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緑内障28 iStent (アイステント) 最新の白内障併用緑内障手術(日本初認定)
今日は手術が早く終わり、久しぶりに緑内障の新しい話題を。
眼科専門医という資格はありますが、実は眼科医が「私は緑内障の専門」とか「角膜の」「網膜の専門」とか名乗るのは本当にそういう資格があるわけではなく、その医者が自分で勝手に名乗っているだけで、緑内障手術を1件も行っていない先生が緑内障専門と名乗っても一応は問題ないのです。
僕は基本的になんでもこなす方のオールラウンドタイプですが、自分では網膜硝子体手術を一番の専門として名乗っています。決して緑内障の専門科とは名乗っていないのですが、年々緑内障手術の紹介が増えてしまい、非常勤手術も合わせると年に約200件の緑内障手術をしているようで、茨城県ではいつの間にか1番多くなってしまいました。
緑内障は自覚症状に乏しく、通院が途切れやすいことでも有名ですが、当院の通院継続率の高さを学会発表した経緯から、今年は大手製薬会社さんの緑内障管理のパッケージ管理というパンフレットの作成で特許を取らせて頂いたりもしました。(このパンフレットが全国に浸透して、ベースライン眼圧を測定しない医者が激減することを祈っています)
「あれ?いつの間にか緑内障も専門に?」と自分でも不思議に思っているのですが、本日、新しい緑内障手術の正式な認定証を日本で一番初めに頂く事ができたようなので、報告してみます。
(iStentを国内で使用可能にするために臨床治験などに尽力頂いた評議員の5名の先生方を除いて、正規の講習を受けた中で1番目になります。)

iStent (アイステント)
緑内障という病気は不可逆性で、失った視野・視機能を回復する方法がありません。現在の医学では点眼薬、レーザー、手術などによる治療で眼圧を下げることで進行を抑制することが治療の目標になります。
日本ではまずは点眼薬を使用して眼圧を下げることが最も多く行われていますが、多数の点眼薬を使用しても眼圧の下がりが悪い場合や、病状の進行が止められない場合、副作用で点眼薬が続けられない場合などには手術による治療が行われます。
緑内障手術にもいろいろな方法がありますが、一般的なものは以前のブログを参照ください。
緑内障ブログ(隅角形成、エクスプレス、バルベルトなど)
血管新生緑内障のブログ(通常のトラベクレクトミーはこちらに)

今回新たに国内で承認された手術は、iStent(アイステント)というチタン製のステント(筒)を、房水の主流出路であるシュレム管に突き刺して、房水の排出を増加させ眼圧を下げる手術です。

直径わずか1mmのステントを、下図の赤矢印のように隅角(房水の出口)に突き刺す手術になります。

トラベクレクトミーほどの眼圧下降効果はなく、基本的には緑内障で失明リスクが差し迫った患者さんのための手術ではありません。緑内障で加療中の人が白内障手術を受けるときに併用して、術後に点眼薬を減量できたり、上手くいけば点眼薬が不要となることを目標とする手術です。
手術適応や特徴などは次回のブログで記載します。

眼科医の先生にもブログを見て頂く事が多いようなので、認定までの具体的なスケジュールも書いておきます。
3月25日に国内承認。4月9日の日眼総会後に初回講習会(今後も適宜開催予定;詳しくはグラウコス社に)。その後4月13日、自院にてグラウコス社の担当者とウェットラボ(ハンズオン)。4月14日に初回手術1例。17日に1例。19日に2例。本日26日1例。(全て国内の担当者立ち合い。)
本日アメリカからグラウコス社の専任アドバイザーがきて(今日はMark.Mさん)、実際に手術室で手術手技に問題がないことを確認して頂き、晴れて認定証がもらえました。
| 緑内障 | 22:58 | comments(0) | - |
緑内障27 手術動画 エクスプレスシャント トラベクレクトミー
当院は、白内障手術(特に乱視矯正)や、網膜硝子体手術を一番のメインとしてやってきたのですが、最近、難症例の緑内障の患者様の手術の紹介が急激なペースで増えてきています。
遠方の患者様からの問い合わせもかなり多くなってきており(特にエクスプレスに関して)、白内障に続いて緑内障手術の動画もYOU TUBEにアップしてみることにします。

緑内障手術動画 (白内障同時手術)
エクスプレスシャント トラベクレクトミー

手術動画 併訥哀リック)
手術動画◆併訥哀リック)

,論莉機△干業医の先生より紹介頂いた患者様です。
点眼薬を4成分、内服薬最大量、点滴まで行っても眼圧が40mmHgを超える極度の重症例の手術です。白内障もあり同時に手術をしました。
(専門的にはおそらく、secondary glaucomaの症例)
ビデオの途中の9分〜11分頃に、何もせずに動かない時間は、マイトマイシンという癒着防止薬をしみこませている状態です。
通常、緑内障手術のみであれば15分程度、白内障も一緒だと20分程度の手術ですが、再手術例などで以前の傷口が癒着している場合などは時間が延びることがあります。
△郎週の手術で、やはり点眼薬を4種類使っても眼圧が30を超える症例で紹介して頂きました。サンピロという点眼薬を使っていた患者様は、手術中に瞳孔が開かずに(小瞳孔)、白内障手術が難しくなる傾向があります。

当院のトラべクレクトミーの術後成績は非常に良好で、術後に緑内障の点眼薬の再開が必要になる患者様は殆どおらず、手術の効果だけで、正常範囲内の眼圧を保てている患者様ばかりです。
当院の成績が良好な理由として、手術手技のレベル以外に個人的には以下の2つを考えています。
.法璽疋螢鵐
癒着が進む症例では、躊躇なくニードリングを行っています。薬剤に頼らず物理的に癒着を剥離し、再度、房水の流れ道を作成します。(術後早期の処置は保険請求・コストなどはとっていません。)
適切なレーザー切糸
眼圧の推移や傷の癒着をみながら、可能な限り最適な時期に、傷を縫った糸を切る処置(レーザースーチャライシス)を行います。この時期が遅すぎると眼圧が高くなり、早すぎると術後に極端な低眼圧になってしまいます。

最近、遠方の患者様より、電話などで手術に関する質問を受けることが多くなっていますが、緑内障手術に関する当院の基本的な考えを記載します。
・術後の管理を安心してお任せできる先生からの紹介がない場合、遠方の患者様の手術はお断りしています。
緑内障の手術は、白内障と異なり、手術のみで完結するわけではありません。入念な長期間の術後管理によって、濾過胞を育てていく手術です。術後もきちんと対応させて頂けることが手術を引き受ける大前提です。
・できる限り入院での手術をお勧めします。
眼圧の推移を朝晩評価できたり、レーザー切糸や眼球マッサージなどの術後処置を最適な時間に行うことができるからです。

ビデオ,両瀕磴任后
眼圧が非常に高く、角膜(黒目)が白濁しています。
手術前の白目(結膜・強膜)の状態です。
手術翌日、眼圧8
術後3日、眼圧16→レーザー切糸
術後10日、眼圧6と安定。もう大丈夫。
レーザー切糸を行った、術後3日目は日曜日です。
日帰り手術では、夜間や日曜の処置はなかなか困難です。

ビデオ△両瀕磴任后
術後数時間の写真です。
この方は、もう片方の目が失明しており、長時間の眼帯は可哀想です。
術後4時間程度ですぐに眼帯を外すことができました。
これも入院だからできることです。
術後経過も良好で、現在術後3日で眼圧8mmHgで週明けに退院予定です。
| 緑内障 | 22:21 | comments(4) | - |
緑内障26 病状説明と治療継続
今週末は娘の誕生日で、オンコールを宮井副院長にお願いして、
ゆっくりと過ごさせて頂きました。


緑内障26 病状説明と治療継続
当院では、視野検査の結果や、病状説明書などを適宜渡すようにしています。
というのも、緑内障って、日本の失明の原因の第一位なのですが、その大きな原因として、治療の脱落者が非常に多いことがあるからです。
つまり、「出された薬を付けてくれない人」「途中で通院をやめてしまう人」がとっても多いのですよね。
多くの報告があり、良いもの悪いものがありますが、治療開始1年で20%から、ひどいものでは約半数50%の患者さんが脱落した。なんていう発表も耳にします。
・痛くもない。
・痒くもない。
・重症になるまで、本人は視野がかけているのがわからない。
・薬を付けても特に治るというものでもない。
・病院で「変わりない」といわれるけど、何のこと?
という病気なので、途中で治療が嫌になってしまう方がでるのも、理解できなくはありません。

そんな中で、最近ちょっと調べてみたら、当院は診断後の2年程度の期間で見ると、なんと98%の患者さんが通院を続けてくれているということが判明しました。とっても優秀な患者さんだらけのクリニックなのです!(開院後4年弱なので、まだまだ歴史は浅いですが・・・。)
暗点を自覚してもらったり、説明文を作ったり、重症で受診がしばらく途切れている人には電話で通院を促したり。しっかり管理のできる落ち着いている人はできるだけ、通院間隔を延ばして通院を楽にしたり。
こちらで工夫をしていることも多々ありますが、実際に頑張ってくれているのは患者さん自身です。本当にありがたいことです。

ただ、開院直後や、それ以前の病院勤務からお付きあい頂いている患者さんは、そろそろ僕の顔にも飽き飽きしているかな?通院が途切れてしまうのではないかな?と、たまに不安に思っています。
皆さんに渡している視野の結果ですが、単に眼圧の数字だけ書いてあるだけでは味気ないでしょうか?

最近、我が家では消しゴム判子というのが流行っていて、妻や子供たちが、せっせと消しゴムを削って、印鑑を作っているようです。

ちょっと覗いてみたら、結構上手な出来栄えです。
もしかして、眼科の作れる?と聞いてみると、

「栗メガネ判子」 なかなか良いのでは?


視野検査の結果の、矢印のところに押してみました。

「落ち着いています判子」 これを押す人だらけになったら最高です。
白黒の印刷物に色が入るだけで、少し華やかな印象にもなりますよね?
(ちなみに、お相撲さんの絵を入れてほしいとは頼んでいないのですが・・・。)

それにしても、通院継続率が本当に良好です。
これについては、10月の日本臨床眼科学会で発表してみることにしてみます。
宮井副院長には、当院の得意とする黄斑浮腫について発表してもらうことになりました。
1人体制の時は、忙しすぎて学会発表の機会がとりにくかったのですが、2人になって診療以外の分野でも頑張っていけそうです!
| 緑内障 | 23:00 | comments(4) | - |
緑内障25 最新手術 バルベルトチューブシャント
今日は白内障手術を8件、夕方は県内の他院様にて硝子体手術のお手伝いでした。
手術は問題なく無事に終わりましたが、今日は久しぶりに助手なしでの手術になりました。数年前は、助手なしで1人で手術をすることが多かったのですが、現在は井上先生や、その他沢山の先生に代わる代わる来て頂いたり、ナースにも助手をしてもらう事もありますが、みんな気配りのできる人ばかりなので、僕は手術に集中できて助かっています。久しぶりに1人でやってみると、ありがたさを再確認できます。支えて頂き、本当にありがとうございます。

さて、昨日バルベルトチューブシャント△魑載しましたが、さっそくコメント欄で質問を受けたので、そのあたりについて、書いてみようと。
緑内障25 最新手術
バルベルトチューブシャント

以前も記載しましたが、この春・4月から緑内障手術で、チューブシャントという術式や、手術に使用する物品の費用などが、保険診療内で行う事が出来るようになりました。
バルベルトが4月。エクスプレスが6月に発売され、今までは自費で輸入して頂いかなくては行う事が出来なかった医療が、保険診療で出来るようになったことは喜ばしいことです。

ただし、新しい手術方法には、それなりに不安定な要素もあり、飛びつけばいいというものではありません。
現在のところ、当院で行ったチューブシャントは全例で大きな合併症もなく、眼圧の経過も良好ですが、5年後、10年後にどういう経過となるかは、今後もしっかりとした観察が必要です。

エクスプレスシャントは、基本的に通常のトラベクレクトミーを簡易化・安定化させたようなもので、もしも眼圧が上昇しても、通常の手術に乗り換えることは、難しいことではありません。基本的には、初回の緑内障手術(トラベクレクトミー)に対して、行われることが多くなります。

では、バルベルト チューブシャントはどうかというと、バルベルトは基本的には、他の緑内障手術を複数回行ったうえで、それでもどうにも眼圧の安定を得られない、難症例・超重症例に行うための手術方法と考えられています。

トラベクレクトミーを繰り返して行った人は、黒目・角膜の近くの結膜で、ブレブ(房水の貯留池)を作ることが困難になります。そんな時に、バルベルトチューブの中を通して、眼球の後方に水を排出させるという方法ですが、大きく切ったり縫ったりすることが必要になり、一度バルベルトを縫いつけた場所は癒着がひどく、追加の手術を行う事が困難になります。

また、通常のトラベクレクトミーでつくられるブレブは、黒目・角膜のすぐ上などにプックリと出来るため、水がきちんと排出されているかなどを、診察で簡単に確認することができます。もしも、ブレブに癒着が起こっても、ニードリングという処置で癒着を剥がすことも出来ます。

通常のトラベクレクトミーでつくられる、ブレブのイメージと写真です。

一方、バルベルト手術を受けた人の診察の写真です。、

左の青矢印の部分を拡大したのが、右の写真ですが、ピンク矢印の先に眼内に差し込まれたチューブの一部は見えるものの、

イメージのように、水が目の奥の方に流れて溜まっていく様子は、診察では調べることができないのです。なので、どの程度、水の貯留池ができているのか、癒着が進んでいるのかどうかなど、詳細を把握することが困難なのです。

少し難しい内容となってしまいましたが、まとめとしては、バルベルトチューブシャントの術式は、他の緑内障手術を行っても上手くいかない場合に、他の方法がないので、仕方なく行う最終手段。といった意味合いの強い手術になります。
(現時点では、バルベルト手術を行った場合、全例で定期的な経過観察を行い、経過報告を厚生省に提出することが義務付けられています。)

医学の進歩とともに、新しい手術方法がどんどん増えています。緑内障の手術と言っても、何種類もあるのですが、個々の症例に対して最適と思われる手術方法を提案・実施することが、僕たちの責務です。
| 緑内障 | 23:55 | comments(5) | - |
緑内障24 最新手術 バルベルトチューブシャント
今日のお昼は以下の手術を行いました。
・白内障手術 8件
・眼窩脂肪ヘルニア(脂肪脱)切除  2件
みなさん無事に終わりました。
今日はいつも助手に来ていただく先生がお休みで、大先輩の先生に助手に来て頂きました。緊張しましたが「上手」と褒めて頂き、とても嬉しかったです。今後も「人に見て頂いて恥ずかしくない手術」ができるよう、もっともっと精進します。

