視神経炎? 検査・診断 その5

今日のお昼は以下の手術を。
・白内障手術 8件
・網膜硝子体手術・茎離断 1件(網膜剥離)
網膜剥離は網膜中心静脈閉塞症を合併している症例で、県内の先生から当日中に紹介して頂け、早期治療が出来ました。

とにかく花粉症の患者様が多くなっています。今日の外来は午前・夕方あわせて110名。1/4?1/3くらい花粉症なのでは??僕の人生では1日でみた花粉症の患者さんの数はきっと最多だと思います。

視神経炎? 検査・診断 その5
視神経炎の検査をそろそろ終わりにしたいと。

中心フリッカー値
ゆっくりと点滅する光を見つめていて、点滅の速度を徐々に上げていくと、ある程度の速度で、チラチラとチラつく感じを受けます。そして、さらに速度を上げていくと、光の点滅が分からなくなり、ただ光っているように見えます。
健康な目では、より早いスピードで点滅するライトのチラつきを実感することができますが、視神経炎などの見え方が落ちる病気では、同じスピードの点滅を認識できなくなり、ライトがつきっぱなしという認識になります。
病気の特性によって、赤が見えにくい、青が見えにくい。などがあり、3色の光源で検査をしたりします。
一応は、正常な目では1秒間に35回以上の点滅を認識可能ですが、視神経炎では35回の点滅は認識が難しくなるようです。
(測定環境や、光度、病気の状態により、あくまで参考値です。)

髄液検査
視神経炎には、眼科のみで対応する視神経のみに炎症が起こるタイプと、同じ中枢神経である、脳や脊髄にも炎症が起こるタイプのものがあります。
(多発性硬化症:MSや、視神経脊髄炎:NMO)
脳や脊髄は、頭蓋骨や脊椎のなかで、髄液(ずいえき)と呼ばれる透明な液体にプカプカ浮いている状態で存在します。くも膜下出血などでは、この髄液に血液が混ざったりします。
髄液検査は、この髄液の性状を調べるために、横向けに寝た状態で、背中の一部から脊椎の中に注射針を刺し、髄液を採取し、性状を調べる検査です。
本来は透明なはずの髄液ですが、脳や脊髄にも炎症を伴う場合には、髄液に白血球という免疫を担当する細胞が混ざっていたり、たんぱく質の濃度が上がったりします。
(僕は、この検査は自分では試行していません。内科の先生にお願いしています。)

神経学的検査
多発性硬化症:MSや、視神経脊髄炎:NMOなどの、中枢神経にも影響が伴う病態では、その病変の部位に応じて、全身の運動や感覚などにも異常が起こる場合があります。
筋力や、腱反射、感覚検査など、全身的な評価が必要になりますが、これらは眼科の手を離れて、神経内科の先生方に診療をお願いする形となります。

頸椎ヘルニア? MRI

今日の外来も花粉症の患者さんが沢山!!
午後は他県の医院様で、硝子体やまぶたの手術を行いました。
自分の目もあまりに痒いので、手術前にも目薬が必須です。

昨日は弱気なブログを書いてしまいましたが、
眼科とは関係なくても、頸椎ヘルニアで困っている患者さんはかなり多いはず??
実際に頭痛を主訴として「目のせいでしょうか??」と、受診された患者様にMRI検査を行って、頸椎ヘルニアを発見し、整形外科を紹介したことも多々ある僕です。
同じ悩みをもつ人のためになればと、体験談や調べた治療法について書いていきたいと思います。(このシリーズは不定期で記載予定)

頸椎ヘルニア? MRI
僕が頸椎ヘルニアになったのは3年くらい前のことです。
子供と肩車をしていて、ハシャギまくったあと、少し痛みを感じました。
当日はそれほど重大に考えなかったのですが、翌朝に痛みで全く動くことができない自分がいました。
それ以来、年に数回、ちょっとしたことで、ものすごーく痛くなる日々を送っています。(なんでもない時は、全く痛くないのですよね。)
今週は、月曜日の早朝に「洗顔をして、顔を拭く」という、何気ない動作で、いきなり激痛に。朝の外来までに、痛み止めや血流改善薬などを飲みまくって、どうにか外来に遅刻しないですみました。

