レッドブル ボックスカートレース?

実は眼科医の先生たちと、近々、面白いイベントに参加させて頂くことになっています。それは、
レッドブル ボックスカートレース!
http://www.redbullboxcartrace.jp

テレビコマーシャルで、宣伝しているスポーツドリンクで、「レッドブル 翼を授ける」というフレーズを聞いたことがあるでしょうか?

こんな飲み物。
「レッドブル・Red Bull」は飲料水以外に、たくさんのスポーツや、モータースポーツに携わっているメーカーです。そのレッドブル主催のイベントで、手作りのカートでレース!というのが、ボックスカートレース。

今日の午後はその作成のために、みんなで集まって、作業をしてみました。

新聞紙を沢山貼り付けて。まだまだですが、この先楽しみです!

角膜ジストロフィー? 治療その1

ブログのおかげだと思いますが、今日も都内からの患者様が3名いらっしゃいました。石岡のいちクリニックに、都内から足を運んで頂くのはとても光栄なことです。もちろん近隣地域の医療を担いたい。というのが一番ですが、遠くから来て頂く患者様は、どちらかというと重症例や治療が上手くいっていない方が多いようです。遠方の難しい症例に出会えることは医師としては幸せです。これからも頑張ろう!

今日は昨日の続きで、角膜ジストロフィーの治療法です。
角膜ジストロフィー? 治療その1

削り取る!
PTK (レーザー治療的角膜切除術)
沈着物の蓄積や混濁が、角膜の表面に近い場合には、その部位を削り取ってしまう。という方法が行われます。エキシマレーザーや、最近はフェムトセカンドレーザーというレーザーが使われます。
実は、このレーザーを使って角膜を削る。という手技は、LASIK・レーシックという近視を矯正の治療にとても似たものです。近視や乱視などを矯正する手術をまとめて屈折矯正手術と呼ぶのですが、現在の日本では屈折矯正手術は、自由診療という保険の効かない治療に該当します。当院では現在はレーシックは行っていないので、他の医院様にお願いする形を取らせて頂いています。

60代の女性で、昨年、県内でレーシックができる施設様で治療をお願いしました。(茨城県内にはレーシックの器械は大学病院などにもなく、2つの個人医院様にしかないようです。レーシックは都内に偏っているようですよね・・・。)
上が治療前、下が治療後です。白い濁りが削り取られて、キレイになっています。よい治療をして頂いて、本当にありがたく思います。


最近は、角膜の断面図を撮るOCTなども使われるようになりました。(通常の眼底OCT説明⇒2011.08.17.Wednesday;http://blog.sannoudaiganka.jp/?cid=5107)

右がOCTでの角膜の断面図です。青く囲んだあたりを、病気の症例でみてみると、

左が治療前、右が治療後ですが、緑矢印の先の白い濁りがなくなっていることが分かります。

このレーザーで削り取る治療ですが、近視を矯正するレーシックと似た治療なので、副作用と言いますか、近視が治ってしまったり、遠視になってしまうという事が起こります。もともと強度近視のかたなどでは、ちょうどいいかもしれませんが、近視のない方はよく注意しないといけません。また、角膜ジストロフィーの患者様が白内障手術を行う場合には、将来的にレーザー治療を行う可能性があれば、白内障手術の時に、わざと近視となるように設定しておく。なんていうことも考えておかなければなりません。

レーザーを使用してPTKを行って濁りを削り取っても、沈着物が蓄積する遺伝子・体質自体がなくなるわけではありません。なので、一度キレイになっても、その後の期間では再発してしまいます。再発の期間や程度は病気の種類によって異なりますので、詳しくは担当の医師に相談しましょう。再発時には、再度PTKで削り取ることができますが、削るたびに角膜が薄くなって、より遠視になっていきます。2?3回の治療を行うと、角膜が薄くなりすぎて、それ以上削り取ることができなくなるため、角膜移植などの治療に進みます。

医療って、お金が難しいのですが、レーシックなどの治療は自由診療です。角膜ジストロフィーの治療に限っては、実は条件を満たせば、保険が適応になるとされているのですが、常勤の眼科専門医が3名、常勤の麻酔科医師もいないといけない。など、保険が使える施設として認定されるには、ありえないような条件が必要です。なので日本中で行われる治療のほとんどが自由診療となっています。とても良い治療ですし、病気を治すためなのに、なんでそんな条件をつけたのだろう・・・。納得がいきません。

角膜ジストロフィー?

