緑内障? 静的視野検査:ハンフリー その1

なかなか忙しくて、毎日更新するのは難しいです・・・。すみません。
Q&Aやコメントでも緑内障の質問を頂いたのですが、緑内障は難しいですよね。
できるかぎり分かりやすく書きたいとは思っているのですが。頑張ります。

今日は視野検査のお話です。
緑内障?
静的視野検査:ハンフリー その1

実際に、緑内障で視野がどれくらい欠けているのかを評価するための検査です。
緑内障の診断や、定期検査で悪化がないかなどに使用します。

視野検査には大きく2種類あり、静的視野検査と動的視野検査に分かれます。
視野を測定するための光の指標が、動かずにピカッと光るだけのものと、光の指標を見える場所から見えない場所に動かしながら測定するものになります。
暗い部屋で行います。静的視野検査では、じっと検査機器の正面を見ていて、周囲の視野に光がピカッと点灯した時に、光が見えた時はボタンを押します。


これが視野検査の器械です。赤矢印に顔を入れて覗き込みます。
視野検査の器械にも様々あるのですが、当院では一般的に世界で最も優秀とされている、Zeiss社のハンフリー視野計の最新機種を使用しています。


正面から拡大すると、青矢印に顎を載せて、緑矢印先に光る場所があるので、そこをじっと見ています。その状態で、例えば、黄色の点が光ったりするのですが、光がはっきり見えた場合のみボタンを押します。もしも、視野が欠けている場所が光っても、その場合は本人には光が見えないので、ボタンを押しません。これを場所をかえて何度も何度も繰り返して、視野が欠けている場所を探していくのです。

緑内障?でもUPした、緑内障中期の患者様の右目の眼底写真です。

視神経乳頭から左下に向かって、神経の薄い場所(NFLD)があります。
眼球内の下の方が神経が薄くなると、上から入ってくる光を感じにくくなります。

同じ患者様の視野検査の結果がこちらになります。

右上の一番大きな円形図が視野検査の大まかな結果です。視野の中心部から左上の方に黒い影があるのが分かるでしょうか?ここが緑内障で視野が欠けている部分です。眼底写真で下方の神経が薄く、視野検査では、その薄い神経の部位に対応する形で、上方の視野が欠けていることが分かります。

目の中の網膜・神経は、上の方と下の方で異なる支配になっており、初期?中期の緑内障の方が視野検査を行うと、多くの場合には、この症例のように、視野の結果も上下で差ができます。(逆にいえば、上下の境が全くなく、黒い部分がつながっている場合には、緑内障以外の原因で視野が欠けている可能性が高いということです。)


これは、正常な患者様の左目の視野検査です。
青矢印の部分に一つだけ影がありますが、これはマリオット盲点と呼ばれる部位にあたり、生まれつきもともと見えない場所であり、正常な所見です。


これは右目、初期の緑内障です。
マリオット盲点以外に、上方に向かって、薄い影が広がっています。


これも初期の緑内障(左眼)です。青矢印以外に、下方に視野欠損を認めます。
このようなレベルでは、まったく自覚症状はありません。


これは、進行期の緑内障(左眼)です。
これを見ると、ほとんど真っ暗?なんて思いますが、中心部はきちんと視野が残っており、視力検査ではきちんと1.0見えます。このくらいになると、自覚症状で分かる人が多いですが、一部、全く症状もない人もいます。
(静的視野検査では、多くの場合で、生活に重要な、30度くらいの中心部に近い視野を測定します。実際にはもっと広い範囲で視野が存在します。)


これは、初期?中期の右眼の緑内障の患者様ですが、左側が1年前、右側が今年になります。僅かですが、進行しているのが分かるでしょうか?この1年間、一つの目薬をつけて、眼圧が15?16くらいで落ち着いていましたが、悪化してしまったようです。今回、点眼薬を2種類に増加し、目標眼圧を10?12程度と、さらに下げるように治療を強化している最中です。

緑内障は自覚症状で気が付きにくいために、病気に納得ができず、治療に積極的になれない人が多いことで有名です。
当院では、基本的に全ての患者様に、視野検査の結果をコピーしてお渡しするようにしています。
少しでも、病気の理解に役立てて頂ければと考えています。

次回は、この視野検査の読み方や、注意点について書いてみます。

緑内障? 視神経:OCTで評価

今日のお昼は白内障手術8件。無事に終わりました。
最近、多焦点レンズを選ばれる患者様が少しづつ増えているようです。

緑内障?
OCT
(optical coherence tomography:光干渉断層計)