緑内障24 最新手術 バルベルトチューブシャント

緑内障の再手術が必要になった場合、ブレブという房水の貯留池を作るための結膜などに癒着や萎縮が起こっているため、同じ場所での手術ではキレイなブレブが作りにくく、難しい。といったことを、先日のブログで記載しました。
なので、2回目の手術などでは、場所を少しずらして手術をします。例えば1回目の手術が黒目(角膜)の右上の方であれば、2回目の手術は黒目の左上の方にブレブを作ったりします。しかし、何度も手術を繰り返して、癒着をしてしまう人では、黒目の周りが癒着だらけになってしまって、ブレブの作り場所に困ってしまいます。

黒目・角膜のすぐ近くの結膜に癒着や萎縮があると、上のイメージ図ような場所にブレブを作成することができなくなってしまうのです。

そんな時に、水の貯留池・ブレブを黒目・角膜の周りではなく、もっと目の奥の方に作ることがあります。そんな時に使用するのが、バルベルトチューブシャントになります。人工のチューブを目に縫いつけて、離れた場所に水を流す術式です。

イメージではこんな感じ。黒目から後ろ側に離れた場所にブレブ・水の貯留池を作ります。

では、実際の手術の例で。
2ヶ月くらい前の手術ですが、患者様はサルコイドーシスというぶどう膜炎が原因で緑内障となり、10年くらい前から眼科で治療をしています。これまで大学病院での手術歴もあり、両眼で7回程度の手術を繰り返し受けていますが、眼圧が上昇してしまいます。

まず、仰向けに寝て、消毒と麻酔の注射をします。
次に、結膜を一度剥がして、バルベルトチューブを入れるポケットを作ります。


縫いつけるバルベルトチューブはとても大きいので、かなり大きなキズを作る必要があります。


これがバルベルトチューブですが、左側のチューブの先端を前房とよばれる角膜の後ろ側に挿入します。チューブの中を矢印のように水が流れて、目の奥の方に縫いつけた、右側のプレートから水が奥の方に広がる構造です。



結膜を剥がしてできたポケットにバルベルトを挿入します。大きいですよね?実はバルベルトにも3種類の形があるのですが、これよりももっと大きなものもあるのですよね。
右の写真はポケットにいれて、動かないように白目・強膜に縫いつけているところです。水色矢印のさきが水が漏れ出すプレート部。黄緑の矢印の先が水が流れるチューブになります(中に血液があり赤く見えます)。
このチューブがむき出しだと、チューブがズレたり、感染したりしやすいので・・・、


白目・強膜の一部にナイフで切り込みを入れて、めくりあげ、チューブを包み込みように縫いつけて固定します。チューブの先端は、黒目・角膜と白目・強膜の間くらいから、眼球の内部に差し込まれます。
イメージではこんな感じに。


最後にはじめに剥がした結膜を、元通りに縫いつけて手術終了です。


最終的には、チューブの中を水が流れて、通常の緑内障手術・トラベクレクトミーよりも、水の貯留池・ブレブが眼球後方にできます。水が目の外に流れる分、内圧が低下し、眼圧が下がる仕組みです。


局所麻酔で40分程度の手術ですが、バルベルトには3つのタイプがあり、手術方式も若干の違いがあります。どちらかというと、眼科の中では大きな範囲を切ったり縫ったりする手術ですので、手術自体は多少の痛みがあります。痛みに弱い方は、セデーション(少し眠くなる処置)がいいかもしれません。

今日も最後までお読み頂き、ありがとうございました。
| 緑内障 | 23:55 | comments(4) | - |
緑内障23 最新手術 バルベルトチューブシャント
今日は直前に手術キャンセルがあり、少しヒマかと思っていたら、
網膜剥離や角膜潰瘍、黄斑円孔などなど、緊急や準緊急の対応が必要な初診がゾロゾロ。疲れた・・・。
午後の手術は、
・白内障手術 11件
・翼状片手術(遊離弁移植) 1件
・網膜硝子体手術(茎離断)2件
 (裂孔原生網膜全剥離・黄斑前膜)
無事に終わってよかったです。

網膜剥離はお盆のころから中心部も見えていないようで、全部剥がれていました・・・。

今日は、緑内障の手術について。
緑内障23 最新手術
バルベルトチューブシャント
緑内障手術の中で、最も広く行われているのは、トラベクレクトミーという術式で、眼球に穴を開けて、中のお水(房水)を外に流すことで内圧を下げよう。というものです。

一般的な術式は以下を参照下さい。
トラベクレクトミー〃豐豹契故估眈
トラベクレクトミー
エクスプレスシャントを使用したトラベクレクトミーはこちら。


一般的なトラベクレクトミーのイメージ図ですが、赤の矢印が房水を目の外に流すための抜け道。青は目の外の水の貯留部(ブレブ)です。

この水の貯留池:ブレブは、結膜という粘膜でできた袋です。(イメージ図では黄色の部分)

一か月前にエクスプレスシャントでブレブを作成した血管新生緑内障の、50代の男性が、ちょうど本日いらっしゃいました。黄色矢印がブレブになり、内部に房水が溜まっています。水が入っている分、結膜がプックリと膨らんでいるのですが分かりますか?細い光を当ててみると、緑矢印の下側半分(角膜・黒目)と、上側半分(結膜のブレブ)でくびれがあり、上半分が膨らんでいるのが分かります。手術前は点眼薬・内服薬を沢山使用して眼圧27mmHgと高値でしたが、本日は8mmHgと良好な経過です。
この方は当院で初めて手術をした患者様で、キレイなブレブができている症例です。


これは他院様で2回の手術後に、当院に転院された患者様ですが、当院で1年ちょっと前に再手術を行いました。左が手術後の写真で、しばらくは眼圧も10程度で良好でしたが、右は最近の写真です。ブレブを作っていた結膜が白く萎縮したり、キズが癒着を起こして、ブレブが小さくなり、水の溜まる体積が少なくなったため眼圧が上昇してきています(現在:点眼薬なしで20を超えてきた)。この患者様は明後日、ニードリングという処置を行う予定です。
明後日のニードリングで、上手く眼圧が下がるといいのですが、もしもそれでも眼圧の低下を得られない場合には、再度、緑内障手術をやり直して、ブレブを作成するしかありません。しかし、白く萎縮してしまった結膜や、強く癒着を起こしてしまった結膜では、キレイなブレブが作る可能性は非常に低くなります。

通常は再手術では、前回のキズ口を避けて、新しい場所にブレブを作成することを試みるのですが、上記の患者様のように、何度も緑内障手術を行った患者様で、キズ口が何か所もある場合、新しいキズ口を作ることがとても難しくなります。(キレイな粘膜が残っている場所がない。)
こんな時に行う手術が、バルベルトチューブシャントになります。
次回は、実際の術式などについて書いてみますね。
| 緑内障 | 20:32 | comments(0) | - |
緑内障22 最新手術 エクスプレスシャント トラベクレクトミー
今日のお昼は以下の手術を行いました。
・白内障手術 8件
・緑内障手術 2件
・網膜症硝子体手術(茎離断)1件
最後の硝子体は、申し訳ありませんが術後再出血で再手術となった方です。
頑張りましたが、今度は大丈夫かな?と、明日の診察がドキドキです。

緑内障22 最新手術 エクスプレスシャント トラベクレクトミー
実際の手術の方法を、先週の水曜日に手術となった、70代女性の例で記載してみます。
もともと他院様で長い間、緑内障の点眼薬を使用していたようです。それでも徐々に悪化していると5月に来院。4つの成分の薬を使用していましたが、両眼ともに眼圧は20mmHg前後と高値です。ゴールドマンでの動的視野も残念ながら進行期でした。進行期の緑内障では、眼圧は10以下とかできるだけ低いほどいいのですが、一般的には20を超えるようでは、将来的には失明が危惧されます。

7月25日に両眼の手術を施行させて頂きました。
右眼は少し異なる病態で隅角癒着解離(GSL)を施行し、本日も経過良好です。
左眼にエクスプレスシャントを施行したので、それを記載してみたいと。

白内障を合併しているので同時手術。まずは白内障のレンズを交換してしまいます。

通常のトラベクレクトミーでは、術後の乱視が大きく出るので、難しかったのですが、エクスプレスシャントはキズ口が小さく、術後の乱視変動が少ないので、トーリックレンズを使用が可能です。出来る限り乱視を減らし、裸眼視力の向上を期待できます(赤矢印の先の点々が乱視の軸)。

黒目(角膜)の上側、写真では黒目の下側に糸を縫いつけて(緑矢印)、目が下を向くように(写真では上側)引っ張ると、黒目の上側の結膜や白目(強膜)がよく見えるようになります(青矢印)。


強膜の表面に覆っている結膜に切り込みを入れると、少し出血するので、高圧電流の器械で焼いて止血をします。

この方は、心臓の治療でワーファリンという血液をサラサラにする薬を飲んでいるので、それでも多少は出血します。

強膜に切り込みをいれて、黒目(角膜)側にめくり上げるように切っていきます。これを、強膜フラップと呼ぶのですが、エクスプレスシャントが術後にずれたり、柔らかい結膜を破いたりするのを防ぐために、強膜フラップでエクスプレスを覆うようにします。

通常のトラベクレクトミーで作成するフラップよりも小さなもので大丈夫なので、乱視なども小さくなります。(僕は、将来的なニードリングのしやすさなどを考えて、エクスプレスでは少し厚みが薄めのフラップを作成しています。)

せっかく作った、水の流れ路(バイパス)のキズ口の癒着が進むと、手術の効果が無くなってしまうので、癒着防止効果を持つ抗がん薬を浸して、癒着を防止します。

(今回はマイトマイシンCを2分;症例によって異なります。)

この白目の強膜フラップは、あとで針と糸で縫って、元に戻すのですが、僕はこの時点で縫合の糸をかけてしまいます。

(エクスプレスシャントを刺してからだと、眼圧が低くなり縫いにくいので、先に糸をかけておくと安全です。)
写真でフラップの右下と左下を縫って、細ーい糸があるのですが、見えますか??

本来は、ここで強膜の一部、線維柱帯、虹彩(茶目)の一部を切除して、水の通り道を確保するのですが、エクスプレスシャントでは、これらの手技を全て省いて、ただただエクスプレスを突き刺すだけで終わってしまいます。
切ったり縫ったりの作業が減るので、その分、手術での出血のリスクが下がったり、術後の炎症も少なくなり、手術が安全になります。

実際には、まず針をプスッと刺して、穴を開けます。(25Gの針)


次に、その穴にエクスプレスを挿入します。

小さくてちょっと分かりにくいですが、赤矢印の部分に左のエクスプレスがついています。

挿入完了!

今まで、出血にビクビクしながら行っていた作業が、なんと10秒で終わってしまいます。医学の進歩はすごいグッド

その後、素早く、先ほど準備していた、強膜フラップの縫いかけの糸を2か所、キュッ、キュッと縛って、強膜フラップでエクスプレスを覆い隠します。

(以前の手術では、糸を縫っている間に、目から水が漏れ出して、一時ペコペコになったりすることが多々ありましたが、今回の術式では、そんなことは一切起こりません。もちろん乱視用トーリックレンズも殆どずれません。)

最後に、一番最初に剥がした、結膜を連続縫合で元に戻して、終了です(10-0ナイロン糸)。


終了時ですが、矢印のあたりが、プックリと膨らんでいるのが分かりますか?

目の中からエクスプレスシャントを通って流れ出た水が、結膜の下の貯留池(ブレブ)に溜まっている状態です。

白内障手術を含めて、だいたい15分〜20分ちょっとの手術です。

気になる結果は、
7月26日 眼圧 6mmHg
7月27日 眼圧 20mmHg⇒レーザースーチャライシスを一糸
7月28日 眼圧 5mmHg
7月29日 眼圧 5mmHg
7月30日 眼圧 6mmHg
(せっかく入院しているので、朝も昼も夜も検査をして、念入りに観察いますが、朝の結果だけupしています。)
ここまでバッチリの経過で明日退院です!

青矢印の先がエクスプレスです。

| 緑内障 | 22:04 | comments(17) | - |
緑内障21 最新手術 エクスプレスシャント トラベクレクトミー
土曜日は通常は午前外来だけなのですが、ちょっと早めの手術が望ましい人が多く、午後は手術日になりました。スタッフの皆さん、ご協力ありがとう。
・白内障手術 3件(加齢黄斑変性注射同時2件)
・血管新生緑内障ニードリング 1件
・網膜硝子体手術(茎離断)4件 (全て糖尿病黄斑浮腫)
無事に終わりました。

さて、今日は緑内障手術から新しい話題を。
緑内障最新手術 
エクスプレスシャント トラベクレクトミー

緑内障は目の中を流れ、眼球を膨らませている水が、神経を圧迫して見えなくなっていく病気です。内部の水の量を減らして、圧力を低下させることで、進行を遅らせる事が出来ますが、多くの症例は点眼薬による治療でコントロールが可能です。点眼薬で目標とする眼圧まで低下させることができない場合には、レーザーや手術を行うのですが、
いくつかの手術方法のうち、最も強力で、最も多く行われている方法が、線維柱帯切除術(トラベクレクトミー)になります。一般的なトラベクレクトミーの方法に関しては、以下のブログを参照下さい。
http://blog.sannoudaiganka.jp/?eid=139647
http://blog.sannoudaiganka.jp/?eid=129061

手術自体は、比較的簡単なトラベクレクトミーですが、手術後のキズ口の癒着が早い・遅いなどの個人差が大きく、術後管理がとても大事であることを以前に記載しました。
⇒トラベクレクトミー後の術後管理

術後の問題点としては、主に以下の二つがあります。
・作成した水の抜け道が癒着してしまい、水が流れない⇒眼圧が高い
・抜け道が大きすぎて、水がじゃじゃ漏れ⇒低眼圧


これまでは、水の抜け道の作成は、眼科医の手によって、切ったり縫ったりと、手作業で行われてきましたが、人工のバルブやチューブを使用することで、出ていく水の量を一定化し、眼圧を安定して低下させる方法を、チューブシャント手術と言います。
欧米では、チューブシャント手術は以前より広く用いられてきましたが、日本の保険診療では認められずに、これまでは自分たちで勝手にバルブやチューブを輸入してこっそり使っていました。
今回、日本でもとうとう、今年の4月から保険診療でチューブシャント手術を行う事が認可されたのです!!(嬉しい!!)


