ブログ、1年続きました。

今日は以下の手術を行いました。
・白内障手術 11件
・結膜弛緩症 2件(白内障のついで。無料)
・緑内障手術(トラベクレクトミー)1件
・網膜硝子体手術 3件(離断2件、増殖1件)
 (黄斑円孔1件、ぶどう膜炎混濁1件、増殖糖尿病網膜症1件)
みなさん無事に終わって良かったです。
重症のかたばかりですが、手術目的の紹介が増えてきて、ありがたいことです。頑張ります!

ブログ
少しでも社会の、眼科医療のためになればと、ブログを書き初めて、ちょうど1年がたちました。
一年前の初回ブログ
http://blog.sannoudaiganka.jp/?eid=118711

たまには疲れてしまって、「もうやめようかな。」なんて思う事もありましたが、「自分で始めたことだから、とりあえず1年間は頑張ろう。」と、どうにか続けてこれました。
数えてみると、1年間で、275回の記載を行ったようです。関係のない話題も多くありましたが、半分くらいは目の病気に関して記載したのでは?我ながら頑張ったのではないかと、今日は自分を褒めてあげようかと。

少しでも質問にこたえることができましたし、
実際にブログをみて来院して頂く事も増えました。都内からの患者様もちょこちょこ手術を受けに来られますが、茨城県の石岡市に都内から来て頂けるのは、ブログを書いてなかったら、ありえないことだと思います。
このブログがなかったら、出会う事のなかった患者様の診療や手術を行い、少しでもお力になれていたなら、こんなに嬉しい事はありません。

僕はあまりインターネットには詳しくないのですが、トップページへのアクセスを除いた、つまり、トップページへのブログを参照後、別のページをクリックしていただいた方の集計が分かるのですが、今現在で、毎日400人から500人もいるようです。初めのページのみのかたはもっと多数いらっしゃると思うのですが、僕が書いた眼科のことを、たくさんの方に呼んで頂いていると思うと、個人的には素敵なことだなぁと思います。

1年も書くとネタ切れしない?なんて、知り合いの先生に言われることがありますが、まだまだ緑内障も途中だし、黄斑浮腫、黄斑変性、黄斑円孔、ものもらい、円錐角膜、コンタクト、メガネ、斜視、弱視、老眼治療、ローヴィジョン。
ちょっと考えるだけでも。あと2年くらいはネタが持ちそうです。
体力が続くようなら、もう少し頑張って続けていきたいと思います。

だいたい、夜にお酒を飲みながらの記載です。誤字や脱字はご勘弁を!

白内障手術 乱視矯正?

今日の午後は小美玉で井上先生と手術です。
・白内障手術 5件
・さかさまつ毛(眼輪筋縫縮)1件
・眼瞼下垂症(炭酸ガスレーザー:ミュラー筋タッキング) 1件
夕方は開業医様の手術のお手伝いに。

先日、病院のホームページの内容を更新したのですが、ホームページで記載している、白内障手術についてちょっと書いてみたいと。
http://www.sannoudai.or.jp/clinic/ope03.html
白内障手術 乱視矯正?
強主経線切開

水晶体が濁ってしまい、光の通過が邪魔をされるために、視力が低下してしまうのが白内障。白内障手術は濁った水晶体を人工のキレイなレンズと交換することが第一の目標です。ただし、近年は医学も進歩し、「濁りをキレイにする。」という目標はあたり前で、それ以外に「出来る限りメガネなしで見えるようにしたい。」と、より高度な目標をもって手術をする事が一般的になってきました。
その一つが、「乱視を減らそう」というものです。
乱視とは、眼球の歪みに由来して、縦方向や横方向のピントにズレが生じることです。(縦は近視なのに、横は遠視など。)

イメージ図を作ってみましたが、分かりにくいですかね??眼球がまん丸に近いと乱視が少ない目。楕円というか、ラグビーボールのような形だと乱視の強い目。という感じです。

こっちの図の方が分かりやすいですかね?

