小美玉市 ふるさとふれあいまつり  第7回

今日の午後はお休みでしたが、少し急いだ方が患者様が多く、手術に。
・白内障手術 6件(円錐角膜+成熟白内障など)
・網膜硝子体手術 3件(茎離断2件・増殖1件)
 (増殖糖尿病網膜症2件、網膜中心静脈分枝閉塞症による硝子体出血1件)
難しい症例が多かったですが、無事に終わってよかったです。

夜は、昨年も参加した
小美玉市 ふるさとふれあい祭り
に参加しました。今年で第7回だそうです。
クリニックのある石岡市に次いで、患者様が多く、小美玉市医療センターでも週に1?2回ほど勤務しているので、個人的には小美玉市は地元。といった気分です。

僕の中では、お祭りって、街中の道路を歩行者天国みたいに封鎖して行うイメージでなのですが、小美玉ふれあい祭りは、希望ヶ丘公園という広ーい運動公園で行われます。

この広い公園を、どうやって管理しているのだろう??と、参考にしたいほど芝生がキレイ。数百名での盆踊りがあり、子供と一緒に参加。中央のステージではソーラン節のコンテストがあり、みんな汗びっしょりで踊っていますが、気持ちよさそう。

出店?露店?が50件くらいかな?もっとかな?
少し公的なお祭りだからか、露店で生ビール250?350円だったり、子供のわたあめも100円のものがあったり、フランクフルトもみんな100円。とにかく安い!!焼き鳥や、牛すじ煮、ケバブ、牛串焼き。肉ばかり食べて。飲んで。メタボ。

そして、最後は30分は花火です。

芝生にしいたシートに寝転んで見たのですが、花火がものすごく近くて興奮しました。

患者様10名くらいに声をかけて頂きましたが、ビールで酔っていて、ちょっとだらしない感じだったでしょうか?心象が心配です・・・。

去年よりも人出が多いような印象でしたが、小美玉のふれあいまつりは、町おこしとしては成功のように感じました。公園でやるお祭りもいいなと。でも、今後、もっともっと参加者が増えたら希望ヶ丘公園では入らないよな?なんて、勝手な心配をしたりして。

お手紙

手術実績をのせたり、どのような手術をしているのかを書くことで、当院を受診する患者様が、安心して治療を受けられるといいな。というのと、僕が知っている眼科の知識を分かりやすく記載して、目の事で困っている人に少しでも役に立ってほしい。
と思って、ブログを書きだして、もうすぐ1年半になります。

実は自分のメインの仕事、つまり実際の医療も結構忙しくなっており、ほとんど休みも取れなくなっていたり、混雑した外来で、説明不足になっていることもあるかもしれない。と思うと、ブログを書くよりも目の前の患者様に集中した方がいいのか?
でも、ブログを書いている多くは夜中で、診療時間には診療に集中しているのだからいいのか?
なんていう葛藤に最近悩まされることがあります。

北海道から沖縄まで、Q&Aでは幅広い地域からご質問を頂き、自分なりに出来る範囲で回答をしていますが、実際に診察をしているわけではないので、担当医の先生方にはかないません。無責任な答えを書いていないかと、悩んでしまう事もあります。

そんな中、今日はちょっとモチベーションが上がるお手紙を頂きました。
面識のない、かなり遠い大学病院に入院中の40代男性の患者様からです。
両眼の増殖糖尿病網膜症、血管新生緑内障で、なんと1年ちょっとで、外科的手術などを両眼で16回くらい。アバスチンの注射を数え切れないくらい行っているとのことです。
糖尿病や緑内障のブログが役に立ったという事で、感謝のお手紙でした。かなり見えにくいのではないか?と思いますが、虫眼鏡でブログを読んで頂き、病状や経過、人生観など6枚に渡るお手紙を記載頂きました。大変な労力たっだのではないかと思うと、上記の僕の悩みは吹っ飛んでしまいました。

22日に郵便に投稿して頂いたY様(S様?)、ブログでの返信でも構わないとありましたので、遠慮なく記載させて頂きました。
ご自身の存在価値についての記載がありましたが、今回のお手紙は僕にとっては、医療のやる気が跳ね上がる出来事で、とても嬉しく思いました。
何もしないでいるより、少しでも何かをなさってください。僕の稚拙な文章・ブログが恥ずかしくなるほど、お手紙からは聡明な方という印象を受けました。Y様ご自身の経験や人生、考え方をお話し頂くだけで、周りの人に影響を、元気を与えることができるのではないかと思います。(偉そうですみません。)

