マリオット盲点  栗棒?

かなり寒くなってきましたね!

久しぶりに娘と朝の散歩に行ったら、健康のためどころか、風邪を引くんじゃないかと・・・。次回はちゃんと厚手の服装をさせなくちゃ。

今日は病気とは別に、目の面白い機能について。
マリオット盲点(まりおっともうてん)
マ盲点や、生理的暗点などとも呼ばれます。人間はもちろん、脊椎動物全てに存在する、視野の欠損する部位の事です。

黒目(角膜)から入ってきた光は、目の奥の方のフィルム(網膜)に当たります。網膜は一つの束(視神経)になって、最終的には脳ミソにつながり、「物が見える」という事になります。

図の赤矢印の部分は視神経乳頭と言って、網膜が集まって束になる部分なのですが、実はこの部位のみ光を感じ取ることはできないのです。

写真だと水色の部分が視神経乳頭(マ盲点)になります。ちなみに、物を見る中心部の網膜は黄斑と呼ばれ、オレンジの矢印に当たります。

自覚的には、マリオット盲点(視野が欠けて見えない部分)は、視界の中央から少し外側に存在します。(正確には、中心部から外側に15度位の部位)

そうは言われても、「視野が欠けている??私はそんな場所ない!!」って思いますよね??
人間の脳は非常によく出来ていて、眼球としては光を感じない部位が存在しても、脳ミソ的には、その部位を「黒」とはしないで、その周りの色をクシャっと引き寄せて、あたかも何かが存在しているように画像を変換してしまうのです(filling inと呼ばれます)。

では、信じられない!と言う人のために。
まず、右手を顔の高さで、前方にしっかりと伸ばします。
次に、写真のように、親指と小指のみを軽く伸ばします。

左目を閉じて、右目で、親指の爪(赤丸)をじっと見つめます。
小指が上の方を向いている時には、親指の爪を見ていても、小指の先(青丸)も視野の中で認識が出来ると思います。
そこから、親指の爪を見たままの状態で、腕を時計回りにゆっくりと回していき、小指が親指と水平の部位に来るようにします。

こんな感じ。すると、親指の爪を見ていると、小指が見えなくなっていると思います。この見えない範囲がマリオット盲点です。

どうでしょう?出来ました??
他には、紙に☆を横に5cmくらい離して書いて、紙を顔に近づけて、右目のみで、左側の☆を見続けます。そこから紙を離していくと、右側の☆がなくなる部位が見つかる。なんて方法もあります。

マリオット盲点というのは、全人類に存在するもので、見えないことは病気ではありません。
マリオット盲点以外の部位が欠ける場合は病気となるのですが、視野が欠ける代表的な疾患として、緑内障があります(日本人の失明の原因の第一位)。
マリオット盲点を認識しづらいのと同様に、実は、緑内障で視野が欠けた場合も初期の段階では気が付きにくいのです。(初めて病院に来る時には、末期だったんてことがよくあります。)
人間ドックで指摘されたり、メヤニなど他の理由で眼科を受診したときに、幸運なことに初期の緑内障が見つかった場合には、早期から治療ができるのですが、自覚症状がないと、通院や治療が途切れてしまう事が多いことも問題です。

僕は治療をサボってしまう人に、視野が欠けることを認識してもらったり、そして普段は、そのことに気がつかない。と言う事を伝えるために、マリオット盲点が見えないという事を実践してもらう事があります。
(マリオット盲点は病気ではありませんが、みなさん、まさか視野が欠けている。なんて思っていないので、ビックリするようです。すると、急に緑内障の治療に積極的になってくれます。脅しているようで申し訳ないですが、結局は患者さんのため。)

いつも、上記のような指を使った説明や、紙に書いたり、ペンを使ったり。どうにかマリオット盲点を分かってもらおうとするのですが、なかなか上手くいかない時もあります。(高齢の方などでは、親指を見て!と言っても、ついつい、小指の方を探して見てしまうんですよね・・・。)

そこで、以前から作りたいと思っていた物を昨日作ってみました!

