念には念を入れて、アイリス・瞳孔リトラクターという器材を使用して瞳孔を左上の方まで引っ張って広げ、安全に手術可能な術野を確保します。

CCCと言って、水晶体を包む袋(水晶体嚢)に丸い穴をあけて濁りを吸い出す準備をします。


手術では水晶体がグラグラしていると濁りを吸引しにくくなります。特に写真の右上の方のチン氏帯が弱いため、このまま濁りを吸い出すと、袋が右上から縮んでしまい眼内レンズが入らないかもしれません。

そこで、HOYA社のCTR(水晶体嚢拡張リング)の出番です。

ちょっと分かりにくいですが、上の写真の青く細いリング状の物体がCTRです。

これを水晶体嚢の袋の中に入れるのですが、手前の傷口からゆっくり丁寧に袋の中にいれはじめ、

時計回りにグルグルと袋の中に進めて行きます。

CTRが水晶体嚢の中に入ると、袋を内側から広げて支えてくれるので、水晶体嚢(袋)が全体的に安定します。

濁りを安全に吸引可能できました。


濁りがなくなったら、

レンズを入れて、キレイに手術が終わりました。
CTRがなければ1時間以上かかるような手術で、眼球への負担が大きくなったり合併症のリスクも大きかった症例ですが、20分弱の手術で安全に行うことができました。術後にも喜んで頂けてよかったです。

*CTRはとても有用な手術補助器具ですが、当院では主に外傷例など特殊な症例のみに限って使用しています。外傷例ではチン氏帯が弱っている場所が一部分など限定的(局所的)ですが、チン氏帯が弱る他の原因(加齢に伴うものや、PE症候群に伴うもの)などでは全体的に弱っていることが多いため、手術はどうにか上手くいっても、それ以降の加齢に伴ってCTRごと眼内レンズが目の奥に落ちてしまうことがあるからです(眼内レンズ落下・眼内レンズ脱臼
例えば、95歳であと5年は持つだろうと自信を持てる時はいいのですが、70歳でCTRを使用して、あと20年もつかというと結構厳しいものがあります。もしあとからレンズが落下してしまうと、硝子体手術などのより難しい手術でレンズとCTRを取り出して、新しい眼内レンズを縫い付ける。なんていう複雑な手術が、80代とかより高齢の時期に必要となってしまうリスクがあります。それなら最初の手術でしっかりとレンズを眼内に縫い付けた方が安心なのでは?と思うのです。
当院の白内障手術でCTRを使うのは0.1%程度の症例ですが、世の中には「CTRを沢山使っているが、術後に問題が起こったことがない。」と仰る有名な先生もいます。実際にはそうではありません。白内障手術で急にCTRが必要になった場合には、手術時間が思ったより長かったり、痛みも強めだったりと、「予定と違った」と患者さんの満足度が低かったり、信頼関係が築けていない場合が多くなります。このような患者様が、レンズが落下して急に見えにくくなった場合には、もとの眼科さんではない眼科さんに転院してしまうことも多いのです。
実際に、今までにCTRとレンズが落下して、僕が拾い出したという症例は、もともとは全員他の医院様で手術を受けた症例です。有名な大学病院でCTRを使って、他の医院で修正手術を受けているなんて言うことが思ったより多くあり、そのことを術者の先生は知らないだけだったりするのです。
| 白内障 | 21:03 | comments(1) | - |
難症例の白内障手術:CTR(水晶体嚢拡張リング)
今日の午後は以下の手術を無事に終えました。
・翼状片手術 1件、白内障手術12件、網膜硝子体手術 4件
それなりの件数ですが、最近はスタッフと宮井先生の能力がUPしているようで、5時前には終わってしまいました。手術の順番待ちも長いので、「これならあと2人くらい治せたかも?」なんて、つい欲が出てしまいますが、あまり無理するのもよくないでしょうか・・・。
さて、最近は毎週のように都内など遠方から難症例の白内障手術にいらしてくださる患者様がいます。今日も3件の白内障がまずまず難しかったのですが、うち1例は、この半年ほどではチャンピオンと思われる難症例があったので、それをネタにブログを書いてみます。

難症例の白内障手術:CTR(水晶体嚢拡張リング)
情報化社会が進み、医学知識も簡単に手に入るようになりまいした。「白内障って5分で終わる簡単な手術でしょ?」と、少し勉強をされた患者様から聞かれることが多くなりました。その通りで多くの方では簡単なのですが、実は全員が簡単なのではないのです。1%程度ですが10分を超える難症例もありますし、0.1%程度では30分以上の手術とか、手術が2回以上必要になる症例もあるのです。
手術が難しくなる場合というのは、以前に書いたこともありのですが
小瞳孔、奥目の方、成熟白内障、緑内障(狭隅角)、チン氏帯脆弱、強度近視、強度遠視、角膜混濁、顔や体がふるえる、硝子体出血、難聴、認知症など、いくつか原因が挙げられます。難しい手術を助ける補助器具の開発や、手術技術の向上により、今はどれか一つくらいのリスクでは特に大きな問題は起きないのですが、リスクが2つ、3つと重なっていくと大変です。

今日の患者様は、
・最強度近視(眼軸32mm)
・固定内斜視(目が内下方を見たまま動かない)
・角膜混濁(外傷破裂後の入墨術後)
・角膜内皮減少(1000以下)
・外傷後のチン氏帯脆弱(スリットでグラグラ)
・中等度散瞳
そして高齢で、しかも反対の目もほぼ失明。という悪条件のデパートのような症例でした。

知り合いの先生の紹介でいらした時には、ちょっとだけ「手術を断ってしまいたい・・・。」と逃げてしまいたい気持ちもありましたが、せっかく縁があって当院にいらして頂いたのですし、どこか他に紹介するお勧めもなく、自分で頑張ることに。

まず、以前のブログで白内障手術の復習を(クリック)
通常の白内障手術では、水晶体を包んでいる袋(水晶体嚢)の中身の濁りだけを除去し、残した袋の中に新しい眼内レンズをいれます。

実は水晶体嚢と呼ばれる袋は、無数の細い繊維によって眼球の中に宙づり状態になっていて、この水晶体嚢を支える細い繊維チン氏帯と呼びます(イメージ図の緑)。
加齢や、生まれつきの疾患、遺伝、そして外傷などによって、このチン氏帯が切れたり、チン氏帯の数が少なくなっていると、水晶体嚢を支える力が強くなります。すると、

白内障や眼内レンズが目の奥に落ちてしまったり、

手術時に水晶体嚢(袋)が縮んで、レンズが入れられなくなってしまうことがあり、
これをチン氏帯脆弱と呼びます。

CTR(水晶体嚢拡張リング)は、チン氏帯脆弱例で、水晶体嚢(袋)の中に強度のあるリングを入れ内側から水晶体嚢を支えることで、袋が縮むのを防いだり、袋の眼内での安定性を向上させて、落下を防いだりしてくれる素敵な手術補助具です。


実はCTRは世界中では、10年以上前から当たり前のように使用されています。日本ではなかなか認可が下りずに、今までは医師が海外製品をこっそり輸入して、こっそり患者さんの目に入れる。といった、微妙な使われ方をしていました。
僕はCTRはあまり使わない方で、例えばこの4年でが4例に使用しました。年に約1例、0.1%未満です。自分のポケットマネーでインターネットで個人輸入をして、合計10万円くらいかかったかと思います。お金だけの問題ではなく、正規のルートでない物品をネットで購入して、人の体に埋め込むことがよいことなのか?倫理的にも難しい面がありました。

そして、とうとう日本でも正式に認可が下り、昨日、国内企業であるHOYA社から正式に発売されたのです!万歳!!
7月1日に発売ですが、今日の重症例の患者様に間に合いました。
(手術を申し込んだのは数ヶ月前で、発売も決まっていなかったのでラッキーでした。)

手術はそれでも難しく、20分弱と白内障手術にしては大変な時間がかかりましたが、もしもCTRがなかったら、眼内レンズを目の中に縫い付ける手術で、さらに時間もかかったでしょうし、角膜も悪くなって濁ってしまうリスクもあったかもしれません。HOYA社に本当に感謝です。
手術画像もUPしようと思っていましたが、遅くなってしまったのでまた明日記載します。おやみなさい。
| 白内障 | 23:13 | comments(2) | - |
白内障手術:小瞳孔の例◆‘傾Τ板ゥ螢鵐
今日の午後は、他の医院様で手術のお手伝いをして、夕方からは時間が空いてしまい、平日でしたが久しぶりに子供とノンビリお風呂に入れました子供
明日はものすごく手術が多いので、一部を今日のうちにやってしまいたい。なんて思いますが、皆さんの予定があるのでそうもいかないのですよね。

患者様よりも眼科の先生からの質問が多い事柄から、ブログを書いてみます。
小瞳孔の白内障手術:瞳孔拡張リング
白内障手術では、瞳孔(茶目・虹彩)を開いて手術を行う必要があります。
手術前には、散瞳薬と呼ばれる目薬(ミドリンP)を数回点眼してから手術にのぞむのですが、目薬を付けても瞳孔が開きにくい患者様が一部いらっしゃいます。
(小瞳孔に関しては、以前のブログをご参照ください→小瞳孔IFISの手術例

以前のブログでも書きましたが、瞳孔を無理に開くと、術後の瞳孔機能が落ちてしまうことがあるので、当院では基本的には4mm程度の瞳孔があれば、できるだけそのままで手術をするようにしています。
ただ、どうしても安全にできない場合や、他の手術を同時に行う場合などでは、瞳孔を無理にでも広げることがあります。

2週前くらいに手術をした70代の糖尿病の患者様です。

糖尿病があると、ぶどう膜炎という病気を起こして、瞳孔が小さいなったまま癒着をしてしまうことがあります。
手術前に瞳孔を広げる目薬を付けても瞳孔は3mm弱しかありません。


ハサミで、茶目・虹彩をチョキチョキ切ると、瞳孔が4mmくらいに広がります。ただの白内障手術のみなら、当院ならこれで十分なのですが、この患者様はこの後で、糖尿病網膜症に対して、目の奥の方の硝子体手術が行う必要があります。
瞳孔が小さいと目の奥・眼底の観察が難しくなってしまうので、安全に観察するためにはもう少し大きい瞳孔の方が助かります。

そこで、


目の中に、青い四角いリングを入れて、6.5mm位まで瞳孔を広げてしまいます。
(専門的ですが、リトラクターよりも眼内で使用するリングの方が、硝子体のコンタクトレンズとの相性がよいと思っています。)