今週撮影してもらったMRIをUPします。

緑矢印の、黒く上下に伸びるものが脊髄です。その両側で白く上下に伸びるのは髄液です。脊髄や髄液の左側に背骨が写っているのが分かるでしょうか?
骨と骨の間には、椎間板という組織がありますが、赤矢印の先の3つの椎間板は、右側にはみ出して、緑矢印の脊髄に接触しています。
脳からの指令で手足を動かしたり、手足の間隔を脳に伝える役割を持つのが脊髄ですが、椎間板ヘルニアでは、はみ出た椎間板によって、脊髄が圧迫されてしまうので、痛みを感じたり、ヒドイ場合には手足を動かすことができなくなってしまう病気です。

僕は年に数回、痛みを感じることがあるものの、思い通りに動かないとか、そういう事はないので、自分で手術をすることは問題ありません。動かすことにも問題が出るようになったら、手術治療を受けなくてはいけないのかな?と思っています。(この辺りは、別の機会に記載します。)


ちなみに、右は2年くらい前の1テスラのMRI画像です。左は今週撮影した3テスラの最新型MRI。
久しぶりに撮影したので、悪くなっていないか比べてみようと思いましたが、あまりに画質が違うので、評価困難でした。(ブログにアップするのに、3テスラの方は、5分の1程度に画素数を落としていますが、それでもこんなに差があります。3テスラMRIはキレイです。)

当院の3テスラMRIについて⇒以前のブログ?その?

花粉症

うーん。体調が悪いです・・・。
ノドがイガイガ。首はヘルニア。花粉症。
ノド飴を舐めながら、外来をしたり、
首にカラーを巻いて、痛み止めを飲んで手術をしたり、
 (外来では格好悪いので、首はガマン)
花粉症で、鼻をカミカミ、目薬もつけて。
今日は残念ながら、当院で硝子体手術をした患者様の再手術がありました。
心まで少し不健康です[:悲しい:]

当院は現在のところ、眼科医は1人なので休むわけにはいかないのですが[:冷や汗:]

それにしても、今年の花粉症は大変です!!
数日前から、両目、まぶたまで真っ赤な人たちが沢山受診されています。最近話題の、中国の黄砂やPM2.5の影響もあるのでしょうか?僕も人生でもっとも重度の花粉症を味わっています。
患者さんには、「この目薬は、シーズンを通して、きちんとつけましょう。」と説明して処方をしていますが、自分の薬は忘れまくっている、ダメな医者です。
(今日はネガティブ)

当院の花粉症治療については、以前のブログを。

視神経炎? 検査・診断 その4

今日の午後は以下の手術がありました。
・眼瞼下垂手術 2件(炭酸ガスレーザー使用のミュラー筋短縮)
・白内障手術 9件
・網膜硝子体手術(茎離断)4件
 (増殖糖尿病網膜症2件、糖尿病黄斑症・前膜1件、BRVO後の前膜1件)
どうにか定時で、皆さん無事に終わることができました。

個人的に、今週は喉の痛みと咳、首のヘルニアの悪化で、かなりツライ状態です・・・。説明が聞こえにくいのではないかと思いますが、ご了承ください。

視神経炎? 検査・診断 その4

MRI
目の表面の病気(まぶたや角膜など)や、目の内部の病気(白内障や網膜硝子体の病気)など、僕たち眼科医が目の中をのぞき込むことで、発見できる病気と違って、視神経炎などの、眼球より後方、脳に近い部分の病気は直接のぞき込むことができません。
視力検査や対光反射、視野検査などを行う事で、「視神経に病気があるに違いない。」とか、「脳のこのあたりに病気があるのかも。」なんていう、推測から診断をしなくていはいけないのですが、やはり推測ではなく、明らかにココが病気です。と確定できた方が良いに決まっています。
のぞき込めない体の中を、評価する方法としては、レントゲンとか、CT、エコーなどなど、いろいろとありますが、磁力を使った安全な検査としてMRIがあり、MRIで視神経炎を診断することができるのです。