僕はかなり諦めが悪い方ですが、今年は1名だけ、Y様よりさらに若い両眼の糖尿病・血管新生緑内障で、退院様の術後からですが、引き受けた後どうにも上手くいかずに片眼は諦めさせて頂いた方がいます。
大学病院で16回もの手術・処置を行う医師は、僕の周りでは聞いたことがありません。とても熱心な診療を受けているのかと思います。

緑のカーテンも頑張ります。
ご希望のあった、角膜内皮のブログも時間をみて記載しますね!!

エビデンス?:evidence based medicine

今日は手術がいっぱいでした。
・白内障手術 15件
・眼内レンズ2次移植 1件(急性緑内障発作後)
・網膜硝子体手術 4件(茎離断3件・増殖1件)
 (増殖糖尿病網膜症1件、中心静脈閉塞症1件、黄斑円孔1件、黄斑前膜1件)
無事に終わりました!が、時間は結構かかってしまいました。
みなさん残業お疲れ様です。

エビデンスレベル
エビデンス ベースト メディスン「科学的根拠に基づく医療」の元になる、科学的根拠を得るには、出来る限り、正確な実験・研究が必要です。エビデンスは実験によって得られる証拠ですが、そのエビデンスが信じていいものなのか?ちょっと怪しいものなのか?を示すのがエビデンスレベルで、信頼のできる実験の結果得られたエビデンスはエビデンスレベルが高い。と評価されます。

「ブルーベリーによって視力は改善するのか?」
という疑問が正しいのか?を調べるためにはどうしたらいいでしょう?
最もきちんとしたエビデンス(根拠)を得ようとすると、以下のような研究が必要です。

?まず、視力に悩んでいる人を1000人とか、できる限り大人数で集めます。
?1000人を500人づつの2つのグループに分けます。この時に、2つのグループの構成が年齢や性別、元の視力の数値などがある程度同じになるようにそろえる必要があります。
?1つ目のグループには、ブルベリーの成分のサプリメントを飲んでもらいます。2つ目のグループにはブルーベリーの成分の入っていない、ただのラムネなどの偽物の薬(プラセボ)を飲んでもらいます。
?ある程度の観察期間のあとで、視力検査を行い、2つのグループの間で視力の改善度に変化があったかを検討します。

このような実験・研究の結果で、本当に効果があると証明できれば、ブルーベリーはエビデンスレベルの高い治療として、医学の世界で視力の特効薬として保険適応になります。

????について、気をつけるべきことを加えると、
?調べる人が3名とか、少人数で行った研究は正確性が欠けます。たまたま効いたり、効かなかったりしただけかもしれません。研究に参加する人数は多ければ多いほど正確性が増します。多くの場合200名以上での実験は非常に信頼性が高いとされます。
??薬を飲む人、飲まない人(プラセボ)の2つのグループに分ける場合には、コンピュターなどで、ランダム(無作為)に振り分ける必要があります。「私は薬を飲みたい!」なんていう人は、健康に関して積極的であり、「出来れば飲みたくない。」と考える人と比べて、視力測定などに差が出る可能性があるからです。また、以前にプラセボ効果について記載しましたが、人間は、「なにか薬を飲んでいる」というだけで、気分的に治療の効果を実感してしまう場合があるため、患者さんは自分の飲んでいる薬が「本物なのか?」「偽物・プラセボなのか?」を知らされません。厳密には、薬を処方する医師、視力測定をする人、全員がだれが本物の薬を飲んでいるのか?全く分からない状態で研究を進める必要があります。

以上のような実験・研究をランダム化試験といいますが、ランダム化試験によって得られた測定結果を統計学的に処理して、最終的にはブルーベリーが有効かどうかが分かるのです。

そして何より、実験・研究に参加する人間は、研究内容に利害関係があってはいけません
ブルーベリーのサプリメントを作る会社の人間が参加をしたら、良い結果しか出ませんよね?基本的には研究に参加する人は、平等で偏見のない第三者である必要があります。