一般的なトラベクレクトミーのイメージ図ですが、赤の矢印が房水を目の外に流す抜け道です。青が目の外の水の貯留部(ブレブ)です。
これまでは、この赤矢印のように水を流すためには、下の写真のように、白目(強膜)の組織の一部や、線維柱帯、茶目(虹彩・瞳孔)の一部をメスやハサミで切除する必要があり、全症例で大なり小なり必ず出血が起こりました。


エクスプレスシャントは、上のような組織の切除を必要とせず、白目(強膜)から目の中に向けて、下のようなバルブをプスッと刺すだけで、水の抜け道が形成されます。


エクスプレスシャント利点は沢山あります。
―亰譴少ないこと
⊆蟒兌蟲擦省略され、手術時間が短くなること
キズが小さいので、炎症が少ないこと
ぅズが小さいので、キズを縫う縫う範囲や数が小さく、手術にともなう乱視が出にくいこと
ァ↓い砲茲蟷詢呂安定・回復するまでの時間が短いこと

などなどありますが、なにより、一番重要な利点は、
ξれる水の量が一定化し、眼圧が下がり過ぎたりする合併症が減少することです。

一部のベテランの先生で「エクスプレスなんて使わなくても、きちんと切って、きちんと縫えば、大丈夫。」とおっしゃる方もいるのですが、僕が思うには、どんなに上手な人が丁寧に手術をしても、人間の手作業・手縫いで作られてたキズ口を流れる水の量に比べれば、人工的に作られたバルブの中を流れる水の方が、流量が一定化するに違いないと。

エクスプレスは6月18日に発売され、当院でもすでに3件の手術が済みましたが、みなさん安定化も早く、今のところとても良好な経過となっています。術後の管理で行う処置の回数が少なく、退院が早いのも特徴です。
8月も3件、9月もすでに予定が入っていますが、手術がとても楽しみです。
次回は、実際の手術方法に関して書いてみたいと思います。

では、今日も最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。
| 緑内障 | 21:58 | comments(1) | - |
緑内障院GSL(隅角癒着解離術)
今日のお昼は以下の手術を行いました。
・治療的角膜切除術 1件(帯状角膜変性症治療)
・白内障手術 7件
無事に終わりました。

今日は緑内障の治療の話を進めてみます。
緑内障院GSL
隅角癒着解離術(Goniosynechialysis)

緑内障い諒類で記載したのですが、実は一口に緑内障と言っても、いろいろと分類があります。閉塞隅角緑内障はあまり多くない少数派の病態なのですが、眼圧が高めになったりして、重症の例もそれなりに多いのが嫌なところです。

目の中を循環する水(房水)の出口を隅角と呼びますが、右のイラストは開放隅角といって房水の出口が広く保たれるタイプですが、赤矢印の方向へ水が流れ、最中的に黄色のカッコでくくった構造(隅角)から目の外に流れていきます。
左が、閉塞隅角緑内障のイラストですが、茶目(瞳孔・虹彩)が前の方に移動し、角膜とくっついていることで、黄色のカッコでくくった隅角が塞がれてしまっています。これでは、房水の排泄が悪くなって眼圧が上がってしまいます。
隅角が閉塞したり、癒着をしてしまう原因には、遠視などの生まれ持った体質や、加齢による白内障、ぶどう膜炎での癒着などがあります。

今回の症例は、5月1日に「両眼見えない」と初診になった77歳の男性です。
右目は、末期の黄斑変性症・硝子体出血で、視力は光覚弁とほとんど見えません。
そして左目は、眼圧が30mmHgと高く、視力は0.4、残念ながら視野は末期です。
中心部の視野がごくわずか。
初めて診察した瞬間から、「どうにも・・・困った。」という症例です。

これは、目に特殊なレンズをあてて、隅角をのぞく検査(隅角検査)の結果ですが、専門的で分かりにくいと思いますが、癒着がひどく水の出口がハッキリ見えません。(以前にぶどう膜炎の既往があるようです。)
ひとまず一気に3種類の点眼薬を処方し、1週間後に再診となりましたが眼圧は20mmHgといまいち。閉塞隅角では、基本的に出口が塞がれているので、目薬では眼圧が下がりにくい場合があります。末期の緑内障では出来れば10mmHgくらいの眼圧がいいのですよね。
右目も手術が必要なので、どうせ入院するなら。と、5月12日に両眼手術となりました。

目薬の麻酔をして、消毒をして、簡単な注射の麻酔をします。

白内障手術を同時に行うと、水晶体の厚みの分(人工のレンズの方が薄い)、虹彩(茶目)が後ろ側に移動するため、隅角が広くなります。今回も同時手術で。

こんなときでも、LRIをやって乱視を減らします!


ちょっと斜めに傾いたレンズを黒目にのせて、上からのぞくと、隅角が観察できます。緑矢印は、隅角を押し広げたり、切り開いたりする特殊な針です。

目の下側、写真では上側の隅角ですが、針で手前側に広げるように切開します。

切り開いた部分は、多少出血するのですが、矢印の部分に赤い出血があるのが分かりますか?(出血は手術中に出来るだけ止めますが、キレイになるまでに数日間かかることもあります。)

白内障手術もいれて、だいたいここまでで10分くらいの治療です。
(この方は、反対目の硝子体手術の方が大変でした・・・。)

先週の土曜日、6月16日に経過観察でいらして頂きましたが、

左が治療後、右が初診時の隅角の写真です。緑の矢印の長さだけ、隅角の癒着が剥がされ、水の出口の構造がハッキリと見えるようになっています。
眼球の全周、全ての範囲の癒着を剥がすわけではなく、僕は安全にできる下方の癒着を主に剥がすようにしています。

同じ人の写真ですが、赤の部分は癒着を剥がした場所、黄色はとくに何もしていない癒着したままの隅角です。
ちょっと専門的な内容になってしまいましたが、わかりますでしょうか?

気になる眼圧は、目薬を1種類使用して、12mmHgまで下がっていて、とてもいい経過です。(手術の効果だけでも正常な眼圧を保てますが、非常に末期の症例で、出来る限り眼圧を下げるために目薬を追加しています。)
白内障手術の効果で視力は0.4から0.8に改善していますが、視野が狭いので、歩くのは大変そうです・・・。緑内障で失った見え方を取り戻す治療ができるといいのですけどね・・・。
| 緑内障 | 22:18 | comments(0) | - |
緑内障亜ーN邸SLTレーザー
今日の午後は以下の手術を行いました。
・翼状片手術 1件
・白内障手術 10件
・斜視手術 1件(甲状腺眼症:眼筋移動)
・緑内障手術 1件(トラベクレクトミー:血管新生緑内障)
・網膜硝子体手術(茎離断)3件
(黄斑前膜1件、糖尿病網膜症1件、裂孔原性網膜剥離1件)
つくば市の眼科様から緊急で網膜剥離の紹介があり、予定より件数が伸びたため、全部終わると18時で、ちょっと遅くなってしまいました。スタッフのみなさんご苦労様でした。手術は無事に終わっています。

緑内障
治療:SLTレーザー

緑内障の治療は眼圧を下げて視神経が押しつぶされることを止めよう。というものです。失った視野や視力が元に戻る方法はまだありません。

眼圧を下げるには、目の中を循環する房水(ぼうすい)の産生量を減らすか、排出量を増やすかになります。治療法に関しては、緑内障にも書きましたが、点眼薬、レーザー、手術などに分類されます。
http://blog.sannoudaiganka.jp/?cid=4931

今日はSLTレーザーについて記載しようと思います。

まず、房水は目の中の隅角(ぐうかく)という出口から排出されていきます。

図の赤矢印の先が隅角になります。
緑内障の患者様では、この出口の構造に問題があって、房水の排出が悪いことがあります。SLTレーザーは、隅角に特殊なレーザー光線を照射することで、隅角からの房水の排出を増加させ、眼圧を下げる治療法です。

隅角からの房水の排出を邪魔する、色素細胞に影響することで、房水の排出を増加させるのではないか?と推測されていますが、別の説を唱える先生もいらっしゃり、明確な原理は不明です。

治療方法
点眼薬の麻酔で施行可能で、痛みは殆どありません。
・片目の治療で、隅角に約120回レーザーを照射します。治療時間は5〜10分
外来治療で、当日から入浴や洗顔も可能です。生活の制限はありません
・炎症を抑える目薬を、治療後1週間程度使用します。
・副作用のチェックや、効果の判定を、1週間後、1ヶ月後に行います。

SLTの良い点
・レーザーが良く効いた人は、点眼薬をつけなくてよくなったり、点眼薬の数を減らすことができます。
効果が約1年間持続します。効果が弱くなってきた時には何回でも再治療が可能です。

ここまで書くと、とってもいい治療!なんて思いますよね??
でも、問題点もあるんです。

SLTの悪い点
費用が高い。(1割負担で片眼9000円弱、3割負担で片眼27000円弱)
・人によって効果に差があります。
 良く効く人では、治療前35の眼圧が10とかにまで下がることがあります。
 逆に、全く効果が出ない人も20%くらいあります
・一過性眼圧上昇:治療後の炎症などから、眼圧が一過性に上昇することがあり、きちんと検診が必要です。(稀ですし、対処法があるので過度な心配はいりません。)

目立って副作用がなく、点眼薬から開放されると思うと、ぜひチャレンジしたい治療法ですが、結構な金額を払って、もしも無効だったらと思うと、実は、僕は第一選択ではお勧めしていません。
(病院経営としては、数分で終わるSLTレーザーは、緑内障の治療法の中では、最も儲かる治療法でしょう。でも、毎日の目薬が可能で、眼圧下降が得られる症例では、今の医療情勢では、点眼薬による治療が第一選択ではないかと思います。点眼薬1剤を1年間購入しても、片眼のSLTレーザーよりも余程安価です。両眼SLTレーザーではかなり差がでます。)

僕がSLTをお勧めする場合は、以下のような場合です。
‥栖稾瑤鮖藩僂靴討い襪里法眼圧下降が十分に得られない症例
∋纏が不規則などで、点眼薬を規則正しく使用できない症例
E栖稾瑤悗良作用があり、点眼薬が使用できない症例
づ栖磴面倒という主張で、かつ、経済的に恵まれている方
タ緇渋稜浩緑内障(PE)、色素緑内障、ステロイド緑内障など、高い効果を望めそうな方


保険診療って、案外面倒です。
もしも、SLTレーザーが今の3分の1位の費用で可能であったら、おそらく3倍以上の患者様の治療に用いられているでしょう。
価値観や経済力は、人それぞれですが、片眼3000円で、目薬をつけなくてよくなるかも。となったら、治療希望者も沢山いそうですよね??

茨城県には10台弱のSLTがあるのかな?と思いますが、
もちろん当院にもあって、毎月数名の患者様の治療をしています。
上記 銑い謀たる方で、治療のご希望があれば、受診してみてください。
| 緑内障 | 18:55 | comments(6) | - |
緑内障 治療:目薬
今日は、
・白内障手術 15眼
・緑内障手術 3眼
・網膜硝子体手術 2眼
 (黄斑前膜1眼、ぶどう膜炎後の黄斑前膜・黄斑円孔1眼)
無事に終わっています。
件数の割に定時に終わりましたが、なんだか今日は目がショボショボします悲しい
ドライアイ?眼精疲労??自分の目は診察できないので、いい加減な診察ですが、ヒアレインという目薬をつけてみます。


緑内障 治療:目薬
繰り返しになりますが、緑内障の治療は、眼圧を下げて視神経が押しつぶされることを止めること!
眼圧を下げるには、以下が必要になります。
A:房水の産生量を減らす
B:房水が排出量を増やす

点眼薬も各種類によって、AまたはB、もしくはA+Bの両方の作用があり、
結果として眼圧を下げ、病気の進行を遅らせることが期待できます。
(近年は、ある種の点眼薬には、目の血流を改善させて、視神経を丈夫にする可能性があるかも知れないと考えられていますが、まだ明確な治療法とはいえないレベルです。)

現在の日本では、緑内障の点眼薬というと、
プロスタグランジン関連薬、交感神経遮断薬、炭酸脱水酵素阻害薬などが主に使用されますが、他にも症例によって交感神経刺激薬、副交感神経刺激薬と呼ばれるものがあり、それぞれ効果や副作用が異なります。
さらに、たとえば、交感神経刺激薬はαブロッカーや、βブロッカー、αβブロッカーなどに分類され・・・・・、
さらに、各会社から別の種類の薬が開発され・・・、
さらにさらに、ジェネリック医薬品・後発医薬品という薬が・・・・。
ジェネリックについて⇒http://blog.sannoudaiganka.jp/?eid=122782

このブログは、一般の皆様が分かりやすい内容で!というのを目標にしていますので、個々の薬の専門的な特徴は省略させていただきます!

簡単に言うと、緑内障の薬は数え切れないほどあって、各医師が患者様に最適と思われる処方を行っているはず?です。
(よく何の点眼薬を使っていますか?と聞くと、オレンジの袋で・・・。なんていうお返事が多いのですが、袋がオレンジの点眼薬だけでも何十種類もあります。ご自分で使う薬は、できるだけ正式な名称を控えるようにしましょう。)


今回は、緑内障の患者様に守って頂きたい事を書いてみます!

)萋、点眼薬を!
とにかく毎日つけてください!緑内障の治療は、目標眼圧を達成できるうち、通常は副作用・経済的・点眼回数など、できるだけ負担の少ないものから始めます。もし、ある一種の点眼薬を使用している人が、その後の検査で悪化した場合には、より低い目標眼圧を定めて、点眼薬を2種類に増やしていきます。
ここで問題なのは、
「今までの目薬では治療効果が不十分だったから」のか、
「その目薬で十分なはずなのに、つけ忘れが多かったから」
どちらの原因で悪化したのかは、誰にも分からない。ということです。
本当は一種類で十分なのに、悪化して、より強い治療となれば、その分負担は増えていきます。
そうは言っても忘れちゃう・・・。という方は、
今すぐ、目薬専用の目覚まし時計をセットしましょう!
携帯電話を持っている人も増えていますので、携帯のアラームを、朝起きるためではなく、たとえば夜20時に目薬をつけるために、セットしましょう!