撮影の条件や解析の仕方によって異なりますが、以下のMRI画像では炎症がある場所が白っぽく写っています。


頭の上方から撮影した画像です。赤矢印が病気の右眼。緑矢印が正常な左眼です。明らかに右眼の視神経の方が白く写っているかと思います。


これは、横方向から撮影した画像です。やはり、赤矢印が病気の右眼。緑矢印が正常な左眼です。


これは、正面方向からの撮影画像です。赤矢印の右眼の視神経の周囲に炎症が起こって、水が溜まり、白くリング状に写っています。

脳(多発性硬化症)や脊髄(視神経脊髄炎)にも炎症が合併するタイプでは、脳や脊髄にも病変が現れます。

MRI検査は、視神経に炎症が起こっていることを直接確かめることができる、視神経炎ではもっとも重要な検査の一つです。

実は以前は、細い視神経の小さな病変をMRIで発見することは、とても難しいことでした。「MRIを撮ったものの、病変は写らない。でも、視野検査などの結果からは視神経炎があやしいので、治療をしてみようか?」という事が多々あったものです。
1年半前に当院に導入された3テスラのMRIは、非常に精密に病変を抽出することが可能で、これになってからは視神経の炎症を評価することが、とても簡単で正確に行えるようになり助かっています。
(機械だけではく、撮影条件など、放射線技師さんの腕も重要です。いつもありがとうございます。)
通常のMRIでは病変が分からない。なんて場合でも、発見可能なものが多々あるかと思います。眼科の先生方で、困ることがあったら是非、同等機種などでも試してみてください。

当院の3テスラMRIについて⇒以前のブログ?その?

視神経炎? 検査・診断 その3

今日の午後は小美玉市医療センターで井上先生と、白内障や緑内障を8件、無事に終えました。
夜は県内の医院様で網膜剥離など硝子体手術3件のお手伝いをさせて頂きました。最近、行く先々の病院の手術数もどんどん増えている印象です。目の病気の人が増えているのでしょうか?

視神経炎? 検査・診断 その3

動的視野検査
見え方の評価としては、視力検査が最もポピュラーですが、見え方の評価としては別に視野という概念もあります。視野は物の見える範囲を指します。視力検査は視野の中心部のみ見えていれば答えることができますが、視野検査は広くどこまで見えているか、どの部位が見えていないかを検索する検査です。
以前に緑内障のブログで書いたことがあるのですが、視野検査には、静的視野検査と、動的視野検査があります。(←詳細はそれぞれをクリック)
視神経炎では、視野の全体像を測定する必要があり、一般的にはゴールドマン視野計を用いた動的視野検査が用いられます。


これは正常例での視野検査の結果です。赤い矢印の先が物を見る中心部。緑の矢印は、人間の構造上、生まれつき視野が欠けている部分でマリオット盲点です。


これは今回の患者様、初診時の視野検査の結果です。かなりの重症でしたので、視野の中心部を含めて、左下の方は全く見えていない状態です。右上の方に視野が残っていますが、周辺部の視野では、細かいものを視認することは困難で、視力は0.05まで低下しています。


これは視野の中心部とマリオット盲点がつながるように障害されている例。赤や青色で塗りつぶされている部分が見えないところです。視神経炎では、中心部やマリオット盲点付近の視野が侵されることがよくあります。


これは青矢印の先、中心部の周りに少し視野が欠ける場所があるだけの、軽症例です。中心部に問題がない場合には、視力値の低下は起こりません。

視神経炎を書き始めたものの、まだまだいろいろあります。
ゆっくりと進めてきたいと思います。

視神経炎? 検査・診断 その2

今日のお昼は以下の手術でした。
・白内障手術 6件
・眼瞼下垂症手術 3件(CO2レーザー使用ミュラー筋短縮)
無事に終わりました。
ちょっと風邪気味で、のどがイガイガします。喋らなければ大丈夫なのですが、外来でも手術でも一日中おしゃべりをする仕事なので、なかなか咳が治りません。説明が聞こえにくかったらすみません[:悲しい:]

