黄斑円孔? 手術動画

今日は以下の手術がありました。
白内障17件、緑内障2件、網膜硝子体2件、眼瞼内反症1件
みなさん無事に終わってなによりです。

今日は、先週後半に黄斑円孔で外来手術をさせて頂いた60代後半の女性の患者様が来院されました。本来、黄斑円孔の手術後は2日程度のうつ伏せが必要で、数日は入院して頂く方が安全と思います。今回残念ながら入院ベットが満床のために、外来手術となってしまった患者様です。術後に黄斑円孔が閉じているか少し不安でしたが、今日の診察では経過良好で、きちんと黄斑円孔も閉鎖していました。ご本人もすでに視力が回復傾向でしたので、満足して頂きました。
経過良好でよい雰囲気だったので、「手術ビデオの公開」をお願いしてみたところ、OKとのこと。本当にありがとうございます。
全員がインターネットを見るわけではありませんが、手術前の説明時にネットでビデオが見られることをお伝えすると、わかりやすいと喜んで頂ける場合も多いようです。
公開にご協力頂いた患者様方には、本当に感謝しています。

黄斑円孔手術動画←クリック

簡単に説明すると、
0秒?30秒:麻酔の注射
30秒?4分30秒:白内障手術
 (50歳以上では多くの場合で同時に治します)
4分30秒?5分30秒:硝子体手術の創口作成
5分30秒?12分30秒:硝子体の郭清
 (9分30秒:内境界膜の染色)
12分30秒?13分45秒:内境界膜剥離
13分45秒?16分15秒:空気置換
16分15秒?16分51秒:閉創
といった具合です。

黄斑円孔? 手術後の回復・見え方

今日のお昼は以下の手術を行いました。
・白内障手術 5件
・涙小管形成手術(涙小管断裂)1件
無事に終わりました。

黄斑円孔、今日で?ですが、そろそろ終わりです。
黄斑円孔? 手術後の回復・見え方
黄斑円孔の手術に関しては、?で記載しましたが、簡単におさらいすると、目の中に器械をいれて、内境界膜という網膜の表層の膜を剥離し、網膜を柔らかくします。その後、目の中に空気を入れてうつ伏せをすることで、円孔の周囲の網膜を浮力で引き寄せて、穴を閉じる。という方法です。

ここで重要なのですが、手術は、
なくなってしまった中心部(黄斑部)の網膜を元に戻すのではありません。
周りの網膜を引き寄せて、穴を閉じ、中心部の網膜の代役をさせるのです。

イメージ図にしてみると、

?正常な網膜です。中心部の赤い部分の網膜には、物を見るための視細胞が沢山集まっています。その周りの青にも、視細胞がありますが、赤に比べると数が少なくなります。緑はさらに見え方が落ちる部位です。
?黄斑円孔で、赤の部分の網膜が硝子体に引っ張られて断裂し、無くなってしまうと、視野の中心部が欠損、見たい部分が見えなくなってしまいます。
?手術の効果で、青や緑の網膜を中心部に引き寄せます。
?青の部分の網膜が、視野の中心部の視界を担うようになります。

僕たち眼科医の感覚では、穴が閉じることを治癒「病気が治った」と表現しますが、これは「全く元の状態に戻った。」という訳ではありません
赤に比べて、青の網膜は、視細胞の数も能力も乏しくなります。この青の網膜が中心部の見え方を担当するようになるので、どんなに回復しても「視力が悪い」、「感度が悪い」、「少し暗く見える」などが残り、完全に元通りという事はあり得ないのです
また、中心部にギュッと網膜を引き寄せた感じになるために、基本的には「ゆがむ」「物が小さく見える」などの症状も残ります。

青に比べて、緑はさらに感度が悪いのですが、黄斑円孔の穴が大きく、青の部分まで無くなってしまった症例では、緑が中心部の役割を担うために、さらに後遺症が大きく残ります。
⇒手術前の穴が、大きければ大きいほど術後の回復が悪く、穴が小さければ小さいほど良好な回復が得られます