OCTについては、以前のブログを
http://blog.sannoudaiganka.jp/?eid=128936

緑内障で押しつぶされた視神経を評価する方法は、まず診察による眼底検査、そして先日記載した眼底カメラによる記録が重要です。
しかし、数年前からは、より正確に、視神経の状態を測定、結果を保存できる方法として、眼底三次元画像解析検査という検査を行うことが増えてきました。
眼底写真が2次元(平面)での評価だとすると、眼底三次元画像解析検査はその名の通り3次元、3D、立体的に評価する方法です。検査に使用する光線の種類や方法などで、8年くらい前からGDxなどの器械が、3年くらい前からはOCTが使えるようになりました。眼底写真がレントゲンだとすると、GDxやOCTなどはCTやMRIに相当する検査です。最近3Dの映画やテレビが流行っていますが、いつの間にか、眼科の世界も3Dが当たり前に。

視神経をOCTで撮影すると、

図の右側のような断面が撮影出来ます。水色の矢印で囲んだ部分が網膜の厚み、視神経線維層を表しています。
このような断面図を数え切れないほど撮影して、コンピューターが3D画像に再合成します。すると、こんなにキレイに視神経の形を測定・再現できます。

実際に正常な人の測定結果と、緑内障の患者様の結果を比べてみると、

上が正常、下が緑内障です。
・左の眼底カメラでは、上の正常な視神経乳頭は、ドーナツのリングがしっかりとしていて、下の緑内障ではリングが薄くなっています。特に、視神経乳頭から左下に向かって、神経が薄く押しつぶされた部位、NFLD(神経線維層欠損)を認めます(赤矢印)。
・中央は視神経乳頭をOCTで3D表示したものです。NFLD、神経が薄くなっている所見がはっきりと分かります(赤矢印)。
・右側は断面図ですが、正常の方の網膜・神経の厚み(ピンク矢印で挟んだ部位)に比べて、緑内障の方(赤矢印)で薄いことが分かります。


これは、初期の緑内障の患者様で、視神経から下方に伸びる神経が薄くなっています。同年齢の正常人と比べて、OCTでは薄くなった神経(NFLD)が赤く表示されていますが、左の写真で同じ部位の網膜の色が若干色が暗いのが分かりますか?


これは上にも下にも薄い部分、NFLDが出来ている患者様です。


これは末期の患者様で、赤いところ(薄いところ)だらけです。

OCTで緑内障の検査をするメリットは

?客観的な評価が出来る。
神経が押しつぶされて見えなくなっていく病気ですが、今までは、診察以外に視野検査という検査で、診断や、進行・悪化を決定していました。今でも視野検査が最も重要な事に変わりはありませんが、後日書く予定ですが、視野検査はボタンの押し間違いや、目が動く、検査中のまばたきなど、誤差が多い検査としても有名です。OCTは本人のやる気や、検査の上手・下手に関係なく測定が可能です。

?簡単・正確
強い白内障や、瞳孔が極端に小さくない場合を除き、散瞳(瞳を開く)せずに、数秒で検査が可能です。測定時のまぶしさもありません。また、測定値は、誤差も少なく、医師(人間)の目による診断能力を大幅に上回る正確さです。強度近視の方などでは緑内障の診断が難しいのですが、これまで医師の目による診断で、なんとなく緑内障の治療を続けられていた患者様が、OCTの出現によって、実は緑内障ではなかった。なんて患者様が世界中で数え切れないほど出現しました。

?早期発見が可能に
緑内障で、神経が押しつぶされて行く場合に、実は20%以上の細胞が障害されて、初めて、視野検査で見えない場所として現れてきます。OCTでは、例えば、10%くらい障害された場合などの、まだ視野が欠ける前の状態でも、緑内障のごく初期、または予備軍として発見することができます。
(僕は、視野が全く欠けていない症例では、眼圧が重度に高い場合や、家族に緑内障で失明した人がいる場合などを除き、治療はせずに様子をみるようにしていますが、緑内障の予備軍として、1年後に必ず診察を。と促す時にはとても役立ちます。)

当院では最新機種のOCTを緑内障の診断に活用しています。
また、緑内障で治療中の患者様でも、初期?中期の患者様で1年に1回、中期から進行期の患者様では1年に2回ほど測定し、病気が進行していないかどうかの判定に役立てています。

それにしても、OCTが一般に緑内障に利用されるようになって、まだ3年くらい。
今ではなくてはならないものですが、医学の進歩は速いですね。

クリスマスツリー

スタッフがクスリマスツリーを飾ってくれました[:ツリー:]
今年はサンタさん付きです[:ブーツ:]