ブルーベリーサプリメントの広告には、
「すごく効いた!という体験談」がよくのっていますが、体験談を書いた人がサプリメント会社の知り合いの方だったら信じられますか?
「ブルベリーで視力改善」という本が出版されたとして、その本は、公平・平等な立場で書かれているでしょうか?自費出版ではただの広告本かもしれません。
「科学的に証明された論文があります。」と記載があったとしても、残念ながら世の中には、お金さえ払えば掲載してくれるような論文もあるのです。

ブルーベリーに試験管内などで抗酸化作用があるのは、本当のようですが、
「ブルーベリーに人間の視力を改善させる効果があるか?」というと、
僕が知らべる限りでは、正確にエビデンスがあるといえる研究や論文は全くないようです。
(サプリメントを信じて飲むのが悪いと言っているわけではありません。最終的には自己判断です。)

エビデンス?:evidence based medicine

今日は以下の手術を行いました。
・白内障手術 9件
・緑内障手術 2件
無事に終わりました!!
難しいと思われる白内障が3件あり、外来に間に合わない可能性が高かったため、昼休みを前倒しして手術をはじめましたが(スタッフの皆さんごめんなさい。)、多少の時間はかかったものの、全例予想以上の結果で終わる事ができ、気分爽快です。(今日はカロリーを気にせずプレミアムモルツ[:ビール:])
手術って、完全に予想通りには行きません。思ったより難しいとき、思ったより簡単な時があります。
「難しい可能性がある」と手術前に伝えると、患者様にとってはストレスを抱えて手術を待つことになるので、あまり好きじゃないのですが、ある程度のリスクは説明しなくてはいけません。今回は、取り越し苦労だったようですが、まぁ良い結果なら皆さん理解してくれるかな?なんて。

エビデンス ベースト メディスン?
evidence based medicine
エビデンスは「根拠・証拠」意味ですが、「科学的根拠に基づく医療」という考え方が西洋医学の基礎的な考え方として定着しています。

「キノコを食べたら眼底出血がなおった。」という人がいた。という話を聞いて、皆さんは眼底出血なった時にキノコを食べよう。と思いますか?
多くの人は、キノコを食べよう。とは思わないと思います。

では、かかりつけのお医者さんが
「キノコを食べたら、治った人がいるので食べてみてください。」
と言われたらどうでしょう?
医者に言われると、「えっ?そうなのか?」と思いつつも、
「では、食べてみよう。」と思う人も少し増えるかもしれません。

さらに、
「キノコを食べるで、治ることが多いと言われています。」
「キノコを食べたら、90%以上で改善するというデータがあります。」
「キノコは世界標準の治療で、90%以上で改善します。」
と、説明が進んだ場合、最後の説明では「よし食べよう。」と考える人が多数を占めるでしょう。

どんな治療にも副作用がありえますが、治療によって見込まれるメリット(利点)の確率と、デメリット(副作用などの欠点)確率とを、きちんと統計学的に評価して、治療を行うことが望ましいと言える、根拠があると言える場合に、「この治療にはエビデンスがある。」と表現します。

西洋医学の従事者として、医者の個人的な思い込のみで、「この間、この治療が効いた人がいるから、今回もこの治療をやってみよう。」と考える医者は近年では稀になっています。
過去の歴史や、データを科学的・統計的に評価して、リスクよりも効果・利益が上回ることが確立上で確かな場合にのみ治療を進めていくことを、エビデンス ベースド メディスンといいます。

少し難しい話かもしれませんが、すごく大事なことなので、
今後、あと2回くらい、エビデンスの話を記載したいと思います。

セミの羽化

今週は緑内障のコントロールで、外科的な処置が週末にかかってしまう入院患者様がおり、土日ながら処置がいっぱいの週末でした。(もともと一週間くらいかけて、安定させるので想定内です。)
昨日の処置が上手くいき、本日は皆さん良好な経過で、明日の所見によって退院が可能です。

セミの鳴き声を耳にすると、「夏だな」と思います。
こちらの心情次第で、「素敵な風物詩」なんて思うときと、「うるさいな」なんて、自分勝手な評価ですが。
仕事から帰ると、子供が「セミの幼虫取ってきたよ!」とのこと[:子供:]
急にセミの生態や羽化の勉強をして、観察に挑んでみました。
基本的に外敵から身を守るために、夕方に土から出てきて、木に登り、夜のうちに羽化するようです。

部屋の観葉植物では、木の幹がツルツルしていて、引っかかりが悪いよう。庭から、大き目の木の枝を持ってきて、壁に立てかけました。

ビデオカメラも回して、準備OK。
明るいうちは警戒して羽化をはじめないようで、照明を落とします。


ある程度枝を登って、足の引っかかりが良い場所?で腰を据えます。


背中が割れて、プルプル震えながら、脱皮を進めます。


でました!