乱視の治療としては、メガネをかけたり、コンタクトレンズを使用ことが最も一般的で、より積極的な治療としては、レーシックなどの屈折矯正手術があります。
今回は、白内障手術を行う場合に、ついでに乱視を減らしてしまおう。という方法のうち、もっとも手軽にできる方法を紹介します。

左が手術前、右が手術後のイメージ図です。白内障手術では黒目(角膜)と、白目(強膜)の境目あたりにキズをつけて手術を行います。切り口が出来た部分の角膜は薄くなって変形し、切り口の方向では、角膜が平坦化し、ピントが後ろ側にズレるようになります。このような手術のキズ口のせいで、乱視のピントに変化がおこることを惹起乱視(じゃっきらんし)と言います。
手術技術や、器械の進歩によって、手術のキズ口はどんどん小さくなっているため、惹起乱視も小さくなっていますが、白内障手術をすれば、多かれ少なかれ、良かれ悪かれ、乱視に変化が起こるのです。
この惹起乱視と上手に付き合うことで、白内障手術を行うついでに、乱視を和らげてしまうことが可能になります。逆にいえば、黒目の横にキズを作るべき場合に、上から切開を行えば、乱視は悪化してしまうのです。
当院で白内障手術を行う場合には、全症例で必ず乱視を減らすように努力をしています。


これは、角膜トポグラファーという器械で、黒目(角膜)の形を詳細に測定した結果です。眼球の乱視(ゆがみ)は、水晶体などの部分に由来する部分も一部ありますが、ほとんどは角膜に由来するものです。また、水晶体は手術で除去してしまうので、白内障手術では、特に黒目(角膜)に注目して、乱視をコントロールしていきます。
黄色に比べて、オレンジの部分がカーブが強いことを表した図ですが、この患者様の手術をする場合には、オレンジを切る方向、つまり横から切った方が乱視が軽減することになります。

実際に、どう手術をするかというと、
例えば、上から切った方がいい場合では、

こんなふうに上から切開をして手術をします。

横から切った方がいい場合には、

こんな感じ。僕はほとんどの場合、患者様の頭の上側に座って手術をします。写真は上下反対のようになります。これは、右目の手術を右耳側から切開しています。

同じ横からでも、左目の場合には、

こんな感じ。左手での手技になることもあります。僕は小さい時は左利きだったようですが、右利きに矯正されまして、今は右手の方が得意です。なので、左目を横から切る場合には、少し手術がゆっくりになったり、面倒に思う事も。
でも、少しでも乱視が少なくなって、裸眼視力の向上につながるなら。と思えば、頑張りがいがあります。

このような切開の方向による乱視矯正(主経線切開)は、もっとも手軽に行う事が出来る方法です。ただし、矯正効果はあまり大きくなく、主に乱視が軽い場合に行われます。より強い乱視を矯正していく方法に関しては、別に機会に記載したいと思います。
明日も手術がいっぱいなので、今日はこれでお休みなさい。お読み頂き、ありがとうございました。

H24年2月の手術実績:茨城県 山王台病院 眼科

今日のお昼は以下の手術を行いました。
・霰粒腫切除 1件
・白内障手術 7件
・緑内障手術 1件(血管新生緑内障)
無事に終わっています。
最近、血管新生緑内障が多いです。今日も若い患者様で、両眼の重症糖尿病網膜症、血管新生緑内障の紹介を頂きました。頑張って対応したいと思います。

2月分の手術数を集計しましたので、掲載します。

H24年2月の手術実績
手術合計 109件
内訳

・白内障手術 78件

・網膜硝子体手術 15件(糖尿病・網膜剥離・眼底出血・黄斑円孔など)
・結膜の手術 5件(翼状片・結膜弛緩症)
・眼瞼(まぶた)の手術 3件(眼瞼下垂・さかさまつげ・霰粒腫)
・緑内障手術 2件
・涙器の手術 3件(NSチューブ・急性涙嚢炎・涙小管形成)
・その他の手術 3件(斜視など)

