金曜日の午後は特殊外来です。視野検査や蛍光造影検査以外に以下のような治療を行いました。
・鼻涙管閉塞症(涙目)に対するNS-チューブ 1件
・網膜光凝固術(レーザー治療)5件
(糖尿病網膜症4件、網膜中心動脈分枝閉塞症1件)
・後発白内障手術(YAGレーザー)1件
・トリアムシノロン注射 1件(静脈閉塞の黄斑浮腫)
・アバスチン注射 2件(糖尿病黄斑症)
・ルセンティス注射 2件(加齢黄斑変性症)
錐体ジストロフィー(すいたいじすとろふぃー)
昨日、網膜色素変性症(杆体錐体ジストロフィー)について記載したのですが、本日、さらに稀な錐体ジストロフィーの診断をしました。僕は珍しい疾患や重度な疾患を担当することが比較的多い方だと思いますが、錐体ジストロフィーを診断するのは、年に2?3名程度です。
網膜の視細胞には、明るさや周辺視野を担当する杆体(かんたい)、中心視野や視力、色覚などを担当する錐体(すいたい)があります。
網膜色素変性症では杆体から障害されることが多いのですが、錐体ジストロフィーでは逆に錐体を中心に機能が低下します。中心部の視野・視力・色覚が失われていきますので、自覚症状も非常に強く、日常生活での不自由がとても大きな疾患です。やはり、治療法は確立されておらず、経過観察やロービジョンケアでの対応となります。
本日の患者様は50代男性の患者様です。
中心部の障害が強いため、視力は眼鏡をかけても両眼0.1程度と不良です。
石原式色覚検査(昔、学校の検診で良く使われたやつです。みたことあるでしょうか?)では、全てのページが解読不可能でした。
昨日の写真では、周辺部の網膜に変化が強かったですが、本日は黄斑(写真の中心よりやや右下の部分;物をみる中心の網膜です)付近の網膜に異常があります。まだらで、ざらざらとした印象が分かるでしょうか?
造影検査での写真では、弱くなった部位が白くうつりますが、やはり中心部の網膜に異常を認めます。
視野検査です。中心部の視野が欠損したり見えにくくなっています。網膜色素変性症では、中心視野が最後まで残りやすく、運転免許証更新の問題は末期になるまでないのですが、錐体ジストロフィーでは中心部から見えにくくなり、視力が低下するために、免許証の更新がかなり早期から難しくなります。
網膜電図(ERG)です。bright flashといって杆体の機能を強く表す検査の方法です。網膜色素変性症ではこの検査がまっ平らになるのが特徴です。今回は杆体の機能はそれなりにあります。(波形あり)
同じくERGです。30Hz flickerと言って、錐体の機能を強く表す測定法ですが、今回の錐体ジストロフィーでは波形が平らになってしまっています。
白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
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