視神経炎で行う検査の続きを書いてみます。
視神経炎? 検査・診断 その2

眼底検査
眼球から脳への信号の橋渡しをする視神経ですが、
図では赤い部分が視神経。
図の左端、青い矢印の部分は視神経乳頭(ししんけいにゅうとう)と呼ばれます。視野検査ではマリオット盲点に相当する部分です。
視神経炎での炎症が、この眼球側の断端、視神経乳頭にまでは及ばない場合、つまり上の図で緑の部分のみに炎症がある場合には、眼球内の診察では、全く所見が見当たりません。このような病態は、眼の後方という意味を込めて、球後視神経炎と呼びます。球後視神経炎では、眼底検査ではまったく所見が認められません
逆に、青矢印の先、視神経乳頭まで炎症がある場合には、乳頭炎と呼ばれます。乳頭炎を伴う場合には視神経乳頭が炎症で浮腫んで白っぽく膨らむため、通常の眼底検査でも診断がつきやすくなります。

今回の患者様は球後視神経炎でしたので、眼底写真には異常がありませんでしたので、昨年当院で治療をした別の患者様のサンプルです。
左が発病時。右の治療後と比べて、視神経乳頭の丸い輪郭がぼやけて、腫れぼったい印象なのが分かるかと思います。

蛍光眼底造影検査
蛍光眼底造影検査は、造影剤と呼ばれる薬剤を腕から点滴から投与し、眼底の血管を造影剤がどのように流れるかを調べる検査です。
糖尿病網膜症などの血流障害が起こる病気、黄斑変性症などの弱い新生血管ができる病気、ぶどう膜炎などの炎症を起こす病気の診断などに使われます。
炎症があると、血流が増えて造影剤が多く流れたり、弱くなった血管から造影剤が漏れ出したりするのですが、視神経炎で、乳頭炎を伴う場合には視神経が通常よりも白っぽくうつります

上の眼底写真のサンプルと同じ症例の写真です。左が視神経件を発症した目です。右が正常な反対の目です。左の写真だけ、視神経乳頭が極端に白く写っているのが分かると思います。

H25年2月の手術実績:茨城県 山王台病院 眼科

今日は重症例が少なく、比較的ゆったりとした外来でした。
午後は県内での勉強会に参加させて頂きました。どの分野でも専門の先生のお話は参考になります。

2月の治療数をカウントしてみました。
H25年2月の手術実績
手術合計 118件
内訳

・白内障手術 80件

・網膜硝子体手術 17件(糖尿病・網膜剥離・眼底出血・黄斑円孔など)
・緑内障手術 2件
・眼瞼(まぶた)の手術 7件(眼瞼下垂・さかさまつげ・眼瞼腫瘍)
・涙器の手術 4件(NSチューブ・涙嚢切開など)
・その他の手術 8件(眼窩腫瘍・翼状片・斜視・瞳孔形成など)

レーザー手術合計 19眼
内訳
・網膜光凝固 9眼(糖尿病・眼底出血などに対するレーザー)
・YAGレーザー 9眼(後発白内障に対するレーザー)
・SLTレーザー 1件(緑内障に対するレーザー)

*手術数は、分院である小美玉市医療センターとの合計数です。手術数は基本的に保険診療で請求された件数です。両眼同時手術などは2件と計算しています。

抗VEGF薬 硝子体注射 52件(加齢黄斑変性症などに対する注射です。ルセンティス・マクジェン・アバスチンの合計)

ステロイド薬 テノン嚢注射 25件(糖尿病や網膜静脈閉塞症などでの黄斑浮腫などに対する注射です。トリアムシノロン)

白内障などの緊急性のない手術の待ち時間は、4ヶ月半待ち、7月中旬からの予約となります。

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 行方市 鉾田市 茨城町)