カインズホームで、S字フック98円、ビニールテープ28円X2色で、計154円。
S字フックを切断して、曲げて、ビニールテープを張り付けると、

こんな感じ。

実際には、長いほうの先を目の下に当てて、

赤のテープを見ていて頂いても、黄色も認識できますが、
指の時と同じように、ゆっくりと回すと、

赤を見ていると、黄色が見えなくなります。

今日、さっそく患者さん10名くらい、スタッフにも実験してたのですが、
みんな、視野が欠けている事を実感したようで、「ワァー!」と[:びっくり:]
大成功です。指でやるときよりも、赤とか黄色とかの指標をしっかりと作る方が、目がきょろきょろしないようです。

150円で作った、この棒。
名前は「栗棒:クリボー」と名付けよう。
大量生産して、眼科医のみなさんに1000円で買ってもらえたら[:ひらめき:]

年の瀬?

今日は以下の手術を行いました。
・翼状片手術 1件
・白内障手術 9件
・緑内障手術 1件
・網膜硝子体手術 1件(黄斑前膜)
無事に終わっています。
今日はかなり早く終わって、もうちょっとで帰宅出来そうです。
たまには子供とご飯を食べよう!

よく年末に「年の瀬」という言葉を耳にします。
ところで瀬って何だろう?と思って調べてみると、
「年を越せるかどうか」は、昔の庶民にとっては重大な事で、その大変さを、流れの急な「瀬」に喩えたもの。渡り切れなければ死[:唖然:]というイメージからきているようです。

数日前から、白内障手術の予約が来年の1月とかになっていて、ふと気付くと、いつの間にか12月28日までの手術枠は、全て埋まっているようです。
まだ10月ですが、すでに「年の瀬」まで仕事はいっぱい。
頑張って仕事の「瀬」、渡り切るぞ!![:水泳:]

*「運転免許証の更新が出来なかったので、とにかく急いで手術をしてほしい。」といらっしゃる方が少なからずいます。なかなかご期待に添うのが難しい現状ですので、当院での手術をご希望のかたで、少し視力に不安のある方は、免許証更新の前に余裕を持って来院してください。

裂孔原性網膜剥離? うつ伏せ

今日の午後は他院様に手術のお手伝いに伺いました。
非常勤での出張手術は、高速道路を使って車で行く所ばかりなのですが、なかなか昼間に1人で運転をする機会は少ないので、ドライブの気分で気持ちいいんです紫外線を予防するため??ちょっとカッコつけてサングラスをしたりします[:車:]

本日、予定通り網膜剥離の患者様2名の退院です。
手術の最後に、目の中に空気を入れて、うつ伏せになることで浮力を使って治すというのを昨日書きました。
図でみるとこんな感じ。

この空気はだいたい1週間?10日間くらいかけて吸収され、最終的には目が作り出すお水(房水)に入れ替わります。空気がたくさんある間は、特にうつ伏せを頑張って網膜を張り付けて頂くのですが、基本的には食事やトイレなど、必要最低限の場合を除き、24時間うつ伏せになって頂くのです。
仰向けになって天井を見てしまうと、空気が水晶体や、白内障手術をした場合には眼内レンズに触れてしまいます。水晶体の場合は空気がふれると白内障が進んでしまったり、眼内レンズの場合には浮力の関係でレンズの位置がズレてしまう事があるため、空気がなくなるまでの10日間位は、仰向けになることはできません。
(空気ではなく、特殊なガスを目の中に入れる場合には、もっと長い期間のうつ伏せが必要になることがあります。当院では硝子体の切除を念入りに行い、網膜を引っ張る力をできるだけ弱くするため、この1年間では全ての患者様を普通の空気のみで治療することができていますが、非常に稀には3週間程度残るガスを使う事もあります。)

目の事を思えば、とにかくしっかりと、うつ伏せを守って頂きたいので、僕は、たまに病室をこっそり覗きに行きます。
すると、いろいろな人がいて、何回見に行っても、きちんとうつ伏せを守ってくれる人や、なかなか頑張ってくれない人もいます。そんな時には、厳しく注意するべきなのでしょうが、僕は人に強く怒ったり出来ないんですよね・・・[:悲しい:]


昨日のブログで例に出した、10月20日に手術をした66歳女性です。
写真の左上のほうの網膜が剥がれています。

これが本日、退院前の写真です。写真の上方1/4くらいで水平の線が見えますか?これより上が空気、下が房水と呼ばれる液体です。
手術前の視力は黄斑も剥がれていて、メガネをかけても0.03でした。白内障や黄斑前膜の治療も一緒に行い、本日は0.5まで回復しています。まだ手術後間もないので、もう少し改善する見込みです。