今日は午前小美玉、午後クリニックで外来です。どちらも結構混みました。お待たせしてしまった患者様、すみませんでした。
風邪は治っていると思うのですが、ノドがまだイガイガしています。外来はしゃべり続けなくてはいけないのがツライ。

今日はちょっと変わった病気のお話です。
角膜ジストロフィー
角膜は、肉眼で黒目として見えますが、実は透明な組織で、光を遠したり、屈折(ピントを合わせる)させることが仕事です。透明なので、目の内部の茶色の組織や瞳孔などが茶目・黒目として見えるのです。

この角膜ですが、透明性を維持するために、眼内を循環する房水や、涙液、または空気中の酸素などから、必要な栄養分を適宜取り入れたり、老廃物を排出したりすることを繰り返しています(代謝)。
角膜ジスロトフィーは、ほとんどの例で原因となる遺伝子の変異(間違い)が発見されており、遺伝子の問題で、栄養分の吸収や老廃物の排出などが上手くいかずに、角膜の中に不必要な物質が溜まってしまう疾患の総称です。

分類
専門的なので、詳しい内容は省略しますが、
・顆粒状角膜ジストロフィ
・格子状角膜ジストロフィ
・斑状角膜ジストロフィ
・膠様滴状角膜ジストロフィ
・フックス角膜内皮ジストロフィ

など、さらに様々な疾患があります。

原因
ほとんどの角膜ジストロフィーでは、病気の原因となる遺伝子の異常が見つかっています。なので、何かをしたから発病した。というものではなく、生まれつきの病気です。

沈着物
病気によって様々ですが、コレステロールカルシウム、聞きなれないと思いますが、ヒアリンアミロイドなんて呼ばれる物質などが角膜に溜まっていきます。

症状
沈着物によって、角膜が白く濁ってしまいます。
濁りによって、かすむ、眩しい、視力低下などの症状が起こります。
ただし、病形によって、濁りの程度や位置(中心部は視力低下につながりやすい)、発症時期、進行のスピードもかなり異なるので、一概には言えません。重篤なものでは失明に至る事もありますが、軽症例では全く自覚症状のない場合もあります。
また、角膜の表面上に沈着物がある場合には、こすれたり、キズの原因になったりして、強い痛みの原因となることもあります。


先日、他院様にて治療をお願いした女性です。
角膜の中心部の2/3くらいに、白く丸い混濁(沈着)が起こっているのが分かりますか?右側は角膜の断面図ですが、白い濁りが見えると思います。

診断
確定診断には、遺伝子検査を行う場合もありますが、遺伝子診断は保険適応外であり、多くの場合では行われません。
ほとんどの角膜ジストロフィーは、問診(家族歴)や、体の病気、そして診察所見で診断が可能です。

今日は市内の内科の先生と、食事?をさせて頂くことになりました。
ノドが悪くならない程度に、気をつけて・・・。行ってきます。

ぶどう膜炎? 再発と経過観察

落ち込んでもいられないし、またバリバリ仕事頑張ります!
きっと祖母もその方が。

今日の午後の手術は以下の通りです。
・翼状片手術 1件
・白内障手術 12件
・眼内レンズ補正(他院術後)1件
・網膜硝子体手術 5件
 (硝子体混濁1件、黄斑前膜2件、網膜中心静脈分枝閉塞症後の黄斑浮腫1件、増殖糖尿病網膜症・茎離断1件)
みなさん無事に終わりました。