広げると、白内障手術も簡単。


カサブタ(増殖膜)だらけの糖尿病網膜症の手術です。瞳孔が小さいままだと、かなり難しいと思います。(この患者様、こんなに重症ですが眼科での定期検診も受けていたと・・・。)


糖尿病の手術後に、リングを抜いて終わりです。
日帰り手術ですが、経過も良好で、本日の診察で反対目の手術を来週行うことになりました。

眼科の手術って、いろいろあって面白い!
| 白内障 | 23:56 | comments(0) | - |
白内障手術 動画(ビデオ)
今週は100歳以上の患者様や、聾唖の90代の患者様など、他院にて白内障手術ができなかったり、手術途中で中断になったという紹介例が多く、比較的大変な週でした。みなさん無事に終わってよかったです。
以前に記載した通り、「純粋に濁りをとって新しいレンズをいれる。」という意味では、白内障手術に手遅れはないので、当院では白内障手術の適応の大前提は「不自由があって、治したい人は手術を引き受けます。」「どんなに視力が悪くても、本人が不自由がなく、希望がない人は手術はしません。」と、基本的には「患者さんの希望」が手術の適応としています。
ただ、90代の患者様は毎週のようにいらっしゃいますし、数ヶ月に1回は100歳オーバーの患者様がきて、時には認知症など、いろいろと大変な思いもするので、やっぱり「80歳くらいで元気なうちに。」手術をしておくほうがいいのかな?なんて、心が揺れたりします。でも、無理に手術を勧めるのも本意でなく・・・。

最近、宮井副院長と先月の手術ビデオの鑑賞会?復習・勉強をしたのですが、とってもビックリしたことが!!
動画をYOU TUBEに登録するというスキルを身につけたので、手術ビデオをのせてみることにしました。(手術がグロテスクと思う人は、参照をお勧めしません。)

栗原 耳側切開 
宮井副院長 Toric IOL 上方切開
栗原 斜方切開
宮井副院長 上方切開
栗原 IFIS 耳側切開
宮井副院長 IFIS 斜方切開

なにがビックリって、自分たちでみても、どっちが自分の手術が分からないくらい、そっくりです。宮井先生が赴任してもう少しで1年。もともとは手術方法(プレチョップ法かフェイコチョップ法かなど)は、かなり違ったのですが、毎月行う勉強会で、あっちがいい。こっちがいいと相談しているうちに、お互いそっくりな手術になっていましたびっくり
最後のIFISの症例なんて、ちょっとですが、虹彩(茶目)が出てしまうところまでそっくり。

もしも僕が急なインフルエンザで倒れても、同じ手術をしてくれそうです。
医師が10人も20人もいる大学病院などでは、全員で同じような手術手技や手術レベルを維持するのは難しいと思いますが、当院ではお互いに手術件数も多く、一緒にしょっちゅう勉強会をしているので、いつの間にかそっくりになってしまったようです。
| 白内障 | 20:27 | comments(16) | - |
新型 乱視用眼内レンズ 
当院では白内障手術時の乱視軽減に、とにかく力を入れています。
ホームページ参照→http://www.sannoudai.or.jp/clinic/ope03.html
特に角膜乱視が0.75D以上の症例では、全例で乱視用眼内レンズ(Toric IOL)を使用し、実に総白内障手術数の40%以上に乱視用レンズを使用し、おそらく日本でトップの使用率と思われます。
(Toric IOLについて参照)

実は、これまで日本国内で使用できる乱視用レンズは、ALCON社のレンズ1種類しか保険適応がなかったのですが、最近、AMO社から乱視用レンズが発売され、保険適応となりました。

矢印の先に、乱視の軸(向き)を示すマークがあります。

昨日、早速、新型レンズのレンズを使用してみました。
当院が乱視に力を入れているのはメーカーの人もご存じで、茨城県では当院が最も早い使用となりました。

角膜切開(黒目と白目のギリギリから切開)では、2.4mm程度の傷があれば、簡単に目の中に入れらるようです。

矢印の先が乱視の軸(向き)の指標になります。


4名の方に使用しましたが、使い心地は良好で、みなさん今朝の術後裸眼視力も良好でした!

*新しいAMO社のレンズが、もっともよいレンズだというわけではありません。Alcon社のもののほうが、よい適応になる患者様もいらっしゃいます。
目の状態や年齢、仕事の内容などによって、もっとも最適なレンズは、各自それぞれ異なります。当院では、その患者様にとって、もっとも良好な成績が望めるレンズを適宜採用しております。

今後も、最新の医療を地域の患者様にお届けできるように尽力致します。

医学の進歩は非常に早く、10年前の医療はまったくあてになりません。
ホームページもブログも、記載から時間がたつとほど最新の知識からの乖離が大きくなりますが、当ブログを書き始めて約3年になり、当初の内容と変更になったものも沢山あるようです。以前の内容を書き換えるのも、日付とかの面で矛盾しますし迷うものです。
| 白内障 | 21:40 | comments(0) | - |
ECCE・水晶体嚢外摘出術
今日は以下の手術を行いました。
・翼状片手術(遊離弁移植) 1件
・白内障手術 10件
・眼内レンズ交換 2件(他院様術後エラー)
・網膜硝子体手術(茎離断) 5件
(増殖糖尿病網膜症2件・糖尿病性硝子体出血1件・黄斑前膜1件・黄斑円孔1件)
難しい症例が多かったですが、無事に終わりました。
そろそろ、手術納めの医院も出てくる時期ですが、当院ではまだまだ先の話です・・・。

今日は時間ができたので、久しぶりに手術の話題で。
ECCE・水晶体嚢外摘出術
白内障手術の特殊な術式の一つをご紹介します。
以前に、通常の白内障手術・水晶体超音波乳化吸引術(PEA)について記載したことがあります。機械の進歩とともに、最近の白内障手術のほとんどは、キズ口は2mm程度。時間は5分程度。で終わってしまうことがほとんどです。
ただし、全員が全員、同じような手術で同じような結果を得られるわけではありません。目の組織が弱い人や、濁りが強く・硬くなり過ぎてしまった人などでは、通常の手術(水晶体超音波乳化吸引術・PEA)ができないケースもあるのです。

水晶体超音波乳化吸引術(PEA)は、小さなキズ口から、細い掃除機を目の中に入れて、目の中で水晶体の濁りを細かく砕きながら、吸い出す。という術式ですが、
ECCE(水晶体嚢外摘出術)は、濁りを目の中で砕かずに、少し大きなキズ口を作って、濁りをそのままの形で、プルンッ。と摘出する術式になります。

超音波の器械が発達する前には、ECCEは白内障手術の標準術式でしたが、現在も発展途上国などではECCEの方が数多く行われているようです。
現在の日本では、あまり行われることがなくなっていますが、以下のようなケースで、通常の手術(PEA)ができない場合に選択されます。
・水晶体の濁りが硬すぎて、目の中で安全に砕けない。
・チン氏帯が弱くて、通常の手術に耐えられない。
 ⇒無理をすると、水晶体脱臼眼内レンズ脱臼などにつながる
・角膜内皮細胞が少ない。
 ⇒超音波で無理をすると、水泡性角膜症につながる
・白内障手術(PEA)の途中で、上手くいかなかったとき。


ただし、最近は手術機械が発達したため、濁りが硬すぎて砕けない。というケースは皆無になってきています。(当院のコンステレーションは凄いですよ!)

先週手術の患者様ですが、濁りが真っ白を通り越して、真っ黒。ものすごく硬いのですが、コンステレーションのオジル機能で、なんなく破砕できました。

ECCE・水晶体嚢外摘出術
先週手術した90代の患者様。視力は0.02程度、濁りは硬くはありませんが、角膜内皮細胞が少なく、チン氏帯が弱いために水晶体がグラグラしている症例です。
超音波を使って、目の中で濁りを無理に砕くより、ECCEでそうっと濁りを取り出す方法を選択しました。


白目・強膜の上を覆っている結膜を切開して、緑矢印のように針を入れ、眼球の後方・奥に麻酔薬をいれます。

露出して、少し強膜から血がでるので、電気の熱を使って止血します。


PEAでは切開の幅が2mm程度のキズ口で済みますが、ECCEでは濁りをまるまる取り出せる程度のキズ口が必要です。今回は3種類のナイフを使って、8.5mmの切開を行いました(緑矢印の幅)。


濁りを包んでいる袋に丸い穴を開けます。

濁った水晶体(白内障)をぐるぐると目の中で回転させながら、袋の前方、瞳孔(虹彩・茶目)の上まで持ち上げます(脱臼)。右上の写真では、茶目の上まで濁りがでてきたために、茶目が見えなくなっているのが分かりますか??


濁りの下に、専用のスプーン状のヘラを入れて、引っ張り出すと、
「プルンっ。」と濁りが取り出せます。青矢印の先が摘出された水晶体(白内障です。)


のこった細かい濁りを、負担の少ない掃除機で吸い出して、

人工のレンズ(眼内レンズ・IOL)を入れて、

キズ口を一針縫ったらお終いです。
(この手術が得意な先生では、キズを縫わなくても大丈夫なことも多いようです。僕はこの術式はあまり行いませんし、一針くらい縫った方が、キズを閉じるという意味では丈夫で安全かなと。)

通常のPEAで行う方が、時間も早いし、キズも小さいし、乱視のコントロールも良好です。ECCEは、今の日本では、難症例に限ってものすごく稀に行う術式です。
(たまにしか行わない、少し難しい手術って、眼科医としては、ワクワクして楽しいのですが。)
| 白内障 | 23:57 | comments(2) | - |
白内障手術 乱視矯正 LRI(乱視矯正角膜輪部切開)
今日は以下の手術を行いました。
・眼瞼下垂症手術 2件
・加齢性下眼瞼内反症(逆さまつ毛)1件
・瞳孔形成術+眼内異物除去 1件
・白内障手術 6件
・網膜硝子体手術(茎離断:黄斑前膜)1件
・緑内障手術(バルベルトインプラント)1件
みなさん無事に終わりました。今日は片眼の方が多くちょっと少なめ。
最後の症例は、重症例の緑内障のみに今年の4月から正式に保険診療で認められた術式です。今日の方は、大学病院などで両眼ともにそれぞれ3回以上も手術をされている患者様でしたが、なかなかコントロールがつかずに新しい術式で対応させて頂きました。
技術としては難しい手術ではないのですが、昔の手術の癒着がひどいのと、まだ僕が慣れないせいもあり、50分ちょっとかかってしまいました・・・。もっともっと勉強・修行が必要です。


