眼窩脂肪ヘルニア(脂肪脱)?

今日は以下の手術を行いました。
・白内障手術 7件
・眼瞼下垂症手術 6件(CO2レーザー)
・緑内障手術 2件(エクスプレスシャント1件、隅角解離1件)
・網膜硝子体手術(茎離断)2件
(黄斑前膜1件、糖尿病網膜症による硝子体出血1件)
みなさん無事に終わりました。
眼瞼下垂を行った方のうち、2名は今夜の時点で喜んで頂けました。電話でですが「嬉しかったので顔の写真を撮ったよ。」というお答えを頂きました。僕も嬉しいです。CO2レーザーは本当にいい機械です。

さて、先週書いた、脂肪脱の続きでも。
眼窩脂肪ヘルニア(脂肪脱)?

こんな感じで、目の外側の上の方に、眼球後方の脂肪組織がプリッと出てきてしまう病気です。

症状は、ゴロゴロなどの異物感や、あまりに大きいと外側の視界を遮ぎられる。などがあります。あとは、見た目(整容面)の問題で治療をご希望される場合も多いようです。

手術:脂肪ヘルニア切除
目薬で治ったら楽ですが、残念ながら現在は手術以外の治療法はありません。

まず、仰向けに寝て、目薬の麻酔を行い、消毒を行います。

仰向けに寝ると、重力で、プックリ出ていたヘルニアが小さく見えたりします。
脂肪ヘルニアは、結膜という粘膜やテノン嚢と呼ばれる結合組織で包まれています。まずは、ハサミで結膜やテノン嚢をチョキチョキ切って、摘出する脂肪ヘルニアを露出させます。
(CO2レーザーで行う治療も流行っていますが、当院では水色矢印のように切開部を軽くバイポーラで焼いてから、ハサミで切開しています。もしレーザーが脂肪に直接届いてしまったらと思うと、ちょっと怖くて・・・。)


緑矢印が脂肪ヘルニアです。周りの組織からヘルニア組織のみを丁寧に剥離していきます。


剥離・露出させた脂肪組織の根元を糸で縛り、縛った手前の組織はハサミでチョッキンと切ってしまいます。


縛った糸から向こう側の組織を、眼球の奥へ押し込むと、最初から何もなかったかのようにキレイに。

このまま手術を終えると、再度、脂肪が前に出てきてしまう(再発)ことがあるようで、

テノンと呼ばれる結合組織を、白目(強膜)に縫いつけて、脂肪が前に移動する隙間を閉じてしまいます。そして、最初に開いた結膜のキズを糸で縫ったら終わりです。
(手術方法は教科書や病院によって様々です。再発することがあり、みんな様々な術式を考えているようです。そう再発するものではないのですけどね。)


手術翌日は出血による赤身が目立ちますが、

2週間後にはかなりキレイなります。

目薬による麻酔で、だいたい片目が10分?15分程度の手術です。
両眼に出来ていることが多く、通常当院では日帰りで同時に行っています。
洗顔は翌日から可能です。

費用は少し変なのですが、
手術件数などで施設基準というものを満たすと、表在性眼窩腫瘍切除(価格高い)、基準を満たしていない施設では、結膜嚢形成手術(価格安い)という術式で請求されることが多く、病院によって多少の差が出るようです。
当院では、残念ながら少し高い方・・・。
ただし、70歳以上で日帰りの場合には高額医療費という制度に該当し、両眼で12000円となります。

眼窩脂肪ヘルニア(脂肪脱)?

今日の午後は以下の手術を行いました。
・翼状片手術(遊離弁移植)1件
・斜視手術(前後転)1件
・白内障手術 12件
・網膜硝子体手術(茎離断)2件
 (裂孔原生網膜剥離:重症、黄斑前膜)
無事に終わりましたが、網膜剥離の方は古い全剥離で、網膜全周切開+シリコンオイル置換という大変な術式となりました。

さて、新しい話題でも。
眼窩脂肪ヘルニア(脂肪脱)?
ヘルニアとは、体内の臓器が、本来あるべき場所からズレてしまった状態を言います。
・脊椎の椎間板がズレると、椎間板ヘルニア。首なら頸椎ヘルニア、腰なら腰椎ヘルニアとか。僕は頸椎ヘルニアで困っています・・・。
・足の付け根の靭帯が弱って、隙間から腸がプリンっと出てきてしまう、ヘルニアも有名でしょうか?脱腸(だっちょう)とも呼ばれます。