今日は緊急手術などもなく、ゆったりとした午後でした。
普段はなかなか時間がなく、机の上に、眼科の雑誌や教科書が溜まってしまったのですが、今日はそれらを、いっぱい読んでみました[:見る:]
昨年から耳にはしていたのですが、海外では白内障手術の重要な部分を、器械がほぼ自動で出来るようになってきていたり・・・。しかも、精度が非常に高いレベルです。インターネットで調べて手術動画を見てみたのですが、すごい
。そのうち、僕みたいな「手術で生きていこう。」なんて医師は不要になる時代が来たりして??

世界中で、様々な分野で研究をされている先生がたくさんいます。ちょっとサボると、すぐに置いて行かれそう[:しょんぼり:]
眼科の全ての範囲の最先端医療を目指すというのは不可能だとは思いますが、出来る限り、よい医療ができるように頑張らないと。

緑内障? 視神経乳頭陥凹:眼底写真

クリニックでもクリスマスの飾りつけが始まりました[:ツリー:]

今日は緑内障の患者さんに起こる、目の中の変化についてです。
緑内障? 視神経乳頭陥凹 


目の中に光が入ってくると、目の奥の網膜と言うフィルムが光を感知します。網膜は一つの束になって脳へと続いて行きますが、この脳へと続く束を「視神経:ししんけい」、網膜が束になった視神経の最初の部分を「視神経乳頭」と呼びます。(イメージ図の赤矢印)


これは、上は正常な人、下は緑内障の人のイメージです。
眼圧(赤)で視神経乳頭が圧迫されると、網膜が薄くなっていきます。図ではオレンジで網膜の厚みを表現してみました。
これの二つの状態を、実際の写真で見てみると、

左が正常、右が緑内障です。
視神経乳頭は正面からみると、ドーナツのような輪として見えますが、輪の外側のオレンジの部分が網膜にあたります。視神経乳頭の網膜の厚みが多きいほうが、ドーナツのリング(食べるところ)が大きくなり、緑内障で網膜が薄い人は、ドーナツの食べるところが薄くなります。
オレンジのリングに比べて、中央の白い部分は凹んだ形をしているのですが、この凹みの事を視神経乳頭陥凹(ししんけいにゅうとうかんおう)と呼びます。
緑内障では、網膜を表すオレンジの部分が少なくなり、凹んでいる(陥凹)白い部分が増えます。人間ドックなどでは、この凹みが大きい人たちを緑内障の疑いとして、「視神経乳頭陥凹拡大」という表現で伝えます。
(最近は、一般の人に分かりにくいとの評判から、緑内障性視神経乳頭と記載する検診が増えてきています。)


これは、緑内障中期の人です。正常に比べると、ドーナツのリングの下の方が薄くなっています。矢印で囲んだのですが、視神経乳頭から左下に、少し網膜の色が暗く映る場所があるのが分かりますか?ここは押しつぶされて、薄くなってしまった網膜で、専門的にはNFLD(視神経線維層欠損)と呼ばれる所見です。


これは、視野の8割方が欠けてしまった、進行期の患者様です。オレンジのリングがごくわずかしか残っていません。


これは、明るさが分かる場所が少しは残っている。という、社会的失明に当たる末期の患者様です。オレンジのリングは見当たらず、視神経乳頭が真っ白になっています。両目とも進行期で、数ヶ月前に当院に転院となり、緑内障手術を行い、どうにか失明を防いでいます。

当院では、緑内障の患者様は1年に1?2回、眼底写真を撮影し、保存するようにしています。
写真を撮らない場合には、医師のスケッチなどで評価をするのですが、どんなに頑張ってスケッチしても、正確さや精密さでは写真には全くかないません。


これは、比較的初期の患者様で1年前に撮影した写真です。矢印で囲んだ部分はNFLDで網膜の薄い部分です。緑の矢印の先には、視神経乳頭出血と言って緑内障が進行するときによくみられる出血があります。

これは、同じ患者様で今回1年ぶりに撮影した写真です。よーく見ると、NFLDがごくごくわずかですが、幅が広がっています。視野検査でもごくわずかですが進行があり、今回より点眼薬を強化しています。
このような微細な変化を見逃していくと、きちんと通院・治療していたのに、数年後には末期になっていた。なんていうことが起こりえます。
きちんと正確に視神経の状態を把握、保存し、以前の写真と比べるという目的で、眼底写真の撮影は、緑内障の患者様には必須の検査です。