イラストを描いてみると、こんな感じです。白丸が空気、赤のXはレーザーのヤケドの意味です。


これは、21日に手術をした39歳の写真です。やはり上方の1/4位には、まだ空気が入っています。こちらの方は水晶体が残っているので、上を向くと白内障が進んでしまいます。もう少し入院した方がいいのかもしれませんが、ご自宅がかなり遠く、お子さんもいるので、おうちで安静にして頂く予定です。
もともと黄斑までは剥がれておらず、手術前から視力は1.0ありましたが、本日の時点でも1.0を維持しており、良好な経過です。

裂孔原性網膜剥離? 治療その1 硝子体手術

今日のお昼は白内障手術8件。無事に終わりました。
今日は某メーカーさんが来てくれて、まだ未発売ですが、新型のレンズを挿入する器械を少し使ってみたのですが、なかなかいい具合でした。

先週の木曜・金曜の網膜剥離の患者様も経過良好で、明日退院です。

今日は網膜剥離の手術の方法を書いてみます。
裂孔原性網膜剥離? 硝子体手術
先週の木曜日の手術です。ブログ:2011.10.20 Thursday

*網膜剥離は、年齢や、剥がれている程度、白内障の有無、穴の大きさや、網膜の剥がれている範囲など、個々の症例によって、手術方法が異なります。ある一つの例としてです。

今回は、66歳女性、白内障あり、後部硝子体剥離に伴う大きな裂孔、剥がれて数日、黄斑剥離あり といった症例です。

まず、網膜剥離の原因ですが、硝子体という目の中のゼリーが縮んで、網膜を引っ張ることで発症します。

手術では、まずは仰向けに寝て、白目の周り?眼球の後方に針を入れて局所麻酔をします。(近年は網膜剥離の硝子体手術では全身麻酔は不要です。)

この方は66歳で白内障もあるので、最初に白内障手術をやってしまいます。

眼内レンズを入れている写真です。

その次に、目の中に器械を入れて観察してみると、

写真の左下の方が、網膜の剥がれている部分です。

硝子体を器械で取り除く手術なのですが、硝子体は本来、透明なゼリーなので、あまり良く見えません。

なので、こんなふうに白い薬(マキュエイド)を目の中に入れて、硝子体を見やすくする処置をします(可視化)。

物をみる中心部(黄斑)まで剥がれている症例では、なるべく早く黄斑の剥離を治すことが重要です。そこで役立つのが、パーフルオロンという重い液体です。

パーフルオロンを目の中に入れていくと、網膜を押しつけて、剥離がくっついて行きます。
図ではこんな感じ。

紫がパーフルオロンですが、重い液体なので、重力によって網膜を押しつけてくれます。

その後はとにかく丁寧に、硝子体を取り除いて行きます。

これは、網膜が断裂している部分の写真ですが、赤矢印の先に右上から左下に向かって、三日月状に網膜が断裂しています。破れた網膜の隙間から、オレンジ色の脈絡膜という組織がのぞいて見えます。

硝子体カッターと呼ばれる、掃除機のような器械で、硝子体のお掃除です。

網膜をひっぱていた硝子体を取り除くと、網膜はヒラヒラと軟らかくなります。

ここで、風船を膨らませるように、目の中に空気を入れたり(白○)、網膜の後ろ側にたまったお水を吸い出すことで(黄色矢印)、網膜を外側にひとまずですが、くっつけます。

白丸が空気です。内側から膨らみ、網膜を外側に押しつけます。

これは、網膜の後ろ側の水(下液)を吸い出しているところです。


網膜が外側にくっついたら、網膜の断裂部の周囲にレーザー光線を照射して、網膜にヤケドを作ります。赤の×印がヤケドです。

レーザーは緑色の光です。

レーザーで焼いて、ヤケド状になった網膜は、しばらく白くなります。
写真の中央部くらいに見える白い点々が、ヤケドです。

他の部分の網膜にも、穴があったり、将来穴があきそうな部分があれば、レーザーで焼き付けておきます。


この患者様はもともと黄斑前膜という病気を合併しており、ついでに前膜を取り除いてしまいます。網膜が少しシワシワになっているのが分かりますか?(BBG使用:病気の詳細は以前のブログを。2011.09.07 Wednesday)