レーザー手術合計 20眼
内訳
・網膜光凝固 10件(糖尿病・眼底出血などに対するレーザー)
・SLTレーザー 5件(緑内障に対するレーザー)
・YAGレーザー 5件(後発白内障に対するレーザー)

抗VEGF薬 硝子体注射 31件(加齢黄斑変性症などに対する注射です。ルセンティス・マクジェン・アバスチンの合計)
ステロイド薬 テノン嚢注射 20件(糖尿病や網膜静脈閉塞症などでの黄斑浮腫などに対する注射です。トリアムシノロン)

現在の緊急手術以外の手術(白内障や翼状片など)の順番待ちは、2ヶ月半程度になっています。

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 行方市 鉾田市 茨城町)

山王台病院(本院) 改装工事?

網膜剥離の患者様も経過良好で退院です。両眼の血管新生緑内障の患者様も経過良好ですが、さすがに一週間では退院出来ず、今週は持ち越しとなってしまいました。もうちょっと頑張って頂きます。

普段は殆どの時間を「眼科・内科クリニック」で過ごすので、山王台病院の本院にはあまり足を運ばないのですが、今日はちょっと用事があって、改装中の本院に行ってみました。
以前も書きましたが、本院では改装工事を行っています。(もうすぐ終了の予定です。)
http://blog.sannoudaiganka.jp/?eid=137305

「階段がキレイ。」と言うのを噂で聞いていたのですが、

壁面が、虹色のようなグラデーションの照明で出来ています。キレイですね。ちょっと足を止めて、見ていたくなる感じ。メインロビーと、採血室近くの1階から2階への2つの階段がこんな感じになっています。


これは、2階から3階病棟への階段の天井です。なんだかワクワクするデザインですよね。

入院のお部屋も、全てキレイになっています。患者様がいらっしゃるので、写真はupできませんが、個室なんて、その辺のホテルより余程・・・と言う感じ。外来の待合室も暖かい印象になっています。病院にいらした際は、いろいろ見てみてくださいね[:!:]

雛祭り

今日は、
桃の節句、雛祭りです。
季節の変わり目などに行う、伝統的な年中行事を節句というみたいですね。
1月7日、3月3日、5月5日、7月7日、9月9日を五節句というようです[:見る:]
3月3日の雛祭りは、女の子のすこやかな成長を祈る節句。

兄と二人兄弟だったため、自分が子供の時には縁がなかった行事です。
何か、楽しいことをしたいな。なんて思いましたが、普通に桜餅を食べたり、雛あられを食べたり、お寿司を作って食べてみたり。基本的に食べる行事でしょうか?
我が家は女の子が二人で、「女の子の行事は華やかでいいね。」とよく言われますが、個人的には端午の節句のほうが楽しそうだな。なんて。
カブトを作って、戦いごっこをしたり出来そうですよね?

「うちのお雛様です。すごいでしょ!」と言うのは嘘です。
病院隣接の「あいあい」のロビーのお雛様です。
でも、我が家もちょっと組み立てが必要なタイプなので、お嫁に遅れないように、明日には片づけなくては。きっとパパの役割なんだろうけど・・・。

なにはともあれ、子供たちの健康を祈ります。

漫画(マンガ)

少しの間、目の病気のことをきちんと頑張ったので、たまにはプライベートのお話を。

漫画(マンガ)
「趣味は何ですか?」と聞かれて、サッカーです。なんて答えられたらカッコいいのですが、最近はほとんど運動はしていません。メタボに近づいています・・・。
お酒を飲んだり、旅行をしたり、ドライブをしたり。好きなことはありますが、趣味と言っていいのか??
ある意味、仕事人間、仕事が趣味?なんていう部分もありますが、一つだけ、忙しくても、寝不足でも、辞められないことがあります。
それが、漫画を読むことです。
麻生前首相も言っていましたが、「日本は漫画大国・アニメ大国」です。日本の漫画は面白くて、世界中に輸出されているようですよね。
僕も小さいころから漫画が大好きで、恥ずかしながら?大人になった今でも、辞められません。
一週間に、
・少年ジャンプ
・少年マガジン
・ヤングジャンプ
・ヤングマガジン
・スピリッツ
・モーニング
・イブニング
・スぺりオール(隔週)
以上の週刊誌を必ず読んでいます。
どんなに眠くても、読み終わるまでは寝ません。