初めは羽がすごく小さいのですが、徐々に緑の体液が流れて?羽が広がっていきます。


ここまで、2時間ちょっと。
このあと色が変わって、羽が硬くなって、朝には元気よく飛んでいくよう。
朝まで見ているのは辛いので、つかまっている枝ごと、夜のうちに庭へ。
朝にはいなくなっていました。
これから一週間、元気に鳴いて、新しい子孫が残っていくといいのですが。

取ってきた本人[:子供:]は「眠い・・・。」と、途中でリタイヤ。
我が子の早目早起きはいいことなのですが、ちょっと物足りない。もう少し根性が欲しい。

明日は、すごく難しい白内障が3件もあります。
水晶体がグラグラしていて、通常の手術ができずに、レンズを細かく縫いつけるなどが必要かも・・・。心配ですが、頑張るしかないので!!
今日は早めに寝よう。

プラセボ効果

今日の午後は以下の手術を行いました。
・白内障手術 10件
・緑内障手術(エクスプレスシャント)1件
・網膜硝子体手術(茎離断)2件 (黄斑前膜)
みなさん無事に終えました。
今日はとてもスムーズで4時ちょっとには終わり、夜はのんびりです。
お盆で外来も空いていますし。こんな感じは送り盆の明日までかな?

今日はちょっと変わった話を。
プラセボ効果
「ブルーベリーを飲んだら視力が回復しますか?」
「ブルーベリーを飲んだら、飛蚊症が治ったけど効果があったのですか?」
外来をしていると、週に1回はこんな質問を受けます。

僕は「うーん。化学的にはあまり証明されていないです。」と答えるのですが、
薬を飲んだ場合に、実際には薬に効果がなくても、自覚的には効果があるように実感してしまう場合があります。
「病は気から。」という言葉の通り、心持ち次第で、症状を軽く感じたり、重く感じたりする
とは誰でも経験があると思います。

「ブルーベリーに視力を改善する効果があるのか?」
という問題を検討する場合には、ブルベリーを飲む前と飲んだ後とで、視力を測定が必要になります。ただし、視力測定をする場合に、よく見ようと頑張って測定するか、やる気のない状態で測定するかで、かなり差がでます。
なんとなくでも「ブルベリーが目にいい。」なんていう話を聞いたことがあると、ブルーベリーのサプリメントを飲んだ後には、「目が良くなった気」がして、視力測定を頑張ってしまう方が多くなるようです。

こういった、気持ちの問題を除去するために、
ブルーベリーのサプリメントを飲む前と、飲んだ後に視力を測定するだけではなく、
ブルベリーの成分の入っていない、ただの紫のラムネのような、偽物の薬(偽薬・プラセボ)を、飲む前と飲んだ後の視力をして、
本物のブルベリーを飲んだグループと、偽物(プラセボ)を飲んだグループの、視力の改善度を比較することが必要になります。
(偽薬:プラセボを飲まされるグループは、偽物だとは知らされずに、本物のブルーベリーだと思って内服することになります。)

プラセボ効果とは、偽薬を処方しても、薬だと信じ込む事によって何らかの改善がみられる事です。
なんだか、詐欺みたいな話ですが、決して悪い意味合いだけではなく、例えば僕が患者さんに薬を処方する場合に(偽物は処方しませんが)、「もしかしたら、この薬でもちょっとは効くかもしれません。」というよりは、「これはとてもいい薬だから、期待して使ってみましょう。」のほうが、効果を高く感じることも多いようです。
言葉使いや、心の問題で、病気との付き合い方も変わりますよね。

硝子体出血③ 予後(術後視力)

今日は午前の外来が40名ちょっと。
今週はお盆なので、外来患者様が少なく、のんびりと過ごせています。午後は、いつもは開業医様などでの出張手術なのですが、お盆でお休みの病院様が多く、なんと久しぶりのお休みです!
と言っても、県北の総合病院様の紹介で、ぶどう膜炎後の血管新生緑内障の患者様の手術をお昼休みに1件行いましたが。