今日の緑内障の手術方法なんかもブログに載せようとか、書きたいことがいっぱいあるのですが、なかなか忙しくて・・・。とりあえず、地道にすすめていきます。
白内障手術 乱視矯正
LRI(乱視矯正角膜輪部切開)

最近は、白内障手術を行う時には、ついでに乱視(眼球のゆがみ)を補正してしまおう。というのが、多くの眼科で流行ってきているようです。
当院は特に乱視の軽減に力を入れており、以前に主な方法について書きました。
白内障手術 乱視矯正 ゞ主経線切開
白内障手術◆.函璽螢奪眼内レンズ
最近は△離譽鵐困粒発が進み、かなり強い乱視までを補正できるようになってきています。
なので、なかなか出番がないのですが、最近行った乱視矯正の患者様が今週再診でいらしたので、そこから話題を。

眼球が完全な球体であれば乱視がない状態、ラグビーボールのようなキレイな楕円状にゆがんだ状態を正乱視(せいらんし)と呼びます。そして、眼球がデコボコとしていびつにゆがんだ状態を、不正乱視(ふせいらんし)と呼びます。
上下左右対称のような、キレイなゆがみの乱視(正乱視)には、トーリック眼内レンズによる補正がとても有力で、かなり強度のゆがみまで補正出来るようになってきています。

ところが、デコボコにゆがんだような不正乱視にトーリックレンズを入れると、相性が悪くて余計に見えにくく感じてしまう症例があることが分かっています。
こんな時には、角膜(黒目)を切り刻むことで、角膜の形状を変化させ、乱視を軽減させる方法が有用です。
白内障手術 乱視矯正 ゞ主経線切開でも書いたのですが、基本的に角膜を切開すると、切り込みを入れた方向の角膜のカーブが和らぎ、その方向の近視の度数が減弱します。


昨年末に翼状片という角膜(黒目)の上の出来物を切除した69歳の女性です。(本当は、こんなに大きくなるまで放っておいてはいけません。)

これは、翼状片切除手術後、一週間の写真ですが、一見かなりキレイになっています。

今回、約半年過ぎで前回手術後の角膜のキズや形が落ち着いたことと、70歳になって1割負担になったころから、白内障の手術が予定されました。手術の前の検査で角膜(黒目)のデコボコさ加減を、精密に測定する角膜トポグラファーで撮影をしてみると、

写真や診察ではキレイに見えても、実際には角膜はデコボコで、専門的ですが、-5.75Dというかなり強い乱視が残ってしまっています。このまま白内障手術をしたのでは、裸眼の視力はかなり悪いものとなってしまいます。
そこで、手術では角膜を切開して、どうにか目玉がマル、球体に近づくようにと頑張ります。

6月4日の手術ですが、
,泙此通常の白内障手術で、強主経線切開を行い、少しでも乱視を和らげます。斜めの乱視が強いのですが、青線の方向の乱視を弱める効果があります。

⊆,法⊆蟒兪阿乏冕譽肇櫂哀薀侫 爾濃1討靴審冕譴里罎みを補正するように、角膜に切開を加えます。

右が切開後ですが、わずかに出血の赤い線が見えるくらいで、肉眼ではあまり片がが分かりませんね。

こんなナイフを使って、角膜に切り込みをいれます。

基本的に、角膜の厚みを測定し、角膜90%の深さを切開をします。残りが10%しかなくなるので、かなり深い切り込みを入れることになります。強い乱視を補正するには、長い切り込みをいれ、弱い乱視を補正するには短い切り込みをいれるのですが、やり方は施設毎にある程度は異なりますので、詳しくは担当の医師にお聞きください。


これは、6月11日の外来で撮影した術後のトポグラファーですが、キレイとは言えませんが、かなりゆがみが減少して、乱視の度数を-1.69Dまで軽減することができました!患者様にもとても喜んで頂いています。

最近はトーリック眼内レンズの普及で、LRIを行う事がだいぶ減りました。上記のような角膜がデコボコの特殊な例(不正乱視)に行うだけなので、月に1件とか2件とか。
ところが、ちょうど最近、正乱視でもLRIをやった症例がいたので、ついでに。
6月6日に手術をした80代の女性ですが、黄斑前膜という手術を行います。既に他院で白内障手術が済んでおり、眼内レンズが入っているため、トーリックレンズが使えません。

トポグラファーと照らし合わせて、切り込む位置に目印をつけます。

角膜の厚みの90%まで切開できるメスをつかって、黒目の両脇に切開を入れます。

黒目の両脇に赤い出血の線がみえますか?

引き続き、黄斑前膜の手術を行います。
(LRIはついでに行い、無料です。)

左が手術前、-3.25Dの乱視がありましたが、2日後の検査では右側、-1.0Dの乱視にまで軽減できています。
| 白内障 | 23:16 | comments(2) | - |
白内障手術:IFISの例 (前立腺肥大の薬の副作用)
今日は以下の手術を行いました。
・結膜弛緩症手術 2件
・斜視手術 1件(左上斜視・外斜視⇒上下直筋前後転・水平移動)
・白内障手術 10件
・網膜硝子体手術(茎離断)2件 (糖尿病黄斑浮腫)
みなさん無事に終わりましたが、80代の男性で1名、残念ながら予定外の結果に・・・。
両眼の白内障治療を予定していた患者様の手術で、無事にはできたのですが、思ったより難しくて、視力の回復に数日かかったら大変かな?とも考え、安全のために今日は片方の目だけでやめておきました。
患者様は両眼治ってしまうと思っていたと思うので、大変申し訳ないです。
心配されていると思うので、手術のビデオを差し上げようとDVDに焼いてみました。今、確認してみると手術時間は13分弱。時間も異常に長いというわけではありませんし、キレイに出来ているので、両眼頑張ってしまってもよかったかな?とか、いろいろ考えてしまいますが、手術はやっぱり安全が第一だと思います。
両眼の予定だったのに、片眼になってしまったのは開院後2例目です(前回も結局は翌週手術を行い、とても良好な結果です)。今日は見学の医師もきていましたが、予定外ってちょっとカッコ悪い。手術って難しいなぁ悲しい

ついでなので、今日の症例の話題を。
白内障手術:IFIS(アイフィス)
白内障手術では、手術の少し前から目薬をつけて、瞳孔と呼ばれる虹彩・茶目を大きく広げる必要があります。
瞳孔があまり開かない患者様もいらっしゃり、そういう場合には手術がちょっと大変。というブログを以前に書きました。
小瞳孔の例⇒http://blog.sannoudaiganka.jp/?eid=137225

今日の症例は、普通の小瞳孔(瞳孔が開きにくい)の症例とはちょっと違って、手術前はそれなりの瞳孔の大きさなのに、手術中の途中で、瞳孔が進行性にどんどん小さくなってきてしまうと言う、変動のある症例です。
IFIS(アイフィス)と呼ばれているのですが、正確にはintraoperative floppy iris syndromeと言います。
・intraoperative⇒術中
・floppy⇒フニャフニャ
・iris⇒虹彩(茶目)
・syndrome⇒症候群

白内障手術の途中で、瞳孔(虹彩・茶目)が、フニャフニャになって、手術がやりにくくなるという症例です

原因としては、前立腺肥大のお薬の副作用が有名です。(ハルナール・ユリーフ・フリバスなど)
おしっこの出をよくするために、前立腺の筋肉を緩める効果がある薬ですが、瞳孔(虹彩・茶目)の筋肉と、前立腺の筋肉が、非常によく似ているために、前立腺の薬を長期間内服すると、虹彩の筋肉も委縮してしまう。ということのようです。
男性の手術前には、「前立腺のお薬を飲んでいますか?」という質問を行うのですが、薬を飲んだ人が全員IFISになるわけではなく、また、少しくらいIFISがあっても全く問題なく手術を出来ることが多いのですが、今日はヒドイ症例でちょっと大変な思いをしました。
手術でIFISがおこりうる可能性を説明すると、「では、手術前は薬を飲まない。」なんて言う人がいますが、筋肉が一回委縮してしまうと、内服を中断しても回復の効果はないようですので、中断する必要はありません。IFISになったら、「少し手術の時間がのびるけど、仕方がない。」と思って、医師にお任せ下さい。

実際の本日の症例です。

手術開始時の瞳孔です。赤矢印程度の大きさ5mmくらいの瞳孔があります。通常よりは小さいものの、普段の僕なら、このくらいの瞳孔は全く問題になりません。(この患者様は他にも小角膜で角膜径が9mm、しかも輪部潰瘍も合併しています。)

ところが、

濁った水晶体を取り除こうと、掃除機で吸い出し始めると、矢印の長さくらいに、瞳孔がとっても小さくなってしまいました・・・。(プレチョッパーで割っていますし、もともと内服しているのをしっていたので、低吸引低還流で水流は少ない方です。)


ただ小さくなるだけではなく、手術で目の中に発生する水の流れによって、瞳孔がフニャフニャと変形します。瞳孔がキレイな丸ではなくなっているのが分かりますか?


フニャフニャになった瞳孔・虹彩がキズ口から飛び出しやすい。というものIFISの特徴です。赤矢印の先、瞳孔が下に向かって、飛び出していきそうです(今日は脱出せずに手術が可能でしたが)。


最終的にはキチンと眼内レンズが入りました。
(時間が長めになりそうな症例では、光を特に弱くして手術をしているので、写真が暗くなってしまいます。見にくくてすみません。)

手術中はなにかあったらどうしよう。と、ヒヤヒヤしながらやるので、自分の時間感覚では30分くらいかかってしまったような気分でした。結局12分半くらいなのですが、やっぱり今日両眼やってしまったほうが喜んでもらえたかな?今更後悔しても遅いのですが・・・。

こういった難しい症例でも、当院はとにかく乱視に全力です。
IFISや、瞳孔が小さい症例では、虹彩リトラクターや、瞳孔拡張リングと呼ばれる、瞳孔を引っ張って広げる器械があり、リトラクターを使うともっと簡単に出来たのかもしれませんが、術後の乱視が強くなったり、瞳孔の形に変形が残ったり、問題も多いので、今日もどうにか使用しないで頑張りました。

もちろん、今日も乱視矯正レンズ(Toricレンズ)を使用しています。
乱視用レンズについて⇒http://blog.sannoudaiganka.jp/?eid=141878
乱視用レンズは、乱視の軸・角度の調整の問題で、瞳孔が小さい症例での使用は難しいと言われていますが、様々な道具・技術を駆使して、できるかぎり諦めないようにしています。