手術終了時ですが、目の中は空気でいっぱいです。通常の白内障の終了時と違って、目の中が空気で光ってキラキラ光って見えます。
25Gという最もキズ口の小さい最新の器械でだと、これだけいろいろやっても、手術は40分弱。白目も以前のように赤くならずに、とてもキレイです。
(*2014年より27ゲージというより小さい傷での手術に変わりました。多くは30分程度で治療可能です。)

うつぶせ
実は、この手術は、終わった瞬間に治るわけではありません。
手術後に数日間はうつ伏せになって頂く必要があります。

ゼリ?(硝子体)を取り除いた目の中には、空気とお水があるのですが、うつ伏せになると、お水の中で空気に浮力が働いて、網膜を押しつける力が発生します。この状態を数日間続けることで、網膜が外側にくっついた状態を維持します。
レーザーで網膜を焼き付けると、ヤケドが治っていく過程で、網膜がガッチリと癒着をしていきます。最終的に、一週間くらいで空気は吸収されてなくなってしまうのですが、空気がなくなって浮力がなくなっても、ヤケドがしっかりとくっついていれば、手術が成功と言えるのです。

網膜剥離の硝子体手術は、手術のみで治るのではなく、手術後のうつ伏せがとても大事です。みなさん、手術自体よりも、うつ伏せの方が辛いという方が多いのですが、頑張って頂いております。
(当院はで、今年は震災時に1名のみ再発の症例がありましたが、他は全例初回手術で復位:くっついています。初回復位率は約95%で県内でも非常に良好な成績です。再発例もオイル置換後に、オイルを抜き、現在は復位しています。みなさんのうつ伏せのおかげです。ありがとうございます。)

藤家

今日は日曜日なので入院患者さんをちょっと診察するだけ。
網膜剥離の方が2名て、うつ伏せを頑張って頂いているのですが、調子いいようで、週明けにも退院の相談が出来そうです。
最近は、網膜剥離を日帰りで行うクリニックさんも少くなからずありますし、どこまで入院して頂くかは迷うところです。家に帰って、仰向けに寝ると、白内障が進んでしまう事もあり、空気が半分?1/3に位に減ってから退院するのがいいのかな?なんて考えてはいるのですが。
数年前までは1?2週間とか入院するのが当たり前だったので、まだ慣れない。

午後は家族で県内の遊園地(日立海浜公園)に。子供の夏休み以来ですが、天気予報が悪かったせいか、結構空いていて、フリーパスを買ったら乗り物が乗り放題[:GO!:]

今回の石岡市の紹介は、
横浜家系ラーメン 藤家さん

まだ出来て1年もたっていない新しいお店で、3回目の訪問です。
店内がキレイで、子供にも優しく、気持ちのいい接客です。
僕はあまりラーメンに詳しくないのですが、調べてみると、家系ラーメンというのは、横浜には○○家という店舗名のラーメン屋さんが多く、そのあたりで流行ったラーメンの総称のようなものらしいです。

僕はコッテリ、ドロっとしたラーメンが好きなのですが、藤家さんのラーメンはまさにその通り!!
豚骨醤油ラーメンが特に好きです。チャーシューもおいしい[:ラーメン:]

奥さんは、もう少しあっさり目の塩味。
子供は残念ながら、香りが強いからでしょうか?普通の醤油ラーメンなどは食べるのですが・・・。ラーメンはあまり好まずに、トッピングで何個もついてくる、うづらの卵ばかり食べていました。

とってもおいしく、お昼に頂いて、午後から遊園地に出かけたのですが、チャーシューも追加したせいかちょっと胃もたれ・・・。
前はそんなことなかったのに、年齢でしょうか??