眼窩脂肪ヘルニアは、その名前の通り、眼窩(眼球の後方)にあるべき脂肪が、移動して、目の前の方に出てきてしまう病気です。

ピンク矢印の先に、プックリとした柔らかい膨らみがあります。これが脂肪ヘルニアです。

眼窩脂肪
眼窩(がんか)とは、眼球が入る頭蓋骨のくぼみのことです。
(眼窩底骨折のサンプル)
ドクロって、目が入るところがくぼんでいますよね??
この眼窩の中に、眼球(目玉)や、外眼筋(がいがんきん)と呼ばれる眼球を動かす筋肉、血管や神経などが入っています。他に、眼球の後ろ側のスペースや筋肉の隙間は、脂肪で満たされていますが、この脂肪の事を眼窩脂肪と呼びます。眼窩脂肪は、眼球をぶつけた時にクッションの役割する事などをして役立ちます。

MRIですが、中央左にある白い丸が眼球。その後ろ、写真の右側に筋肉や脂肪が写っています。イメージ図の方がいいかな?

・赤矢印の先が外眼筋。外眼筋は大きなものが、上下右左の4つ、他に斜めに働く小さめのものが2つで、合計6つの筋肉が眼窩の中におさめられています。
・緑矢印の先の黄色い部分が眼窩脂肪です。眼窩脂肪ヘルニアは脂肪が青矢印の方に、眼球の前の方に出てきてします病気です。

原因は、strong>ほとんどが加齢・年齢によるものです。
本来眼窩の中は、眼球や筋肉、筋膜(靭帯)などでギュウギュウに埋められているのですが、筋肉や靭帯が加齢によってやせ細って、眼窩に隙間ができ、その隙間から、本来眼球よりも後ろ側にあるべき眼窩脂肪が、眼球の前の方に出てきてしまうのです。

同じ人の左右の目では、眼窩の形状や眼球の大きさ、外眼筋などに大きな違いがあることは少ないので、両眼性になる場合が多いようです。

治療法などは別の機会に。今日もお読み頂きありがとうございました。

眼窩脂肪ヘルニア(脂肪脱)

今日は午前の外来が56名でした。
午後は手術です。
・白内障手術 9件
・結膜弛緩症手術 1件
・眼窩脂肪ヘルニア除去 1件
・網膜硝子体手術 2件
(増殖糖尿病網膜症・網膜中心静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫)
みなさん無事に終わりました。

今日は、先ほど手術をした眼窩脂肪ヘルニア(脂肪脱)の記載です。
眼窩脂肪ヘルニア(脂肪脱)(がんかしぼうへるにあ・しぼうだつ)

ヘルニアとは、組織があるべき場所からずれてしまう事を言います。
腰椎椎間板ヘルニアや、頸椎ヘルニアは、背骨の椎間板などがずれてしまう病気です。
脱腸や、ソケイヘルニア、臍ヘルニアと呼ばれる、腸が体の外に出てきてしまうようなヘルニアも有名です。

眼窩脂肪ヘルニアは、眼球の後ろ側に位置しているはずの脂肪組織が、前の方に出てきてしまう、加齢性の病気です。
眼球は眼窩と呼ばれる、頭蓋骨のくぼみに埋まっていますが、眼窩には眼球以外に目を動かす筋肉や、脂肪があります。眼球の後方に位置する脂肪には、例えば殴られたりした場合に、クッションの役割をして眼球の衝撃を和らげるなどの機能があります。
主に加齢によって、眼窩の中にある筋肉や靭帯が弱くなってきた場合に、本来は眼球の後ろ側にあるはずの脂肪の組織(眼窩脂肪)が、弱くなった隙間から目の前の方に出てきてしまうと、眼窩脂肪ヘルニアと呼ばれます。


本日、手術をした男性の患者様です。
右目ですが、写真の黒目の左側(外側)のプックリしている部分が脂肪ヘルニアです。
脂肪ヘルニアでは、失明をするなど重篤な障害を起こすことはありません。
ただし、大きくなってくると、ゴロゴロ痛みの原因になったり、視野にかかると見えにくいと感じたり、そして見栄えが悪いというのがあり、ご希望があれば手術で切除します。
点眼薬による麻酔と、場合によっては少量の注射を行います。
いろいろな術式がありますが、当院ではタコ縛り?と呼ばれている方法で、出来るだけ再発が起こらないように努めています。
外来手術で、だいたい15分程度の手術です。

眼窩脂肪ヘルニアがあっても、痛みもなく、見栄えなども気にしない場合には、手術を行う必要はありません。

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 鉾田市)