緑内障? 症状:視野が欠ける

今日の午後は手術日です。
・白内障手術 14件
・網膜硝子体手術(茎離断) 3件
(黄斑前膜1件、増殖糖尿病網膜症2件)
無事に終わりました[:グッド:]

さて、今日も緑内障のお話です。
緑内障?
症状:視野が欠ける

緑内障は、眼圧に関連して視神経が障害され、視野が狭くなる・欠ける病気です。
「目がいい」というと、視力が1.5だとか、
「目が悪い」というと、視力が0.1だとか、
多くの方が、目の良い悪いの指標として、視力検査の数値を想像します。
ある人の、物の見え方を表現するのに、視力というは重要な指標ですが、同じように視野というのもとても重要な指標です。
視野とは、ものの見えている範囲のことを言います。

緑内障では眼圧によって、視神経・網膜が押しつぶされて薄くなっていきますが、薄くなった部分の視野は見えなくなっていきます。
視神経や網膜は場所によって厚みや丈夫さが異なりますが、物を見る中心部の神経は、他の部位に比べて丈夫であることが多く、緑内障で神経が押しつぶされる場合に、多くの場合は視力検査に重要な中心部の神経は最終段階まで生き残り、他の周辺部の視野から障害されていきます
周辺部の視野が欠けていき、治療を受けずに、病気がどんどん進んでいくと、最終的には物を見る中心部も侵され、失明。となっていきます。


これは一つの例ですが、上の段が視野検査の結果、下の段が日常生活での見え方のイメージ図になります。黒い部分が視野が欠けていることを表しています。
一番左側は初期の緑内障、中央が中期、右側が末期の緑内障になります。

実は近年の緑内障の治療は、以前よりも格段に進歩しており、きちんとした治療を受けることができれば、多くの場合で失明を防ぐことができます。
なのに、緑内障が失明の原因の1位なのはなぜでしょう??
それには、次のような自覚症状がない。という事が大きな要因です。

①自覚症状を感じて病院に行く時にはすでに末期。
よほど詳しく調べないと、ほとんどの人は、上の図で左側や中央、つまり初期や中期では自覚症状がありません。なので、「見えにくいなぁ。」と思って、初めて病院に行く時には、末期の末期なんてこともよくあります。

②自覚症状がないので、治療・通院を中断してしまう人が多い。
毎年毎年、数千人が失明する重大な病気ですが、最近は人間ドックのおかげで、初期の段階で病気が見つかり、早期治療を始められるが増えてきました。初期から治療をすることで普通は失明を防げるのですが、基本的に治るといった病気ではなく、毎日目薬をつける事に納得がいかなくなったり、通院の時間や、金銭面などで、治療が面倒になってしまう人がたくさんいるようです。
見えない。という自覚症状が出る時には末期なのですが、初期には自覚症状がないため、通院が嫌になってしまうのですよね・・・。

自覚症状が出にくい理由には、まず両目を使う事で、左右の目に見えにくい場所があっても、カバーしあうということがあります。
そして、それ以上にfilling-inという脳ミソの働きも重要です。

分かりやすくするために、上の見え方のイメージ図では、見えない部分を黒く塗ってありましたね?しかし、実はゆっくりと進行する緑内障では、見えない部分が黒く見えるわけではないようです。
例えば、緑内障で、一部分が虫食い状に見えない場所がある患者さんがいるとします。
その人が白い壁を見ている場合には、その見えない場所は白色で埋められます。
その人が青い空を見ている場合には、その見えない場所は青色で埋められます。
多くの緑内障では、見えない場所があったら、そこは黒になるのではなく、その周りの色が入り込んで、あたかも色があるように見えるのです。(filling-in現象)

人間の脳ミソは生きていくにあたって、出来るだけ都合がよい状態になるように、様々な情報を調節していきます。(若い時ほどその傾向が強いようです。)
片足を急に失った人は、最初は体のバランスを取ることが困難ですが、だんだんと重心の位置がズレて、義足などで歩けるようになります。
斜視といって、目線がズレテしまう病気がいきなりでると、物が2重に見えてしまいますが、若い時からあったり、病気が長引いたりすると、2重に見えるよりも楽だからと、脳ミソは片方の目からの映像を消してしまう方法をとります。
片目づつだと、右目と左目の見え方が違っても、脳に入る時点で映像を作り変え、合成・融像するために、両目でみると全く気にならなくなります。