さて、硝子体出血の最後です。
硝子体出血③ 予後(術後視力)
どの手術でも、術後にどのくらい回復するのか?というのを、正確に断定することはなかなか難しいのですが、
たとえば白内障の手術では、「ぴったり0.9です。」とまではいかなくても、「かなりよく見えるようになりそう。」「免許証が取れるくらい。」「少ししか良くならなさそう。」など、術前からある程度の予想をお伝えすることが可能です。
ところが、硝子体出血を起こしてから、初めて病院にいらした患者様の手術では「術後の視力は、手術をやってみないと分からない。」とお伝えすることが多くなります。
というのも、硝子体出血は、眼内(硝子体腔)が出血で濁っている状態の総称なのですが、術後の視力は、硝子体出血の元になった病気の種類や場所によって、大きく異なるからです。

例えば、硝子体出血の原因で一番多いのは、網膜中心静脈分枝閉塞症という病気なのですが、血管が詰まって、病気となった網膜の場所が、下のイラストの赤矢印の部位のように、物を見る中心部(黄斑)から離れている場合には、良好な視力が保たれますが、

青矢印の先のあたり(黄斑近く)に、出血があったり、血流障害に伴う黄斑浮腫という病態を伴っている場合には、手術でせっかく出血をキレイにしても、あまり良好な視力には回復しません。(視野全体としては明るくなりますが。)
動脈瘤の破裂なども、動脈瘤の場所によって結果が異なります。
加齢黄斑変性症は、もともと黄斑部に起こる病気なので、やはり予後が不良です。

硝子体出血の手術は、ビックリ箱のようなものです。
手術でキレイに洗ってみて、悪い病気がなければ、もともとが見えにくくなっていた分、とても喜んで頂けるので、やりがいがあります。
ただし、洗ってみて、手術中に加齢黄斑変性症が原因であったことが判明した場合には、ガッカリしてしまって、結果をどうお伝えしようか落ち込んでしまうのですよね。

今日も最後までお読み頂き、ありがとうございました。

硝子体出血② 手術の時期

今日のお昼休みには以下の手術を行いました。
・白内障手術 8件
・翼状片手術 1件(遊離弁+生体糊)
・結膜下異物除去 1件
・緑内障手術(GSL) 2件
・網膜硝子体手術(茎離断)1件(裂孔原生網膜剥離+硝子体出血)
お昼休みにこなすには、多すぎて、午後の外来が遅れてしまいましたが、今日はお盆だからか、外来が少し空いていて助かりました。
白内障の1件が予想以上に難しくて、残念ながら、予定していたレンズの挿入を次回に持ち越しました。5年前からほぼ見えず、斜視まで発生している、Morgagni、水晶体振盪+という重症例ですが、僕なら通常の手術でできちゃうかな?と、準備を怠りました・・・。

余分に時間がかかってしまい申し訳なく思います。少し落ち着いてからの手術で回復して頂きます。(反対目も同時に手術ですが、こちらは明日から見えるようになるかと。)
全てが予定通りには行かないものです。手術は難しい!もっと研鑽しないと!!

硝子体出血②
手術の時期

硝子体出血を起こした場合に、多くの場合には少しの間は止血材を飲んだりして、自然に軽快することを期待しつつ、経過をみるのですが、出血が長引く場合には硝子体手術で積極的に治療を行う事を考えます。

では、どれくらい経過観察をするのか?というと、そこが難しいのです。
手術は100%安全ではないので、
硝子体出血は、眼内(硝子体腔)が出血で濁っている状態の総称で、硝子体出血を起こす病気は数えられないほどあると前回記載しました
ところが、ある程度以上の出血を起こしてしまうと、診察で目の中を詳細に観察することが困難となり、どの病気が原因で、どこから、どの範囲に出血をしているのか?が正確に把握できないのです。

もともと、眼底・網膜の病気でかかりつけの患者様が出血した場合には、診断も簡単です。ただし、多くの方は見えなくなってから初めて眼科を受診します。症状がなくても・出血がなくても、定期健診をしてくれる方は滅多にいませんので、仕方のないことですが・・・。

そうは言っても、僕たち眼科医もプロですので、既往歴や診察所見からどの病気が原因らしく、いつまで待って大丈夫か?にはとても気を使います。
・もともと目の病気がある人⇒その病気の悪化
・高齢者や高血圧の既往⇒血管が詰まる病気や動脈瘤破裂
・糖尿病のある人⇒糖尿病網膜症
・若い人⇒ぶどう膜炎や血管異常・奇形
などなど、問診や病歴から、もとの病気を推測します。
他には、目のエコー検査(超音波)なども行い、出来る限り目の状態を把握するように努めます。