さて、ぶどう膜炎の説明、一般的な内容としては最後です。
ぶどう膜炎? 再発と経過観察
ぶどう膜炎??で記載しましたが、多くのぶどう膜炎では、ステロイドによる治療が主体になります。ぶどう膜に起こってしまった炎症を、ステロイド剤で炎症を抑えて、病気を落ち着かせることが治療で、炎症を起こした原因をなくしてしまうわけではありません。
なので、ぶどう膜炎は治療によって「治った。なくなった。」っというものではなく、「落ち着いた。」という状態に持っていくことが目標です。
(リウマチや、膠原病、バセドウ病なども同じで、治す。というよりも、落ち着かせる。とう病気です。)

もちろん、一回の治療で落ち着いてしまい、その後は一生涯問題を起こさない症例も数多くあります。ただし、残念ながら、一度は治療で落ち着いても、再発を起こしてしまう症例も少なくはありません。

なので、昔から、どのようにすれば再発を少なくできるか?と、過去の先生方が英知を絞って研究してきたのです。
初期治療はこうするのが成績がいい。次の治療はこうするのがいい。
ぶどう膜炎の種類によって、患者さんの年齢や状態によって、実はやるべき治療というのは、かなりマニュアル化されており、現代の医学では多くの医師が同じ治療を行っているのです(そのはずです。もちろん、重症例などで治療法に悩む場合も稀にはありますが。)

初期治療で、目薬のみで対応するのか、飲み薬や、点滴(ステロイドパルス療法)を選ぶのか。病気によっても異なりますが、そのあたりは担当の医師の指示に従ってください。はじめは患者様も、「痛み、視力低下、充血」など症状がツライので、治療にも協力的で、ほとんどの場合では問題が起こりません。
問題になるのは、その後の治療なのです。
ほとんどのぶどう膜炎では、より濃度の薄い目薬に変更したり、回数を減らしたり。と、ゆっくりとステロイド剤を減量していくことが必要です。
軽いものでは、1?2ヶ月で治療を終える場合もありますが、重症な病態では、何年もかけて薬を減らしていく場合もあるのです。それが、再発をさせない・再発率を減らせることが分かっているからです。

残念ながら、少し症状が改善すると、「治ってしまった。」と、勘違いをされるのか、目薬をつけ忘れるようになってしまったり、通院を中断してしまう場合もあるのです。それで、結局、再発してしまい、さらに悪い状態になってしまう。そんな患者様を何度も何度もみてきました。
きちんと受診するように言っているつもりですが、僕の説明が足りなかったのかのかもしれませんね。でも、中断後に悪い状態になって戻ってくる患者様をみると、どうにも嫌な気持ちで・・・。

患者様にお願いです。
ぶどう膜炎は、きちんと治療しないと再発しうる病気です。自己判断で治療や通院を中断しないようにしましょう。
(当院は出来るだけ、通院回数などを減らすように努力しており、通院回数などは少ない方だと思いますよ。)

当院は、県内外からぶどう膜炎の紹介を受けており、ステロイドパルス療法や、免疫抑制剤が必要になるような重症の患者様も多数おられます。それでも、ステロイド注射や緑内障手術などの進歩もあり、これまで失明に至った患者様は誰一人おりません。まれに、ぶどう膜炎⇒失明と、過度に不安になられる方がおりますが、失明に至ることは殆どない時代になってきています。あまり不安にならずに、治療を継続して受けるように心がけましょう。

少し休憩。

個人的な事ですみませんが、この週末に祖母と、実家の愛犬が同時に亡くなりました。99歳と、16歳(犬なので100歳くらい?)で大往生でした。
職業上、とても迷ったのですが、今日は手術だけ終えて、夕方の外来はお休みさせて頂きました。患者様にはご迷惑をおかけしてしまい、誠に申し訳ありませんでした。
明日からは外来や、午後の小美玉での手術も通常通り行います。
群馬県まで行ったり来たりしていますが、ちょっと遠くて・・・。
ブログは数日、お休みさせて頂こうと思います。