視神経炎? 検査・診断 その1

今日は千葉県の先生が見学に来てくれました。午後の手術は以下の通り。
・白内障手術 14件
・翼状片手術 1件
・網膜硝子体手術(茎離断)5件
 (増殖糖尿病網膜症2件、黄斑前膜2件、裂孔原生網膜剥離1件)

網膜剥離は、つくば市の患者様。赤矢印が網膜の断裂部(原因裂孔)です。
左から、剥離⇒復位⇒レーザーで焼き付け
ご紹介の先生のおかげで、発見後すぐに手術に辿り着けました。

今日は視神経炎の検査・診断について書いてみます。
視神経炎? 検査・診断 その1
先月、実際に当院で治療をした患者様のケースをモデルに。

今回の患者様は60代男性
(通常は10代?50代の方が多く、少し女性の患者様が多いようです。)
フランスで入賞経験のある画家(油画)の先生で、治療後に絵を頂いちゃいました。ありがとうございました。

問診(主訴)
「数日前から右目が見えなくなっている。中心部から下の方が見えない。4日ほど前からおかしかったが、日に日に見えない場所が広がっている。」
といった訴えで来院されました。

視力検査
メガネをかけた、最高矯正視力は、右目が0.05、左目が1.0
右目が病気で、著しい視力の低下があることが分かりました。

対光反射
瞳孔は明るい光を当てると、眩しさを軽減するために小さくなります(縮瞳)。
この反応を対光反射と呼びます。(対光反射の以前のブログ⇒瞳孔?瞳孔?
視神経炎では、病気の方の目は光を感じ取る機能が弱っているために、目に光を当てても眩しさを感じにくくなっています。
病気の目は、正常な目に比べて瞳孔が大きくなります。

右目と左目に、個別に光を当てて撮影した、瞳孔の写真です。左の写真が右目、右の写真が左目です。視力の悪い右目の瞳孔が、左目よりも大きいことが分かります。

眼科の検査では散瞳薬と呼ばれる、瞳を広げる目薬をつけて、瞳孔を大きくしてから眼底検査を行います。
「急に視野が欠けた」という患者さんがいらした場合には、網膜剥離や網膜の血管が詰まる病気など、散瞳薬を使った眼底検査で発見できるものが大多数なのですが、問診などから視神経炎を疑った場合には、散瞳薬を使った検査はすぐには行ってはいけません。
散瞳薬を使った眼底検査の前に、必ず対光反射を確認する必要があるのです。散瞳薬を使用してしまうと、瞳孔が開いてしまって、元の瞳孔の大きさを確認することができなくなるためです。
一度瞳孔を開いてしまうと、対光反射や視野検査などの検査を、当日中に出来なくなってしまう事もあり、結果、治療が遅れてしまうとになるので注意が必要です。

今日は手術が多めで、スタッフも見学の先生もみんな残業に。ご協力ありがとうございました。僕も疲れたので、今日はこの辺で、続きは後日に。

視神経炎? 視神経症の分類と原因

今日の午後は、他院様での硝子体手術に呼んで頂きました。
最近は県外での仕事が増えています。このあたりでは車がとっても大事です[:車:]

視神経炎? 視神経症の分類と原因
視神経が障害されると、視力低下や視野の異常などが起こります。(⇒視神経炎の症状
視神経の病気は、眼球の内部の検査のみではハッキリしないことが多く、総じて診断や治療が難しく、国が指定する難病にも含まれているほどです。
視神経が障害される病気を、まとめて視神経症と呼ぶのですが、以下のようなものに分類されます。
虚血性視神経症:視神経を栄養する血流の障害によって起こるもの
外傷性視神経症:ケガが原因で、視神経が曲がったり、断裂するなど
遺伝性視神経症:遺伝子の問題で、先天性(生まれついて)のもの
中毒性視神経症:シンナーや、ある種の薬物によるもの
圧迫性視神経症:視神経の周囲にできた腫瘍病変などの圧迫によるもの
梅毒性視神経症:感染によるもの
視神経炎:免疫機能の異常が原因と考えられているもの(自己免疫性疾患