∋藩冓法を守って!
点眼薬(目薬)については、以前のブログもご参照ください。
http://blog.sannoudaiganka.jp/?eid=122783
緑内障では、特に以下に注意しましょう。
・1回1滴で十分です。
 何滴つけても効果は変わらず、副作用が増えるだけです。
・2種類以上の目薬をつける場合は間隔をあけて。
 緑内障の目薬は10分以上あけて頂くのが望ましいです。
・開封後1ヶ月以上たったら、残っていても交換。
 特に夜に1回などと処方されているプロスタグランジン製剤は薬品として
 不安定であり、開封後1ヶ月以上たつと、効果が弱くなってしまいます。

L簑蠅あれば、早めに医師に相談を!
他の点眼薬に比べて、緑内障の点眼薬は副作用だらけです。
充血、黒ずみ、目やに、ドライアイ、しみる、心臓や肺に影響する全身的な副作用も多々あります。それらの副作用があっても、失明とどっちがいいですか??という治療なのです。
そうはいっても、やはり個々の患者様との相性もあるので、「少ししみる。」くらいは別にして、「すごく痛い・メヤニが止まらない・呼吸が苦しい」など、辛いことがあった場合には電話でもいいので、すぐに医師に相談してください。
「目薬がしみて、辛かったから、勝手にやめて、通院もしなかった。」と、結局、見えなくなってから眼科に戻ってくる患者様が大勢いる病気です。
点眼薬との相性が悪いようであれば、副作用を打ち消す薬を追加したり、目薬を別の種類に変更したり、SLTレーザーや手術など、別の治療法を相談することだってできます。

つ蟯通院を!
一般的には、点眼薬の効果で目標眼圧を達成できるまでは、毎月の検査。
一番多いのは、2ヶ月に1回程度の検査。数年悪化していないような人は3ヶ月に1回などで、定期検査が必要です。
たまに、「目薬だけつけてればいいんだから、検査はしない。」なんていう人がいますが、そんなことありません。高血圧で毎朝1錠の薬を飲んでいた人が、薬が利きにくくなったり、病気が悪化した場合には、血圧が上がって朝晩2回薬を飲むようになったりします。
緑内障の点眼薬も、たとえば交感神経遮断薬などは、数年使用したりすると、効果がなくなってきてしまう場合が多々あります。眼圧はご自宅では測れませんので、せっかく病院に来るときには、きちんと眼圧を測定する必要があります。


緑内障・・・・。
まだまだ続きます・・・。
眼科手術専門といいつつ、手術の話題はまだ先になりそう・・・。
| 緑内障 | 22:02 | comments(2) | - |
緑内障 治療方法
今日は白内障6件、結膜弛緩症1件。無事に終わっています。

夕方に緊急で来られた患者様が・・・。急性緑内障発作で眼圧が60以上。反対目は数十年前に失明しており、見えている方の目がほとんど見えなくなっています。
実はしばらく前から、「治療をしないと、いつか急性緑内障を起こして急に失明しますよ。」と、何度も勧めていたのに治療を拒否されていた患者様です。
そう説明すると、「もう年だから失明してもいい」とか「見えなくなったら死ぬから。」なんて反論する人が、残念ながらたくさんいるのですが、実際に見えなくなると、「どうにかして!」「やっぱりなおして!」と、結局来院されるのですよね・・・。困ります。
今日の患者様も、「失明は嫌だけど、今日入院するのも嫌」と、すぐにでも失明しそうな状態で、どうしていいのか・・・。結局、今日は無理やり入院して頂きました。


緑内障 治療方法
緑内障の治療は眼圧を下げて視神経が押しつぶされることを止めよう。というものです。

眼圧は、目の中の房水(ぼうすい)が多いほど高く、少ないほど低くなります。
なので、実際に眼圧を下げるためには、
A:房水の産生量を減らす
B:房水が目から出ていく量を減らす

といったことが必要になります。

通常の具体的な治療方法としては、
‥栖稾堯覆發辰箸盥圓錣譴討い觴N鼎任后
▲譟璽供室N邸SLTレーザーや、虹彩光凝固術)
N估眈禺蟒
(虹彩切除、隅角形成術、線維柱帯切開術・切除術)
ぐみ薬(短期間の治療に)
デ鯑眈禺蟒僉癖頂俵角緑内障などに)

などがあります。また、続発性緑内障といって、別の病気が原因となる場合には、
元になる別の病気をコントロールすることが必要になります。
Ω彊疾患の治療
例えば、
・血管新生緑内障⇒抗VEGF薬の注射
・ぶどう膜炎⇒ステロイド薬による消炎
・ステロイド緑内障⇒ステロイド薬の中止
・水晶体による合併症⇒手術
・硝子体・前房出血によるもの⇒止血剤・手術


上記のように、治療法は個々の病態に応じてたくさんあるのですが、基本的には、簡単でリスクが少なく、手間が少なく続ける事が可能で、治療の経費が安いものから始めます。
緑内障の治療法は、患者様にとっては面倒で、お金もかかって、副作用の心配もして・・・。全て嫌なものだと思います。それでも失明には変えられません。
また、一つの治療を始めても、治療法との相性で、全く効果がないことなども良くあります。目標眼圧をしっかりと定めて、一つの治療を行っても無効だったり、十分に眼圧が下がらない場合には、治療法を変更したり、追加していく必要があります。
例えば、点眼薬を2種類つけでも駄目なら、3種類に。3種類つけても駄目ならレーザーを追加して。それでも駄目なら手術をしましょう。といった具合です。

個々の治療法に関しては、また別の機会に。
では、お休みなさい。
今日も最後まで呼んで頂いた方、ありがとうございました。
| 緑内障 | 22:57 | comments(0) | - |
緑内障 ベースライン眼圧と目標値眼圧
今日の手術は、
・白内障手術 12件
・翼状変手術 1件
・網膜硝子体手術(茎離断) 3件
 内訳:増殖糖尿病網膜症(中症)1件、糖尿病黄斑症1件、黄斑前膜1件
まずまずの件数ですが、終わってみれば3時間半くらい。定時で終わりです。
スタッフのみんなが頑張って準備や、患者様の入退室をしてくれるので、本当に早い。器械の設定なども完ぺきで、僕は手術だけしてればいいので、とても楽です楽しい


緑内障
ベースライン眼圧と目標値眼圧

緑内障の治療は、眼圧を下げることで、進行を遅らせることであることを昨日記載しました。
では、眼圧を下げる場合には、いくつくらいの眼圧にすればいいのでしょう?
以前のブログ(⇒2011.11.12 Saturday)で、書いたのですが、眼圧には正式な意味で正常値と言うものがなく、自分の眼圧に自分の視神経が耐えられない場合に、発症・悪化する病気です。なので、血圧のように、180だと駄目で120ならOKと言うわけにはいきません。

もしも、眼圧が20mmHgで緑内障(正常眼圧緑内障)が発症、診断された場合には、治療によって、まずは20%下げて16mmHgにしようとか、または30%下げて12mmHgにしようとか、治療の目標を決定します。この場合の、無治療での病気の発症の元になった眼圧(この場合20)をベースライン眼圧、下げる目標とする眼圧(この場合16や14)を目標眼圧と呼びます。

緑内障では眼圧は下げれば下げるほど病気が進行しにくくなります。ですので、この例でいうと、眼圧が10になった方が病気としては、管理がよいともいえます。ではなぜ、初めから10を目標にしないのか?と言うと、単に大変だからです。
眼圧を大きく下げようとすれば、その分、強い治療が必要で、1日に何度も・何種類も目薬をつけなくてはなりません。すると、目薬をつける時間も手間も、お金も副作用も余分にかかってしまいます。
例えば、正常眼圧緑内障で多い報告は、ベースライン眼圧から20%眼圧を下げると、約半数の患者様で進行を止められ、30%下げると約80%の患者様で進行が止められるとされています。
ですので、まず初めの目標としては、20%とか、30%の眼圧下降を目標として治療を行い、それでも緑内障が進行してしまった場合には、より強い治療に変更し、次の目標眼圧は40%、50%の眼圧下降にしようと、進めていくようにします。

ここで、注意が必要なのは、眼圧測定には誤差がある
ということです。
眼圧の測り方は以前のブログ(⇒2011.11.08 Tuesday)で記載しました。
器械よる測定誤差というのもありますが、患者様自身の測定誤差もとても大きい場合があります。
例えば、血圧だって、緊張したりするだけで変動しますよね?冬に高い人や、夜のみ高い人もいます。眼圧も同様で、測定時の風が嫌いな人では、測定時に力が入ってしまって眼圧が高く出てしまう事がよくあります。そして、やはり測定する時間によっても異なりますし、季節や体調でも変動があります。

緑内障学会でも正式に推奨されていますが、
特に正常眼圧緑内障では、ベースライン眼圧を決定するためには、別の日の同じ時刻に、最低3回の眼圧測定を行い、その平均値をベースライン眼圧として、その結果から目標眼圧を決定するように!となっています。
一見、面倒で時間がかかるように思えますが、緑内障は10年、20年、基本的に一生涯付きあっていく病気です。最初の1〜2ヶ月を急いで治療に入るよりも、しっかりとした目標をもって治療に臨む事が重要です。
こうした手順を誤って、例えば、本当の眼圧は12mmHgである人が、初めての眼科で、緊張して測った眼圧が16mmHgであったとして、緑内障だからと、すぐに点眼薬を使用。「眼圧が12だから、もとの16より下がって、薬が効いているな」なんて思っていたら、実は薬は全く無効で、5年間意味のない治療をしていた。なんてことが起こりうるのです。

眼圧が40とか50とか、極端に高い場合を除き、初めてかかった眼科で、診察直後に「あなたは緑内障です。今日からすぐに点眼薬を使用します。」なんてことになったら、ちょっと変だな?と。少し考えてみてもいいかもしれません。

当院では、よほど緊急の治療が必要な場合以外では、基本的に、3回の午前中の測定、視野検査は午後に特別枠の予約制ですが、この午後の検査でも眼圧を測定し、測定時間による変動なども検討して、ベースライン眼圧の決定、目標眼圧の測定を行うようにしています。
世の中には、緑内障の初診時には、まず入院して、朝昼夕、寝ている途中でも眼圧を測定して。やっとベースライン眼圧を決定する熱意のある先生もいるようです。(入院して、夜中に検査をするのは、患者様に少なからず負担がありますので、どこまでやればいいかは、一長一短ですが、一つの例として。)

注)
眼圧が40とか50とか、あまりに高い場合には、初診時にすぐに治療を始める場合もあります。20台の眼圧でも視神経が弱っていて、既に緑内障が進行期で、早めの治療が望ましい場合にも初日に点眼薬を始めることもあります。逆に、若い患者様で視神経が丈夫で、まだ障害を認めない場合には、眼圧が30以上でも少し様子をみることもあります。何回目の診察でベースライン眼圧を決定するのかや、治療を始めるかは、個々の患者様の状態や、医師の考えかたでも異なりますので、担当の先生とよく相談するようにしてください。
ただし、一般的には眼圧が10台とかの正常眼圧緑内障で、1回の眼圧測定で、すぐに治療をしましょう。と、いうのは信頼性の観点から、行うべきではないと思います。
| 緑内障 | 23:37 | comments(0) | - |
緑内障 治療の目的は維持:眼圧を下げる
今日の午後は小美玉で手術を。
夕方〜夜は移動して、知り合いの開業医さんで手術のお手伝いに。
開業医さんですが、なんと午後だけで15名も手術があり、硝子体手術もあって。茨城の眼科医は忙しい人が多いようですびっくり

さて、今日は少し時間があるので、緑内障の続きを。
(とはいっても、23時ですが・・・。)
緑内障 
治療は維持:眼圧を下げる


緑内障とは、眼圧に関連して視神経が障害され、視野(見える範囲)が狭くなる病気です。
残念ながら、今の医学では、緑内障で一度欠けた視野は一生涯戻りません。
よく、「緑内障って治らないんでしょ?」と患者様に質問を受けますが、まさにその通りです。
緑内障の治療で、現在の医学で明確に分かっていることは、眼圧を下げることで進行を抑えることができる。ということだけです。
(他には、目の奥の血流を改善させる方法や、人工の網膜など、様々な研究が行われてはいますが、まだまだ、きちんとした治療とは言えないレベルです。)

眼球の中を流れて、眼球と言うボールを膨らませている房水の圧力(眼圧)によって、視神経が押しつぶされてしまう病気なので、その圧力(眼圧)を減らして、それ以上、視神経が押しつぶされないようにしよう。というのが治療法になります。
決して、押しつぶされて、死んでしまった神経をよみがえらせたり、失明したり、視野が欠けてしまったことをもとに戻すことはできません。

治療の目標は
・生きている間に失明させないこと
・視機能を出来るだけ温存し、生活に不自由がでないようにすること

になります。

実際に眼圧を下げる方法には、
‥栖稾
▲譟璽供室N
手術
などがありますが、今後ゆっくりと書いて行きたいと思います。


白内障で手術をすると、だいたい皆さんに喜ばれます。
結膜炎で、点眼薬を処方し、メヤニが止まっても喜ばれます。
では緑内障はどうか?というと、
ほとんどの場合、緑内障の治療を行っても全く喜んで頂けません
緑内障の治療は、上記の、どの治療法を選んでも、ある程度はツライ・面倒なもので、しかもお金もかかります。
例えば、ほとんどの緑内障の目薬は、他のドライアイなどの目薬に比べて高額です。また、目薬には多かれ少なかれ副作用があります(しみる、充血、まぶたのくろずみ、メヤニ、ドライアイの悪化、全身的な負担など)。
お金を払って、しみる目薬をつけて、充血して。なのに、目が良くなるわけでもなく、現状維持が精一杯。みなさんが治療が嫌になってしまう気持ちも分かります。
それでも、失明は避けなくてはいけません。眼科医としては、喜んで頂けないのは仕方ありませんが、維持するために治療を受けて頂く以外ないのです。

もっともっと医療が進んで、緑内障が本当に治ってしまう日が来るといいのですが。
| 緑内障 | 23:00 | comments(2) | - |
緑内障 視野:ハンフリーvsゴールドマン
東京国際フォーラムまで高速で1時間ちょっとなので、車で往復していますが、今日は寒くて雨で、交通事故渋滞が多発。行きも帰りも2時間以上かかりました。追突玉突き事後も目撃しましたが、大変そうでした。僕も気をつけなくては。


さて、今日は二つの視野検査の比較です。
静的視野(ハンフリー)vs 動的視野(ゴールドマン)
どちらも、まっすぐ前の一点を動かずに凝視して、周囲に光が見えたらボタンを押す検査で、視野(物の見える範囲)を測定するのですが、測定方法や得意不得意など、少し違いがあります。

指標
・静的視野は、光の指標が動かずに、一点でピッと光ります。
・動的視野検査は、見えない部分から光を見える部分に動かしていく検査です。

何を測定?
・静的視野(ハンフリー)は、主に中心30度の視野を、詳細・微細に測定することができ、中心に近い視野の変化をかなり初期の段階から指摘する事が出来ます。
・動的視野(ゴールドマン)は、より広い範囲で、視野全体がどんな形をしているか、そして暗点が存在するかどうかを調べることができます。

器械vs人間が測定
・静的視野(ハンフリー)は、基本的にコンピューター制御で、測定器がほぼ全自動で効率よく測定します。一般に測定時間が短く、器械が勝手に測定するため、検査員の技量で検査結果に大きな差がでにくい。というメリットがあります。医院によっては看護師さんや、助手さんが測定することもあるようです。(実際には、先日説明したキャッチトライアルなどを、どう対応するかで差が出来ますが。)
測定時間は上手に検査ができる人では、片眼10分かからないくらいです。(器械のスピードを落としたり、やり直す場合は長くなります。)
患者さんとしては、検査が一定のスピードで、ピッ・ピッ・ピッと、自動で進んでいってしまうので、理解力や体力などに不自由がある方(子供や高齢者など)が検査を受けると、上手にボタンを押せなくて、誤差だらけになってしまいます。視力の悪い患者様も、中心の光を見続けるなどが難しかったりで、検査が上手くいきません。
・動的視野(ゴールドマン)は、検査員(人間)が視標を出し、検査員(人間)が検査結果を記録します。静的視野の正確さが器械の能力に左右されるのと違って、動的視野では、測定する検査員の技量によって正確さが大きく左右されます。ですので、多くの施設で、国家資格のあるORT(視能訓練士)が検査を担当します。僕は当院のクリニックのORTを信頼していますが、かなり正確に結果が取れていると思います!
検査の時間は病態や、年齢などにより大きく異なります。視野や視力が正常で、若い患者様では片眼10分弱で終わってしまうかもしれませんが、高齢の方で、見えない場所がポツポツと点在するような、複雑な視野の患者様では片眼で30分以上かけて、じっくりと見えない場所を探していくこともあります。
高齢者や視力が悪いなどで、静的視野では上手く検査ができない患者様でも、動的視野はORTが、様子をみながらゆっくりと検査をしたり、休憩しながらも出来るのが大きな利点です。
(近年、コンピューター制御の動的視野計も発売されるようになりましたが、技術をしっかりもったORTによる検査と比べると、正確さと言う意味では、天と地ほどの差があります。)