節分:鬼の目と眼科

今日は節分です!!
実は、ちょっと楽しみにしていたのです。

節分は季節の分かれ目。明日は立春で、まだまだ寒いですが、暦の上では春の始まりになるようです。季節の節目には悪疫や邪気がはびこりやすいので、様々な行事で悪を追い払おう!と。

鬼はーそと!福はーうち!
豆まきで鬼を追い払うのは知っていましたが、調べてみると、豆には、魔物の目や、「鬼の目」を打つということから「魔目」という意味もかけてあるようです。
また、いわしの悪臭とともに、ヒイラギの葉のトゲトゲで鬼を追い払うのも知っていましたが、これも調べてみると、なんとトゲで「鬼の目」を刺すのだそう。

これはきっと、
今晩は鬼の患者さんがたくさん来るに違いない!
鬼の目だって、目は目ですから、全力で治しますよ!

我が家でも豆まきをしました!
今年は、ご近所のお父さんと協力して、交互に変装し、お互いの家に「鬼」の派遣を行ってみました[:怒り:]
(子供が同級生で、よく親子で遊んでいただいています。)

お面と毛布だけの変装ですが、突然玄関が開いて鬼が入ってくるので、両家とも子供たちは大泣き[:冷や汗:]楽しむといった感じではなくなってしまいましたが、パパが鬼をやっつけてくれた!!と、その後は急にパパっ子に[:ラブ:]
ちょっと姑息な手ですが・・・。パパは満足です!

H24年1月の手術実績:茨城県 山王台病院 眼科

寒いですねー[:ゆき:]
風邪が治るまで!と禁酒をしていましたが、昨日はついつい・・・。
府中誉れさんの日本酒を冷で飲むことが多いのですが、
たまには。と、レンジで温めてみたら、冬は熱燗もいいものです[:熱燗:]
飲み過ぎでしょうか?熱はないものの、喉は少し悪化。鼻水がヒドイ。
僕の仕事は、手術ばかりではありません。
実は「話すこと・説明すること」の時間の方がよほど長いのです。
鼻水、くしゃみはとってもツライ[:撃沈:]
困ったなぁ。

今年初めての、1月分の手術数を集計しましたので、掲載します。

手術合計 111件
内訳

・白内障手術 75件

・網膜硝子体手術 17件(糖尿病・網膜剥離・眼底出血・黄斑円孔など)
・眼瞼(まぶた)の手術 6件(眼瞼下垂・さかさまつげ)
・緑内障手術 5件
・涙器の手術 2件(NSチューブ・急性涙嚢炎)
・その他の手術 6件(翼状片・前房異物)

抗VEGF薬 硝子体注射 32件(加齢黄斑変性症などに対する注射です。ルセンティス・マクジェン・アバスチンの合計)
ステロイド薬 テノン嚢注射 19件(糖尿病や網膜静脈閉塞症などでの黄斑浮腫などに対する注射です。トリアムシノロン)

1月は、年明けの一週間は全く手術をしなかったので、手術日が少ないのですが、数えてみるといつも通り。網膜剥離や、急いで手術をするべき糖尿病の患者様の紹介が多かったせいか、緊急での硝子体手術が多くなりました。
手術111件。なんかゾロ目で気持ちがいいですね。

2月はどんな患者様に会うのだろう。
なんて考えていたら、今日も重症の糖尿病網膜症が。しかも両眼・・・。

うーん。ヒドイ。1年以上前から出血してるのを自覚していたとのこと。
順番待ちとか言ってられないので、再来週に手術となりました。
まだ若い患者様。絶対に救わなくては。でも、やりがいがあり過ぎです・・・。