それ以外に、単行本も、
2年前の引っ越しで、当時もっていた漫画の全てを、リサイクルショップで処分したのですが、2年たったら下のように。

漫画を嫌いな人もいるでしょうが、漫画って、日常生活から離れた部位で、普段思いもつかないような事柄が多いので、想像力が上がったりするのでは??
なんて、自己肯定でしょうか?
でも、「世界一になってやる!」「海賊王になってやる!(ルフィ)」「命に代えても守る!」こんな恥ずかしいフレーズを、日本語のドラマで耳にしたら、ムズムズしちゃいますが、漫画なら自然に受け入れられます。
世の女性が、韓国ドラマにはまっているのも、「愛してる。」なんて、どうどうと日本語で言われたら恥ずかしいけど、英語や韓国語で字幕でみたり、外国の方のちょっとイントネーションの変わった日本語で言われると、自然に受け入れられたりできるのでは。と、僕が漫画に持っている印象とあわせて、勝手に分析してみました。

漫画に集中して、話を聞かないことで、よく妻に怒られます。
そんな時は、「子供の診察をするときに、ナルトしってる?とか、チョッパー好き?なんて言えたら、診察室がなごんで、とても役に立っているのだよ!」と、言い訳を繰り返している僕です。

血管新生緑内障? 術後管理2:レーザー切糸

実は一ヶ月以上前に、結婚当時に購入した小さなダイニングテーブルをリサイクルショップに処分しました。子供と使うには狭くて。
その後、新しい家具を注文して、すぐに届くと思ったら、なんと納期が一ヶ月と・・・。一ヶ月間、床に寝そべって、ノートパソコンでブログという、とても疲れる姿勢で書いていましたが、とうとう数日前に納入されまして、素敵なテーブルでお酒を飲みながら書いています。環境が悪かった分だけ?今はかなり気分が良いです。

血管新生緑内障?
術後管理2:レーザー切糸

何度か記載している、先週の土曜日に手術をした、30代の血管新生緑内障の患者様の術後管理について書いてみます。
(もっと、いろいろ処置が必要になって、やった手技について説明したいと思っていたのですが、あまり変動なく経過良好で落ち着いてしまったので、そろそろ記載したいと。外科的処置については1種類のみです。もちろん患者様にとっては良いことです。)

2月25日(土)
術前眼圧65mmHg、夕方に手術、夜間簡易測定で眼圧30mmHg

2月26日(日)
朝の診察:眼圧30mmHg

手術前よりは低くなりましたが、眼圧30はまだまだ高い眼圧です。眼圧が高いと、角膜(黒目)の透明度が悪くなり、写真がちょっとボヤけた感じになります。黒目の上のほうに水の貯留池(ブレブ)を作っていますが、青矢印の部分が少し膨れているのが分かりますか?

ブレブ(貯留池)のイメージ図ですが、まだこれでは、水の漏れ出しが少ないので、ブレブが小さく、眼圧が正常値まで下がり切っていません。

ここで必要になるのが、
レーザー切糸(レーザースーチャーライシス)です。
キズ口を縫った糸を切ることで、キズを開く作業です。

このような特殊なレンズをブレブ(水の貯留池)に押し当てると、強膜に作ったキズの状態が良く見えるようになります。キズ口は、黒くて細い、ナイロンという糸で縫ってあるのですが、レーザー光線は黒い色に良く反応するので(女性のムダ毛脱毛も同じ原理です。)、レーザー光線を黒い糸に照準を合わせて照射すると、周りの組織を傷つけずに、糸だけを切断することができます。この処置をレーザー切糸(レーザースーチャーライシス)と呼びます。