基本的に手探りで、元の病気を推測する硝子体出血ですが、
問診や診察所見、エコー検査をもとに、出来るだけ正しい診断を考えるのが腕の見せ所です。(残念ながらエコー検査は、あまり精度はよくない検査です。重大な網膜剥離等を除き、確定診断には至らないことが大多数です。)

そうは言っても、だいたいの目安が欲しいですよね。実は、多くの場合では、1~2ヶ月月程度の期間で出血が晴れない場合には手術を考えることが多いようです。
硝子体出血の原因として、もっとも多いのは静脈閉塞症や糖尿病などの血管が詰まる病気なのですが、これらは大きな出血後に2~3ヶ月もすると、増殖網膜症とって、目の中にカサブタを作ったりと重症化しやすくなります。なので遅くとも3ヶ月など、手遅れにならないうちに手術をお勧めすることが多くなります。
ただし、網膜剥離が硝子体出血の原因であれば、手術は早ければ早いほど成績が良いですし、加齢黄斑変性や動脈瘤破裂で、網膜の下に血が溜まった病態(網膜下血腫)なども手術を急ぐ必要があります。(網膜下血腫の洗浄はリスクが高く、行わない場合も多いのですが)

手術が100%安全なら、こんなに迷わないのですが、
出来るだけ安全で良い結果を求めると、
いつ手術を勧めればいいのかは、眼科医としても難しいのですよね・・・。

今日、紹介で緊急手術となった、つくば市の患者様は、先月から硝子体出血で開業医様を受診中でしたが、出血が多くて原因が分からないままでした。その後の診察で網膜剥離を疑われてて、本日当院を紹介となりました。まだ、硝子体出血が濃くて、今日の僕の診察でも網膜剥離の原因となる網膜の断裂部(原因裂孔)が不明でしたが、しっかりとした紹介により、手遅れとなる前に(黄斑が剥がれる前に)、手術をさせて頂く事が出来ました。本当にありがたく思います。

まとめますと、
硝子体出血の手術時期は、出血後1~3ヶ月となることが多いですが、実際には疑われる病気によって様々です。診察や経過観察によって最適な時期をお知らせしますので、きちんと医師の指示通りに受診を行いましょう。

2018年4月10日 追記
近年、ものすごいスピードで硝子体手術の安全性が向上しています。手術自体による合併症のリスクが低下しており、硝子体出血で様子をみて手遅れになるリスクとの天秤の関係が変化しており、2週間~1ヶ月程度で手術を検討することが標準的になってきています。

今日は親知らずでお世話になった、歯科口腔外科の先生たちと食事をしました。少し酔っ払いですが、僕はまずまず酔っ払っても、ブログを書くのが可能なようです??(誤字・脱字があったらご勘弁を。)

失敗・・・。

今週は月・火・水・木・土と手術がありました。
今日は県外の眼科様での手術に呼んで頂いたのですが、初めての医院様でちょっと緊張しました。無事に終わってよかったです。いろいろなところで手術をするのは、緊張感というか刺激があっていいのですが、移動の時間が気になります。ドラえもんの「どこでもドア」があったいいな。なんて。

けっこう忙しくなってしまい、ブログが進みません。なんていうのはいいわけですが、自宅の庭も管理が行き届かず・・・。

緑のカーテンを目指して、2ヶ月前に琉球アサガオを植えたのですが(写真右)、もう8月も半ばに入るのに、全く日影が出来ていません[:冷や汗:]
このペースでは、残念ながら、今年の緑のカーテンは失敗でしょう・・・。
朝に僕が。夕方に妻と子供が水をあげていたのですが、プランターが小さいからか、すぐに乾いてしまうのですよね。
来年は巨大プランター、または、地植えでリベンジするぞ!!