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 行方市 鉾田市 茨城町)

ぶどう膜炎? 治療 その2

今日は以下の手術を施行しました。
・翼状片手術 1件
・白内障手術 9件
・緑内障手術(トラベクレクトミー) 1件
・網膜硝子体手術 2件
 (黄斑前膜1件、網膜中心静脈分枝閉塞症にともなう黄斑浮腫1件)
無事に終わりました。
昨日、市内の病院様から「頭痛・嘔吐」で困っている患者様がいると電話を頂き、往診にて重度の緑内障(開放隅角)を診断。腎臓が悪く点滴などは出来ないので、目薬を沢山処方しました。本日はどうにか当院までいらして頂いたのですが、眼圧は50(正常10?20)と高いままです。視力もあかりが分かるか分からないか?というレベルで、緊急転院・手術をさせて頂きました。
内科の先生が「頭痛や嘔吐」で、頭に異常がない場合には緑内障?眼科か?という考えをお持ちの先生で助かりました。
頭痛や嘔吐は脳出血など脳の問題だけではなく、緑内障でも起こります。頭が痛いのに眼科?と、変に感じるかもしれませんが、ちょっと覚えておいてくださいね!

ぶどう膜炎?
治療 その2

免疫抑制剤
ぶどう膜炎?では、ステロイドと呼ばれる免疫・炎症を抑える薬について記載しました。ぶどう膜炎の治療では、ほとんどの症例でステロイドの適正使用により、コントロールが可能(落ち着かせることができる)ですが、極一部の重症例の患者様で、ステロイドで落ち着かない場合や、再発を繰り返してしまう場合には、別の種類の免疫を抑える薬を使用します。
眼科では、シクロスポリン(ネオーラル・サンディミュン)という薬が多く使用されます。ステロイドと同様に、免疫反応・炎症を抑えるため、バイ菌に感染しやすくなってしまうリスクがあります。特に、シクロスポリンは腎臓の機能を障害してしまう可能性のある薬で、内服中は、数ヶ月に1回など定期的に血液検査で体の中のシクロスポリンの濃度(血中濃度)を調べる必要があります。

モノクローナル抗体製剤
ステロイドや免疫抑制剤は、とても有用な薬ですが、体の全ての炎症を抑えてしまう薬であるため、例えばバイ菌に対する抵抗力が落ちてしまうなどの副作用が目立ちます。抗モノクローナル抗体製剤は、炎症を全体的に抑制するのではなく、炎症にかかわる極一部のホルモンを抑制する薬です。
発売後、数年以内のものがほとんどで新しい薬です。現在は厳密な条件を満たすごく一部の症例に限って使用されています。眼科では、ベーチェット病でのぶどう膜炎に対するレミケードという薬が有名です(なんと一瓶、10万円)。
(一般の患者様に分かりやすい表現を心がけています。一部専門的にはどうかと思う箇所もありますが、お許しください。)
レミケードの点滴は、膠原病内科の先生との連携が必要であり、当院で治療対象の方は、近隣の知り合いの先生に点滴をお願いしています。

瞳孔管理
瞳孔は茶目(虹彩)で作られ、目の中に入る光の量を加減する働きを持っています。ぶどう膜炎?で記載しましたが、虹彩炎をきちんと治療しないと、瞳孔が小さくなったまま、癒着して開かなくなってしまう場合があります。小さくなったまま癒着をしてしまうと、光が入らず暗い所で見えない。目の中の診察が出来なくなってしまう。重度の緑内障を起こしてしまう。などが起こります。
ステロイドを使用して、炎症を落ち着かせるのはもちろんですが、炎症が強く癒着の可能性がある症例では、瞳孔を開く薬(散瞳薬)を使用して、瞳孔を運動させる必要があります。ミドリンPアトロピンという目薬、ボスミンとう注射薬などが使われます。