完全に元に戻らない。なんていうと、ガッカリしてしまいますが、黄斑円孔は手術直後に見え方が悪くても、数ヶ月?半年程度は改善傾向になることも多いので、術直後の見え方だけで落ち込む必要はありません。
例えば、右利きの人が、事故で右手を失った場合に、全く同じとは行かなくても、長い期間のリハビリによって、左手を右手の代わりに使えるようになると思います。
同じように、最も重要な黄斑の網膜(赤)がなくなって、その周りの網膜(青)が中心部の代役を担うようになって、何ヶ月も経つと、脳が映像を補正するなどして、青の部分の網膜があたかも赤の部分のように働けるようになる場合もあります。
こういう反応って、器用・不器用などの個人差も大きいのですが、年齢も重要です。一般的に年齢が若い時の方が回復がよいようです。10代で右手を失っても、左手を利き手として、あまり不自由なく生活ができるようになる人が多いと思いますが、80代で利き手を失ってしまった場合に、反対の手でいろいろな仕事を行えるようになるのは大変なことです。
⇒年齢が若い患者様のほうが良好な回復が得られます

黄斑円孔の手術後の回復の程度や見え方は、円孔の大きさや、発症からの時間、年齢など、様々なものが関与するため、一概には言えないのですが、完全な元通りを期待するものではないことはご理解下さい。
僕は手術の前から上記のような説明をして、「元通りにはならないですよ。」と数回お伝えしてから手術をするのですが、黄斑円孔ってなかなか理解が難しいようで、手術後1週間とか2週間とかで、手術前よりも視力の数値が改善していても「まだあまり見えないけど、いつころ元に戻るの?」「中心部がゆがんで見えにくい」「中心が少しくらいけど」といった質問を多々受けます。
「だから、完全に元には戻らないって、何度も言ってますよね?」って、ちょっと凹んでしまいます。僕の説明がまだまだ分かりにくいのかな・・・。

逆に、早期に手術ができて、視力が1.0以上に回復する症例も多々あり、「私は手術後に全く不満がなく、完璧に治った。」と喜んでくれる方もいますが、これは正確な話ではなくて、その方は症状に疎いというか、多少のゆがみなどは気にしなかったり、気が付きにくいだけなのです。まぁ、医師としては喜んでもらえたほうがうれしいのですが、そういった意見を待合室で耳にしてしまうと、「あっちの人は治ったのに、私は治ってない。」というクレームの元になってしまうのが難しいところです。

なんだか、よく分からない話なってしまいましたが、
基本的には黄斑円孔の手術を行って穴が閉じれば、
・病気が極端に古いとかでなければ、視力がある程度は改善します。
・両眼で物を見るときは、多くの人がゆがみや違和感を感じにくくなります。(片眼づつ見え方を比べると、何らかの後遺症を自覚する例がほとんどです。)
以上の回復は、手術直後に起こるわけではなく、手術後に数ヶ月?半年程度の期間をかけて完成されていきます。

今日も最後までお読み頂き、ありがとうございました。

黄斑円孔? 実際の症例

今日も網膜剥離の紹介がありました。
午前中は小美玉市医療センターで外来だったので、お昼休みに戻り次第手術ができ、中心部の網膜(黄斑)が剥がれる前に手術ができました。きっといい視力が温存できるはず。よかったです。
今日の患者様は、県内の眼科医様のご親せきの方ですが、同業の先生に頼って頂くのはとても嬉しいことです[:楽しい:]
ブログ見て頂いているでしょうか?バッチリ手術できましたよ[:チョキ:]

黄斑円孔のブログもだいぶ進んできましたが、現実味がないので先月手術の実例をもとに書いてみますね。
黄斑円孔? 実際の症例
5月14日:初診
いつから見えないかは不明で、眼鏡をかけた矯正視力は0.1

写真だとなかなか分かりにくいのですが、拡大した写真の青矢印の先が、丸く穴になっているのが分かるでしょうか?OCTだと、網膜の断裂がとってもよく分かりますね。
黄斑円孔は、一般的に網膜剥離ほど緊急性は高くないので、翌週か翌々週に手術をする事が多いのですが、今回は予約枠の都合と患者様の協力もあって、すぐに手術が可能でした。

5月16日:手術手術法は前回のブログを。
局所麻酔(テノン嚢下麻酔:眼球後方への注射)
白内障とあわせて、30分くらいの手術です。

5月17・18日:手術後はとにかくうつ伏せ!!
うつ伏せをして、手術で眼内に入れた空気の浮力で、網膜を引き延ばして穴を閉じます。
(うつ伏せをしなくても穴が閉じたという報告も出てきていますが、穴が閉じない場合には、結局再手術をして入院期間が長くなってしまいます。当院では現時点の医学でもっとも安全・成績がよいと言われる手術法を選択するようにしています。大変だけど頑張りましょう!)