フィーバー

今日も県南のクリニック様から網膜剥離の紹介です。
39歳とお若いのですが、網膜の上側1/3くらいが剥がれてしまっています。

矢印の先の部分が、網膜が裂けた部分(穴)になっているのですが、
今回の患者様は、目のなかの他の場所にも、穴がいっぱいというか、穴だらけ!という感じです。生まれつき、網膜が薄い人や、弱い人がいるのですが、そういうタイプの方のようです。
まだ黄斑部(物をみる中心の網膜)は剥がれていない初期の状態なので、
術後も良好な視力が期待できそうです。
15時半に受診して頂いたのですが、さっき、外来が終わってすぐに手術をして、だいたい40分くらい。無事に終了しました。(水晶体温存・茎離断)

震災後もすごかったですが、
最近また、網膜剥離フィーバーです[:びっくり:][:びっくり:][:びっくり:]

本日ご紹介頂いた医院様は、当院には初めての紹介状です。
「網膜剥離は、黄斑が剥がれる前になるべく早く手術をする。」
というのが、当院のポリシーですが、
開院1年半で、県内の各地の医院様からご紹介を頂けるようになりました。
緊急手術にもすぐに協力してくれるスタッフ、早急な紹介をしてくれる先生方に心から感謝いたします。
本当にありがとうございます。

今夜は、分院の小美玉市医療センターの井上先生と、眼科の診療方針などについて、相談する事になっています。
網膜剥離の手術の説明を書きたいと、ずっと思ってはいるのですが・・・。
毎日いいわけをしていますね[:困惑:]

ふぅ・・。」

今日も網膜剥離です。
66歳の女性で、2日前から影が見えたとのこと。

右目ですが、写真の左上の方が網膜の剥がれている部分です。
受診時には中心部(黄斑)まで剥がれているようで[:悲しい:]
穴が大きめで、手術は大変かと思いましたが、やってみたら順調でした。
うつ伏せを頑張ってもらえば、まずくっつく感じです[:グッド:]
白内障も一緒にやって50分くらい。
本当は来院後すぐに手術を始めたいのですが、午後の外来が終わってからしかできないので、夜になってしまい・・・。申し訳ないです。
手術の方法もブログにのせてみたいのですが、もう少し時間のあるときに。

10月15日の土曜日に手術した網膜剥離は、今日は空気もほとんどなくなって、良好です!明日退院です[:楽しい:]

今日はもうお休みなさい。

細隙燈顕微鏡検査(スリットランプ)

10月はハロウィンですね。
「trick or treat;お菓子くれなきゃ、いらずたしちゃうぞ!」
子供だから可愛いですが、大人で考えると暴力団のようですね(笑)。
100円ショップのダイソーで買ってきた飾りを、スタッフに飾ってもらいました!

子供の患者さんが喜ぶといいな。

今日は、以下の手術を行いました。
・翼状片手術 2件
・白内障手術 10件
・網膜硝子体手術 2件(茎離断)
(黄斑変性症による硝子体出血1件、黄斑前膜1件)
無事に終わっていますが、黄斑変性症の患者様は網膜の中心部からの出血が重度で、全体として明るくはなるものの、視力の改善は難しそうです。
出来ることはやっていますが・・・、医学がもっと進んで、治せる病気ばかりになるといいのですが。

今日は、眼科の検査の話で[:見る:]
細隙燈顕微鏡検査
(さいげきとうけんびきょうけんさ)
スリットランプとも呼ばれます。
眼科に来たら、ほぼ絶対に行うというくらい、ポピュラーな検査です。

眼科にかかったことがある人は、まず見たことがあると思います。

器械にアゴを乗せて、おでこをくっつけて、
目に光を当てられて、医師が眼の表面・内部を観察します。
患者さんにとっては、なにより「まぶしい」のがツライ検査です。

この器械の中には、精巧なレンズが入っていて、かなり大きく物が見えます。
拡大する倍率は変更出来るのですが、

こんなふうに、目を全体的に観察することも。
受付の生井沢君の目ですが、若くて、キレイな目です

例えば、ちょっと茶目(瞳孔・虹彩)の部分を拡大してみましょう。

虹彩(こうさい)・瞳孔(どうこう)は、目の中に入る光の量を調節する、カメラで言うと「しぼり」の役割をします。暗いところでは瞳孔が大きく開いて、目の中に入る光を増加させます。明るいところでは、瞳孔を小さくして、光の量を少なくして、眩しさを抑えます。
矢印の部分は、瞳孔を小さくするための筋肉です。瞳孔括約筋と言いますが、この筋肉が収縮すると、瞳孔が小さくなります。
人間の目の中に、こんなに細かい模様があるのです。とってもキレイですよね!