他院様からの紹介で、ミドリンPを使っていたのに、瞳孔が癒着してしまったという患者様です。左が紹介時、右は注射をうったあとです。わずかな癒着は残っていますが、なんとか間にあいました。癒着してから時間が経ってしまうと、薬の力ではどうにもできなくなってしまいます。ぶどう膜炎は早期からきちんと治療することが重要です。

全身管理
炎症が目の中(ぶどう膜炎)だけでなく、体の病気が原因になっている場合は、その治療も必要です。主に内科の先生と相談して頂くことになりますが、沢山の病気があるので、今回は省略させて下さい。

今日も読んで頂き、ありがとうございました。

ただの日記

今日は小美玉市医療センターで井上先生と手術です。
・白内障 8件
・眼瞼下垂 3件
夜は県内の病院様で硝子体手術のお手伝いに参加しました。

眼瞼下垂は炭酸ガスレーザーでの手術(ミュラー筋タッキング)が当たりまえになってきました。もう普通のメスを使った術式は考えられません。炭酸ガスレーザーに関してはおいおい記載していきたいと。
ホームページも更新しないと。とは思っていますが、なかなか進まない・・・。

病気のブログを書きたいところですが、まだちょっと風邪っぽいので、今日はこれで失礼します。

ぶどう膜炎? 治療 その1 ステロイド

今日は以下の手術を行いました。
・白内障手術 7件
・緑内障手術(流出路再建)2件
・眼内レンズ整復 1件(他院にて20年前に手術後)
最後の人が難しかった・・・。外来も少し遅れてしまいました。

ぶどう膜炎?
治療 その1 ステロイド

ぶどう膜炎は、体に存在する免疫反応によって、ぶどう膜(虹彩、毛様体、脈絡膜)に炎症が起こる病気だと書きました。

ぶどう膜炎の治療は、「熱があるから解熱剤を飲もう。」というのと似ていて、「ぶどう膜に炎症があるから、炎症を抑えよう。」というものになります。多くのぶどう膜炎の治療には、ステロイド薬という炎症を抑える薬を使います。

ステロイド薬
ステロイドは、腎臓の上にある副腎という場所で作られる、もともと体にあるホルモンです。体にかかるストレスや負担、炎症などを抑える働きがあります。非常に強く、炎症を抑える効果があり、ぶどう膜炎だけではなく、解熱、鎮痛、喘息、膠原病、アトピー、湿疹などなど、とにかく全身の病気に使用され、大活躍です。
もともと自分の体のなかで作られるステロイドですが、ぶどう膜炎や膠原病などで、通常の状態よりも、病的に白血球の働きが強くなってしまったり、炎症が強くなった場合には、自分で産生する量では炎症を止める事ができません。そのような炎症がコントロールできない場合に、薬としてステロイド剤を使用することで、炎症を止めよう。というものです。
強力に炎症を止めてくれるため、様々な病気に使用されますが、その分、副作用もたくさんあります。

ステロイド剤の主な副作用
?感染(バイ菌)に弱くなります。
 もともと免疫や炎症は、外敵か体を守るための反応です。病気を抑えるためとはいえ、ステロイドで炎症や免疫力を抑えれば、バイ菌にかかりやすくなります。点滴や大量に内服した場合には、肺炎などに気をつけなくてはいけません。
?緑内障・白内障
 眼科的には房水の出口に作用するなどして、眼圧が上がり、緑内障を引き起こしてしまう場合があります。緑内障を起こしやすい家系や体質がありますが、ステロイド薬の使用中は、定期的に眼圧を測る必要があります。長い期間使用した場合には白内障の進行につながることもあります。
?体への副作用
点眼薬のみでは起こりませんが、内服や点滴でステロイドを使用した場合には、糖尿病、胃潰瘍、骨粗しょう症、高血圧、高脂血症、体重増加、筋力低下、精神症状など、様々な副作用が起こりえます。

