今日は午前の外来が60名、夕方が20名でした。
お昼の手術は、白内障手術 8件でした。
みなさん無事に終わりました。
後発白内障(こうはつはくないしょう)
最近の白内障手術は簡単になった。という認識は、多くの方に広まっていると思います。
白内障手術は、濁った水晶体を取り出して、新しい水晶体を取り出す。ということが行われます。
20年くらい前には、黒目の周りを半周近く切り開いて、濁った水晶体をそのまま取り出し、新しい水晶体を眼内に縫いつける。なんてことが行われていました。
近年の手術は、実は水晶体の全てを取り出すわけではなく、水晶体が包まれている袋を残して、袋に包まれていた中心部の濁りだけを取り出し、袋のなかに新しい水晶体を入れる。という事をします。レンズを縫いつけたりする必要がないため、手術の時間が数分などの非常に短時間で終わるようになりました。
後発白内障は白内障手術の後に、数か月とか数年とか経ってから、レンズを包んでいた袋が濁ってしまう病気です。
手術の時には、出来るだけ濁りを取り除くのですが、細胞レベルでは多少の残存があり、そのような細胞が増殖してしまうと起こってしまいます。
袋が濁ってしまうと、患者様は濁りを通して物を見る必要があり、やはり視力が下がったり、かすむ。という症状が現れます。
治療法は、とても簡単で、YAGレーザーというレーザー光線を濁りにあてて、濁りを弾き飛ばしたり、移動させるような方法をとります。
ほとんど合併症はなく、普通は5分弱の治療で、費用も1500円程度です。
本日、初診となった女性の患者様です。
3年ほど前に、他院様で白内障手術を受けたようです。
左が来院時のものです。中心部がスリガラスのように、やや白っぽく混濁しています。
右が治療後です。中心部の濁りが除去されて、濁りがなくなり黒っぽく写っています。写真ではまだまだ濁りの部位が大きくありますが、写真は散瞳といって、薬を使用して瞳孔を広げてあり、普段の瞳孔はこれほど大きくないので、視界には濁りは入りません。
この方は、目の中のレンズがずれているような状態で、ちょっと慎重に行いましたが、問題なく終了し、きっと今頃良く見えるように回復していると思います。
(眼科医の先生も見ることがあるようなので。一応詳しく解説。専門的には、眼内レンズの下方がon the bag、上方はin、耳側3時にIOL偏位、donesis+の症例です。当院では十字切開と同じく、後嚢を硝子体腔に落とすのでなく、後方に開くように行っていますが、中心部のクラックなど、万が一の安全性を考えて、瞳孔中心には照射せず、中心を避けて6方向に切り取るような照射をしていますので、一般的な切り口とは異なる印象を受けるかもしれません。)
後発白内障は、このようにとても簡単に治るので、
「白内障手術の後、しばらく眼科にかかっていないけど、最近視力が下がったな。」と思うような人は、一度眼科にかかってみましょう。
最近は手術の顕微鏡や、器械の開発が進歩し、手術時に濁りが残存することが減っていたり、新しく移植する眼内レンズの素材や形状の開発もとても進んでおり、後発白内障が起こることが少なくなっています。
後発白内障が起こりやすくなるリスクは、
・若い年齢での手術(アトピー性や先天性で子供のころに手術をする場合には必発です。)
・手術時に散瞳不良など、手術が難しくて、濁りが残りやすい人
・手術後に炎症を和らげる点眼薬をきちんと付けない人などがあります。
白内障の手術後は一ヶ月程度は点眼薬が必要です。
時々、「見えるようになったから。いいと思って。」と言って、手術後に全く受診せずに、1年後にメヤニが出るなどの理由で、ひょっこり現れる人がいますが、そういうのはいけません。
勝手に目薬を辞めると、後発白内障だけでなく、ひどい場合には緑内障などの重篤な合併症を起こすこともあります。
僕たちも人間なので、勝手に通院をサボって、その後に悪くなった人の診療には気持ちが入らなくなってしまいますしね・・・。
白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
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