今日は以下の手術を行いました。
・白内障手術 13件
・水晶体摘出術+前部硝子体切除(亜脱臼・浅前房)1件
・網膜硝子体手術(茎離断) 4件
(裂孔原性網膜剥離1件、糖尿病網膜症1件、黄斑前膜2件)
皆さん無事に終わりました。
と、県南の病院様からお電話があり、明日も網膜剥離があるようです。
でも、ただいま満床です。うーん、困ったぞ・・・。
黄斑円孔? 治療:手術
硝子体が収縮して、黄斑部の網膜を引っ張って、ビリっと破けてしまう病気ですが、黄斑円孔は残念ながら目薬では治りません。治療法は手術のみになります。
硝子体手術と言って、目の奥の方まで器械を入れる必要があります。
まず、仰向けになって、麻酔の目薬や消毒、注射の麻酔を行います。
50?60歳以上では、白内障の手術を同時で行います。
次に目の奥の方まで器械を入れ、収縮して網膜を引っ張っていた硝子体を出来る限り切除します。残念ながら、硝子体に連れ去られてしまった黄斑部の網膜を元の位置に戻すことはできず、硝子体と一緒に切除してしまいます。
その後、網膜の最表層の薄皮を1枚だけピンセットで剥いで、網膜をやわらかくする作業を行います。(内境界膜剥離)。
実は網膜は10枚の膜が重なって出来たような構造をしていますが、一番内側の内境界膜は網膜を硬く固定する役割などがありますが、物を見るという機能には関与していません。内境界膜を手術で1枚剥いでしまうと、網膜がやわらかくなり、伸びやすくなります。
緑矢印が黄斑円孔です。内境界膜は透明に近い膜で、ピンセットでつまみにくい場合があり、そんな時には、青や緑の色素を振りかけて、膜に色をつけることで、手術中に見やすくしたりします。黄斑円孔の周りで肌色のようになった部位が内境界膜が剥がされた部位になります。
最後に目の中に空気を入れて、手術は終了になります。目の中に空気が入っている間はキラキラと目が光って見えます。
だいたい20分?30分くらいの手術ですが、実はこれだけで終わりではありません。きちんと治すためには、手術後に数日、うつ伏せを頑張って頂くことになります。
手術後にうつ伏せをすると、空気の浮力によって、目の奥の方(黄斑のほう)に向かって力が働きます(赤矢印)。この浮力が眼球内の斜面では、網膜を眼球の最後方、頂点に向かって、網膜を引き伸ばすような力に変換されます(青矢印)。この力によって、黄斑円孔の方向へ網膜が引き寄せられ、穴が閉じることになります。