ぶどう膜炎でのステロイド剤
眼科で主に使用するステロイド剤の使用方法には、主に4つあります。
?点眼薬、?注射薬、?内服薬、?大量点滴(ステロイドパルス)

?点眼薬
 主に、図の緑矢印の部分(虹彩炎)、目の前の方の部分の炎症を抑えるために使用します。ぶどう膜炎の多くは、虹彩炎を伴っているため、ほとんどの患者様が使用します。フルメトロンという目薬や、より強力なリンデロンという目薬が有名です(ジェネリック医薬品では名前が変わります)。副作用は、上記のとおり、バイ菌への感染に弱くなるリスクがあり、多くの場合で抗生物質の点眼薬を併用します。角膜にキズがつく場合や、また、全ての治療に起こりえますが、緑内障を引き起こすことがあり、使用中は定期検査が必要です。
?注射
 注射剤は点眼薬に比べ強力で、デカドロンという注射剤を白目の部分(結膜)に注射をしたり、ケナコルトという注射剤を眼球の後方(テノン嚢下)に注射をしたりします。特に、ケナコルトはかなり強力に、長期(数ヶ月)に炎症を抑える効果があり、近年、治療に使用されることが多くなってきました。当院でも、今まで飲み薬が必要だった症例でも注射薬だけで炎症を抑える事が出来る症例が増えており、たくさんの患者様の治療に役立っています。
点眼薬は虹彩炎(目の前の方の炎症)を抑える事が出来ますが、眼球後方には成分が届かないため、上の図の青矢印(毛様体)、赤矢印(脈絡膜)の炎症まで抑える必要がある場合には、注射薬などが必要になります。
副作用は、やはり感染や、緑内障のリスクになります。
特に注射が上手くできずに、眼球の奥の方ではなく、前の方に薬が漏れてしまうと、急激な眼圧上昇を起こすことがあり、注意が必要です。
(当院では年に数百件の注射を施行していますが、これまで軽度の眼圧上昇にて点眼薬を1剤使う程度の症例はありますが、内服薬や手術等が必要になる眼圧上昇を起こした症例は1例もありません。)

?内服薬
 内服薬は血流に乗って全身の臓器にいきわたるため、注射のように眼球全体への効果が期待できます。ただしその分、糖尿病、胃潰瘍、骨粗しょう症、高血圧、高脂血症、体重増加、筋力低下、精神症状など、全身への副作用も起こりえます。プレドニンという少し苦い薬が有名で、眼科では朝に1錠?重症例では8錠程度を内服します。数ヶ月以上の長期間内服する場合には、骨粗しょう症の予防薬や、定期的な血液検査が必須になります。(たまに何ヶ月とか何年も内服しているのに、骨粗しょう症の予防をしていない症例に出会ったりして、ビックリする事があります。)
また、眼科のためとはいえ、ステロイド剤を飲んでしまうと、ぶどう膜炎の原因となる疾患の炎症も抑えられてしまう事が多く、内服薬を開始する場合には、血液検査や全身の検査を済ませて、出来る限り原因疾患の究明を済ませるべきです。(手術後など、あきらかにぶどう膜炎の原因が分かっている場合には、その限りではありません)
?大量点滴(ステロイドパルス療法)
 その名の通り、ステロイド剤を大量に点滴で体に注入します。例えば、上記の内服薬プレドニンが1錠5mgだとすると、点滴では1000mg、200錠に匹敵する量を一気に流し込みます。多くの場合、3日間連続で点滴をします。強力に炎症を抑える場合に行う治療法で、眼科では原田病、癌関連ぶどう膜炎、ぶどう膜炎ではないですが視神経炎や甲状腺眼症などで行われます。
血圧変動や心臓などへの負担、感染症、高齢者では神経症状などの副作用が発現するリスクがあり、一般的には入院での治療が望まれます。

今日も最後までお読み頂きありがとうございます。
ちょっと風邪っぽいので、もう寝ます。
明日までに治さないと。お休みなさい。