緑内障の重症型で急激に見えなくなったばあには、症状に気が付きやすいのですが、多くの緑内障は数年とか、数十年とかをかけて、非常にゆっくりと進む病気なので、脳ミソはそれに適応するように、見えない部分(視野)を、自分にとって都合がいいように作り変えて、生活しやすい映像を作り出すようになってしまうのです。

上で紹介したイメージ図ですが、慢性の緑内障では、多くの場合に下のような見え方に、脳ミソが映像を作り変えてしまうのです。

左や中央のイメージ図では、普通の人には自覚症状がでません。
右側になると、色を埋めるといっても、どの部位の色を持ってきて、欠けた部分を埋めたらいいのか?脳ミソも判断できなくなります。こういう状態になって初めて、「見えにくい」と感じるのです。それでも右の末期の図のように黒く抜けて感じるひとは殆どおらず、全体として「白くかすむ」という映像が頭に思い浮かぶことがほとんどです。緑内障の末期の患者さんでも、「俺は視野も狭くないし、黒くない。白くボヤケルから白内障だ」とか、別の病気が原因だと自己判断している人が多数いるのです。

病気ではない、皆さんにも、見えない部分(視野が欠けている部分)があるのですが、分かりますか??
これがマリオット盲点と言呼ぶものです。(詳しくは以前のブログへ。)

信じられない方へ。
左目をつぶって、右目のみで、下の☆を見てみましょう。
顔をパソコンのモニターに10cmくらいまで近づけます。
その後、☆を見続けながら、ゆっくりと顔をモニターから離していきましょう。
☆の右の方にある◎が見えなくなる位置があるのが分かりますか??

☆       ◎

ビックリしました??
ここで、お願いです。
①40歳を過ぎたら、数年に一度でいいので眼科で検診をしましょう。
②人間ドックなどで、せっかく初期で見つかって、早期治療を始めることができた方は、とにかく通院・治療を続けましょう。

緑内障は自覚症状が出る時には末期です。もとに戻らない病気です。
「運転免許が通らなかった。」「歩きにくくなった。」など、見えなくなってから、病院にいっても、絶対にもとには戻りません。見えているうちから、治療を行って、将来不自由が起こらないようにする病気です。

うーん。ちょっと視野の事を書くだけでも、長い文章になってしまいますね・・・。文才がないのは自覚していますが、ご了承ください。

移動

今日の午後は、ちょっと大変でした。

初めに、当クリニックで準緊急手術の緑内障手術。
次に、小美玉市医療センターで、予定手術。
その後、県南の眼科様から網膜剥離の紹介があって、クリニックに戻って手術。網膜剥離っておおいなぁ。
夜は、知り合いの先生が勤務する病院で大変な手術があったようで、急きょ呼んで頂きお手伝いに。

移動と、着替えが大変でした。
緊急手術は、まとめてクリニックで出来たら、少し楽なのですが、ベットの満床との戦いもあって難しいのですよね・・・。

今日はブログはお休みで。

緑内障? 分類

今日は以下の手術を行いました。
・眼瞼下垂+眼瞼内反症手術 1例
・白内障手術 5件
・緑内障手術(トラベクレクトミー) 1件
無事に終わっています。
眼瞼下垂+眼瞼内反症は若い患者様なのですが、他院で既に2回の手術歴があり、癒着が多いと大変だなぁと心配していましたが、まずまずキレイに出来ました。

今日も緑内障の話題で。
緑内障? 分類

緑内障とは、眼圧に関連して視神経が障害され、視野が狭くなる病気。と11月12日に記載しました。自分の持っている眼圧に、自分の視神経・網膜が耐えられない場合に進行していく病気です。
ただ、一口に「緑内障」といっても様々な種類があるのです。細かく分けたら数十種類も。例えば、日本で一番多いとされている緑内障は「正常眼圧緑内障」という緑内障です。

まず、大きな分類として、以下の3つに分けられます。
?原発性(げんぱつせい)
?続発性(ぞくはつせい)
?先天性(せんてんせい

?原発性緑内障
他に緑内障を発症するような病気のない、純粋な緑内障になります。最も多い病形で、医師に「緑内障ですよ。」と言われた場合は、ほとんどがこちらになります。

?続発性緑内障
他の病気がもとにあって、それが影響して緑内障を発症するものです。目に炎症が出てしまうぶどう膜炎という病気や、外傷性の緑内障、ステロイドの薬を飲んでいる人がなるステロイド緑内障、糖尿病などが原因となる血管新生緑内障、甲状腺の病気や、白内障など水晶体に関連するもの、手術が原因となって発症する緑内障などもあります。続発性緑内障は上記の様々な原因が影響して、原発性に近い形をとる緑内障ですが、治療をするうえで、緑内障の治療以外に、もとの原因となる病気の治療を行うことも必要になります。