緑内障:初期or進行期
ここまでの話は、分かりましたでしょうか?分かりやすく書きたいと思いつつ、なかなか表現って難しい・・・。
緑内障の患者様に限って、まとめるてみますと、
―藉〜中期で、微細な病変を調べる場合
 ⇒静的視野(ハンフリー)
∪電検査が難しくなってくる緑内障の進行期、高齢者など
 ⇒動的視野(ゴールドマン)

と考えて頂ければOKです。
なので、高齢で検査が苦手という方を除き、若い患者様で、動的視野(ゴールドマン)の検査をして、結果のコピーを渡されている患者様は、申し訳ありませんが、少し重症なのだと思って、診療にお付き合い頂ければと思います。(1〜2ヶ月に1回の検査を行います。)

最後に
費用
・静的視野は片眼3000円・両眼6000円(1割負担で600円)
・動的視野は片眼1950円・両眼3900円(1割負担で390円)

検査員の労力が少なめて、時間も早くて、器械が自動で行う静的視野の方が費用は高くて、
人間が時間をかけて測定し、ORTの専門的な技術を必要とする動的視野の方が検査が安いのです。
多くの眼科医、ORTが納得がいかない部分ですが、医療ってよく分かりませんね。
検査に使う器械が高価か、どうかで医療費が決まっているようです。静的視野はコンピュータ制御で、器械自体は確かに高いのですが。「重症例の患者さんを正確に評価するため」に必要な動的視野よりも、静的視野が高いのはどうなのだろう?

| 緑内障 | 22:37 | comments(0) | - |
緑内障 動的視野検査:ゴールドマン
今日のお昼は手術でした。無事に終わっています。
・白内障手術 4件
・翼状片手術 1件
・眼瞼下垂症手術 2件

眼瞼下垂は炭酸ガスレーザーといって、レーザー光線で止血をしながら、組織が切れる。というメスを使用して行ってみました。確かに出血しなくて、手術が終わった瞬間からキレイ見る
手術はなんでもキレイに越したことはありません。医学の進歩ってすごいときめき
明日の午後は、眼瞼の手術ばかり10件もさせて頂く予定なのですが、レーザーメスの威力を実感してみたいと。術式や経過などは後日報告いたします!


緑内障
動的視野検査:ゴールドマン視野計


先日までは、静的視野検査、光がある一点で急に光かって、それが見えたらボタンを押す。という検査の説明をしました。
今日の話題の動的視野検査、ゴールドマン視野計は、光の指標を動かして行って、光が見える範囲に来たら、ボタンを押して頂く。(病状によっては、見える場所から始めて、見えない場所になったら。というのもありますが)
という検査です。指標が動くので動的視野検査。


この大きなドーム状の器械、ゴールドマン視野計を使います。患者様は、椅子に座って、矢印の部位に顔をのせ、半球の中をのぞきます。


本来は、その後に、部屋を暗くして、青矢印の先にじっと見つめる指標(固視点)が光るので、そこを見続けます。検査員が光った指標を、視野の外側の方から、ゆっくりと内側に移動させますが、光が見えるようになった時に、ボタンを押していきます。
最初は大きく、強く光る指標から測定し、徐々に小さく、弱く光る指標へと変えて測定ます。

これは、正常な人のゴールドマン視野の結果です。

赤矢印の部分が物を視野の中心部になります。左目の検査結果ですが、通常の人はこのように、鼻側よりも耳側のほうが視野が広くなっています。
緑の矢印の部分は、以前に何回か説明した、マリオット盲点になり、脊椎動物はみんな見えない場所です。。
一番外側の青い輪は、最も強く、大きな光の指標で測定した「見える範囲・視野」になります。赤、青、赤と、円が内側に向かうほど、弱く小さい光の指標で測定した結果となっています。
(赤や、青などで結果に色をつけるなどは、病院や派閥によって手法が異なります。結果の見やすさや、しきたりなどの問題です。)


実際の緑内障の患者様のサンプルです。
スキャナを準備するのが面倒で、結果を写真で取って載せています。見にくかったらすみません。(晩酌をしながらだったり、一部手抜きをしながら書いています。長く続けるために負担を減らして行こうかと。誤字脱字もご了承ください。)


これは、上方の視野が大きく欠けている患者様です。右下のほうも欠けていたり、中心から少し下の部分に円形に視野が欠けている場所(暗点:あんてん)もあります。


これは、右下の視野が欠けている患者様です。緑内障の視野欠損では、このように、視野の欠損の状態が上下で差があることが特徴的です。


これは、視野が欠けている。というより、中心部と、少し右下に見える部分がある。というレベルです。見える場所がパラパラと離れているので島状視野(とうじょうしや)なんて呼ばれたりします。


最後に、緑内障の末期で、中心部の視野だけが残された患者様です。これでも、中心部は見えるので、矯正視力は0.9もあるんです。お会いした時から、反対目も進行期なので日常生活はかなり不自由ですが。
(みんなが、最後に中心部が残るわけではなく、周辺の視野がぽつんと残ったり、いろいろなパターンがあります。)
| 緑内障 | 20:41 | comments(2) | - |
緑内障 静的視野検査:ハンフリー その2
今日は、昨日と同じ、緑内障の静的視野検査の結果についてです。
静的視野を測定する器械は、数社から発売されており、機種によって結果の表示が異なるのですが、当院で使用しているハンフリーという機種で説明します。
(ハンフリーは世界で最も有名、高価な機種です。)

緑内障
静的視野検査:ハンフリー その2



昨日も出したサンプルです。


視野欠損
まず、右上の緑の○の部分が、視野の欠けている状態で、一般の方でもイメージしやすいかと思います。これは右眼の検査結果ですが、上方、とくに鼻側の上方の視野が欠けている事が分かります。
黒い部分が大きくなってくるようであれば、徐々に視野が狭く、悪化しているという判断になります。当院に通院の患者様は視野検査の結果を受け取っていると思いますが、できるだけ捨てずに保管するようにして下さい。1回前の検査結果と比べるだけだと、変化がないと思うような場合でも、1年前、2年前、3年前と、きちんと並べて比べてみると、実は徐々に悪化していることが分かる場合なども多々あります。
特に、大きな病院などで、担当の先生が毎年のようにコロコロ変わる場合は要注意です。1人の先生が担当した1年の間では、ほんの少しの悪化しかないと判断し、次に担当する先生も、この1年ではあまり変化なし。なんていうことを繰り返していってしまう事があります。
10年、20年と付き合っていく緑内障では、1年の悪化がごく少量でも長い目でみたら、かなり悪化していた。なんていう事もあるのです。
例えば、1年間に5%の視野が欠けていくのを見逃すと、単純計算では、5% x20年=100%、20年では失明してしまうのです。(もちろん実際には、そう単純な計算ではありませんが。)
視野検査をできるだけ保管して、5年前などと比べることは、とても重要です。10年、20年という病気では、その間に引っ越しや転院をするときもあるかもしれません。そんな時にも、昔の視野検査はとっても役立つのです。


MD値
次に、青の○の部位には、MD(mean defect)と呼ばれる値が書かれています。
このMD値は、視野検査の重症度、病気の進行具合を評価します。
視野が欠け、病気が重度になるほど、MD値がマイナスに大きくなっていきます。
例えば、MD値が0dB(デジベル)では正常、上のサンプルは-10dB程度で中期になります。

学会や、各医師によって、分類が多少は異なりますが、一般的に多く用いられている分類を紹介すると、
MD値が、
0〜6 dB ⇒ 早期視野欠損(初期)
6〜12 dB ⇒ 中等度視野欠損(中期)
12 dB以上 ⇒ 重度視野欠損(進行期
)と分類されます。
多くの場合、初期〜中期では自覚症状は全くありません。中期〜進行期になって初めて、視野が欠けていることを自覚することができるようになるようです。

特に以下の数値に入ると失明するかしないかなどの検討に入ります。
15〜 危険領域
20〜 日常生活が不自由
25〜 機能的・社会的失明

(片足をなくしても十二分に生活できる人もいれば、全く歩けなくなってしまう人もいます。緑内障も、重症と分類されても、それなりの生活ができる人、軽症でも不安で歩けなくなってしまう人もいます。上記の分類は、それくらいの人が多いという意味です。)

上記の視野欠損のイメージ図を比べる以外にも、MD値の絶対値が徐々に大きくなる場合は、悪化していると言う事になります。例えば、1年間にMD値が3づつ悪くなるなら、8年間では24dB。初期の人が失明に至る悪化のスピードです。
(1年でMD値がどれくらい落ちていくのかを、MD slopeと呼び、手術をするかどうかなどの判断に使ったりします。)


キャッチトライアル・固視不良などの誤差
実は、緑内障の静的視野検査は、誤差がとても大きな検査です。
光が見えたらボタンを押す。光ってもボタンが押せなかった部分の視野が欠けていると判断していくのですが、
もしも、完全に失明して、盲目の人が検査を受けたとするときに、光が見える見えないに関わらず、ボタンを押しまくっていたら、全ての光が見えたことになり、結果は正常だとの判定になってしまいます。
こういった事、不正がないかを監視するために、ハンフリー視野計では、様々な罠を仕掛けています。
例えば、光は、ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、ピッ。と、ある程度リズムよく光っていくのですが、器械が意地悪をして、ピッ。と音を出すのに、わざと光らない場合を作ったりするのです。
・ゲーム感覚で、いい点数をとるぞ!!なんて気分で検査に臨むと、とにかくボタンを押しまくってしまい、本来は病気で見えない場所があるのに、全て見えたことになって、正常でした。なんて結果になることも。
・逆に、高齢の方や、睡眠不足、気分がめいっている場合などでは、ボタンを押すのが遅れてしまって、本来見えるべき光でも、ボタンを押せずに、過度に重症の結果が出てきてしまったりします。

このような偽陽性・偽陰性と思われる検査の結果を、器械がじっと観察して、何%の誤差がある。なんていう事が表示されています。
他にも、目がきょろきょろと、動いてしまった回数(固視不良)なども表示されます。

誤差は少なければ少ないほど、正確な検査となりますが、緑内障と診断される当初は、検査が上手に行かない場合も多々あり、本来、病気でない人が病気と判断されたり、その逆の場合も出てしまう事がありえます。

ボタンの押しすぎ、押さなすぎ。というのが、上のサンプル、赤○の部分に、キャッチトライアルとして、3%などと表記されるのですが、これがもし20%とか、30%とか、あまりに大きい場合には、もはや検査を行った意味がありません。体重を計るのに、米俵を持って体重計に乗るようなもので、時間とお金の無駄です。

静的視野検査では、出来る限りリラックスして臨み、はっきりと光が見えたときのみ、ボタンを押すようにしましょう。(迷った時はボタンを押さない。)
それでも、得手不得手があったり、高齢者などで検査が難しく、誤差が大きい時には、後日記載しますが、動的視野検査などの別の検査をお勧めすることになります。

このように視野検査は誤差のある検査です。初診時から重症例。などを除けば、一度の検査のみで緑内障と確定して、すぐに治療。なんていうのは医師の横暴で、きちんと誤差がない検査結果が得られて、きちんとした治療の目標、ビジョンをもって臨むことが眼科医には望まれます。

ここで、患者様にお願いです
当院では、誤差が大きかった場合や、目や体が動いてしまう場合などは、出来る限り、光がでるスピードを遅くしたり、検査をやり直すなどして、せっかくの検査が無駄にならないよう、できるだけ正確な検査ができるように、国家資格をもったORTのみが検査を行い、30分に1名以下と、通常の医院に比べると、かなりゆっくりと時間をとって検査を頑張ってくれています。(多くの症例がキャッチトライアルは5%未満。たまには10%程度くらいの人がいます。20%を超えるのは年に数回というレベルで、本当に検査が苦手な人のみ。というか、20%を超える場合は検査結果としてあまり参考にしていません。)
ですので、1日にできる視野検査の件数が少なく、予約枠の確保には少し苦慮しています。検査は完全予約制ですが、もしも検査日や時間の都合が悪くなった場合には、無断でキャンセルをすることなく、なるべく早めにお電話を頂けますと幸いです。
| 緑内障 | 22:19 | comments(1) | - |
緑内障─\電視野検査:ハンフリー その1
なかなか忙しくて、毎日更新するのは難しいです・・・。すみません。
Q&Aやコメントでも緑内障の質問を頂いたのですが、緑内障は難しいですよね。
できるかぎり分かりやすく書きたいとは思っているのですが。頑張ります。

今日は視野検査のお話です。
緑内障
静的視野検査:ハンフリー その1

実際に、緑内障で視野がどれくらい欠けているのかを評価するための検査です。
緑内障の診断や、定期検査で悪化がないかなどに使用します。

視野検査には大きく2種類あり、静的視野検査と動的視野検査に分かれます。
視野を測定するための光の指標が、動かずにピカッと光るだけのものと、光の指標を見える場所から見えない場所に動かしながら測定するものになります。
暗い部屋で行います。静的視野検査では、じっと検査機器の正面を見ていて、周囲の視野に光がピカッと点灯した時に、光が見えた時はボタンを押します。


これが視野検査の器械です。赤矢印に顔を入れて覗き込みます。
視野検査の器械にも様々あるのですが、当院では一般的に世界で最も優秀とされている、Zeiss社のハンフリー視野計の最新機種を使用しています。


正面から拡大すると、青矢印に顎を載せて、緑矢印先に光る場所があるので、そこをじっと見ています。その状態で、例えば、黄色の点が光ったりするのですが、光がはっきり見えた場合のみボタンを押します。もしも、視野が欠けている場所が光っても、その場合は本人には光が見えないので、ボタンを押しません。これを場所をかえて何度も何度も繰り返して、視野が欠けている場所を探していくのです。


緑内障Г任UPした、緑内障中期の患者様の右目の眼底写真です。

視神経乳頭から左下に向かって、神経の薄い場所(NFLD)があります。
眼球内の下の方が神経が薄くなると、上から入ってくる光を感じにくくなります。


同じ患者様の視野検査の結果がこちらになります。

右上の一番大きな円形図が視野検査の大まかな結果です。視野の中心部から左上の方に黒い影があるのが分かるでしょうか?ここが緑内障で視野が欠けている部分です。眼底写真で下方の神経が薄く、視野検査では、その薄い神経の部位に対応する形で、上方の視野が欠けていることが分かります。