5月19日:円孔閉鎖

写真の上方が黒っぽくうつるのは、まだ空気が上半分に入っているからです。空気に邪魔されて、キレイなOCT画像が撮影できませんが、網膜の断裂がなくなっていることは確認できます。この時点で、うつ伏せの必要はなくなり退院が可能となります。(希望者は日帰り手術も可能ですが、入院の方がきちんとうつ伏せが出来るようです。)
もしかしたら、手術の翌日には穴が閉じていて、うつ伏せは必要なくなっている可能性もありますが、空気が沢山入っている間は、正確なOCTの撮影ができないので、しっかりとした撮影ができるまでは、うつ伏せを保って頂くようにしています。当院ではだいたい2日半から3日位でうつ伏せが終了となります。

5月23日:術後経過
矯正視力は0.3まで改善しています。

円孔が閉じて、黄斑部のオレンジ色が濃くなり、均一でキレイな色調に変わっています。OCTでは断裂がなくなっていますが、中心部にわずかに黒く抜ける部分があるのが分かりますか?まだ網膜の構造には隙間があるようです。

5月30日:術後経過?
矯正視力は0.5まで改善しています。

隙間もなくなり、正常な網膜のOCT・網膜の断面図に見えるようになりました。

今後、半年間くらいは回復基調となりますが、どこまで見えるようになるかは不明です。ただし、残念ながら手術前が0.1なので、1.0まで改善する症例は非常にまれです。
一般的には、
・発症から手術までの時間が早いほど
・年齢が若いほど
・穴が小さいほど
・手術前の視力がよいほど(0.7とか、0.8とか)

視力の予後が良好とされています。(視力1.0以上に回復しやすい)

今日も最後までお読み頂きありがとうございました。

黄斑円孔? 治療:手術

今日は以下の手術を行いました。
・白内障手術 13件
・水晶体摘出術+前部硝子体切除(亜脱臼・浅前房)1件
・網膜硝子体手術(茎離断) 4件
 (裂孔原性網膜剥離1件、糖尿病網膜症1件、黄斑前膜2件)
皆さん無事に終わりました。

と、県南の病院様からお電話があり、明日も網膜剥離があるようです。
でも、ただいま満床です。うーん、困ったぞ・・・。

黄斑円孔? 治療:手術

硝子体が収縮して、黄斑部の網膜を引っ張って、ビリっと破けてしまう病気ですが、黄斑円孔は残念ながら目薬では治りません。治療法は手術のみになります。
硝子体手術と言って、目の奥の方まで器械を入れる必要があります。

まず、仰向けになって、麻酔の目薬や消毒、注射の麻酔を行います。

50?60歳以上では、白内障の手術を同時で行います。

次に目の奥の方まで器械を入れ、収縮して網膜を引っ張っていた硝子体を出来る限り切除します。残念ながら、硝子体に連れ去られてしまった黄斑部の網膜を元の位置に戻すことはできず、硝子体と一緒に切除してしまいます

その後、網膜の最表層の薄皮を1枚だけピンセットで剥いで、網膜をやわらかくする作業を行います。(内境界膜剥離)。
実は網膜は10枚の膜が重なって出来たような構造をしていますが、一番内側の内境界膜は網膜を硬く固定する役割などがありますが、物を見るという機能には関与していません。内境界膜を手術で1枚剥いでしまうと、網膜がやわらかくなり、伸びやすくなります

緑矢印が黄斑円孔です。内境界膜は透明に近い膜で、ピンセットでつまみにくい場合があり、そんな時には、青や緑の色素を振りかけて、膜に色をつけることで、手術中に見やすくしたりします。黄斑円孔の周りで肌色のようになった部位が内境界膜が剥がされた部位になります。

最後に目の中に空気を入れて、手術は終了になります。目の中に空気が入っている間はキラキラと目が光って見えます。

だいたい20分?30分くらいの手術ですが、実はこれだけで終わりではありません。きちんと治すためには、手術後に数日、うつ伏せを頑張って頂くことになります。

手術後にうつ伏せをすると、空気の浮力によって、目の奥の方(黄斑のほう)に向かって力が働きます(赤矢印)。この浮力が眼球内の斜面では、網膜を眼球の最後方、頂点に向かって、網膜を引き伸ばすような力に変換されます(青矢印)。この力によって、黄斑円孔の方向へ網膜が引き寄せられ、穴が閉じることになります