左が処置前、右が処置後です。矢印の先にあった、黒い糸がなくなっているのが分かりますか??レーザー切糸によって、キズ口を抑える力が弱まるので、キズが開いて、水の排出量が増加し、眼圧が低下します。

夕方の診察:眼圧19mmHg
19だと、通常の緑内障では、翌朝まで様子をみることが多いのですが、血管新生緑内障は、VEGFとういホルモンなどの影響で、キズ口の癒着が早いことで有名です。明日まで待って、眼圧が跳ねあがっていては困ります。
迷いましたが、5本縫ったキズ口のうち、朝1本切ったのですが、ここでもう1本、レーザー切糸をしてみました。

2月27日(月)
朝の診察:眼圧8mmHg

眼圧8は、通常の緑内障では完璧に近い数値です。右の写真では、ブレブが昨日よりも明らかに大きくなり、しっかりと水が漏れ出ていることが分かります。緑内障の眼圧のみ考えれば、眼圧が低くなったことは喜ばしいのですが、血管新生緑内障は目の中に弱い新生血管が沢山ある病態なので、ちょっと眼圧が変動するだけで、簡単に出血してしまうのです。左の写真で、黒目の下の方に出血が沈殿しているのが分かりますか?このような状態を前房出血と呼びます。
手にケガをしたら圧迫止血といって抑えることで止血が出来ますが、目の中は眼圧が高かい方が、出血を抑えて止める効果があります。でも、緑内障としては、眼圧を上げたくない。上がっても困るし、下がっても出血。ここが血管新生緑内障の難しいところです。
ひとまず、安静を頑張って頂き、止血剤を飲んで頂きます。

イメージ図だとこんな感じ。

レーザー切糸によって、眼内の水が、貯留池(ブレブ)に大量に流れるようになり、眼圧が下がりましたが、それによって出血してしまった。という具合です。
眼圧が低くなると、角膜(黒目)の透明性が高まり、目の中がよく見えるのですが、虹彩をよくみてみると新生血管がウネウネしています。
これは出血しますよね・・・。

夜の診察:眼圧8mmHg
出血は悪化してないようです。圧迫眼帯というもので、少し水の流れを抑えてみます。

2月28日(火)
朝の診察:眼圧7mmHg

眼圧は横ばい。出血は少し増えたでしょうか。新生血管を弱らせるために、抗VEGF薬であるアバスチンを追加注射します。
(手術時にも投与していますが、硝子体手術後+緑内障手術後では、眼内の房水と一緒に、すぐに薬が流れてなくなっていってしまうので、少し早いですが、こういう場合には、躊躇することなく再投与が必要です。とにかく素早い対応が肝心です。)

2月29日(水)
朝の診察:眼圧7mmHg
出血が少なくなってきました。眼圧も落ち着いています。

3月1日(水)
朝の診察:眼圧7mmHg

出血はほぼなくなっています。眼圧も落ち着いています。ブレブもプックリと大きくてキレイなものが出来ています。

まだまだ、きちんとした経過観察が必要ですが、基本的には、この勝負は勝ちでしょう。本当に良かったです[:楽しい:](もちろん、これ以上血管が詰まることがないように、血糖や禁煙に気をつけなくてはいけません。)
ただし、反対の左目もアバスチン注射や点眼薬で治療していますが、眼圧が30mmHgと、このままでは見えなくなってしまいます。右目をあと数日みたら、今度は左目の手術が待っています。頑張るぞ!!