これは、緑内障手術で使用する特殊レンズですが、水色矢印の先に乱視の角度を示す小さな点が確認できます。

早く回復して頂いて、反対目の手術も頑張らせて頂ければと思います。
では、今日もお読み頂きありがとうございました。
| 白内障 | 23:43 | comments(7) | - |
白内障手術 乱視矯正
今日は緊急、重症の患者様はおられず、比較的落ち着いた日でした。
高齢の方の涙目の治療で、NSチューブというのがありますが、1日に3件やったのは初めてで、ちょっと疲れました。治療自体は比較的簡単なのですが、麻酔など少し痛い治療のようで・・・。痛い治療って、気分的に、お互いになんとなく嫌ですよね。NSチューブのブログもまだ書いていませんが、おいおい頑張ります。

さて、久しぶりに白内障の手術でも。
白内障手術 乱視矯正
トーリック眼内レンズ(乱視矯正レンズ)

以前に、当院で白内障手術をする時には、必ず全ての患者様に、乱視を少なくする努力をしていることを記載しました。
詳しくは⇒http://blog.sannoudaiganka.jp/?eid=140047
前回は、強主経線切開といって、白内障手術のキズ口の作る位置によって乱視を減らす方法を書いてみたのですが、強主経線切開による乱視の矯正効果は、比較的小さいもので、乱視が弱めの人に行う治療です。
今回は、当院で現在最も多く行っている乱視治療について書いてみます。
白内障手術では、濁った自分のレンズを取り出して、人工のキレイなレンズと交換するのですが、この人工のレンズ(眼内レンズ)に乱視の度数を加えたレンズが、トーリック眼内レンズ(乱視矯正レンズ)になります。


眼内レンズの写真ですが、左の写真の赤矢印の先に、小さな3つの点があるのがわかるでしょうか?これが、このレンズに加えられた乱視の方向(軸)の目印になります。右も同じレンズの写真ですが、青方向と、緑方向でレンズの度数が異なる構造となっています。


実際の例です。手術の前に角膜トポグラファーという検査の器械で、角膜(黒目)の乱視成分を測定します。この症例では、横方向の歪みが強いようです。

ちょっと専門的なのですが、この歪みの強さ(度数)や、縦か横かなどの方向(軸)の数値をコンピューターで計算すると、

こんな結果が出てきます。
この患者様では、4度、横方向にレンズを入れるといいみたい。


手術の前に、どの方向(軸)にレンズを合わせるかなどをチェックして。

いざ手術。

手術では、白内障の濁りを取った後に、小さく折りたたんだレンズを目の中に挿入します。


目の中にいれたレンズが広がると、赤矢印の先に乱視の方向(軸)を表す印が見えます。この患者様は、横方向にレンズを入れると乱視が減る予定なので、針でつっついて、レンズを目の中で時計回しに回転させています。

最後は、こんな感じ。とってもキレイに入りました。

今までは、乱視の強さが3段階のレンズしかなかったのですが、昨年からかなり強い乱視まで7段階に矯正できるようになり、手術後に乱視が強すぎて・・・。なんていう症例はまずいなく、とっても役立っています。

乱視用のトーリックレンズは、日本では2009年から発売されていますが、本日の時点では、アルコン社(レンズ販売数世界1位)という会社からしか発売されていません。
独占販売だから?なんと、定価は1枚15万円とかして、日本で使用できる眼内レンズのなかで最も高価です。(当院はこのレンズが手術総数の3〜4割とかなり多いので、割引して頂いてはいますが。)
保険診療では、患者様が支払う費用はどんなレンズを入れても一緒なので、出来るだけいいレンズ、少しでも乱視が減って、よい視力が得られるレンズを。と思って、トーリック眼内レンズを使用しています。
| 白内障 | 23:58 | comments(0) | - |
白内障手術 乱視矯正
今日の午後は小美玉で井上先生と手術です。
・白内障手術 5件
・さかさまつ毛(眼輪筋縫縮)1件
・眼瞼下垂症(炭酸ガスレーザー:ミュラー筋タッキング) 1件
夕方は開業医様の手術のお手伝いに。

先日、病院のホームページの内容を更新したのですが、ホームページで記載している、白内障手術についてちょっと書いてみたいと。
http://www.sannoudai.or.jp/clinic/ope03.html
白内障手術 乱視矯正
強主経線切開

水晶体が濁ってしまい、光の通過が邪魔をされるために、視力が低下してしまうのが白内障。白内障手術は濁った水晶体を人工のキレイなレンズと交換することが第一の目標です。ただし、近年は医学も進歩し、「濁りをキレイにする。」という目標はあたり前で、それ以外に「出来る限りメガネなしで見えるようにしたい。」と、より高度な目標をもって手術をする事が一般的になってきました。
その一つが、「乱視を減らそう」というものです。
乱視とは、眼球の歪みに由来して、縦方向や横方向のピントにズレが生じることです。(縦は近視なのに、横は遠視など。)

イメージ図を作ってみましたが、分かりにくいですかね??眼球がまん丸に近いと乱視が少ない目。楕円というか、ラグビーボールのような形だと乱視の強い目。という感じです。

こっちの図の方が分かりやすいですかね?

乱視の治療としては、メガネをかけたり、コンタクトレンズを使用ことが最も一般的で、より積極的な治療としては、レーシックなどの屈折矯正手術があります。
今回は、白内障手術を行う場合に、ついでに乱視を減らしてしまおう。という方法のうち、もっとも手軽にできる方法を紹介します。

左が手術前、右が手術後のイメージ図です。白内障手術では黒目(角膜)と、白目(強膜)の境目あたりにキズをつけて手術を行います。切り口が出来た部分の角膜は薄くなって変形し、切り口の方向では、角膜が平坦化し、ピントが後ろ側にズレるようになります。このような手術のキズ口のせいで、乱視のピントに変化がおこることを惹起乱視(じゃっきらんし)と言います。
手術技術や、器械の進歩によって、手術のキズ口はどんどん小さくなっているため、惹起乱視も小さくなっていますが、白内障手術をすれば、多かれ少なかれ、良かれ悪かれ、乱視に変化が起こるのです。
この惹起乱視と上手に付き合うことで、白内障手術を行うついでに、乱視を和らげてしまうことが可能になります。逆にいえば、黒目の横にキズを作るべき場合に、上から切開を行えば、乱視は悪化してしまうのです。
当院で白内障手術を行う場合には、全症例で必ず乱視を減らすように努力をしています。


これは、角膜トポグラファーという器械で、黒目(角膜)の形を詳細に測定した結果です。眼球の乱視(ゆがみ)は、水晶体などの部分に由来する部分も一部ありますが、ほとんどは角膜に由来するものです。また、水晶体は手術で除去してしまうので、白内障手術では、特に黒目(角膜)に注目して、乱視をコントロールしていきます。
黄色に比べて、オレンジの部分がカーブが強いことを表した図ですが、この患者様の手術をする場合には、オレンジを切る方向、つまり横から切った方が乱視が軽減することになります。

実際に、どう手術をするかというと、
例えば、上から切った方がいい場合では、

こんなふうに上から切開をして手術をします。

横から切った方がいい場合には、

こんな感じ。僕はほとんどの場合、患者様の頭の上側に座って手術をします。写真は上下反対のようになります。これは、右目の手術を右耳側から切開しています。

同じ横からでも、左目の場合には、

こんな感じ。左手での手技になることもあります。僕は小さい時は左利きだったようですが、右利きに矯正されまして、今は右手の方が得意です。なので、左目を横から切る場合には、少し手術がゆっくりになったり、面倒に思う事も。
でも、少しでも乱視が少なくなって、裸眼視力の向上につながるなら。と思えば、頑張りがいがあります。

このような切開の方向による乱視矯正(主経線切開)は、もっとも手軽に行う事が出来る方法です。ただし、矯正効果はあまり大きくなく、主に乱視が軽い場合に行われます。より強い乱視を矯正していく方法に関しては、別に機会に記載したいと思います。
明日も手術がいっぱいなので、今日はこれでお休みなさい。お読み頂き、ありがとうございました。
| 白内障 | 23:54 | comments(5) | - |
先進医療認定施設 多焦点眼内レンズ
今日は以下の手術を行いました。
・眼瞼内反症手術 1件(加齢性のさかさまつげ)
・白内障手術 5件
・網膜硝子体手術 2件(離断1・増殖1)
 (黄斑前膜1件、増殖糖尿病網膜症1件)
無事に終わりましたが、

この糖尿病が辛かった・・・。
コンステレーションでオイルもいれて、1時間半もかかりました。
(最近は1時間半かかる手術って、年に1件か2件です。)

昨年、申請をして、認定が下りたものの、ついつい忘れていたことが。
実は、当院も先進医療認定施設に認定されました。
先進医療認定施設
多焦点眼内レンズ


先進医療とは、一般の保険診療で認められている医療の水準を超えた最新の先進技術として、厚生労働省が認めた医療機関のみが実施できる医療行為のことです。

よい医療、最先端の医療の全てが保険適応となるのが理想ですが、不況の世の中、財源も限りがあり、そうはいかないのが現状です。
そういった医療は自由診療と言って、全額自費でやり取りをしなくてはいけませんが、一般的に自由診療は高額です。

また、自由診療と保険診療を一緒に行う事を、混合診療と言いますが、国民皆保険の問題とか、医療の平等性とか、いろいろな問題で現在の日本では混合診療は認められていません。なので、自由診療を一部でも受けてしまっていると、本来は保険診療で受けられるべき検査などまで全額自費になってしまうので、とにかくお金が何倍もかかってしまうのです。なんかちょっと矛盾している気もしますが、これを破ることは法律上できませんでした。

ただし、安全性や有益性などから、厚生労働省が取り決めた一部の医療については、自費で賄われるべき先進的な医療と、保険診療との併用が認められるようになりました。それが先進医療です。
これにより『先進的な医療・特殊な医療にかかる費用』は全額自己負担となりますが、『先進医療にかかる費用』以外の、通常の治療と共通する部分(診察・検査・薬代等)の費用は、保険診療で行うことが出来るようになります。

眼科では、白内障手術時に多焦点眼内レンズを入れる手術が先進医療として認められています。(多焦点レンズに関しては、別の機会に書きたいと。)
ただし、どの病院でも先進医療として保険診療を利用できるわけではありません。手術数や専門医、視能訓練士の有無など一定の基準を満たしていないと認定施設として、認められないのです。

手術数や実績は1年以上の結果を添付しないといけないので、申請出来ずにいたのですが、昨年、開院後1年半で基準を満たしたので、申請してみました。
結果、厚生労働省より、H24年1月1日付けで、
当院も先進医療認定施設として認定されました。
ので、ここにご報告致します。

