今日は以下の手術を行いました。
・眼瞼内反症手術 1件(眼輪筋縫縮術)
・眼瞼下垂症手術 2件(CO2レーザー:ミュラー筋タッキング)
・翼状片切除術 1件(遊離弁再建)
・白内障手術 10件
・緑内障手術 2件(エクスプレスシャント1件、流出路再建1件)
・網膜硝子体手術(茎離断) 3件
(黄斑前膜1件、黄斑円孔1件、テルソン症候群硝子体出血1件)
無事に終わっています。
さて、続けてきた色覚異常をそろそろ終わりにします。
色覚異常? 職業適性
先天色覚異常では、赤・緑・青の3つの錐体が正常に機能せず、正常色覚者に可能な色の判別が難しかったり、色の誤認が起こりうることなどから、以前は様々な職業に制限があり、就職に不利な時代があったようです。間違った差別が生まれたり、先天赤緑異常では遺伝例が多いこともあり、結婚や出産に関して問題となることもありました。
しかし、先日書いたように、多数派の見え方を正常と呼んでいるだけであって、決して色覚異常の見え方が劣っているというわけではありません。ユニバーサルデザインなど、万人向けの社会作りといった考え方が復旧し、色覚異常があっても問題なく生活を送れるようになってきているようです。
現在は、飛行機や船の運転などに関するような職業を除いて、ほとんどの職業で、色覚異常があるから就職が受からない。ということはないようです。
そういう社会になってきてはいるものの、外来などで相談を受ける質問で最も多いのは、やはり職業の適正についてです。
具体的には、お母さんたちから、「うちの子は色覚異常ですが、美容師の専門学校へ行くことをどう思いますか?」というものや、「僕は色覚異常ですが、医者はどうですか?」などの質問を受けます。
どうこたえるかというと、申し訳ありませんが、僕はいつも明確な答えができません。美容師で髪の毛の色を染める場合、医者で病変を色調から判断する場合、どちらかと言えば、色覚異常がある人の方が難しく感じる機会が多いのは間違いないでしょう。デザインや色合いなどに直接関係する職業に就くことは、色覚異常の程度によりますが、少なからず不自由な思いをするのではないかと思います。
でも、もしかしたら、色覚異常の方が美術や美容の職種に進んだとして、天才的な感性として認められる可能性だってありますし、眼科医になって、目薬の容器の色が分からなくても、形や文字など別の方法で確認する努力によって、キャップの色だけで適当に処方をする医者よりも、正確な仕事ができる可能性だってあります。
もしかしたら、少なからず苦労をする可能性はあるわけで、安易に「全く問題ないから、どの職業でも大丈夫!」とも言えないし、努力によって賄える可能性があるのに、「辞めた方がいい」とも言えません。
なので、僕はいつも、「人より労力がかかったり、苦労をする可能性があるけれども、それでも頑張っていく気持ちがあれば、頑張って下さい!」という答えになってしまいます。
僕が子供の時には、学校で石原式色覚表で色覚検査を受けた覚えがありますが、差別をなくそうとする問題からか、1990年代以降の法律改正により、就職時や学校検診などでは色覚検査を行うことがほとんどなくなりました。
色覚異常があるから、就職を拒む。というのはよくない思いますが、色覚異常であることを知らないまま、職業の選択に進んでしまう子供たちが生まれないか、少し心配です。精神的な負担はあるかもしれませんが、中学?高校くらいの学校検診で1回でいいので色覚検査を行って、自分のことをしっかりと自覚した上で、職業を考えていく方がいいのでは?と個人的には思っています。
学校検診で色覚検査を行った上で、全員にしっかりとした色覚教育を行って、「色覚異常があっても生活がしやすい社会づくり」が進むといいなと思うのですが。
最近、子供と一緒にチャギントンという機関車トーマスの現代版?というような、電車のアニメを見ていて、「色の判別をしにくいチャガー(電車)もいる。」といった題材があり、イギリスのアニメなのですが、欧米の方が子供の時からの教育が進んでいるのかな?なんて思ってみたり。
ちなみに、双子のチャガー、フートとトゥートのフートが赤緑異常のよう。