血管新生緑内障? 術後管理

すごい雪ですね!さすがに、今日の外来は予約変更が多くなり、とても空いていて、のんびり出来ました。
午後の手術は以下を行いました。
・眼瞼腫瘍(乳頭腫)1件
・結膜腫瘍(皮類腫?脂肪腫?)1件
・外斜視(前後転)1件
・白内障手術 7件
・網膜硝子体手術(茎離断・黄斑前膜)1件
無事に終わっています。手術も少なめで、4時ちょっとには終了。
今日は早く帰って、子供の相手も出来ました[:子供:]

血管新生緑内障 術後管理
緑内障の手術は、実は手術自体よりも、術後の処置をいかにしっかりやるかのほうが重要です。
例えば、白内障の手術では、もちろん術後の目薬をつけて頂くことは必須ですが、基本的には、医師の手術さえ上手くいけば、そのまま成功となります。適当な数字ですが、重要度を数字で表すと手術が99%、術後の管理は1%といった程度かなと。
網膜剥離で硝子体手術を行った場合には、手術が上手くいっても、術後の「うつ伏せ」を協力をして頂けないと、なかなか治りません。成功するためには、手術が50%、患者様のうつ伏せの努力が50%です。
緑内障(トラベクレクトミー)の手術はどうかというと、「手術は切って縫うだけ。」です。簡単だとは言いませんが、成功するための重要度は手術が20%、術後の管理が80%と、手術よりも術後の管理のほうが大切だと、僕は思っています。術後の処置も少なからず痛みがあり、患者様の協力+医師の能力の両方が必要です。

トラベクレクトミーの術後管理
前回、トラベクレクトミーという緑内障手術では目に穴を開けて、房水を目の外に流す。と言う事を書きました。この穴・流れ路を上手に保つ管理について記載します。

痛そうですが、手の平に釘をさして貫通してしまった方がいたとします。病院で釘を抜いて、消毒して・・・。1日か2日も経てばキズ・穴はふさがってしまいますよね。人間の体には、組織に癒着を起こすなどして、キズをを治そうとする働きが備わっています。
緑内障手術で、せっかく水の流れ路(バイパス)を作ってあげても、キズが癒着してふさがってしまえば、手術の効果が全くなくなって、眼圧が上昇してしまいます。
では、キズがふさがらないように大きな穴を開ければいいかと言うと、あまりに水が漏れ過ぎてしまえば、眼球は凹んでつぶれてしまします。
ですから、緑内障の手術では眼球が凹むほど大きな穴ではなく、かつ、ある程度の水が流れて、眼圧が高くならないように。なんていう、ちょうどいい穴を作成することが目標です。個々の患者様によりますが、多くは5?15mmHg程度の眼圧に落ち着くようにします。

この水の流れ路は、手術のみで出来てしまうわけではなく、術後の管理によって、その都度、微調整しながら、1週間?2週間程度かけて安定した流れ路を作成していくのです。

個々の患者様の状態によって、「癒着が早そうだから、少し大き目なキズを作ろう。」とか、多少色を加える事はありますが、実は手術で作るキズの大きさや、形などは、日本中の眼科で、ほとんど大差がありません。みんな同じような手術をしています。
同じ手術をしても、癒着が早い人、遅い人、いろいろな人がいるので、手術後の経過をみながら、適切な処置を行う事で、如何に微調整をしていくかで成績が決まります

癒着が進んで、眼圧が上がってくる場合
?マッサージといって、眼球を押して、一過性に眼圧を無理に上昇させ、キズ口から水を流して、キズを開きます。下を向いて頂き、医師が上まぶた圧迫しますが、患者様は少し痛みがあります。ご協力下さい。キズが安定したあとは、ご自身で行って頂く場合もありますが、術直後のデリケートな時期には医師のみが行います。
?キズを縫った糸を切ることで、キズを開きます。レーザー切糸と言いますが、レーザー光線は結膜などの組織を素通りして、強膜を縫いつけた糸のみを切ることが可能で、とっても便利です。ちょっと分かりにくいので、次回きちんと説明します。
?手術:手術から時間がたっていて癒着が強い場合には、手術室などで、針を使って癒着をはがしたり(ニードリング)、再手術をしたりします。