厚生労働省のHPに認定施設の一覧が掲載されています。
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/sensiniryo/kikan02.html
数えてみると、現在のところ、199施設が認定されているようです。
日本中で、白内障手術を行っている医院は、約3600施設と言われているので、認定施設は5%ちょっと。開院1年半でその中に入れたのは、おそらく最速かと。ちょっと嬉しい祝

茨城県では、7施設目になるようです。
他には、
,弔ば市 高田眼科様
△弔ば市 筑波大学附属病院様
取手市 松本眼科様
た絽融圈‐沢眼科内科病院様
イ劼燭舛覆市 中村眼科医院
Δ劼燭舛覆市 赤津眼科様

そして、Ю于市の当院となりました。パチパチ拍手

 銑Δ泙如比較的歴史のある有名な眼科ばかりです。
山王台病院 眼科も頑張って行きたいです!
| 白内障 | 17:37 | comments(0) | - |
白内障手術:小瞳孔の例
今日は今年の手術初めの日です。
・眼瞼下垂手術 1件
・白内障手術 12件
・網膜硝子体手術(茎離断)2件
 (黄斑円孔 1例・中心静脈閉塞後の増殖網膜症 1例)
みなさん無事に終わりました。
初日ですが、今日もいろいろな症例があり、手術医としてはやりがいがあり、楽しい1日でしたグッド


70代の女性です。5年前から全く見えていないようで、手術を勧められていたとのことですが、決心がつかなかったようで。カサブタだらけでしたが、30分ちょっとで、かなりキレイにとれたので、うつ伏せにならずにすみました。


80代の男性。成熟白内障で光が分かるだけです。コンステレーションのおかげで、10分もかからずに終了です。
(眼科の先生に器械どう?と質問されるのですが、硝子体もいいですが、おもったより白内障がいいです。インフィニティーの安全性に、流量が多く、アキュラスのスピード感が加わったという感じです。)


さて、今日の手術から一つ。
白内障手術:小瞳孔(しょうどうこう)
白内障手術は、多くの場合、数分でかなり安全に終わるようになりました。ただし、上記の人のようにあまりに進行してしまうと、手術は少し大変になります。
今日はそういう症例の一つで、小瞳孔の症例についてです。

瞳孔とは、茶目(虹彩)で形成される、内側の黒目の部分になります。瞳孔は明るい場所では、小さくなって、目の中に入る光を少なくして、眩しさを軽減します。逆に暗い場所では、大きくなって、より多くの光を取り入れようとします。
瞳孔の大きさは自分の意思で変動させるのではなく、自律神経といって、脳ミソが勝手に担当してくれています。糖尿病などで自律神経の働きが悪くなると、瞳孔の働きも悪くなったり、加齢でも自律神経や、瞳孔の筋肉自体が衰えて、動きが悪くなったりします。(一般的に子供の瞳孔は大きめ、高齢者の瞳孔は小さめです。)

手術では上の成熟白内障の例のように、目薬で瞳孔を広げて(散瞳)、濁った水晶体をよく観察できるようにしてから、濁りを取り除いて行くのですが、何かしらの原因で瞳孔が広がりにくい場合には追加の処置が必要になったり、手術の安全性が低下したりします。

今日の70代男性の患者様です。(白内障のみでなく、この後に引き続いて黄斑円孔という手術を行っています。)

緑の矢印が角膜(茶目)の長さに相当しますが、日本人の角膜はだいたい横幅が11mm程度の長さです。瞳孔の大きさ(ピンク)は3mmくらいしかありません。これだと、器械を入れにくかったり、水晶体がよく見えないので、手術の安全性が低下してしまいます。

そこで、

ちょっと乱暴ですが、ハサミでチョキチョキと、茶目(虹彩)に切り込みを入れて、瞳孔を広げてしまうのです。


これで、ちょうと茶目の1/3くらい、4mm程度まで瞳孔が広がりました。


広げた瞳孔から、水晶体の濁りを取り出しています。コンステレーションはこのような症例でも、目の中の安定がよく、切開を含めても白内障の部分は10分もかかりませんでした(黄斑円孔を含めると30分ちょっと)。

瞳孔をあまり大きく切ってしまうと、手術後にまぶしさを感じることがあります。僕は4mmあればまず切ったりしないで、そのままで手術をしますが、3mm以下の場合には安全のために切開をするようにしています。

小瞳孔の原因としては、
_知陝文朕雄垢あります)
糖尿病
PE症候群(目の中にフケ状の物が溜まる疾患:組織が弱い)
い屬匹λ豈蠅隆往がある人
チ偉腺肥大の薬を飲んでいる人
ξ估眈磴妊汽鵐團蹐箸いμ瑤鮖箸辰討い真

などがあります。
(今日の人はΔ任靴拭最近はサンピロを使う先生は少ないのですが、何年も前から使っていたようで。)

小瞳孔であるだけならば、普通は少し時間がかかるだけで、問題なく終わりますが、他にも手術を難しくする要因があると、リスクが積み重なり、白内障手術と言えど、難しくなる場合もあります。
手術を難しくする因子として小瞳孔以外に、例えば、
奥目の方(器械を目の中に入れにくい)、成熟白内障、緑内障(狭隅角)、チン氏帯脆弱(目の組織が弱い)、角膜混濁(黒目が濁って眼内が見にくい)、顔や体がふるえる、硝子体出血、認知症などがあります。


どれか一つならまず問題ありませんが、
奥目で、小瞳孔で、緑内障があって、末期の成熟白内障で、しかも、顔がゆらゆら動いてしまう。なんていう人の手術は大変です。

上記のようなリスクに1つ、または2つくらい該当する人には、将来3つ目が合併してから手術を考えるよりは、少し早めに手術をするほうが安全です。そのような場合にはこちらから、「早めの方がいいかも知れません。」とお勧めするので、ご検討下さい。
| 白内障 | 21:25 | comments(0) | - |
眼内レンズ縫着術
今日の午後は手術です。(今日は両眼手術の人が少なめでした。)
・抜糸 1件(数年前の斜視の手術の糸が出てきてしまった)
・白内障手術 3件
・眼内レンズ縫着術 1件
・網膜硝子体手術 3件(糖尿病網膜症2件、網膜中心静脈分枝閉塞症1件)
以上は、みなさん無事に終わりました。

ただし、残念ながら・・・。
95歳の女性で、両眼とも高度の白内障が原因で、ほとんど見えていない患者様なのですが、認知症の問題で、手術の準備・消毒などの段階で中断に・・・。
手術でよく見えるようになりそうなのですが。
はじめから、ご家族の方とは相談してあって、認知で手術ができないかもしれないけど、もしできたら、とってもよろこんでもらえる!、もしかしたらできるかも!と、楽しみにしていたのですが、残念です。
視力の回復で認知症が改善するとの報告も多く、どうにかしてあげたいのですが、95歳だと全身麻酔をかけることも難しいですし。局所麻酔では暴れてしまうと危険ですし。困りました・・・。


さて、今日は白内障手術の特殊例のお話でも。
眼内レンズ縫着術(がんないれんずほうちゃくじゅつ)

以前のブログ(2011.09.05 Monday)で、記載しましたが、白内障の手術はレンズをまるまる交換するわけではなく、レンズ(水晶体)を覆っている袋を残して、中の濁りを取り出し、袋のなかに新しい眼内レンズを置いてくる。という手術が一般的に行われています。
ただし、外傷や生まれつきなどで袋の状態が悪かったり、手術で失敗して袋を破いてしまったり(破嚢)、目に合わないレンズを交換する場合の一部などで、レンズを挿入するための袋が使用できない場合があります。
このような場合には、レンズを固定する支えがないので、人工的に手術で、目の中にレンズを縫いつける。という作業が必要になります。

今日の手術は、
以前に紹介した、水晶体落下で紹介、緊急の硝子体手術で、水晶体をまるまる除去してしまった77歳女性の患者様です。(⇒2011.08.26 Fridayのブログ)
外傷なのか、もともとなのかは詳細不明ですが、当院に来た時にはレンズは袋ごとズレてしまい、目の奥の方まで器械を入れて、まるまる切除をしています。
レンズが入っていないと、極度の遠視となってしまうため、牛乳瓶の底みたいな厚いメガネをかけないと、ピントが合いません。
前の手術から2ヶ月がたち、だいぶキズ口も安定してきたために、今日はレンズを縫いつけることにしました!

以前から、この術式をどうやっているのか?と、知り合いの先生、数名から質問を受けていたので、このブログで書いてみます。(ちょっと専門的にな部分は茶色にしてみます。)


まずは、消毒をして、テノン嚢下注射と呼ばれる、目の後方への注射麻酔を行います。


次に白目を覆っている結膜という組織に少し切り込みを入れます。
切り込みは、黒目の少し左下と、対角線上の右上に2か所作ります。


結膜を切ると、強膜と呼ばれる白い、硬い膜が出てきますが、この部位にも切れ込みを入れます。ここは、あとでレンズを縫う糸の結び目が隠れるようにするためのものです。
(クレセントで、縫着予定の部位の少しだけ上方に、強膜に水平にポケットを作ります。予定手術での縫着の場合には眼球への穿孔前にポケットを作ると、眼圧が保たれていて、やりやすいです。穿孔してからだと、低眼圧でベコベコになってしまうので。前もって準備がきちんとできてさえいれば、前房メインテナーは不要です。メインテナーもたまに使いますが、だいたい少しデスメにシワがよって、術後数日視力が下がってしまいます。)

次に、実際にレンズを入れるキズ口を作ります。

この患者様は、黒目(角膜)の上方、写真では下側にキズ口を作りました。
(4mmで三面切開)


写真で黒目の下のキズ口(黄緑)から、新しいレンズに縛り付けてある針と糸をいれ、初めに作った黒目右上のキズ口の近く(水色)から針を出し、縫いつけます。

同じように、黒目の左下のキズ口にも針を通して縫いつけます。
(正確に対角線上、輪部2mmを目指すのに、カウヒッチ法でやっています。迎えは25Gか27Gを使います。)

すると、こんな感じ。

赤やじるしの先の黄色が眼内レンズなのですが、糸も細くて見えないし、ちょっと分かりにくいですかね。イラストで描いてみますと、

黄色がレンズです。丸いレンズには支えになる部分として、水色の足がついているのですが、この足の部分に糸が縛り付けてあります。この糸の先には針がついていて、黒目の下のキズ口から針を目の中に入れて、白目に作ったポケット(黒線)の近くから、針を目の外に出します。