これは目がしらにある、涙の出口で「涙点:るいてん」です。
ここから涙が排出され、鼻の奥の方に流れていきます。


これは分かりますか?
まつ毛です。細いまつ毛ですが、細隙燈顕微鏡だと、こんなに大きく見えます。
(実はもっともっと大きくなるのですが、あまり大きくすると、何を撮っているのは分からなくなってしまうので、ある程度。)


これは、黒目(角膜)と白目(強膜)の境目です。
白目の方には、血管が見えます。
実は、僕たちがこの器械で観察すると、細い毛細血管の中を赤血球という赤いツブツブが、1個づつ流れていくのが直接見えるんです!

病気の人だと、目の中に白血球と呼ばれるバイキンをやっつける、白いツブツブが見えるのですが、生井沢君は健康な男の子なので、見つかりませんでした。

大きく拡大しているため、診察中にお顔が動いたりすると、ピントがズレてしまって、なかなか診察がはかどりません。
まぶしいので大変だと思いますが、みなさん頑張ってくださいね

ちなみに、この検査にかかる費用は、
目の表面のみ観察すると、1割負担で48円、3割負担で144円。
目の奥まで観察すると、1割負担で112円、3割負担で336円。
国で一律に決められているのですが、高いですかね?安いですかね??

今日は早く帰れます!子供もまだ寝てないはず!

裂孔原性網膜剥離? 原因

今日の午後は小美玉市医療センターで井上先生と白内障手術でした。
夜は、県内の病院様に重症の網膜硝子体手術のお手伝いに呼んで頂きました。

さて、今日も網膜剥離についてです。

裂孔原性網膜剥離 原因


図のように、光を感じるフィルムが内側に剥がれてしまうと網膜剥離と呼ばれます。裂孔原性網膜剥離は、網膜の一部が断裂、穴が開いて、それを原因として網膜が剥がれる病気です。

網膜剥離というとボクシングが有名なのですが、聞いたことがありますでしょうか?以前は、網膜剥離後の選手は引退を決められていたようです。
ボクシングなどの外傷で、眼球のボールが凹んで、歪んでしまった場合に、網膜が断裂してしまうのです。
なので、患者さんに網膜剥離と伝えると、「ぶつけた覚えはない」なんて、おっしゃることが多くあります。

実は、網膜剥離の患者さんが100名いたとして、ボクシングや交通事故など、外傷が原因となる場合は5名弱といった具合で、決して多くはありません。
では、外傷もないのに、どうして網膜が断裂してしまうのかというと・・・。


これは、30歳くらいまでの眼球の断面図です。
実は水晶体の後方、網膜の前の部分には、硝子体(しょうしたい)と呼ばれる透明なゼリーが入っています。図では青色が硝子体を示しています。硝子体は子供の時には、眼球の成長に役立ったり、その他には、紫外線を吸収したり、ぶつけたときにクッションの役割をしたりします。
30歳くらいまでの硝子体は、目の中いっぱいに広がり、パンパンとなっています。

30歳とか、40歳とかになると、この硝子体が干からびて、小さくなり、前の方に収縮していくことが分かっています。

図でみると、こんな感じ。

通常は硝子体が収縮しても、網膜には影響を与えずに、硝子体のみが小さくなっていきます。

これは、問題なく硝子体が収縮した例で、通常の人は60歳とか70歳とかになると、こんな形になっていきます。

ところが、生まれ持った体質などで、網膜と硝子体のくっつき(癒着)が強い部分があったりすると、硝子体の収縮に伴って、網膜が破れてしまい、内側に剥がれてきてしまうのです。

これが網膜剥離のイメージ図ですが、オレンジ色の部分が網膜と、硝子体の癒着が強かった部分です。硝子体が収縮するときに、網膜を内側に引っ張って、網膜が断裂しています。


硝子体が収縮した部分には、お水が占拠するようになるのですが、一度、網膜が断裂して、内側に剥がれだすと、その断裂(穴)から、お水が網膜の後ろ側にどんどん回ってしまい、時間とともに網膜剥離が大きくなっていきます。