?先天性緑内障
近年は正式には発達緑内障と呼ばれます。生まれつき、眼球構造の発達不良であったり、異常があるために起こる緑内障で、小児期?若年期に発症します。目の異常のみでなく、染色体異常やホルモン異常など、全身的に重大な疾患と合併することがあります。

では、次の分類です。
A:閉塞隅角(へいそくぐうかく)
B:開放隅角(かいほうぐうかく)

以前のブログ(2011.11.07 Monday)で、目の中には房水と呼ばれる水が循環していることを書きました。

房水は毛様体(もうようたい)と呼ばれる組織で産生され、青矢印のように目の内部に流れていきます。そして、最終的に、赤矢印のように角膜と、水晶体の前方に位置する虹彩の付け根の部分から出ていきます。この房水の出口の部分を隅角(ぐうかく)と呼びます。
この隅角(房水の出口)が明らかに狭く、水の排出が悪くなっているのが「閉塞隅角緑内障」。一見、隅角(房水の出口)は狭くない、または広いのに排出が悪いものを「開放隅角緑内障」と呼びます。

赤矢印が隅角を指していますが、左側が閉塞隅角、右側が開放隅角になります。

開放隅角は出口が広いのに、房水の排出が悪く、眼圧が上がってしまうことがあるのですが、出口よりも先の房水の排出路の構造に問題があったり、細胞レベルなど、人間の目で認識できるレベルを超えて、流れを妨げる何かがある場合に起こります。
逆に言うと、閉塞隅角緑内障は、少し拡大して診察するだけで、医師(人間)の目で、明らかに出口の構造が狭いということが認識できる病態です。

開放隅角の、目に見えないレベルの異常がある場合には、治療法は、まずは点眼薬による治療を行うのが一般的です(人間の手を使った手技で、どうにか出来る大きさのレベルではない)。
ところが、閉塞隅角の場合には、人間が認識できる大きさのレベルで、出口が狭いので、手術やレーザー光線を使用して、出口を広くすることで、房水の流れを改善することが可能であり、治療の第一選択は外科的な手技になります。(以前は、サンピロという点眼薬で、出口を広げる方法がとられることが多くありましたが、副作用の問題などで、今はあまり行われません。)

*閉塞隅角緑内障で、手術等などで外科的に隅角を広げても、緑内障が残存する場合には、開放隅角緑内障も合併しており、混合緑内障と呼ばれます。この場合は、隅角を広げた後も、開放隅角として点眼薬などの治療が必要になります。

この2つの分類の組み合わせで、多くの緑内障を表現することができます。
例えば、
・原発性開放隅角緑内障
・続発性開放隅角緑内障
・続発性閉塞隅角緑内障 などになります。

正常眼圧緑内障
初めに、緑内障のなかで、もっとも多い病形だと書いたのが、この正常眼圧緑内障です。
実は、正常眼圧緑内障は、厳密には原発性開放隅角緑内障に分類されます。
緑内障は眼圧がいくつだから発症するとかではなく、自分の眼圧に、自分の視神経が押し負けてしまう場合に発生する病気です。みんなに比べて、視神経が弱い人がいたとして、その人の眼圧が10?20mmHgと、正常値と言われている状態でも、神経が押しつぶされていく場合には緑内障となるのです。

緑内障という病気のことが、まだよく分かっていなかった時代に、「眼圧が高い=緑内障」という観念が先行してしまったようで、緑内障とは眼圧が20以上でなるものだ。と考えている人が多いようです。
本来は、眼圧が10だからとか、20だから、30だから病気だとか病気でない。と言うことではないのですが、現在の日本では一応、眼圧は10?20mmHgを正常としています。

このような理由で、一応は、「眼圧が20未満で発症した緑内障を正常眼圧緑内障」と、定義されています。
実際には、緑内障とされる患者様の70%以上は、正常眼圧緑内障と圧倒的に多い病態です。緑内障の、ほとんどの患者様の眼圧が正常。というのも変な話なので、そろそろ、眼圧の正常値という呼び方とか、病名とか、大きく変える時代が来てもいいのでは??と思いますが、どうなのでしょう?