アクリル製のレンズは、やわらかく、2つに折りたたむ事が出来るので、丸いレンズの部分は直系が6.5mmあるのですが、2つに折りたたむと4mmのキズから目の中に入れることができます。

最終的に、白目から出ていた針と糸を、しっかりと結び付けて(青矢印)、結び目をはじめに作った白目のポケットの中に隠します。(隠さないと、ゴロゴロ痛みの原因になってしまいますので。)

右上の部位でも同じように、白目に糸をしっかりと縫いつけます。


最後に、結膜を覆いかぶせて、熱凝固で、くっつけたらお終いです。
キレイに出来ました。


質問を受けていた、S先生やK先生に。
以前は、MAなどのレンズをインジェクターで挿入後に、ハプティクスを一度出して、糸を縛って・・・。という方法が多かったのですが、確かに2.8とか3mmで、キズが小さいのですが、糸を縛り付けたり、眼内でレンズを回したりが煩雑で、手術時間が30分程度必要でした。
2つ折りの4mmでと思えば、入室前に、糸をIOLに縛り付けるところまでやっておくことで、手術自体の時間、眼球に創がある時間は上記の半分以下で出来るので、感染症などのリスクは大幅に減りますし、操作も簡単で、レンズを回したりで、稀に少量の虹彩出血などがあるかと思いますが、そういった心配もありません。虹彩触ると痛いようですし。
しばらくは、僕はこの術式でいこうかと思っています。

糸はp-c9、レンズはS先生に教えて頂いたのですが、YA-65BBがハプティクスにふくらみがあって、糸がズレたり抜けたりする心配がなくて、いいなと思っています。


レンズへの縛り方は、こんな感じです。p-c9は糸がループ状になっていますが、
,泙塞當未飽豌麈って、しまいます。なるべくキツメに。
⊃靴靴できたループ側をハサミで切ります。
だ擇辰討任た2本の間に、ハプティクスを入れて、縛ります。,妊ツク縛っても、やはり緩む事があるので、縛るときに、レンズ側にできた糸のループの間に縫合するほうの断端を1〜2回通すと安心です。
| 白内障 | 19:00 | comments(6) | - |
眼内レンズ交換
新米の季節ですね食事
風評被害など、いろいろと農業関係の皆様も大変と思います。
今日、茨城の新米を食べましたが、とってもおいしかったですグッド

今日の昼休みは、以下の手術を行いました。
・白内障手術 7件
・眼内レンズ交換 1件
無事に終わっています。


今日の手術から一つ話題を。
眼内レンズの交換
白内障手術後の眼内レンズのお話です。
以前にレンズがズレてしまって(脱臼)、整復するといったブログを書いたことがあります。2011.09.13 Tuesday
今回は、ズレてはいないのですが、レンズが濁ってしまったり、遠視・近視などの度数が予定外にズレてしまった場合の手術です。

濁り
以前に記載した、「後発白内障 2011.06.27 Monday」とは別で、レンズが交換になる濁りは、レンズ自身が濁ってしまう場合です。
眼内レンズが濁ってしまうというのは、難しい問題で、最近のレンズは数十年とか、一般的な余命の間はまず濁らない。ということで使用されているのですが、この何年持つというデータは、耐久試験のような形で、試験管のなかなどで過酷な状況に置いて、推測し、発売元の企業などや発表したり、研究者たちが各レンズを比べたりして発表するするデータです。
実際に人間の目の中で、50年とかのデータを取っているわけではなく、残念ながら、10年20年前に手術をした人で、挿入した人工のレンズが白っぽく濁ってしまう患者様がおられることが分かってきました。
全員が濁るわけではありませんが、相性などの問題もあって、レンズが濁ってしまうことがあるようです。


度数エラー
最近の白内障手術は、目にピッタリとあったレンズと交換することで、ど近眼の人が裸眼で運転が出来るようになったり、遠視の方が裸眼で新聞が読めるようになったり、遠視や近視の度数を、かなりの精度でコントロールすることが可能になりました。
この2年くらいは、乱視まで和らげる技術も進歩し、僕はこの度数に異常に??こだわっています。
病院ホームページ
(どんな難症例でも乱視用レンズを使用するせいか、よく、眼科医仲間からも、やり過ぎだと言われます。でも、なんだか裸眼での視力にこだわってしまって。少しでもよく見えるようになったらいいなと。)

手術前の検査でピッタリのレンズを選ぶのですが、残念ながら、測定に誤差があったりして、思ったより遠視になってしまったり、近視になってしまうことがあり得るのです。
最近は、専門的なっていまうのですが、±0.5Dという近視や遠視の誤差の範囲で手術ができることがほとんどです。それが、もしも、±1.0D以上ずれた場合には、予想していた見え方とかなり異なる結果となってしまいます。
(一応当院では、±1.0D以上のズレがあって、希望がある場合には無料で交換するとしているのですが、開院後の1年半では交換が必要になった症例いらっしゃいません。)

では、本日の患者様です。右目の白内障手術を2〜3年ほど前に、どこかの病院様で手術を受けたとのことです。
手術後からピントが合いにくいとのことでしたが、メガネが嫌いで我慢していると。測定してみると、+3Dという遠視で、たしかに、メガネがないと0.1位しか見えていないようです。

手術開始時の写真です。

レンズの度数はズレテいますが、特に曇ってはおらず、レンズ自体はキレイです。


もともと入っているレンズは、目の中の組織と癒着をしてしまっていますが、ゼリー状の薬をいれつつ、針などを使って、できるだけキレイに剥がします。。


レンズは6mm程度の大きさがありますが、取り出すためとはいえ、黒目を6mmも切ると、かなり大きなキズになってしまいます。黒目(角膜)を3mm程度切開し、そこから、ハサミをいれて、古いレンズを目の中で真っ二つに切ってしまいます。


レンズが上下に真っ二つに切れているのが分かりますか?こうすることで、半分の3mmのキズから取り出すことができます。
(以前、1/4とか切って、回しながら取り出す。なんて手法を見たことがありますが、できるだけ正確に半分に切れば、ハサミで1回二つにきるだけで、3mmのキズ口で手術は十分可能です。)


キズ口から、半分に切ったレンズを引っ張り出します。やや黄色いレンズが分かりますか?もともと他院様での手術ですが、着色レンズと呼ばれる、新型のレンズを入れて頂いていたようです。


ここは専門的なのですが、白内障手術後の、あまり時間がたっていない時には、レンズの癒着が少なく、簡単にキレイに取れてしまいます。ただし、レンズの混濁の場合など、手術後に数年たっているような場合には、レンズと目の中の組織の癒着がかなり強くなってしまいます。この癒着を全て取ろうとすると、時間がかかったり、無駄に眼内の組織を傷つけてしまうことがあり、僕は、癒着が強いなと思ったら、癒着の強いレンズの支えの部分(足)は切って、目の中に残してしまいます(緑矢印)


癒着の強い足を切ってしまったところです(矢印が残った足)。
この部分は目の中に残しても、全く問題ありません。

残りのレンズも取り出してしまって、

遠視・近視の度数を変更した、新しいレンズを目の中に挿入します。
小さく折りたたんで、目の中にいれてから、中で開きます。


最終的にはこんな感じ。レンズを入れるより、取り出す方が大変で、
今日は全部で12分くらいかかりました。
乱視も補正するために、黒目の横(右側)から手術をしたので、少しやりにくい症例でしたが、その方が裸眼の視力が良くなりますので。


当院で開院後の1年半でレンズを交換した患者様は12名。(全員、もともとは他院様での手術です。)
度数エラーが6名、レンズの濁り(混濁)が6名です。おそらく、今後なにかと増える手術でしょう。
(2013年追記:このブログ記載以降、眼内レンズの交換目的に日本全国から患者様にいらして頂いており、症例数は伸び続けています。)

白内障手術は1回しか出来ないんでしょ?」と、
よく質問されるのですが、そんなことはありません。安全にできれば何回だって出来ます。
手術が出来ないのではなくて、普通はする必要がないのです。
(手術後にしばらくして、見えにくくなったとしたら、それは白内障の再発ではなくて、別の病気が出てきているのです。)
もしも、レンズが濁ってしまったり、度数がズレてしまったら、交換することが可能です。

ただし、レンズの交換は、手術後に時間がたち過ぎて、目の中の癒着が強くなってしまうと、難しくなってしまう場合もあります。
白内障の手術後で、見え方が悪いなと感じたら、是非一度、そして早めに当院を受診してみて下さい。


注 
レンズの混濁は、交換することが唯一の治療法ですが、度数エラーの場合には、最も成績の良い治療はレーシックや、高齢者ではPRKというレーザー手術です。ただし、レーザー手術は自由診療であり比較的高価です。レンズ交換は保険がきくため、1割負担の方では日帰りで15000円以下で可能です。よく担当医と相談しましょう。

注◆
レンズの交換は比較的安全な手術ですが、目の組織が弱いなど、症例によっては難しい場合もあります。僕自身、交換の手術は多い方だと思いますが、これまでの人生で、1例のみ交換ができずに途中で諦めたことがあります。(当院でではないのですが、小美玉市医療センターで5月に手術のH様。申し訳ありません。)
手術後の見込みなど、担当の先生とよく相談して決めるようにしてください。

長くなってしまいました、最後まで読んで頂いた方、ありがとうございます。

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 鉾田市 茨城町)
| 白内障 | 21:52 | comments(12) | - |
眼内レンズ偏位・脱臼
今日の午後は開業医様で白内障手術を8件行いました。無事に終わっています。

白内障手術は濁った水晶体と、人工の眼内レンズを交換する手術です。
人工の眼内レンズは、通常は50年とか基本的に一生涯もつので、白内障手術は人生で一回行えば、2度行う事はありません。
ただし、たまには不具合が生じて、再度手術を行う事があります。

眼内レンズ偏位・脱臼(がんないれんずへんい・だっきゅう)
挿入した眼内レンズがズレてしまった状態です。
ズレている程度によって、偏位(ちょっとズレ)、亜脱臼(まずまず)、脱臼(目の奥の方まで落ちる程のズレ)と呼びます。