癒着が遅く、水が漏れ過ぎて、眼圧が低すぎる場合
?安静、力を入れない、目を押したりこすったりしない。癒着が早い時のマッサージと同じで、水が勢いよく流れると、キズが開いてしまうので、なるべく安静にします。目薬をつける時にも眼球を圧迫しないように、少し目の縁から離れた部位を引っ張るなど気をつけましょう。目を押さないことは、手術後に最も重要なことです。手術を受けた患者様は頑張りましょう!
?目の中にゼリー状の物質などを注射して、さらさらの房水と入れ替えることで、キズ口からの水の漏れを抑えて、癒着を早める方法もあります。
?圧迫眼帯といって、キズ口の上を抑えて、水の流れを減らして癒着を進めたりします。
?キズ口を縫いなおす。なかなか眼圧が上がらない場合には、必要になります。

最終的に、多くの場合では1週間?2週間もすると、キズ口の癒着や、房水の流れ路の幅などが安定していくため、検査や通院の間隔を延ばせるようになります。
女性が耳にピアスをあけて、ほっとけばすぐに穴が閉じてしまいますが、安定すると、しばらく何もしなくても、穴が開いたままになるのと似てますかね??

レッドブル ボックスカートレース?

今日の午後は他院様で硝子体手術のお手伝いをしてきました。世の中には糖尿病で手術をする人が沢山いますね。夜は仕事の関係で会議?飲み会?があるので、今日は血管新生緑内障のブログは休憩です。

昨晩、レッドブル、ボックスカートレースのカート作成が終盤を迎えました。
かなり大きい目玉や、まぶたが出来ています。
きちんと走るのか??は、次回チャレンジです。

血管新生緑内障? 手術

今日のお昼は以下の手術を行いました。
・白内障手術 8件
・眼内レンズ交換 1件(当院術後パワーエラー)
・網膜剥離 1件
結構、件数が多かったですが、網膜剥離も初期・軽症で30分くらい。まず治せたかなと。スタッフがお昼休みに協力してくれたので、午後の外来にも無事間に合わせる事が出来ました。
眼内レンズ交換は、2週前の手術で-0.5D(2mにピント)を合わせる目標でしたが、-2.0D(50cmにピント)とズレてしまったため、久しぶりの交換となりました。当院で光眼軸や4次式の計算により、レンズ交換を要するパワーエラーは約1000分の1の確率と、良好な成績ですが、患者様にお手間をかけてしまうのは、申し訳ないと思っています。もっともっとよい成績を目指したいなと思います。手術は数分で終わり、明日のピントは期待できそうです。

血管新生緑内障 手術
血管新生緑内障は、虚血に続いて発生する新生血管が、房水の出口である隅角をふさいでしまい、眼圧が上がってしまう病気です。手術はほとんどの場合で、線維柱帯切除術(トラベクレクトミー)という方法が取られます。もとの出口を利用するのではなく、眼球の別の部位に穴をあけて、房水を排出する新しい流れ路を作ってあげる方法です。
(今年の春以降、出口の部分に人工の弁:バルブを取りつける手術が保険適応となります。その新しい手術については、別の機会に記載します。医学はどんどん進みますね!ワクワクします。)

線維柱帯切除術(トラベクレクトミー)

手術の写真は上下反対の写真になります。ビデオモニターをデジカメで撮っているだけので、画質が悪くなっています。また、僕の手術は出来るだけまぶしくないように、顕微鏡のライトを一番弱くして行うので、暗い写真で、少し見にくいですが、ご理解下さい。(モニターではもっと暗くて、デジカメの感度を最大にして撮影したせいか、少し白っぽい写真になってしまいました。)

まず、仰向けに寝て、目薬の麻酔や消毒をして、目を開く器械をつけます。
目の上側に新しい穴を作くり、上まぶたでキズ口を隠した方が、感染症や水の貯留池(ブレブ)の形成が良好なため、通常は黒目の上方(写真では下方)で手術を行います。