なるべく、簡単に、一般の患者様に分かりやすい解説を。と日々考えているのですが、特に今日はちょっと難しいですよね・・・。
分類という言葉自体、ちょっと表現が硬い。なかなか難しいです。
お付き合い頂きありがとうございます。

茨城グルメまつり

今日は緊急の患者さんもなく、ゆったりです。

入院の方のみ診察して、車で40分。水戸の偕楽園・千波湖に行ってきました。

30分700円で手漕ぎボートを借り、白鳥にエサを(・e・)
エサをあげたがる割に、実際に近づいてくると、怖がったり。わがままな子供です・・・。

駐車場からして、妙に混んでいるな。と思っていたら、
今日は、
2011 茨城グルメまつり
が開催されていました!
最近流行りの、B級グルメグランプリとか、そういう趣向の物らしいです。(間違っていたらすみません。)
県内からの参加を中心に60店舗近い出店があるようです。

「ネバネバ丼」??、看板が見えますが、茨城ですから、きっと納豆に違いない!

B級グルメグランプリ。テレビでみてすごく興味があったのですが、

お昼がメインだと思いますが、僕が会場についた時には16時。結構遅い時間になってしまったのですが、まだまだすごい人だかり。


この矢印から矢印まで、ずっと並ばないと食べられないようです。
今日あるなんて知らなかったので、お昼にラーメン大盛りを食べてしまい・・・。ここに並ぶか、並ばないか・・・。
迷いましたが、本日は撤退[:悲しい:]
来年はリベンジするぞ[:ラーメン:]

緑内障③ 病態

緑内障③ 病態

目の中には血液の代わりに、栄養分に富んだ透明な液体(房水)が流れており、房水が入っているからこそ、眼球と言うボール(風船)は、丸く膨らんでいることができます。指で触ってみても、少し弾力・硬さがありますよね?
目の中に房水がたくさん入っていると眼球は硬くなり、少ないとやわらかくなります。この硬さ・弾力のことを眼圧として測定することを緑内障①②で記載しました。

緑内障とは、眼圧に関連して視神経が障害され、視野(見える範囲)が狭くなる病気です。
(難しいことまで書くと、目の奥の血流や視神経の構造など、眼圧以外の原因もいくつか推測され、偉い先生たちが日夜研究中ですが、現在の医学で原因・治療法としては確実に証明されているのは眼圧・眼圧下降のみとされています。)

眼球にとって、房水はなくてはならないものです。栄養分をいきわたらせる役割もありますし、何より房水がなければ、眼球というボールは丸く膨らんではいられません。ケガなどで眼球に穴があき、房水が流れ出てしまったら、目は文字通り小さくつぶれてしまいます。
房水が存在するおかげで、眼球の風船には内側から圧力がかかり(眼圧)、丸く膨らんでいる眼球ですが、光を感じ取る網膜や、網膜の束である視神経が、眼圧によって押しつぶされて、薄くなってしまう事があります。網膜・神経が薄くなった部分は徐々に見えにくくなっていくのですが、この状態を緑内障と呼びます。


房水によって内側から膨らむ力(眼圧)が働くと、


視神経が圧迫されて、光を感じ取る網膜(緑)が薄くなってしまいます。

血圧は収縮期で140未満が正常、140を超えるとが異常、高血圧と呼ばれますが、
実は、厳密な意味では眼圧に正常値はありません。
ただし、ある程度の目安として、一応は眼圧の正常値は10~20mmHgとされています。

どちらかというと、眼圧は低い方が良いと考えてください。(0とか1とか、極端な低値は別ですが。)
例えば、
・眼圧が100とかあると、地球上の人間のほとんど全員が1日で失明に至ります。
・眼圧が50だと、視神経・網膜が弱い人は数日、丈夫な人は数ヶ月~1年程度かけて失明します。
・眼圧が30だと、目の弱い人は数ヶ月で失明に至りますが、丈夫な人は一生涯まったく問題が起こらない人もいます。
・眼圧が20だと、多くの人では特に問題が起こりませんが、視神経や網膜が弱い人は、ゆっくりとですが失明していくこともあります。
・眼圧が6でも、非常にまれですが、視神経や網膜が押しつぶされていくこともあります。

つまり、眼圧が数字でいくつだから大丈夫、いくつだから駄目。というのではなくて、自分の持っている眼圧に、その人自身の視神経・網膜が耐えられるかどうかが問題なのです。

ある人の視神経が16mmHgまで耐えられる神経であった場合に、その人の眼圧が12mmHgであれば、全く問題が起こりませんが、眼圧が19であれば少しづつ弱っていきます。眼圧が30であれば、より早く弱ってくという具合です。