裂孔原性網膜剥離は以上のような形式で発症することがほとんどです。
ですので、原因はなにか?というと、
?生まれ持った性質(網膜が薄い、硝子体と網膜の癒着が強い)
?加齢

という事になります。
ですので、網膜剥離になったからといって、お酒を飲んだから?とか、煙草をすったから?とか、なにか原因として後悔するようなものはなく、なる人はなってしまう。という、やや仕方のない病気です。(外傷性を除いて)

?に関しては、
例えば、強度近視の方は目が大きく、網膜が薄いので、近視の強い方は網膜剥離が起こりやすいと言えます。(以前のブログ:2011.07.19 Tuesday)
他には、アトピーの人なども網膜が薄く、網膜剥離になることが多いようです。(皮膚と網膜の発生期限が似ているために、皮膚が弱いという人は目も弱いという説と、アトピーの人は、よく目をこすっているからという説があります。)
稀ですが、家族性(遺伝的)に、網膜や硝子体の性状が病的な家系があったり、お体の病気が原因で網膜剥離になりやすいといったものもあります。

今日も読んで頂きありがとうございました[:嬉しい:]

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 鉾田市 茨城町)

眼内レンズ交換

新米の季節ですね[:食事:]
風評被害など、いろいろと農業関係の皆様も大変と思います。
今日、茨城の新米を食べましたが、とってもおいしかったです[:グッド:]

今日の昼休みは、以下の手術を行いました。
・白内障手術 7件
・眼内レンズ交換 1件
無事に終わっています。

今日の手術から一つ話題を。
眼内レンズの交換
白内障手術後の眼内レンズのお話です。
以前にレンズがズレてしまって(脱臼)、整復するといったブログを書いたことがあります。2011.09.13 Tuesday
今回は、ズレてはいないのですが、レンズが濁ってしまったり、遠視・近視などの度数が予定外にズレてしまった場合の手術です。

濁り
以前に記載した、「後発白内障 2011.06.27 Monday」とは別で、レンズが交換になる濁りは、レンズ自身が濁ってしまう場合です。
眼内レンズが濁ってしまうというのは、難しい問題で、最近のレンズは数十年とか、一般的な余命の間はまず濁らない。ということで使用されているのですが、この何年持つというデータは、耐久試験のような形で、試験管のなかなどで過酷な状況に置いて、推測し、発売元の企業などや発表したり、研究者たちが各レンズを比べたりして発表するするデータです。
実際に人間の目の中で、50年とかのデータを取っているわけではなく、残念ながら、10年20年前に手術をした人で、挿入した人工のレンズが白っぽく濁ってしまう患者様がおられることが分かってきました。
全員が濁るわけではありませんが、相性などの問題もあって、レンズが濁ってしまうことがあるようです。

度数エラー
最近の白内障手術は、目にピッタリとあったレンズと交換することで、ど近眼の人が裸眼で運転が出来るようになったり、遠視の方が裸眼で新聞が読めるようになったり、遠視や近視の度数を、かなりの精度でコントロールすることが可能になりました。
この2年くらいは、乱視まで和らげる技術も進歩し、僕はこの度数に異常に??こだわっています。
病院ホームページ
(どんな難症例でも乱視用レンズを使用するせいか、よく、眼科医仲間からも、やり過ぎだと言われます。でも、なんだか裸眼での視力にこだわってしまって。少しでもよく見えるようになったらいいなと。)

手術前の検査でピッタリのレンズを選ぶのですが、残念ながら、測定に誤差があったりして、思ったより遠視になってしまったり、近視になってしまうことがあり得るのです。
最近は、専門的なっていまうのですが、±0.5Dという近視や遠視の誤差の範囲で手術ができることがほとんどです。それが、もしも、±1.0D以上ずれた場合には、予想していた見え方とかなり異なる結果となってしまいます。
(一応当院では、±1.0D以上のズレがあって、希望がある場合には無料で交換するとしているのですが、開院後の1年半では交換が必要になった症例いらっしゃいません。)

では、本日の患者様です。右目の白内障手術を2?3年ほど前に、どこかの病院様で手術を受けたとのことです。
手術後からピントが合いにくいとのことでしたが、メガネが嫌いで我慢していると。測定してみると、+3Dという遠視で、たしかに、メガネがないと0.1位しか見えていないようです。