目の中の網膜・神経は、上の方と下の方で異なる支配になっており、初期〜中期の緑内障の方が視野検査を行うと、多くの場合には、この症例のように、視野の結果も上下で差ができます。(逆にいえば、上下の境が全くなく、黒い部分がつながっている場合には、緑内障以外の原因で視野が欠けている可能性が高いということです。)


これは、正常な患者様の左目の視野検査です。
青矢印の部分に一つだけ影がありますが、これはマリオット盲点と呼ばれる部位にあたり、生まれつきもともと見えない場所であり、正常な所見です。


これは右目、初期の緑内障です。
マリオット盲点以外に、上方に向かって、薄い影が広がっています。


これも初期の緑内障(左眼)です。青矢印以外に、下方に視野欠損を認めます。
このようなレベルでは、まったく自覚症状はありません。


これは、進行期の緑内障(左眼)です。
これを見ると、ほとんど真っ暗?なんて思いますが、中心部はきちんと視野が残っており、視力検査ではきちんと1.0見えます。このくらいになると、自覚症状で分かる人が多いですが、一部、全く症状もない人もいます。
(静的視野検査では、多くの場合で、生活に重要な、30度くらいの中心部に近い視野を測定します。実際にはもっと広い範囲で視野が存在します。)



これは、初期〜中期の右眼の緑内障の患者様ですが、左側が1年前、右側が今年になります。僅かですが、進行しているのが分かるでしょうか?この1年間、一つの目薬をつけて、眼圧が15〜16くらいで落ち着いていましたが、悪化してしまったようです。今回、点眼薬を2種類に増加し、目標眼圧を10〜12程度と、さらに下げるように治療を強化している最中です。


緑内障は自覚症状で気が付きにくいために、病気に納得ができず、治療に積極的になれない人が多いことで有名です。
当院では、基本的に全ての患者様に、視野検査の結果をコピーしてお渡しするようにしています。
少しでも、病気の理解に役立てて頂ければと考えています。

次回は、この視野検査の読み方や、注意点について書いてみます。
| 緑内障 | 23:28 | comments(0) | - |
緑内障А〇訖牲弌OCTで評価
今日のお昼は白内障手術8件。無事に終わりました。
最近、多焦点レンズを選ばれる患者様が少しづつ増えているようです。

緑内障
OCT
(optical coherence tomography:光干渉断層計)

OCTについては、以前のブログを
http://blog.sannoudaiganka.jp/?eid=128936

緑内障で押しつぶされた視神経を評価する方法は、まず診察による眼底検査、そして先日記載した眼底カメラによる記録が重要です。
しかし、数年前からは、より正確に、視神経の状態を測定、結果を保存できる方法として、眼底三次元画像解析検査という検査を行うことが増えてきました。
眼底写真が2次元(平面)での評価だとすると、眼底三次元画像解析検査はその名の通り3次元、3D、立体的に評価する方法です。検査に使用する光線の種類や方法などで、8年くらい前からGDxなどの器械が、3年くらい前からはOCTが使えるようになりました。眼底写真がレントゲンだとすると、GDxやOCTなどはCTやMRIに相当する検査です。最近3Dの映画やテレビが流行っていますが、いつの間にか、眼科の世界も3Dが当たり前に。


視神経をOCTで撮影すると、

図の右側のような断面が撮影出来ます。水色の矢印で囲んだ部分が網膜の厚み、視神経線維層を表しています。
このような断面図を数え切れないほど撮影して、コンピューターが3D画像に再合成します。すると、こんなにキレイに視神経の形を測定・再現できます。



実際に正常な人の測定結果と、緑内障の患者様の結果を比べてみると、

上が正常、下が緑内障です。
・左の眼底カメラでは、上の正常な視神経乳頭は、ドーナツのリングがしっかりとしていて、下の緑内障ではリングが薄くなっています。特に、視神経乳頭から左下に向かって、神経が薄く押しつぶされた部位、NFLD(神経線維層欠損)を認めます(赤矢印)。
・中央は視神経乳頭をOCTで3D表示したものです。NFLD、神経が薄くなっている所見がはっきりと分かります(赤矢印)。
・右側は断面図ですが、正常の方の網膜・神経の厚み(ピンク矢印で挟んだ部位)に比べて、緑内障の方(赤矢印)で薄いことが分かります。



これは、初期の緑内障の患者様で、視神経から下方に伸びる神経が薄くなっています。同年齢の正常人と比べて、OCTでは薄くなった神経(NFLD)が赤く表示されていますが、左の写真で同じ部位の網膜の色が若干色が暗いのが分かりますか?


これは上にも下にも薄い部分、NFLDが出来ている患者様です。


これは末期の患者様で、赤いところ(薄いところ)だらけです。


OCTで緑内障の検査をするメリットは

ゝ甸囘な評価が出来る。
神経が押しつぶされて見えなくなっていく病気ですが、今までは、診察以外に視野検査という検査で、診断や、進行・悪化を決定していました。今でも視野検査が最も重要な事に変わりはありませんが、後日書く予定ですが、視野検査はボタンの押し間違いや、目が動く、検査中のまばたきなど、誤差が多い検査としても有名です。OCTは本人のやる気や、検査の上手・下手に関係なく測定が可能です。

簡単・正確
強い白内障や、瞳孔が極端に小さくない場合を除き、散瞳(瞳を開く)せずに、数秒で検査が可能です。測定時のまぶしさもありません。また、測定値は、誤差も少なく、医師(人間)の目による診断能力を大幅に上回る正確さです。強度近視の方などでは緑内障の診断が難しいのですが、これまで医師の目による診断で、なんとなく緑内障の治療を続けられていた患者様が、OCTの出現によって、実は緑内障ではなかった。なんて患者様が世界中で数え切れないほど出現しました。

A甦発見が可能に
緑内障で、神経が押しつぶされて行く場合に、実は20%以上の細胞が障害されて、初めて、視野検査で見えない場所として現れてきます。OCTでは、例えば、10%くらい障害された場合などの、まだ視野が欠ける前の状態でも、緑内障のごく初期、または予備軍として発見することができます。
(僕は、視野が全く欠けていない症例では、眼圧が重度に高い場合や、家族に緑内障で失明した人がいる場合などを除き、治療はせずに様子をみるようにしていますが、緑内障の予備軍として、1年後に必ず診察を。と促す時にはとても役立ちます。)


当院では最新機種のOCTを緑内障の診断に活用しています。
また、緑内障で治療中の患者様でも、初期〜中期の患者様で1年に1回、中期から進行期の患者様では1年に2回ほど測定し、病気が進行していないかどうかの判定に役立てています。

それにしても、OCTが一般に緑内障に利用されるようになって、まだ3年くらい。
今ではなくてはならないものですが、医学の進歩は速いですね。
| 緑内障 | 23:30 | comments(5) | - |
緑内障Α〇訖牲估頭陥凹:眼底写真
クリニックでもクリスマスの飾りつけが始まりましたツリー


今日は緑内障の患者さんに起こる、目の中の変化についてです。
緑内障Α〇訖牲估頭陥凹 


目の中に光が入ってくると、目の奥の網膜と言うフィルムが光を感知します。網膜は一つの束になって脳へと続いて行きますが、この脳へと続く束を「視神経:ししんけい」、網膜が束になった視神経の最初の部分を「視神経乳頭」と呼びます。(イメージ図の赤矢印)


これは、上は正常な人、下は緑内障の人のイメージです。
眼圧(赤)で視神経乳頭が圧迫されると、網膜が薄くなっていきます。図ではオレンジで網膜の厚みを表現してみました。
これの二つの状態を、実際の写真で見てみると、

左が正常、右が緑内障です。
視神経乳頭は正面からみると、ドーナツのような輪として見えますが、輪の外側のオレンジの部分が網膜にあたります。視神経乳頭の網膜の厚みが多きいほうが、ドーナツのリング(食べるところ)が大きくなり、緑内障で網膜が薄い人は、ドーナツの食べるところが薄くなります。
オレンジのリングに比べて、中央の白い部分は凹んだ形をしているのですが、この凹みの事を視神経乳頭陥凹(ししんけいにゅうとうかんおう)と呼びます。
緑内障では、網膜を表すオレンジの部分が少なくなり、凹んでいる(陥凹)白い部分が増えます。人間ドックなどでは、この凹みが大きい人たちを緑内障の疑いとして、「視神経乳頭陥凹拡大」という表現で伝えます。
(最近は、一般の人に分かりにくいとの評判から、緑内障性視神経乳頭と記載する検診が増えてきています。)



これは、緑内障中期の人です。正常に比べると、ドーナツのリングの下の方が薄くなっています。矢印で囲んだのですが、視神経乳頭から左下に、少し網膜の色が暗く映る場所があるのが分かりますか?ここは押しつぶされて、薄くなってしまった網膜で、専門的にはNFLD(視神経線維層欠損)と呼ばれる所見です。


これは、視野の8割方が欠けてしまった、進行期の患者様です。オレンジのリングがごくわずかしか残っていません。


これは、明るさが分かる場所が少しは残っている。という、社会的失明に当たる末期の患者様です。オレンジのリングは見当たらず、視神経乳頭が真っ白になっています。両目とも進行期で、数ヶ月前に当院に転院となり、緑内障手術を行い、どうにか失明を防いでいます。



当院では、緑内障の患者様は1年に1〜2回、眼底写真を撮影し、保存するようにしています。
写真を撮らない場合には、医師のスケッチなどで評価をするのですが、どんなに頑張ってスケッチしても、正確さや精密さでは写真には全くかないません。


これは、比較的初期の患者様で1年前に撮影した写真です。矢印で囲んだ部分はNFLDで網膜の薄い部分です。緑の矢印の先には、視神経乳頭出血と言って緑内障が進行するときによくみられる出血があります。

これは、同じ患者様で今回1年ぶりに撮影した写真です。よーく見ると、NFLDがごくごくわずかですが、幅が広がっています。視野検査でもごくわずかですが進行があり、今回より点眼薬を強化しています。
このような微細な変化を見逃していくと、きちんと通院・治療していたのに、数年後には末期になっていた。なんていうことが起こりえます。
きちんと正確に視神経の状態を把握、保存し、以前の写真と比べるという目的で、眼底写真の撮影は、緑内障の患者様には必須の検査です。
| 緑内障 | 23:13 | comments(2) | - |
緑内障ァ‐評:視野が欠ける
今日の午後は手術日です。
・白内障手術 14件
・網膜硝子体手術(茎離断) 3件
 (黄斑前膜1件、増殖糖尿病網膜症2件)
無事に終わりましたグッド


さて、今日も緑内障のお話です。
緑内障ァ
症状:視野が欠ける

緑内障は、眼圧に関連して視神経が障害され、視野が狭くなる・欠ける病気です。
「目がいい」というと、視力が1.5だとか、
「目が悪い」というと、視力が0.1だとか、
多くの方が、目の良い悪いの指標として、視力検査の数値を想像します。
ある人の、物の見え方を表現するのに、視力というは重要な指標ですが、同じように視野というのもとても重要な指標です。
視野とは、ものの見えている範囲のことを言います。

緑内障では眼圧によって、視神経・網膜が押しつぶされて薄くなっていきますが、薄くなった部分の視野は見えなくなっていきます。
視神経や網膜は場所によって厚みや丈夫さが異なりますが、物を見る中心部の神経は、他の部位に比べて丈夫であることが多く、緑内障で神経が押しつぶされる場合に、多くの場合は視力検査に重要な中心部の神経は最終段階まで生き残り、他の周辺部の視野から障害されていきます
周辺部の視野が欠けていき、治療を受けずに、病気がどんどん進んでいくと、最終的には物を見る中心部も侵され、失明。となっていきます。


これは一つの例ですが、上の段が視野検査の結果、下の段が日常生活での見え方のイメージ図になります。黒い部分が視野が欠けていることを表しています。
一番左側は初期の緑内障、中央が中期、右側が末期の緑内障になります。

実は近年の緑内障の治療は、以前よりも格段に進歩しており、きちんとした治療を受けることができれば、多くの場合で失明を防ぐことができます。
なのに、緑内障が失明の原因の1位なのはなぜでしょう??
それには、次のような自覚症状がない。という事が大きな要因です。

ー覚症状を感じて病院に行く時にはすでに末期。
よほど詳しく調べないと、ほとんどの人は、上の図で左側や中央、つまり初期や中期では自覚症状がありません。なので、「見えにくいなぁ。」と思って、初めて病院に行く時には、末期の末期なんてこともよくあります。

⊆覚症状がないので、治療・通院を中断してしまう人が多い。
毎年毎年、数千人が失明する重大な病気ですが、最近は人間ドックのおかげで、初期の段階で病気が見つかり、早期治療を始められるが増えてきました。初期から治療をすることで普通は失明を防げるのですが、基本的に治るといった病気ではなく、毎日目薬をつける事に納得がいかなくなったり、通院の時間や、金銭面などで、治療が面倒になってしまう人がたくさんいるようです。
見えない。という自覚症状が出る時には末期なのですが、初期には自覚症状がないため、通院が嫌になってしまうのですよね・・・。

自覚症状が出にくい理由には、まず両目を使う事で、左右の目に見えにくい場所があっても、カバーしあうということがあります。
そして、それとは別に、filling-inという脳ミソの働きも重要です。

分かりやすくするために、上の見え方のイメージ図では、見えない部分を黒く塗ってありましたね?しかし、実はゆっくりと進行する緑内障では、見えない部分が黒く見えるわけではないようです。
例えば、緑内障で、一部分が虫食い状に見えない場所がある患者さんがいるとします。
その人が白い壁を見ている場合には、その見えない場所は白色で埋められます。
その人が青い空を見ている場合には、その見えない場所は青色で埋められます。
多くの緑内障では、見えない場所があったら、そこは黒になるのではなく、その周りの色が入り込んで、あたかも色があるように見えるのです。(filling-in現象)

人間の脳ミソは生きていくにあたって、出来るだけ都合がよい状態になるように、様々な情報を調節していきます。(若い時ほどその傾向が強いようです。)
片足を急に失った人は、最初は体のバランスを取ることが困難ですが、だんだんと重心の位置がズレて、義足などで歩けるようになります。
斜視といって、目線がズレテしまう病気がいきなりでると、物が2重に見えてしまいますが、若い時からあったり、病気が長引いたりすると、2重に見えるよりも楽だからと、脳ミソは片方の目からの映像を消してしまう方法をとります。
片目づつだと、右目と左目の見え方が違っても、脳に入る時点で映像を作り変え、合成・融像するために、両目でみると全く気にならなくなります。

緑内障の重症型で急激に見えなくなったばあには、症状に気が付きやすいのですが、多くの緑内障は数年とか、数十年とかをかけて、非常にゆっくりと進む病気なので、脳ミソはそれに適応するように、見えない部分(視野)を、自分にとって都合がいいように作り変えて、生活しやすい映像を作り出すようになってしまうのです。

上で紹介したイメージ図ですが、慢性の緑内障では、多くの場合に下のような見え方に、脳ミソが映像を作り変えてしまうのです。

左や中央のイメージ図では、普通の人には自覚症状がでません。
右側になると、色を埋めるといっても、どの部位の色を持ってきて、欠けた部分を埋めたらいいのか?脳ミソも判断できなくなります。こういう状態になって初めて、「見えにくい」と感じるのです。


病気ではない、皆さんにも、見えない部分(視野が欠けている部分)があるのですが、分かりますか??
マリオット盲点と言いますが、詳しくは以前のブログで。http://blog.sannoudaiganka.jp/?cid=4932
2011.10.27 Thursday

信じられない方へ。
左目をつぶって、右目のみで、下の☆を見てみましょう。
顔をパソコンのモニターに10cmくらいまで近づけます。
その後、☆を見続けながら、ゆっくりと顔をモニターから離していきましょう。
☆の右の方にある◎が見えなくなる位置があるのが分かりますか??