原因はぶつけてしまったことであったり(外傷)、もともとレンズを支える構造が弱い(加齢や偽落屑症候群)、白内障手術での合併症(破嚢)などが原因になります。

レンズがずれると、急激に視力が低下したり、目の中の水の流れに変化が起こり、眼圧が上がる緑内障と呼ばれる病態が出ることもあります。

8月29日に手術をした89歳の男性です。
以前に他院にて白内障手術を受けたとのことです。

矢印の部位にレンズの上縁が見えますので、レンズが下方にズレているようです。
図で表すと、

通常は上のようであるのが、下図のように下方にズレています。

目の中に入っているのはこんな感じのレンズのようです。


手術の写真は上下反対になります。レンズが上の方に向かってズレテいます。赤の矢印の部分にレンズの足が見えます。


白目から器械を入れて、レンズを前の方に押し上げます。


緑矢印のあたりに1mm程度のキズをつけて、青矢印のようにレンズの足を目の外に出します。


レンズの足の部分に細い糸を縛りつけ、同じ糸を白目の部分に縫いつけるなどします。青矢印は目の中を針で縫っています。同じことをもう片方のレンズの足で行います。


最終的にはこんな感じ。

日帰りで行って、外来はご自宅近くの小美玉市医療センターでのfollowとなったため、まだ術後の写真は撮っていないので、術後の写真が手元にはないのですが。
手術は上手くいったと思うのですが、今回の手術はキズ口が1mm程度と、非常に小さいのが良いことですが、目の中での操作が、けっこう窮屈でやりにくいため、時間は30分ちょっとかかりました。
4mm程度キズ口を作って、古いレンズを取り出して、新しいレンズを縫いつけた方がよほど早く出来るようです。今後はどうしよう。


白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 鉾田市 茨城町)
| 白内障 | 20:57 | comments(2) | - |
白内障手術(水晶体超音波乳化吸引術)
今日はお昼に以下の手術を行いました。
・白内障手術 7件
問題なく終わりました。
外来が午前・午後で88名とやや多く、お待たせした患者様もいらしたと思います。出来る限り待ち時間を減らしていきたいと思います。


今日は白内障の手術のお話です。
白内障手術(はくないしょうしゅじゅつ)
白内障は目の中にある水晶体というレンズが濁る・曇る病気です。
水晶体には若ときには、近くを見たり、遠くを見たりと、ピントを合わせる機能があります。加齢に伴って、この機能が失われると「老眼」と呼ばれる症状がでます。さらに、加齢が進むと、水晶他が濁ったり、曇ったりして「白内障」と呼ばれ、かすみ目や視力低下の原因となります。
現在の医学では白内障は手術以外では治せません。手術で新しい、人工の眼内レンズと交換すると行ったことを行います。
白内障手術は眼科の中で最も多数行われる手術であり、日本中でなんと、1年間に約100万件が行われます。
僕が1年間に行う白内障手術は、他の病院様での非常勤手術などを含めても1000件くらい。日本で行う手術の1000分の1、0.1%にしかなりません。
そこら中の病院で、毎日毎日行われているんですびっくり


手術では、仰向けに寝て頂き、まずは麻酔の目薬をつけます。
次に、消毒を念入りに行います。

イラストでは水色の部分が白内障の濁りになります。実は、レンズの全体が全て濁って、交換するわけではなく、イラストでいうと赤い袋に包まれた、水色の部分の濁りを、赤い袋を残して、水色の部分を掃除する手術です。

目玉を取り出すの??と良く質問を受けますが、そんなことありません。
仰向けに寝て、まぶたを大きく開く器械をつけ、僕たちが上からのぞきながら手術をします。

まずは、こんな感じで2mm程度のキズを黒目や、白目の部分に作り、目の中に器械などを入れる通り道を作ります。


次に、レンズを包んでいる袋の一部に穴をあけます。


この方は、レンズの濁りを小分けにする方法として、プレチョップという器械を使って、写真では左右に濁りを分割しています。
(僕は手術中のまぶしさを減らすために、あまり強い光を使わないため、写真が暗くなってしまします。見えにくいかもしれませんが、すみません)


濁りをある程度、小分けにしたら、今度は超音波と言って器械の先から振動を出す掃除機を入れます。振動で濁りを粉々に砕きながら、掃除機のように吸い出してしまうのです。


濁りを取り出して、キレイな袋だけの状態になったら、眼内レンズ(矢印)という新しいレンズを、小さく折りたたんで目の中に入れます。目の中でレンズを開いて、袋の中に固定します。(最近は、レンズを小さく折りたたんでいれ、目の中で開くことで、小さな傷口で手術ができるようになりました。)


最後は目の中に入れた薬などを洗い流して、おしまいです。

普通の症例ですと数分で終わってしまいますが、稀には特殊な症例があり、手術の方式を変えるなど、特殊な処置を必要とする患者様もいます。
どのような手術方法を選択するかは、担当の医師とよく相談しましょう。


白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 鉾田市 茨城町)
| 白内障 | 22:12 | comments(0) | - |
水晶体脱臼(落下)
今日は緊急手術などもなく、落ち着いた日でした。


先週の木曜、今週の火曜日と緊急で手術を行った、水晶体脱臼のお話です。
水晶体脱臼(すいしょうたいだっきゅう)

8月18日、19日のブログにも書きましたが、水晶体と呼ばれる、目の中のレンズが、正規の場所からずれてしまう状態です。
図でみるとこんな感じ。

レンズがズレてしまう原因は、生まれつきレンズの支えが弱い人や、病気、加齢、外傷であったりしますが、白内障手術の失敗などでも同じような状態になります。

レンズが目の奥に落ちてしまうと、光を曲げる(屈折)する力がなくなり、ピントが全く合わないために、ほとんど見えなくなります。また、今回の症例のように、目の中の水の流れに変化を起こして、緑内障という状態を引き起こしたり、目の奥の組織を傷つけて、網膜剥離という重症の病気を起こす事もあります。
ですので、目の奥まで落ちてしまったレンズは、基本的には取り除いて、白内障手術のように、新しいレンズを入れる必要があります。
目薬一回で、ずれた水晶体が溶けてしまうと楽なのですが、そういう医学はありませんので、治療法は手術になります。

手術は大きく2つの方法です。
〔椶留の方で頑張る手術(網膜硝子体手術)

18日の女性はこちらです。眼球後方、網膜や硝子体に起こる病気のための手術で、奥の方まで器械を入れて、落ちてしまったレンズ(水晶体)を取り除きます。特殊な液体をレンズの下にいれて、網膜を傷つけないように行えば、傷口も小さく負担が少ない手術です。

こんな感じで、目の奥まで器械を入れます。

赤矢印でさした白い円形の物が、落下した水晶体です。青矢印が硝子体カッターといって、掃除機のような器械です。本来は硝子体カッターはもっとデリケートなものを吸い出す器械で、水晶体(白内障)を吸い出すのは結構時間がかかります。固い水晶体を吸いづつけると壊れてしまうため、この日はカッターを3本も使用して手術も40分以上かかりました。
ただし、眼球のキズはとても小さくてすむため、日帰りで帰れましたし、翌日には矯正視力0.5まで改善しています。


▲譽鵐困魄き上げて、黒目の脇から取り出す手術

レンズがもとの場所からちょっとだけズレた場合には、こちらの手術が優先です。(硝子体や網膜を傷つけるリスクがないため)
23日にレンズを取り出した男性は、目の奥までレンズが落ちていたのですが、水晶体があまりに固くて、途中で硝子体カッターで吸うのを諦めて、黒目の脇から取り出しました。硝子体の中をパーフルオロンと言う液体で満たすと、目の奥に落ちていたレンズが浮き上がってきます。

レンズが瞳孔付近に見えるようになったら、黒目の脇にナイフでレンズを取り出す傷口を作ります(青矢印)
(普通は黒目の上方にキズを作りますが、この方は、19日に緑内障手術をして、上方にはそのキズがあるので、仕方なく横〜下方に作っています。)

傷口からレンズを取り出します。

傷口が大きいために、キズを縫います。(抜糸は必要ありません)

最終的にはこんな感じ。硝子体カッターで吸うのは早々に諦めたため、手術自体は30分程度と短時間で済みますが、傷口が大きいため、しばらく乱視が大きくなったり、術後にゴロゴロとした痛みがあります。
特に合併症もなく順調ですが、緑内障の傷口のコントロールも必要であったため、結局1週間入院し、明日退院です。


本来は、白内障手術でもそうですが、レンズ(水晶体)をとる手術では、新しいレンズ(眼内レンズ)を挿入することが必要です。
今回のような患者様は、緊急で手術をするために、前もって正常な状態での検査ができていないため、ピッタリ合うレンズの準備ができません。
ですので、メガネなしで本当によく見えるようにするためには、数ヵ月後に傷口が落ち着いてから、再度手術をしてレンズを入れる必要があります。

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 鉾田市 茨城町)
| 白内障 | 13:51 | comments(6) | - |
成熟白内障
今日は以下の手術を行いました。
・眼瞼下垂症手術 1件
・白内障手術 6件
・緑内障手術 2件
みなさん無事に終わりました。

が、最後の1名の白内障がとっても手こずりました・・・。

成熟白内障(せいじゅくはくないしょう)
白内障の濁りが極端に強い場合は、専門的には成熟白内障などと呼ばれます。簡単にいうと末期です。
当院ではなぜだか、毎週毎週、成熟白内障の手術があるのですが、先日記載した通り、
8月1日 ブログ「白内障の程度」
http://blog.sannoudaiganka.jp/?cid=4923

あまりに進んだ白内障は、ちょっぴり手術が大変になります。

今日の最後の方ですが、手術前の視力は手動弁といって、0.01未満です。

通常の症例では使用しないのですが、このような強い白内障の場合は、
手術時に特殊な青い色素で、水晶体嚢と呼ばれる濁りを包む袋状の組織を、青色に染めて手術をやりやすくする必要があります。

左が染色前、右が青い色素を入れているところです。
(一般的な手術画像よりも、かなり暗い状態で手術をしていますので、写真が暗くて、良く分かりにくいかもしれません。)

その後、超音波という振動を利用して、濁りを砕きながら吸い出します。
成熟白内障では、濁りが硬いので、砕くのにも時間がかかります。
(当院ではプレチョップ法や、傷口の大きさや機械の細さなどは、乱視など個々の症例によって使い分けていますので、みなさん同じ方法ではありません。この写真はこの患者様のための手術法です。)

この方は全体で10分以上かかり、午後の外来に遅れないかヒヤヒヤしました。
ただし、今日は手術にかかった時間と言うよりも、とにかく目が動いてしまって、手術を始めること自体に手こずりました。
手術では、眩しさから目がキョロキョロしてしまう人が多いのですが、
当院では、まぶしさを軽減するために、とても少ない光で手術を行っています。
(専門的にはLumeraT:S88で、光量0.5の最小値、フィルターを利用して中心外は光量なし)
ですので、強いまぶしさをうったる人は皆無で、僕が「青い光を見ましょう」というと、基本的に全員がキチンとまっすぐ前を見ることができます。