黄斑円孔? 経過

今日の午後は、小美玉市医療センターで井上先生と手術でした。
・白内障手術 6件
・翼状片手術 2件
すごーく早く終わって、3時には暇に。久しぶりに幼稚園のお迎えに行ってみました[:子供:]まぁ、ゆとりは長くは続かず、夜には網膜剥離の紹介のお電話で、明日さっそく緊急手術となりそうですが[:冷や汗:]スタッフのみなさんよろしくです。

黄斑円孔? 経過
黄斑円孔は中心部の見え方が低下する病気ですが、基本的には治療法は手術しかありません。では、手術をしないとどうなってしまうのでしょう?みんな失明してしまうのでしょうか?答えはNOです。

黄斑円孔の大まかな自然経過としては、
?稀ですが、自然治癒(穴が勝手に閉じる)する場合があります。
?同じく稀ですが、網膜剥離という病態を合併して、失明に至ることがあります。
?そして、それら以外、最も多くの場合では徐々に視力が低下し、中心部のみの見え方が奪われ、0.02とか、0.05とか、0.1以下の視力で落ち着いてしまいます。

通常は、黄斑部以外の網膜には異常が出ないため、周辺部の見え方(視野)は正常なままで、失明に至ることは殆どありません
なので、患者様が90歳とか100歳とか、あまりに高齢で、もう片方の目が問題ない場合には、「こっちの目はこのままでいいかな?」なんてお勧めする事もあります。また、発症後1年以上経ってしまった症例は、穴が閉じても視力の回復は殆ど望めないため、既に視力が0.04で病気が古くなってしまった症例なども手術は行いません。(いつから見えにくくなったかを、ハッキリ覚えている人ばかりではないので、迷う事も多々ありますが・・・。)
(当院で、開院後2年間を調べると、古いものを含めて黄斑円孔を認めた人は39名のようですが、手術をしたのは29名のようです。ちなみに手術をした全員で円孔の閉鎖を得られています。)

また、稀に自然治癒する事があると書きましたが、それは視力が元通りに戻るという意味ではありません。穴が閉じて、それ以上の悪化を認めなくなる。という意味です。例えば、発症後に半年も経ってから自然に穴が閉じても、良好な視力は望めません。
後日詳しく記載する予定ですが、黄斑円孔は発症早期に手術をするほど、視力の回復が良好なので、発症早期の患者様が見つかった場合には、通常は出来る限り早く手術をすることが多くなっています。

注)上記は一般的な特発性黄斑円孔についてです。僕たちが診察をして、自然治癒を期待することが出来そうだと思えば、少し様子とみたいと説明する場合もありますし、強度近視などで、黄斑円孔網膜剥離という失明につながるような合併症の発症リスクが高い場合には、積極的に手術をお勧めする場合もあります。詳しくは担当の先生とよく相談しましょう。

黄斑円孔? 原因

今日のお昼は以下の手術を行いました。
・眼瞼腫瘍切除 1件
・眼瞼下垂症手術 1件
・麻痺性内斜視 1件
・白内障手術 5件
無事に終わっています。

さて、黄斑円孔の続きです。
黄斑円孔? 原因
黄斑円孔の原因を分類すると、以下のようになりますが、
?特発性(加齢に伴う後部症下剥離に伴うもの)
?近視性(強度近視に伴うもの)
?続発性(黄斑前膜など、他の病気によるもの)
?外傷性(外傷により後部硝子体剥離が早まった場合など)

最も多いものは特発性と呼ばれる、加齢に伴って起こる病態です。
加齢に伴って、目の中の硝子体が収縮し、後部硝子体剥離と呼ばれる現象が起こることを以前に書きました。(⇒後部硝子体剥離について以前のブログ
硝子体の収縮により、正常な目では、網膜と硝子体が問題なく分離・剥離していきます。ところが一部の患者様で、網膜と硝子体の癒着が強い場合に、網膜をビリっと破いてしまう場合があります。黄斑は構造上、薄く弱いという特徴があり、後部硝子体剥離によって、黄斑部の網膜がビリっと破けて、硝子体にくっついていってしまうと、黄斑にぽっかり丸い穴が開いてしまうのです。