左の写真は、黒目に糸をかけて、その糸を下方に引っ張って、手術がしやすいように、目の向きをつま先側に向けるようにします(右写真青矢印)。
次に、緑矢印のように、白目の表面の粘膜(結膜)に麻酔の注射をします。当院では血管新生緑内障の場合には、麻酔以外に、ボスミンという血管収縮薬を混ぜて出血を予防したり、アバスチンを混ぜてVEGFによる術後の癒着を予防するようにしています。麻酔が終わると、つい手術を急ぎたくなりますが、ここで数分じっと我慢することが重要です。ボスミンの効果が出てくるのを待ってから手術をしないと、出血が多くなります。この症例は全体で33分の手術時間でしたが、時間は関係ありません。薬が効くのを必ず待って出血を減らすことが重要です。


薬がきいて白目の血管が目だたなくなったら、結膜を切開して、強膜を露出させます。通常の緑内障手術ではこんなに出血しないのですが、これが新生血管緑内障の嫌なところです。ちょっと難しいのでイラストで。

灰色の強膜の表面に張っている、黄色の結膜を一回剥離する作業です。


専門的ですが、年齢の若い血管新生緑内障の患者様では、結膜が厚く、すぐに強い癒着が起こってきます。結膜の組織が厚いと、癒着をした場合に、レーザーで糸を切ると言う術後の処置が難しくなってしまう場合があります。僕は結膜が一定の厚みになるように、厚みを少し削る(トリミング)ようにしています。血管新生緑内障は、翌日など、早い時期からの管理がとても重要です。「今日はやりにくいから明日でいいや。」で、手遅れにならないように。


血管新生緑内障ではとくにしっかりと止血をして、強膜が露出した状態にします。


強膜に切り込みを入れて、水が流れるトンネル(強膜フラップ)を作成します。うーん。やはり出血が多いですね・・・。イメージ図で強膜(灰色)に切り込みをいれ、めくり上げるような処置です。


水の通り路の癒着を防ぐことが重要な手術です。10年以上前からですが、キズ口にマイトマイシンと呼ばれる抗がん剤の一種をキズ口に塗りこみ、癒着を防いで、安定した水の通り路が形成されるようすることが一般的になっています。左の写真は、マイトマイシンの液体をしみ込ませた、白いスポンジをキズ口に埋め込んでいます。
マイトマイシンの副作用として、組織が弱くなってしまうというものがあり、現在は薬の濃度や、塗りつける時間(3分程度)などは、多くの施設で一定化しています。右の写真は、水をかけて、マイトマイシンをきちんと洗い流しているところです。


強膜の切り込みを眼内まで進めて、眼球に穴を開けます。穴をあける部位を線維柱帯(せんいちゅうたい)と呼び、ココを切除して穴をあけるから、線維柱帯切除術になります。茶目(虹彩)も少し切開をして、水の通り路を広げます。
この状態になると、水が目の外に流れるようになるので、眼圧が下がります。ただだし、このままでは穴が大きすぎて、水が漏れ出しすぎて、目がすぐにペチャンコに凹んでしまいます。

そこで、

せっかく作った水の通り路ですが、再び糸で縫いつけて、水の逃げ路を狭くして、「僅かに水が漏れる。」という状態にします。
血管新生緑内障では、通常の緑内障と異なり、急に眼圧が下がり過ぎると、新生血管からの出血が起こってしまいます。
少し多めに糸で縫っておいて、しっかりと眼圧を保ちます。今回は5か所縫いました。癒着が進んで、水の通り路が狭くなって眼圧が上がりだしたら、すぐに糸を切っていく。術後はそんな方法をとっていきます。


糸の結び目が出ていると、痛みや感染などの問題が起こるため、結び目が組織の中に隠れるように調節します。硝子体手術を行ったあとの血管新生緑内障では、眼球の中がゼリー状の硝子体ではなく、やわらかい水に置換されているため、眼球から水が簡単に漏れ出し、ペコペコになってしまうので、糸で縫うなどの処置が難しくなります。


最後に、初めに剥離した結膜(図の黄色)を元通りに縫いつけて手術は終了です。緑矢印の部分に目の中から漏れ出した水が溜まって、プックリ膨れているのが分かりますか?この水の溜まり場を、ブレブなんて呼んでいます。