手術開始時の写真です。

レンズの度数はズレテいますが、特に曇ってはおらず、レンズ自体はキレイです。


もともと入っているレンズは、目の中の組織と癒着をしてしまっていますが、ゼリー状の薬をいれつつ、針などを使って、できるだけキレイに剥がします。。


レンズは6mm程度の大きさがありますが、取り出すためとはいえ、黒目を6mmも切ると、かなり大きなキズになってしまいます。黒目(角膜)を3mm程度切開し、そこから、ハサミをいれて、古いレンズを目の中で真っ二つに切ってしまいます。


レンズが上下に真っ二つに切れているのが分かりますか?こうすることで、半分の3mmのキズから取り出すことができます。
(以前、1/4とか切って、回しながら取り出す。なんて手法を見たことがありますが、できるだけ正確に半分に切れば、ハサミで1回二つにきるだけで、3mmのキズ口で手術は十分可能です。)


キズ口から、半分に切ったレンズを引っ張り出します。やや黄色いレンズが分かりますか?もともと他院様での手術ですが、着色レンズと呼ばれる、新型のレンズを入れて頂いていたようです。


ここは専門的なのですが、白内障手術後の、あまり時間がたっていない時には、レンズの癒着が少なく、簡単にキレイに取れてしまいます。ただし、レンズの混濁の場合など、手術後に数年たっているような場合には、レンズと目の中の組織の癒着がかなり強くなってしまいます。この癒着を全て取ろうとすると、時間がかかったり、無駄に眼内の組織を傷つけてしまうことがあり、僕は、癒着が強いなと思ったら、癒着の強いレンズの支えの部分(足)は切って、目の中に残してしまいます(緑矢印)


癒着の強い足を切ってしまったところです(矢印が残った足)。
この部分は目の中に残しても、全く問題ありません。

残りのレンズも取り出してしまって、

遠視・近視の度数を変更した、新しいレンズを目の中に挿入します。
小さく折りたたんで、目の中にいれてから、中で開きます。


最終的にはこんな感じ。レンズを入れるより、取り出す方が大変で、
今日は全部で12分くらいかかりました。
乱視も補正するために、黒目の横(右側)から手術をしたので、少しやりにくい症例でしたが、その方が裸眼の視力が良くなりますので。

当院で開院後の1年半でレンズを交換した患者様は12名。(全員、もともとは他院様での手術です。)
度数エラーが6名、レンズの濁り(混濁)が6名です。おそらく、今後なにかと増える手術でしょう。
(2013年追記:このブログ記載以降、眼内レンズの交換目的に日本全国から患者様にいらして頂いており、症例数は伸び続けています。)

白内障手術は1回しか出来ないんでしょ?」と、
よく質問されるのですが、そんなことはありません。安全にできれば何回だって出来ます。
手術が出来ないのではなくて、普通はする必要がないのです。
(手術後にしばらくして、見えにくくなったとしたら、それは白内障の再発ではなくて、別の病気が出てきているのです。)
もしも、レンズが濁ってしまったり、度数がズレてしまったら、交換することが可能です。

ただし、レンズの交換は、手術後に時間がたち過ぎて、目の中の癒着が強くなってしまうと、難しくなってしまう場合もあります。
白内障の手術後で、見え方が悪いなと感じたら、是非一度、そして早めに当院を受診してみて下さい。

注?)
レンズの混濁は、交換することが唯一の治療法ですが、度数エラーの場合には、最も成績の良い治療はレーシックや、高齢者ではPRKというレーザー手術です。ただし、レーザー手術は自由診療であり比較的高価です。レンズ交換は保険がきくため、1割負担の方では日帰りで15000円以下で可能です。よく担当医と相談しましょう。

注?)
レンズの交換は比較的安全な手術ですが、目の組織が弱いなど、症例によっては難しい場合もあります。僕自身、交換の手術は多い方だと思いますが、これまでの人生で、1例のみ交換ができずに途中で諦めたことがあります。(当院でではないのですが、小美玉市医療センターで5月に手術のH様。申し訳ありません。)
手術後の見込みなど、担当の先生とよく相談して決めるようにしてください。

長くなってしまいました、最後まで読んで頂いた方、ありがとうございます。

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 鉾田市 茨城町)