そうそう、スタッフの皆様へ。
月曜日に網膜剥離の紹介があるようです。すみませんが、よろしくお願いします。

硝子体出血① 病態・原因・治療

今日は以下の手術を行いました。
・白内障手術 11件
・緑内障手術(エクスプレスシャント)1件
・網膜硝子体手術 4件(茎離断3件・増殖1件)
(増殖糖尿病網膜症2件、黄斑前膜1件、硝子体出血/静脈閉塞1件)
無事に終わりましたが、糖尿病の方が大変で、出血を取り除くと、

増殖膜(カサブタ)をハサミで切って、網膜から剥がしたり。というのが、目の中に10か所くらいビッシリ。眼科で定期検診を受けていたようなのですが・・・。疲れた。
定時を思いっきり過ぎました・・・。スタッフの皆さん、お疲れ様でした。いつもありがとうございます。

今日の手術から、一つ話題を。
硝子体出血①(しょうしたいしゅっけつ)

眼球はカメラによく似ていますが、角膜(黒目)側から、光が入ってきて、水晶体(レンズ)で光を曲げて、網膜(フィルム)で光を感じ取ります。硝子体は、レンズとフィルムの間、イラストの矢印、目の中で最も広いスペース(硝子体腔:しょうしたいくう)を占める、ゼリー状の組織です。
卵の白身のようなベトベトした組織で、若い時には目の中いっぱいに。加齢よって干からびたりすることを以前に書いたことがあります。(飛蚊症の項)

硝子体出血は、この硝子体腔に出血が広がってしまった状態です。

症状
本来、無色透明で光を通過させるはずの硝子体に赤い出血が起これば、出血が光をさえぎるために、見え方を低下させます。
・出血が極少量であれば、飛蚊症として認識されたり、
・中程度であれば、視力低下や、血液の濃いところ薄いところが動いたりして、もやが動いているようにみえたり。
・出血が多い場合には、「真っ暗」など、高度な視力低下を引き起こします。

原因
原因は主に網膜や脈絡膜など、眼球の後方からの出血ですが、網膜から出血を起こす病気は数えられないくらいあるのですよね・・・。一応、記載すると、
・網膜静脈閉塞症(中心静脈・中心静脈分枝閉塞症)
・糖尿病網膜症
・動脈瘤破裂
・加齢黄斑変性症
・高血圧網膜症
・網膜剥離
・くも膜下出血(テルソン症候群)
・ぶどう膜炎
・外傷
・後部硝子体剥離
・感染症
・腫瘍
    などなど。

治療
原因となる疾患がハッキリしている場合には、その治療が必要です。
糖尿病網膜症なら血糖値のコントロールが必要ですし、
ぶどう膜炎なら、ステロイドによる消炎が必要です。
ここでは、大本の治療以外の起こってしまった出血に対する治療を記載します。
①経過過観察
血が出続けている状況ではなく、一過性の出血のみで止まってしまった場合には、よほど濃い出血などをのぞいて、自然にキレイになっていくのを待ちます。
(手足の内出血も、時間が経てば、自然に吸収されますよね?)
②止血剤・血管強化薬
アドナやシナールなどの内服薬を使用することがあります。
③注射
原因となる病気の種類によりますが、抗VEGF薬(アバスチン・ルセンティス)とよばれる薬や、ステロイド剤を、眼球内や眼球周囲に注射をする事があります。
④手術
手術で眼球内にと直接機械を挿入し、出血を除去・洗い流したり、出血の原因をレーザー光線で焼いて、止血をしたりします。

今日の患者様は94歳で、県南の眼科様から昨日紹介となった方です。目の中が血みどろで、視力は光覚弁といって、光が分かるか分からないかくらいです。
まず、仰向けに寝て、点眼薬の麻酔⇒消毒⇒注射の局所麻酔

白内障がある場合には、一緒に手術をしてしまいます。


次に、黒目の周りに、3~4か所の穴をあけて、直接眼内に機械を挿入します。内が赤いのが分かりますか?


眼球内で処置をしている写真です。出血が多い場合には、ただ赤く見えるだけの写真になってしまうのですが・・・。これでも一生懸命洗っている最中です。

硝子体出血の手術と、ひとえに言っても、
簡単なものでは15分くらい。重症例では1時間かかることも。
術後の見え方も、1.0と良好なものから、失明に近い状態まで様々です。
どうしてそんなに違うのか?というと、出血をした原因の病気や、出血をした場所によって様々だからです。
次回は、そのあたりをもう少し詳しく書いてみます。

今日の94歳のおばあちゃんは、黄斑変性という悪い病気の疑いで紹介だったのですが、手術で出血を除去して観察すると、静脈閉塞症という病気だったようで、予想以上によい結果になりそうです。良かったよかった。