若い時の硝子体は、目の中いっぱいに広がり、黄斑部でも網膜と硝子体はペッタリくっついています。


加齢に伴って、硝子体が前の方に向かって収縮を始めます。通常は網膜と硝子体はキレイに離れていきますが、黄斑部での癒着が強いと、硝子体が黄斑を引っ張ってしまいます。OCTでは水色矢印の先に白い線が見えますか?これは硝子体の最後方の境界が写っている画像です。このような状態を黄斑牽引症候群といって、黄斑円孔のリスク群(予備群)として、ゆがみを自覚したりします。

さらに硝子体が収縮した場合にも網膜との癒着が取れないと、網膜がビリっと破れてしまい、黄斑部の網膜が硝子体にくっついて連れ去られてしまいます。OCTで水色矢印の先が硝子体の境界です。ピンク矢印の先に破れた網膜の断片が写り、黄斑部がポッカリと穴になってしまっています。

そんなわけで、
後部硝子体剥離を原因とする裂孔原性網膜剥離と同じようになりますが、
特発性黄斑円孔の原因をあえて上げようとすると、
●生まれ持った性質(黄斑部の網膜が薄い、硝子体と網膜の癒着が強い)
●加齢

という事になりますので、なにか悪いことをしたのかな?などと後悔をする必要はなく、「病気になる人はなる。」という程度にお考えください。

他の黄斑円孔の原因としては、
?強度近視のかたは、網膜が薄く、眼球の形状にも問題があり、黄斑円孔が起こりやすくなったり、重症化しやすくなったりします。
?網膜剥離などで硝子体手術後やレーザー治療後、黄斑前膜でカサブタのヒキツレにより網膜が断裂してしまう場合、
?外傷による外力で、穴が開いてしまう場合などがあります。

?については、網膜剥離の手術後などは、どんなに落ち着いても、1年に1回などの定期通院をお勧めする理由になります。

黄斑円孔(おうはんえんこう)? 病態・検査・症状

なんと、今日(日曜日)は入院患者さん0名、救急外来も0名でした。(夜大丈夫ならですが。)こんなことって、すごく久しぶり[:楽しい:]
とても、ゆっくりと過ごせました

今日はきちんと眼科の病気のことを書いてみようかな。
黄斑円孔(おうはんえんこう)
眼球はカメラにとてもよく似ていて、レンズ(水晶体)が光を通して屈折させたり、フィルム(網膜・眼底)が光を感じ取ったりする構造をしています。そのフィルムの中心部を黄斑(おうはん)と呼び、視野の中心部で、細かいものを良く見るといった役割があります。(⇒黄斑については以前のブログを。)

黄斑円孔(おうはんえんこう)は、その黄斑に丸い穴が開いてしまう病気です。
実際の写真で見るのが分かりやすいかな?

眼底写真と呼ばれる、目の奥・網膜の写真ですが緑矢印の先が黄斑です。この症例では、丸くリング状に、オレンジ色が濃くなっているのが分かるでしょうか?半透明の網膜に穴があいて、裏側にあるオレンジ色の脈絡膜の色がむき出しになるために、オレンジ色が強く見えます。

OCTと言って、網膜の断面図を撮影する検査を行うと、(⇒OCTについて、以前のブログ)

上が正常な断面図で、下が黄斑円孔の症例です。正常では黄斑は少し凹んだ形をしているのですが、下の図では、黄斑の部位(ピンク矢印)で網膜が断裂しているのが分かるでしょうか?
(今回の眼底写真は穴が大きめで、かなり分かりやすい症例を出したのですが、実は、写真をとったり、眼科医が診察するよりは、OCTで断面図を調べる方が、ずっと正確です。初期で治療をする事が重要な病気ですが、初期で穴が小さい場合に、OCTがないと病気を見逃してしまう事が多々あります。)

症状は病気の程度によりますが、物を見る中心部のフィルム(網膜)が障害されるため、中心暗点と言って、視野の真ん中が見えなくなって視力が低下したり、中心部の色が暗く見えたり、小さく見えたり、ゆがみを自覚したり(変視症;へんししょう)します。

日常生活では物を両眼で見ることが多いため、片方の目に異常があっても気が付きにくいものです。たまにでいいので、片方の目を手で隠して、カレンダーの文字がキチンと見えるか、チェックして頂くと早期発見につながります。

黄斑の病気では、ゆがみを自覚するものが多いのですが、アムスラーチャートといって、以下のような方眼紙を、片目のみで見る検査が有用です。

病気の場合には、下のように歪んで見えたり、部分的に見えない場所を自覚しやすくなります。何か異常を感じたら明日必ず受診しましょう!!(黄斑の病気は早期発見・早期治療が重要です。)