自己免疫性疾患とは、本来、外敵から自分の身を守る働きを担う免疫の力が、間違って自分自身に働いてしまう病態です。
以前に、ぶどう膜炎のブログで記載したことがあるので、そちらもご参照ください。⇒自己免疫性疾患

視神経炎は、なんらかのきっかけ(例えば、ウィルスの風邪をひいたあとなど)を元に、視神経を構成する成分に対して自己抗体が形成され、視神経に炎症や脱髄が起こってしまう
病気であると推測されています。

視神経は脳や脊髄と同じ、中枢神経と呼ばれる神経組織に分類され、脳や脊髄と似た構造をもつ様です。
視神経炎を発症した場合、視神経にのみ特徴的な成分に自己抗体が産生された場合には、視神経のみが障害されますが、
視神経と脳の両方に存在する成分に、自己抗体が産生された場合には、視神経と同時に脳も障害を受けてしまいます。

視神経炎と呼ばれる病態には、自己抗体の種類や、炎症の起こる場所によって、以下の4つの病態が含まれると考えられています。
?多発性硬化症(MS):視神経と脳を中心に炎症がおこるもの
?視神経脊髄炎(NMO):視神経と脊髄を中心に炎症がおこるもの
?抗AQP4抗体陽性視神経炎:NMOのうち明確な自己抗体が判明しているもの
?特発性視神経炎:視神経のみに炎症がおこるもの

明日も早いので、今日はこれでお終いです。
スタッフの皆様へ。さきほど県南の医院様から電話にて、網膜剥離の紹介がありました。急いで手術が必要な症例のようです。ご協力ください。

視神経炎? 病態と症状

最近、花粉症で来院される方が増えている印象です。
今日のお昼は以下の手術を行いました。
・白内障手術 9件
・緑内障手術 1件
みなさん無事に終わりました。

視神経炎? 症状
視神経は、眼球内で光を感じ取った網膜(カメラのフィルム)が、束になって脳へ伸びていく、橋渡しのコードです。視神経炎は、この視神経になんらかの原因で炎症が起こってしまう病気で、免疫機能の異常が原因として推測されています。

電化製品のケーブル・コンセントは、電線がゴムやビニールのカバーで包まれることで、電気が安全に内部の電線を伝って、流れることができます。剥き出しの銅線では、電気が別の方向へ流れて、ショートしてしまいますよね??
正常な視神経のコードも、髄鞘(ずいしょう)と呼ばれる成分で包まれていることで、ものすごいスピードで、かつ正確に、眼球から脳へと信号を伝えるのに役立っているのです。
視神経炎では炎症によって、このカバー(髄鞘)が破れてしまい、中の電線(視神経)がむき出しになることで(脱髄:だつずい)、信号を上手に伝えることができなくなったり、ダメになってしまうのです。
眼球に映った映像の情報を、脳へと送る事ができなくなるので、ものの見え方が低下してしまいます。

症状
視力低下:重症例では、数日以内に0.1以下になることもあります。
視野異常:特徴的な例では、中心暗点(物を見る中心部の視野欠損)
色覚異常:特徴的な例では、赤や緑が分かりにくくなります。
瞳孔異常:目に光と当てた時の瞳孔の反応が弱くなります(対光反応減弱)
眼球運動時痛:目を動かすと痛みが出ることがあります。

次回、記載しますが、実は視神経炎の一部は、脳や脊髄にも同じような病変を合併するものがあり、それらの病気の場合には、
脳や脊髄の病気の発生した場所に一致して、様々な症状が出現します。
手足の麻痺、振え、痛み、しびれ、
表情が作れない、ろれつが回らない、話せない、飲み込めない
排尿障害、失禁、気分障害
眼振、物が2重に見える(復視)
 などなど

このような症状が合併する場合には、眼科のみで診療を行うのではなく、
神経内科の先生が主体となって治療をお願いすることになります。