☆       ◎


ビックリしました??
ここで、お願いです。
40歳を過ぎたら、数年に一度でいいので眼科で検診をしましょう。
⊃祐屮疋奪などで、せっかく初期で見つかって、早期治療を始めることができた方は、とにかく通院・治療を続けましょう。


緑内障は自覚症状が出る時には末期です。もとに戻らない病気です。
「運転免許が通らなかった。」「歩きにくくなった。」など、見えなくなってから、病院にいっても、絶対にもとには戻りません。見えているうちから、治療を行って、将来不自由が起こらないようにする病気です。



うーん。ちょっと視野の事を書くだけでも、長い文章になってしまいますね・・・。文才がないのは自覚していますが、ご了承ください。
| 緑内障 | 20:54 | comments(0) | - |
緑内障ぁ(類
今日は以下の手術を行いました。
・眼瞼下垂+眼瞼内反症手術 1例
・白内障手術 5件
・緑内障手術(トラベクレクトミー) 1件
無事に終わっています。
眼瞼下垂+眼瞼内反症は若い患者様なのですが、他院で既に2回の手術歴があり、癒着が多いと大変だなぁと心配していましたが、まずまずキレイに出来ました。


今日も緑内障の話題で。
緑内障ぁ(類

緑内障とは、眼圧に関連して視神経が障害され、視野が狭くなる病気。と11月12日に記載しました。自分の持っている眼圧に、自分の視神経・網膜が耐えられない場合に進行していく病気です。
ただ、一口に「緑内障」といっても様々な種類があるのです。細かく分けたら数十種類も。例えば、日本で一番多いとされている緑内障は「正常眼圧緑内障」という緑内障です。

まず、大きな分類として、以下の3つに分けられます。
仝業性(げんぱつせい)
続発性(ぞくはつせい)
先天性(せんてんせい


仝業性緑内障
他に緑内障を発症するような病気のない、純粋な緑内障になります。最も多い病形で、医師に「緑内障ですよ。」と言われた場合は、ほとんどがこちらになります。

続発性緑内障
他の病気がもとにあって、それが影響して緑内障を発症するものです。目に炎症が出てしまうぶどう膜炎という病気や、外傷性の緑内障、ステロイドの薬を飲んでいる人がなるステロイド緑内障、糖尿病などが原因となる血管新生緑内障、甲状腺の病気や、白内障など水晶体に関連するもの、手術が原因となって発症する緑内障などもあります。続発性緑内障は上記の様々な原因が影響して、原発性に近い形をとる緑内障ですが、治療をするうえで、緑内障の治療以外に、もとの原因となる病気の治療を行うことも必要になります。

先天性緑内障
近年は正式には発達緑内障と呼ばれます。生まれつき、眼球構造の発達不良であったり、異常があるために起こる緑内障で、小児期〜若年期に発症します。目の異常のみでなく、染色体異常やホルモン異常など、全身的に重大な疾患と合併することがあります。


では、次の分類です。
A:閉塞隅角(へいそくぐうかく)
B:開放隅角(かいほうぐうかく)


以前のブログ(2011.11.07 Monday)で、目の中には房水と呼ばれる水が循環していることを書きました。

房水は毛様体(もうようたい)と呼ばれる組織で産生され、青矢印のように目の内部に流れていきます。そして、最終的に、赤矢印のように角膜と、水晶体の前方に位置する虹彩の付け根の部分から出ていきます。この房水の出口の部分を隅角(ぐうかく)と呼びます。
この隅角(房水の出口)が明らかに狭く、水の排出が悪くなっているのが「閉塞隅角緑内障」。一見、隅角(房水の出口)は狭くない、または広いのに排出が悪いものを「開放隅角緑内障」と呼びます。

赤矢印が隅角を指していますが、左側が閉塞隅角、右側が開放隅角になります。

開放隅角は出口が広いのに、房水の排出が悪く、眼圧が上がってしまうことがあるのですが、出口よりも先の房水の排出路の構造に問題があったり、細胞レベルなど、人間の目で認識できるレベルを超えて、流れを妨げる何かがある場合に起こります。
逆に言うと、閉塞隅角緑内障は、少し拡大して診察するだけで、医師(人間)の目で、明らかに出口の構造が狭いということが認識できる病態です。

開放隅角の、目に見えないレベルの異常がある場合には、治療法は、まずは点眼薬による治療を行うのが一般的です(人間の手を使った手技で、どうにか出来る大きさのレベルではない)。
ところが、閉塞隅角の場合には、人間が認識できる大きさのレベルで、出口が狭いので、手術やレーザー光線を使用して、出口を広くすることで、房水の流れを改善することが可能であり、治療の第一選択は外科的な手技になります。(以前は、サンピロという点眼薬で、出口を広げる方法がとられることが多くありましたが、副作用の問題などで、今はあまり行われません。)

*閉塞隅角緑内障で、手術等などで外科的に隅角を広げても、緑内障が残存する場合には、開放隅角緑内障も合併しており、混合緑内障と呼ばれます。この場合は、隅角を広げた後も、開放隅角として点眼薬などの治療が必要になります。


この2つの分類の組み合わせで、多くの緑内障を表現することができます。
例えば、
・原発性開放隅角緑内障
・続発性開放隅角緑内障
・続発性閉塞隅角緑内障 などになります。


正常眼圧緑内障
初めに、緑内障のなかで、もっとも多い病形だと書いたのが、この正常眼圧緑内障です。
実は、正常眼圧緑内障は、厳密には原発性開放隅角緑内障に分類されます。
緑内障は眼圧がいくつだから発症するとかではなく、自分の眼圧に、自分の視神経が押し負けてしまう場合に発生する病気です。みんなに比べて、視神経が弱い人がいたとして、その人の眼圧が10〜20mmHgと、正常値と言われている状態でも、神経が押しつぶされていく場合には緑内障となるのです。

緑内障という病気のことが、まだよく分かっていなかった時代に、「眼圧が高い=緑内障」という観念が先行してしまったようで、緑内障とは眼圧が20以上でなるものだ。と考えている人が多いようです。
本来は、眼圧が10だからとか、20だから、30だから病気だとか病気でない。と言うことではないのですが、現在の日本では一応、眼圧は10〜20mmHgを正常としています。

このような理由で、一応は、「眼圧が20未満で発症した緑内障を正常眼圧緑内障」と、定義されています。
実際には、緑内障とされる患者様の70%以上は、正常眼圧緑内障と圧倒的に多い病態です。緑内障の、ほとんどの患者様の眼圧が正常。というのも変な話なので、そろそろ、眼圧の正常値という呼び方とか、病名とか、大きく変える時代が来てもいいのでは??と思いますが、どうなのでしょう?


なるべく、簡単に、一般の患者様に分かりやすい解説を。と日々考えているのですが、特に今日はちょっと難しいですよね・・・。
分類という言葉自体、ちょっと表現が硬い。なかなか難しいです。
お付き合い頂きありがとうございます。
| 緑内障 | 22:44 | comments(0) | - |
緑内障 病態
昨日の網膜剥離の患者様は経過良好のようで、そうそうに退院出来そうです。アトピーがあったり、穴の数や剥がれた位置など、やや難しい手術で、少し不安だったのですが、良かったです拍手
ご自宅が遠く、通院が大変なので、一応週明けまでいて頂こうかと。


さて、ちょっと中断していた緑内障について。
緑内障 病態

目の中には血液の代わりに、栄養分に富んだ透明な液体(房水)が流れており、房水が入っているからこそ、眼球と言うボール(風船)は、丸く膨らんでいることができます。指で触ってみても、少し弾力・硬さがありますよね?
目の中に房水がたくさん入っていると眼球は硬くなり、少ないとやわらかくなります。この硬さ・弾力のことを眼圧として測定することを先日記載しました。(⇒2011.11.07 Monday11.08 Tuesday

緑内障とは、眼圧に関連して視神経が障害され、視野(見える範囲)が狭くなる病気です。
(難しいことまで書くと、目の奥の血流や視神経の構造など、眼圧以外の原因もいくつか推測され、偉い先生たちが日夜研究中ですが、現在の医学で確実な原因は眼圧のみとされています。)

眼球にとって、房水はなくてはならないものです。栄養分をいきわたらせる役割もありますし、何より房水がなければ、眼球というボールは丸く膨らんではいられません。ケガなどで眼球に穴があき、房水が流れ出てしまったら、目は文字通り小さくつぶれてしまいます。
房水が存在するおかげで、眼球の風船には内側から圧力がかかり(眼圧)、丸く膨らんでいる眼球ですが、光を感じ取る網膜や、網膜の束である視神経が、眼圧によって押しつぶされて、薄くなってしまう事があります。網膜・神経が薄くなった部分は徐々に見えにくくなっていくのですが、この状態を緑内障と呼びます。


房水によって内側から膨らむ力(眼圧)が働くと、


視神経が圧迫されて、光を感じ取る網膜(緑)が薄くなってしまいます。


血圧は収縮期で140未満が正常、140を超えるとが異常、高血圧と呼ばれますが、
実は、厳密な意味では眼圧に正常値はありません。
ただし、ある程度の目安として、一応は眼圧の正常値は10〜20mmHgとされています。

どちらかというと、眼圧は低い方が良いと考えてください。(0とか1とか、極端な低値は別ですが。)
例えば、
・眼圧が100とかあると、地球上の人間のほとんど全員が1日で失明に至ります。
・眼圧が50だと、視神経・網膜が弱い人は数日、丈夫な人は数ヶ月〜1年程度かけて失明します。
・眼圧が30だと、目の弱い人は数ヶ月で失明に至りますが、丈夫な人は一生涯まったく問題が起こらない人もいます。
・眼圧が20だと、多くの人は特に問題が起こりませんが、視神経や網膜が弱い人は、ゆっくりとですが失明していくこともあります。
・眼圧が6でも、非常にまれですが、視神経や網膜が押しつぶされていくこともあります。

つまり、眼圧が数字でいくつだから大丈夫、いくつだから駄目。というのではなくて、自分の持っている眼圧に、その人自身の視神経・網膜が耐えられるかどうかが問題なのです

ある人の視神経が16mmHgまで耐えられる神経であった場合に、その人の眼圧が12mmHgであれば、全く問題が起こりませんが、眼圧が19であれば少しづつ弱っていきます。眼圧が30であれば、より早く弱ってくという具合です。

ですので、眼圧の正常値である10〜20mmHgというのは、それくらいの人が多いという目安であって、その中に入っているから大丈夫ということもないですし、その中に入っていないから絶対に病気になるというわけでもありません。
(そうはいっても、眼圧が30も40もあれば緑内障になる確率は高いので、人間ドックで眼圧を測って、20以上の人をピックアップすることは、効率よく病的な人を見つけるのには役立っています。問題なのは、20以下だったから、緑内障にはならないと、安心してはいけないという事です。)
| 緑内障 | 20:42 | comments(0) | - |
緑内障◆ヾ祕気梁り方
今日の午後は県内のクリニックで手術をさせて頂きました。
白内障、難しい症例もいましたが無事に終わっています。

緑内障◆ヾ祕気梁り方

昨日、眼圧について記載しました。
・目の中のお水(房水)が多いと、眼球・ボールを内側から膨らまそうとするチカラが大きくなり、眼球が硬くなります⇒眼圧が高い。
・逆に、房水が少ないと、ボールはペコペコで、やわらかい状態に⇒眼圧が低い。

血圧の測定方法は、腕に血圧計を巻いて、空気で腕の血管を圧迫して、拍動する状態から測定します。

では、この眼圧はどうやって測るのかというと、
最近の眼科では、大きく2種類の方法で測定しています。

non contact tonometer(ノンコンタクト トノメーター)
略して「ノンコン」と呼ばれています。日本語では非接触式眼圧計。
空気を眼球に吹き付けて、眼球(角膜・黒目)の変形する様子から眼圧を測定します。

こんな器械に、顔を載せて、目を大きく開けて測定します。

器械が同じ量・風速の空気を目に吹き付けるのですが、
もしも、中にお水がいっぱいで、眼圧が高く、眼球が硬い場合には、眼球(角膜)の形は、あまり変化しません。


逆に、お水が少なくて、目が柔らかい場合には、眼球が大きく変形します(凹みます)。


ノンコンのメリットは、
・空気を吹き付けて測定し、眼球に直接触れないため、感染症などが起こりにくいこと。
・基本的に測定の精度には器械の力量が大きく、だれが検査をするかによって、測定の誤差が出にくいこと。
等があります。

デメリットは、
・空気を吹き付けられる場合に、恐怖感があったりなどで、力が入ったりすると、やや誤差が大きくなります。(最近の器械は、空気の量が非常に少なく、当院の最新型などでは、数年前のものよりも患者様の負担はとても少なくなっていますが。)


applanation tonometer(アプラネーション トノメーター)
略して「アプラ」とか、発案者の名で「ゴールドマン」などと呼ばれています。日本語では圧平式眼圧計。

こちらは、空気ではなく、実際に測定器を眼球(黒目・角膜)に押しつけて測定します。
麻酔の目薬をつけて、下のようなスリットランプと呼ばれる目の表面の観察装置を使います。(スリットランプについては、以前のブログを;2011.10.19 Wednesday)

この青く光る部分を目に押しつけます。

医師の側からは、こんな感じで見えます。

測定原理はノンコンと同じような感じで、器械を押しつけて、目の凹みぐらいから眼圧を推測します。(眼圧が高ければ、あまり凹まない。)

アプラのメリットは、
・きちんと測れれば、誤差が少ない。

デメリットは、
・直接、目に触れるので、感染症の原因になったり、測定時に黒目にキズが付くリスクがあります。
・青い光がまぶしい。
・医師が測定しますが、担当医の力量や、クセなど、測定する人によって誤差が生まれる可能性があります。


どちらの方法にしても、患者さんにとっては、空気が不快だったり、まぶしかったり、あまり気分のいい検査ではないようです。ただ、眼科ではとても重要な検査ですので、ご協力を頂ければと思います。


注)
上記の測定は、目の硬さから、目の内部の圧力を推測する方法です。
実際に眼球に針などを入れて、内部の圧力を測定するわけではないので、あくまで推測値になってしまうのですが、診察のたびに手術のように眼球内に器械を入れるわけにはいきませんので。
これらの方法では、眼内の房水による圧力以外にも、眼球のボール自体の厚さや、硬さ(剛性)も、測定値に影響します。例えば、同じ大きさの、やわらかいゴムボールと、硬いプラスチックのボールに、同じ量のお水の入れても、触った時の硬さは異なりますよね?
例えば、高齢になると、組織が硬くなるため、おなじお水の量であれば、少し眼圧が高くなるようです。他には、レーシックなどの近視矯正手術を行って、角膜が薄くなっていると、同じ眼圧でも、眼球がやわらかくなるため、眼圧の測定値はやや小さい値が表示されます。(最近は、手術をする施設も増えてきましたが、以前は緑内障の人はレーシックはできない。と言われていたのは、こんな理由もあるのです。)


今日もお付き合い頂き、ありがとうございました。
当院も緑内障の患者様がどんどん増えていますが、少しでもお役にたてれば。
| 緑内障 | 23:22 | comments(0) | - |
緑内障 ヾ祕
今日のお昼は白内障手術が6件。無事に終わりました!

