なかなか忙しくて、毎日更新するのは難しいです・・・。すみません。
Q&Aやコメントでも緑内障の質問を頂いたのですが、緑内障は難しいですよね。
できるかぎり分かりやすく書きたいとは思っているのですが。頑張ります。
今日は視野検査のお話です。
緑内障?
静的視野検査:ハンフリー その1
実際に、緑内障で視野がどれくらい欠けているのかを評価するための検査です。
緑内障の診断や、定期検査で悪化がないかなどに使用します。
視野検査には大きく2種類あり、静的視野検査と動的視野検査に分かれます。
視野を測定するための光の指標が、動かずにピカッと光るだけのものと、光の指標を見える場所から見えない場所に動かしながら測定するものになります。
暗い部屋で行います。静的視野検査では、じっと検査機器の正面を見ていて、周囲の視野に光がピカッと点灯した時に、光が見えた時はボタンを押します。
これが視野検査の器械です。赤矢印に顔を入れて覗き込みます。
視野検査の器械にも様々あるのですが、当院では一般的に世界で最も優秀とされている、Zeiss社のハンフリー視野計の最新機種を使用しています。
正面から拡大すると、青矢印に顎を載せて、緑矢印先に光る場所があるので、そこをじっと見ています。その状態で、例えば、黄色の点が光ったりするのですが、光がはっきり見えた場合のみボタンを押します。もしも、視野が欠けている場所が光っても、その場合は本人には光が見えないので、ボタンを押しません。これを場所をかえて何度も何度も繰り返して、視野が欠けている場所を探していくのです。
緑内障?でもUPした、緑内障中期の患者様の右目の眼底写真です。
視神経乳頭から左下に向かって、神経の薄い場所(NFLD)があります。
眼球内の下の方が神経が薄くなると、上から入ってくる光を感じにくくなります。
同じ患者様の視野検査の結果がこちらになります。
右上の一番大きな円形図が視野検査の大まかな結果です。視野の中心部から左上の方に黒い影があるのが分かるでしょうか?ここが緑内障で視野が欠けている部分です。眼底写真で下方の神経が薄く、視野検査では、その薄い神経の部位に対応する形で、上方の視野が欠けていることが分かります。
目の中の網膜・神経は、上の方と下の方で異なる支配になっており、初期?中期の緑内障の方が視野検査を行うと、多くの場合には、この症例のように、視野の結果も上下で差ができます。(逆にいえば、上下の境が全くなく、黒い部分がつながっている場合には、緑内障以外の原因で視野が欠けている可能性が高いということです。)
これは、正常な患者様の左目の視野検査です。
青矢印の部分に一つだけ影がありますが、これはマリオット盲点と呼ばれる部位にあたり、生まれつきもともと見えない場所であり、正常な所見です。
これは右目、初期の緑内障です。
マリオット盲点以外に、上方に向かって、薄い影が広がっています。
これも初期の緑内障(左眼)です。青矢印以外に、下方に視野欠損を認めます。
このようなレベルでは、まったく自覚症状はありません。
これは、進行期の緑内障(左眼)です。
これを見ると、ほとんど真っ暗?なんて思いますが、中心部はきちんと視野が残っており、視力検査ではきちんと1.0見えます。このくらいになると、自覚症状で分かる人が多いですが、一部、全く症状もない人もいます。
(静的視野検査では、多くの場合で、生活に重要な、30度くらいの中心部に近い視野を測定します。実際にはもっと広い範囲で視野が存在します。)
これは、初期?中期の右眼の緑内障の患者様ですが、左側が1年前、右側が今年になります。僅かですが、進行しているのが分かるでしょうか?この1年間、一つの目薬をつけて、眼圧が15?16くらいで落ち着いていましたが、悪化してしまったようです。今回、点眼薬を2種類に増加し、目標眼圧を10?12程度と、さらに下げるように治療を強化している最中です。
緑内障は自覚症状で気が付きにくいために、病気に納得ができず、治療に積極的になれない人が多いことで有名です。
当院では、基本的に全ての患者様に、視野検査の結果をコピーしてお渡しするようにしています。
少しでも、病気の理解に役立てて頂ければと考えています。
次回は、この視野検査の読み方や、注意点について書いてみます。