今回は、視力があまりに悪いために、青い光を見ることができずに、さらに緊張してしまって、目がキョロキョロ動いてしまったようです。

手術は無事に終わり、入院の患者様なのですが、先ほど診察したところ、「もう両眼ともに手術前より、よっぽど見える!」とのことで、安心しました。手術前がほとんど見えない分、手術後の見え方の満足度が大きいのは成熟白内障の良いところ??(僕たちも喜んで頂けると嬉しいので。)でも、手術が大変なのは嫌なところです。

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 鉾田市)
| 白内障 | 20:15 | comments(0) | - |
白内障の程度
今日は以下の手術を行いました。
・白内障手術 6件
・眼瞼腫瘍切除術 1件
みなさん無事に終わっています。


白内障(はくないしょう)
白内障手術の手術の時期に関しては、3月28日のブログをご参照ください。
http://blog.sannoudaiganka.jp/?cid=4923
基本的には、「ご希望があれば手術をしましょう。」という方針です。

ただし、一般的には手術は早目、例えば視力が0.7とかで、運転免許証の更新のために受ける。といった方が手術が簡単です。
最近はほとんどの患者様の手術が数分で出来る時代になりました。
でも、全員が出来るわけではありません。

今日、実際に、当院で手術を申し込んだ患者様の写真です。


こちらの2名は、矯正視力が0.5程度の患者様です。瞳のなかが濁っていますが、水晶体が白から緑がかって濁っています。このような症例では、ほとんどが4分とかで手術が可能です。


こちらは、散瞳をしていない(瞳を開いていない)ので、分かりにくいですが、瞳孔の中心部がかなり白く濁っています。視力は手動弁といって、影の動きが分かるか分からないかです。このような症例は、手術を安全に行うために、水晶体に色を付けるような作業が追加されるため、一般的な症例よりは2分くらいは手術が長くなります。


この方も、0.01程度の視力ですが、水晶体(白内障)がやや茶色みがっており、濁りがとても硬くなっています。硬い濁りを、小さく砕いて手術をする作業に時間がかかり、手術は10分弱かかります。


こちらの方も手動弁とほとんど見えません。しかも反対目も白内障と緑内障で0.1程度・・・。右側の写真は同じ目を少し撮影方法を変えて写真を撮っています。濁りが茶色でとても硬そうです。やはり10分弱かかります。

手術が長くなると、手術後の炎症が強くなったり、手術自体が少し痛みがあったりすることが多くなります。
また、濁りが強くて、視力の悪い症例は、手術前の検査が上手にできなくなったりして、目の中に入れるレンズの度数合わせが難しくなります。(例えば、裸眼で運転免許を目指すなどの良好な視力を目指すのが困難に)

手術はいつでもいい。何歳でもお引き受けします。とは言っているのですが、あまりに遅くなると、手術をする方も、される方も、お互いに大変かもしれません。
両眼ともに0.1以下になって、はじめて「見えにくい。」と来院される方が、ほぼ毎日きます。できれば、高齢の患者様の御家族のかたは、2〜3m離れたカレンダーが見えるかどうかチェックしてみて、文字がはっきり読めないようなら一度受診を勧めて頂ければと思います。
なんの病気も早いうちに治した方が楽な場合もありますよね。

やっぱり石岡市は重症例が多い冷や汗


白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
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| 白内障 | 20:46 | comments(0) | - |
後発白内障
今日は午前の外来が60名、夕方が20名でした。
お昼の手術は、白内障手術 8件でした。
みなさん無事に終わりました。


後発白内障(こうはつはくないしょう)
最近の白内障手術は簡単になった。という認識は、多くの方に広まっていると思います。
白内障手術は、濁った水晶体を取り出して、新しい水晶体を取り出す。ということが行われます。
20年くらい前には、黒目の周りを半周近く切り開いて、濁った水晶体をそのまま取り出し、新しい水晶体を眼内に縫いつける。なんてことが行われていました。
近年の手術は、実は水晶体の全てを取り出すわけではなく、水晶体が包まれている袋を残して、袋に包まれていた中心部の濁りだけを取り出し、袋のなかに新しい水晶体を入れる。という事をします。レンズを縫いつけたりする必要がないため、手術の時間が数分などの非常に短時間で終わるようになりました。

後発白内障は白内障手術の後に、数か月とか数年とか経ってから、レンズを包んでいた袋が濁ってしまう病気です。
手術の時には、出来るだけ濁りを取り除くのですが、細胞レベルでは多少の残存があり、そのような細胞が増殖してしまうと起こってしまいます。
袋が濁ってしまうと、患者様は濁りを通して物を見る必要があり、やはり視力が下がったり、かすむ。という症状が現れます。

治療法は、とても簡単で、YAGレーザーというレーザー光線を濁りにあてて、濁りを弾き飛ばしたり、移動させるような方法をとります。
ほとんど合併症はなく、普通は5分弱の治療で、費用も1500円程度です。


本日、初診となった女性の患者様です。
3年ほど前に、他院様で白内障手術を受けたようです。

左が来院時のものです。中心部がスリガラスのように、やや白っぽく混濁しています。
右が治療後です。中心部の濁りが除去されて、濁りがなくなり黒っぽく写っています。写真ではまだまだ濁りの部位が大きくありますが、写真は散瞳といって、薬を使用して瞳孔を広げてあり、普段の瞳孔はこれほど大きくないので、視界には濁りは入りません。
この方は、目の中のレンズがずれているような状態で、ちょっと慎重に行いましたが、問題なく終了し、きっと今頃良く見えるように回復していると思います。
(眼科医の先生も見ることがあるようなので。一応詳しく解説。専門的には、眼内レンズの下方がon the bag、上方はin、耳側3時にIOL偏位、donesis+の症例です。当院では十字切開と同じく、後嚢を硝子体腔に落とすのでなく、後方に開くように行っていますが、中心部のクラックなど、万が一の安全性を考えて、瞳孔中心には照射せず、中心を避けて6方向に切り取るような照射をしていますので、一般的な切り口とは異なる印象を受けるかもしれません。)


後発白内障は、このようにとても簡単に治るので、
「白内障手術の後、しばらく眼科にかかっていないけど、最近視力が下がったな。」と思うような人は、一度眼科にかかってみましょう。

最近は手術の顕微鏡や、器械の開発が進歩し、手術時に濁りが残存することが減っていたり、新しく移植する眼内レンズの素材や形状の開発もとても進んでおり、後発白内障が起こることが少なくなっています。

後発白内障が起こりやすくなるリスクは、
・若い年齢での手術(アトピー性や先天性で子供のころに手術をする場合には必発です。)
・手術時に散瞳不良など、手術が難しくて、濁りが残りやすい人
手術後に炎症を和らげる点眼薬をきちんと付けない人などがあります。

白内障の手術後は一ヶ月程度は点眼薬が必要です。
時々、「見えるようになったから。いいと思って。」と言って、手術後に全く受診せずに、1年後にメヤニが出るなどの理由で、ひょっこり現れる人がいますが、そういうのはいけません。
勝手に目薬を辞めると、後発白内障だけでなく、ひどい場合には緑内障などの重篤な合併症を起こすこともあります。
僕たちも人間なので、勝手に通院をサボって、その後に悪くなった人の診療には気持ちが入らなくなってしまいますしね・・・。

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
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| 白内障 | 19:57 | comments(0) | - |
白内障手術
今日は13時半から5名の患者様に手術を行いました。
・白内障手術 7件

白内障手術は眼科のなかで、最も数多く行われている手術です。
眼球内にある水晶体と呼ばれるレンズが濁る病気で、手術では濁ったレンズを取り除き、人工のレンズと交換します。
最近は、目薬の麻酔のみで手術をする施設が多くなり、時間も数分と短く、基本的に濁りがなくなってキレイになるために、視力が良くなります。最近は乱視の矯正もできるようになり、希望に応じて裸眼で運転ができるようになど、細かいご希望にも添えるようになりました。
ですので、ほとんど全員の患者様が喜んでくれます。

糖尿病網膜症や黄斑疾患、緑内障などの手術は、視力が回復する症例もありますが、現状維持を目標にする事が多くありますので、手術後に心から喜ばれるということはあまりありません。みなさんが喜んでくれる白内障手術は、眼科医としては、とっても気分のよい手術になります。
かかりつけの先生に、「白内障の手術をした方がいいですよ!」と言われる患者様が多いのではないかと思います。
それには、こんな理由もあるのですね。医師側も、患者様が喜んでくれると嬉しいし、良くなってほしいと思っていますので。


白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
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| 白内障 | 15:01 | comments(0) | - |
白内障手術
月曜日はお昼が手術の時間です。
今日は、6名の患者様で7件の白内障手術、1件の緑内障手術を行いました。
みさなん、無事に終わっています。

白内障手術についてよく聞かれる質問です。
「いつ手術をすればいいのですか?」
答えは「やりたいときに、どうぞ」です。

白内障は目の中にある水晶体というレンズが濁る・曇る病気です。
水晶体には若ときには、近くを見たり、遠くを見たりと、ピントを合わせる機能があります。加齢に伴って、この機能が失われると「老眼」と呼ばれる症状がでます。
濁ったり、曇ったりした水晶体「白内障」は、かすみ目や視力低下の原因となりますが、手術以外では治せません。
手術で新しい、人工の眼内レンズと交換します。

人工のレンズは特別な理由がない限り、50年とかもちます。ですので、早く手術をして将来困ることもありません。「かすんで見えるのが嫌だ」という患者様の場合には、50歳で、視力が1.0見えていても手術を行います。
逆に、どんなに濁っても、新しいレンズと交換さえしてしまえば、見えるようになりますので、手遅れになるということもありません。90歳で視力が0.1しか見えなくても「運転もしないし、新聞も読まない」と、御本人に不自由がなければ手術をしなくても構いません。

90歳くらいで、もう年だから手術はできないんでしょ?と聞かれることもありますが、そんなこともありません。私が執刀した中で、もっとも高齢であった方は、当時107歳の患者様で土浦市で最高齢とのことでした。ただし、あまりに高齢ですと、足腰の問題で通院が難しくなるなどもあるため、そのあたりは考慮する必要があります。(元気なうちにやっておく方が楽な場合があります。)

基本的には、治したいと希望の人は、治しますよ。といった具合です。

ただし、一部の緑内障の患者様や、目の状態から早めに手術をした方が望ましい患者様も、稀ですがいらっしゃいます。そのような方には、医師の方から手術が必要だとの説明を行う事があります。

今日はこれから外来です。頑張るぞ!

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
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| 白内障 | 15:08 | comments(2) | - |
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