午前中は小美玉市医療センターで外来です。
今日は92歳の男性が、転んでしまったと来院されました。
お顔は内出血で腫れあがり、原型がないような状態でしたが、幸いにも眼球自体は無事で、白内障の手術後ですが、視力も矯正1.0と年齢的には優秀でした。
ところが診察をすすめると、残念ながら、左眼に眼窩底骨折が起こっていることが分かりました。
眼窩底骨折(がんかていこっせつ;blowout flacture)
頭蓋骨の目の部分がくぼんだ形になっているのは、みなさん、マンガなどでも見たことがあるかと思います。この部位を眼窩と呼びます。
そのくぼみ(眼窩)に、眼球や眼球を動かすための筋肉、クッションの役割を果たす脂肪などが収納されています。
ボクシングや外傷などで、眼球に打撲が与えられた場合に、眼窩を形成する骨の壁が折れてしまうのが、眼窩底骨折になります。
強い圧がかかった場合に、眼球が破裂してしまうよりは、眼窩の骨が破れて、眼球が押し込まれるようにすることで、被害を軽減する役割があるともいわれています。
眼窩底骨折を起こすと、骨折の程度や筋肉との状況によって、目の位置がずれてしまったり、目の動きが悪くなってしまい、右目と左目の目線が合わずに、物が2重に見えてしまう場合があります。(復視や斜視と言われます)
本日の患者様は、左眼の眼窩の下の壁が骨折してしまい、左目が全く上を向けなくなってしまっている状況で、復視を発症してしまいました。
眼窩底骨折の治療は全身麻酔で、骨折や周囲の筋肉を整復(元に戻す)する事なのですが、本日の患者様は92歳と高齢で、全身麻酔の御負担が難しい状態でしたので、局所麻酔で行いました。
思ったより出血が多くなってしまったりと、大変でしたが、かなりよい感じで整復出来たと思います。明日が楽しみです。
その患者様は耳が不自由なため、筆談で説明するのですが、とても不安が大きかったのではないかと思います。また、局所麻酔で、かなり痛みのある手術だと思いますが、微動だにせず、じっと耐えており、辛抱強い患者様だと感心しました。
眼窩底骨折も、やや緊急性のある病気で、組織の癒着が起こる前に手術をしたほうが成績がいいことがわかっています。このため、本日はそのまま手術となりましたが、なかには、外傷後の組織の腫れが治っていくと、手術をしなくてもすむ症例もあります。担当医とよく御相談下さい。
本日は眼科のみでの対応となりましたが、骨折の程度が広い場合などは、当院の歯科口腔外科の医師と共同で全身麻酔手術が可能です。目をぶつけた後に、物が2重に見える場合はぜひ御相談下さい。
白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 鉾田市)