ですので、眼圧の正常値である10~20mmHgというのは、それくらいの人が多いという目安であって、その中に入っているから大丈夫ということもないですし、その中に入っていないから絶対に病気になるというわけでもありません。
(そうはいっても、眼圧が30も40もあれば緑内障になる確率は高いので、人間ドックで眼圧を測って、20以上の人をピックアップすることは、効率よく病的な人を見つけるのには役立っています。問題なのは、20以下だったから、緑内障にはならないと、安心してはいけないという事です。)

裂孔原性網膜剥離? 治療その2 強膜内陥術

今日の夕方は、少し外来を早めに終わりにさせて頂き、網膜剥離の手術を行いました。
県南の医院様からの紹介で20代の男性、少し前に白内障の手術をして頂いたようです。手術は無事終わり、視力も回復したようなのですが、最近になって網膜剥離が見つかったようで。
もともとアトピーがある方です。実はアトピーの方は、若くから白内障になったり、網膜剥離になりやすいことが知られていて、眼科医の中では、白内障手術⇒網膜剥離。というのは、非常に怖いのですが、とてもよくある話です。アトピーがあると、とにかく目が弱いようで、網膜剥離になったり、なったあとも手術が難しかったり、なかなか大変です。

網膜剥離に関しては、以前にたくさん書いたつもりでしたが、本日の手術の方式はまだでしたので、今日はその話題で。

裂孔原性網膜剥離? 治療その2
強膜内陥術(きょうまくないかんじゅつ)

以前に記載した(ブログ:2011.10.24 Monday)、硝子体手術と呼ばれる術式は、剥がれた網膜をくっつけるために、眼球の内部に器械を直接挿入し、硝子体(ゼリー)を除去して、空気の力などで網膜を眼球の壁に押し付ける方法でした。(網膜⇒眼球壁)

強膜内陥術は、眼球内に器械を入れたり、網膜に直接触ることなく、網膜と眼球壁をくっつける方法で、剥がれた網膜はそのままに近い状態で、眼球の壁を内側に押し込んで、網膜にくっつけるような方法です。(眼球壁⇒網膜)


こんな感じで、緑の網膜が内側に剥がれているとすると、


上方から、シリコンスポンジという物資を、押し込んで縫いつけ、眼球自体をゆがませて、眼球の壁と網膜をくっつけます。

実際の手術です。

まず、強膜(白目)を覆っている結膜という粘膜を切開し、強膜を露出させます。


強膜に紫のペンで印をつけてあるのが分かりますか(黄緑矢印)??
この印の内側の部分の網膜が、断裂して、網膜剥離の原因になっている穴の部分です。この周囲に、針と糸を通しています。


強膜に通した糸で、眼球を押し込むように、シリコンでできたスポンジをキツク縛り付けます。
白いうどんのような物が、シリコンスポンジです。シリコンというと、女性が胸に入れたりもしますが、体中に安全に留置することができる物質です。


こんな感じで、シリコンのスポンジを数か所縫いつけたり、目を動かす筋肉の下を通したりして、眼球を凹まして穴をふさいだり、網膜をくっつけていきます。


網膜剥離の程度が強い場合には、網膜と眼球壁の間に溜まったお水を除去した方が、早くくっつきます。写真の水色の矢印は、白目に穴を開けて、溜まったお水を抜きだしているところです。(治療のイメージ図では赤矢印の作業です。)

網膜剥離といっても、年齢も程度も原因も様々なので、患者様にあった治療法を選択していかなければなりませんが、この治療法は、一般的には年齢が若く、硝子体(ぜりー)が眼の中にたくさん残っている方に、よく行われます。

硝子体手術に比べて、この手術(強膜内陥術)の良い点は、
・眼球に穴を開けたり、器械を入れたりしないので、バイキンが入って感染症を起こしたり、大出血を起こしたりといった、重大な合併症が起きにくいことです。

悪い点は、
・目を押し混んだり、ぎょろぎょろさせて引っ張ったり、硝子体手術よりは痛みが強いこと。(以前は全身麻酔で行うことの方が多かったようです。)
・直接、眼内をいじって治すわけではないので、重度の網膜剥離などでは、治せない症例が多いこと。⇒治せなかった場合には、硝子体手術を行います。
・眼球の形が変わって、乱視や近視が大きくなること。
などがあります。

注)どの術式がよいかは、その患者様の年齢や、症状、網膜の穴の数や、穴の大きさ、穴の位置、発症後の期間。様々な条件により異なりますので、担当の先生とよく話し合うようにしましょう。