今日からは、失明の原因第一位、眼科の重大な病期について書いてみます!

緑内障 ヾ祕

手の先、つま先、体のほとんどの部位では、血液が栄養分を運ぶ役割を果たしています。では、眼球の中はどうでしょう?
もしも目の中に赤い血液が流れていたら、光が通らないので、物を見ることができません。


目の中では透明なお水が循環することで、栄養分を隅々いきわたらせる。なんてことを行っています。


少し具体的には、図の茶色の組織(毛様帯)と呼ばれる組織から、

血液の中から必要な、栄養分の高いお水だけをろ過して、水色の矢印のようにお水が出てきます。実際にはお水は目の中全てを埋め尽くすわけではなく(一番広い部分には硝子体がありますので)、図のようなルートで、特に水晶体(レンズ)の周りをまわって栄養分を届け、赤矢印、黒目(左側)の方に回って、瞳孔(虹彩)の付け根のあたりの出口(隅角)からいく。という循環を繰り返しています。

この目の中を流れるお水の事を「房水:ぼうすい」と呼びます。
目の中に、房水が入っているからこそ、眼球(ボール)は、丸く膨らみ、触ったり押したりすると、一定の硬さ・弾力があります。この弾力・硬さが
眼圧(がんあつ)なのです。

目の中に房水が多いと、眼球のボールを内側から膨らませる力が大きくなり、外から触ると、パンパンで、硬く感じます。このような状態を、「眼圧が高い」。

逆に、目の中の房水が少ないと、眼球のボールはペコペコ、やわらかい状態となり、このような状態を「眼圧が低い」と表現します。

今日はここまで。お休みなさい。
| 緑内障 | 23:50 | comments(0) | - |
緑内障手術
今日は以下の手術を行いました。
・白内障手術 4件
・眼瞼内反症手術 2件
キレイに終わっています。


先週末に緊急で緑内障手術をした患者様は、翌日より眼圧が15〜20程度で落ち着いており、今のところ、経過良好です。
ただし、まだまだ安心はできません。
実は、緑内障手術の成否は手術のみで決まるのではなく、術後の処置に大きな役割があります。手術半分、術後の処置が半分です。

緑内障手術◆覆蠅腓ないしょうしゅじゅつ)

緑内障の手術は、目の中に溢れた水(房水:ぼうすい)を、目に穴を開けて水を外に流す手術です。水が外に逃げる分、目の中の水が少なくなり、目の中の圧力が下がります。
穴をあける、あけ方は、術者の好みや症例によって異なりますが、だいたいは3〜4mm程度の四角や三角のキズを作ります。

ここで、ちょっと別の話ですが、
もしも、間違えて手の平に釘を刺してしまうとします。貫通した釘を抜いて、多少出血したり、キズが膿んだりはしても、結局はキズは閉じて治ってしまいますよね?女性が耳にピアスを開けても、きちんと管理しないと穴がふさがってしまうと思います。

緑内障の傷口も、同じようなもので、キズを作ってほっておくと、キズが閉じてしまい、手術をした意味がなくなってしまうのです。
では、キズを大きく作って、水をじゃじゃ漏れにしたらどうでしょう??実は、それも駄目なんです。水が少なすぎてしまうと、目はしぼんでしまって、眼球の形状(球)が保てなくなってしまいます。(医学的な表現ではありません。専門的にはそれ以前に、様々な問題が起こります。)

ボールがしぼまない程度に、ゆっくりと、少しだけ水が流れて、かつ、目の中に水が多くなりすぎないように。といった、なかなか難しい感じなんです。

具体的に、良いキズを作って、良い眼圧にするには、
―口に癒着防止剤を使います。近年は緑内障手術を行うときに、使わない先生はいない。とったほどあたり前の事です。抗がん剤の一種で、一定の濃度に薄めたものを、手術の時に3分程度塗りこみます。
⊇儻紊亡祕気高い場合⇒傷口を押して、開く(マッサージ)をしたり、わざと多めに傷口を縫っておくのですが、眼圧に応じて、縫った糸をレーザー光線で溶かして切ってしまう。なんてことをします。
術後に眼圧が低い場合⇒傷口を安静に保つために眼帯をしたり、あまりに水の漏れが多い場合には、傷口を縫いなおしたりします。

このようなことを行いながら、だいたい1週間〜2週間くらいすると、傷口の大きさなどが一定化して、眼圧も落ち着いて行きます。

ケガをした場合に、早く治る人、なかなかキズが治らない人、いろいろいますよね??
緑内障の傷口も、癒着が強く、すぐにキズが閉じて眼圧が上がってしまう人や、なかなか癒着が起こらず、眼圧が下がり過ぎてしまう人等がいます。
もちろん、僕たちもプロですので、手術の時にも、緑内障の種類や、目の状態、年齢、血管が多いかどうかなど、様々なことを考えてます。例えば、癒着防止剤を3分でなく、長くしたり短くしたり調節をしたり、キズを多めに縫ったり、少なめに縫ったり。
ただし、そういった手術のみの技術ではなく、術後に毎日行う処置で、出来るだけ、目標にした眼圧に近づけていくことが、緑内障の手術ではとっても重要です。術後の管理も腕の見せ所なのですグッド


先週末に手術をした患者様です。

矢印で囲んだ部分に水が溜まって、プックリしています。最終的には眼圧を10程度に落ち着かせたいので、本来なら今日はレーザー光線で傷口の糸を切って、水の出口(傷口)をもう少し開くところです。
ただし、この患者様は目の奥に水晶体が落下しており、それ取り除く手術を明日行うので、今日は様子を見ることとなりました。

実は反対目も全然見えないのですが、

こんな感じ。黒目の中央、白内障でかなり真っ白に濁っています。
瞳孔を広げる薬を使っているのに、ほとんど開かず、またレンズの支えが弱いようで、目の中でレンズ(白内障)がグラグラ動いています。
明日、両眼の手術を行うのですが、結構大変そうです。
頑張るぞグー

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 鉾田市)
| 緑内障 | 21:34 | comments(0) | - |
緑内障手術
昨日に引き続き、またまた水晶体脱臼後の急性緑内障です。
(昨日の方は、レンズがないので、ピントが合わず、視力はまだ不良ですが、その他の経過はとても良好です。後日新しいレンズを挿入すれば良く見えるようになりそうです。)

今回は、もともと片目が見えない、80代男性の患者様で、数日前から良かった方の目が見えなくなったと、当院には初めていらっしゃいました。
両眼ともに、光触弁(こうかくべん)と呼ばれる視力で、メガネをかけても光が分かるか分からないかという状態です。

本来、水晶体は図のように、目の中では黒目に近い方(前の方に)位置します。図では白い楕円が水晶体です。ケガでぶつけた場合や、もともとレンズを支える組織が弱いと、このレンズが図の青い楕円のように目の奥方に落ちてしまう事があります。レンズが落ちてしまうと、光を曲げる(屈折)する力がなくなり、ピントが全く合わないために、ほとんど見えなくなります。
ただし、レンズが落ちただけであれば、数日とか、そう急がなくても、レンズが眼の奥の方の組織を傷つける前に取り出して、新しいレンズを入れることで、そう難しくなく、かなり回復します。

今回は、昨日の患者様と同様で、レンズがずれたことにより、目の中を循環する水(房水:ぼうすい)の流れに変動が生じ、または、各種の炎症や癒着により、水の排出口が狭くなってしまいました。目の中で出口を失った水が溢れかえり、目の中は大量の水で圧力(眼圧)が高まっています。
正常の眼圧は10〜20くらいなのですが、今日の患者様は眼圧60以上と、かなり高くなっており、このままでは早々に失明してしまいます。

朝に初診でいらして、眼圧を下げる作用をもつ目薬や、点滴を行いましたが、夕方の手術直前でも、眼圧は70です。とても週明けまでもつとは思えませんので、先ほど、とりあえずは、眼圧を下げる手術(緑内障手術)を行いました。

緑内障手術(りょくないしょうしゅじゅつ)
緑内障の手術とは、簡単にいうと、「目に穴を開けて、中の水を外に逃がしてあげる手術」です。
本来の水の流れ道が上手く働かず、水が溢れてしまう分を、別に水の抜け道を作って、目の外に逃がしてあげます。

本日の手術です。

まず、白目(強膜)の上を覆っている結膜という粘膜の一部を、ハサミできって、剥がします。

すると、白目(強膜)が露出します。この白目の組織をメスなどで切って、水の通り道を作ります。(赤矢印)

黒目(角膜)に近い部分で、白目の一部を完全に切除し、眼球に穴を開けます。

ただ穴をあけただけでは、水がどんどん漏れてしまうので、水の出ていく量をコントロールしやすくするために、せっかく作った穴ですが、髪の毛よりずっと細い糸で、数か所縫って行きます。目の中の水がゆっくり、じわっと、縫い目の隙間から出てくるようにします。

最後は、一度剥がした結膜を、元の位置に縫いつけます。
手術終了時の写真です。

目の内側から、白目の穴を通過して、外に出た水(房水)は、白目(強膜)と結膜の間に溜まります。写真でみると、青矢印で囲んだ部分が、プックリと膨らんでいるのが分かりますか?ここに水が溜まっています。この水はゆっくりと血流にのって吸収されていきます。結膜の外にまで漏れだすわけではないので、涙のようにポロポロと目から出ていくわけではありません。(穴の作り方や、糸の縫い方などには、様々なやり方があって、術者の好みや、個々の患者様の症例によっても変わります。当院では、上記のような手術が多いのですが、例えば、写真の緑矢印の部分には、接着剤(糊)のようなものを使うなど、いろいろ工夫をしています。)

今日、ちょうど視野検査で外来にきた別の患者様、I様の写真です。

緑矢印で囲んだ部分がプックリと膨れています。青矢印の部分に白目の四角いキズがうっすらと透けて見えます。1年以上前に手術した方ですが、現在も眼圧は7mmHg程度と良好です。


こんな感じで、手術は問題なく25分程度(助手なし)で終わりましたが、この患者様はまだまだ見えるようにはなりません・・・冷や汗
今日は、とにかく状態が悪く、ひとまず眼圧を下げる手術だけを緊急で行ったのですが、目の中には、いまだに落下した水晶体が残っていますし、新しいレンズも縫いつけなくてはいけません。
(眼圧が高いと、黒目・角膜が濁ってしまい、目の中をのぞくことが困難です。目の奥の方まで手術をするのは危険なので、今日全てを行うのはリスクが高すぎます。)
とりあえず、超緊急の状態は脱したのですが、週が明けてから、今回のキズに負担がかからないように、目の奥にあるレンズを取り出して、新しいレンズをいれる。
どこから、キズを作って、どうレンズを取り出すか。なかなか難しそうです。週末に作戦会議を開かなくては汗

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 鉾田市)
| 緑内障 | 18:25 | comments(0) | - |
SLTレーザー(緑内障)
今日は、9名の患者様の手術を行いました。
・白内障手術 8件
・翼状片手術 1件
・緑内障手術 1件(血管新生緑内障)
・網膜硝子体手術 1件(黄斑前膜)

緑内障手術の方は糖尿病の末期などにおこる緑内障で、重篤な疾患です。2年前に糖尿病網膜症で硝子体手術を行い、落ち着いた状態でしたが、今回、血管新生緑内障を発症してしまいました。
昔は手術成績が悪いことで知られた疾患ですが、最近はアバスチンというホルモンをコントロールする薬を併用することが多く、成績が良くなってきています。本日の患者様もきっと大丈夫だと信じています。信じたい。


今日は、緑内障の治療についてです。
急性緑内障発作などの稀な症例を除き、緑内障の治療には現在は一般的に4種類程度が行われています。

‥栖稾:もっともポピュラーな治療で、ほとんど全員の患者様に使用されます。房水と呼ばれる目の中を流れる水の産生を減らしたり、出口からの排出を増加させる作用があります。点眼薬の副作用や、毎日の点眼薬が面倒といったことはありますが、治療の中では効果、安全面や経済的にも、まず第一に検討させる治療です。

白内障手術:閉塞隅角緑内障という病気では効果が大きく、また、他の緑内障や、普通の人でも白内障の手術後には眼圧が1〜2程度下がることが多くあります。

N估眈禺蟒:本日行った手術ですが、リスクなども大きく、点眼薬や他の治療を行っても、どうにもならない患者様が適応になります。

他に、内服薬などもありますが、飲み薬ですので全身的な副作用もあり、手術後の短期間などに使用されます。特殊な状態や、他の病気で手術ができない場合などをのぞき、終了時が見えない場合には手術などを検討すべきと思います。

SLTレーザー:比較的新しい治療で、房水と呼ばれる目の中を流れる水の出口付近にレーザーを照射する治療です。房水の排泄がよくなり眼圧を下げる効果があります。点眼薬を使用しても眼圧が下がらない場合や、副作用などで点眼薬が使用できない場合、毎日の点眼が面倒だという場合などに行います。

4月7日に初診となり、SLTレーザーを施行した、76歳男性の患者様が本日再診となりました。
この患者様は他の眼科様にかかりつけで、水晶体嚢性緑内障(PE緑内障)と呼ばれる緑内障です。点眼薬を4種類使用しても眼圧が32mmHg(正常10〜20)と高値であり、手術をすすめられていると、セカンドオピニオンとして当院を受診されました。
手術は出来る限り受けたくないとのことで、4月7日にSLTレーザーを行いましたが、本日の眼圧は17mmHgと正常値まで低下しておりました。非常に喜んで頂き、よかったです。

医学の進歩は非常に早く、様々な治療法が日々開発されています。
点眼薬を使用しているのに、眼圧のコントロールがつかない患者様や、緑内障が悪化している患者様は、一度当院を受診して頂ければと思います。
当院では、緑内障の各治療のメリット・デメリットをパンフレットとして作成し、患者様と出来る限り相談して治療法を選ぶようにしています。

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 鉾田市)
| 緑内障 | 17:10 | comments(0) | - |
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