白内障手術(水晶体超音波乳化吸引術)

今日はお昼に以下の手術を行いました。
・白内障手術 7件
問題なく終わりました。
外来が午前・午後で88名とやや多く、お待たせした患者様もいらしたと思います。出来る限り待ち時間を減らしていきたいと思います。

今日は白内障の手術のお話です。
白内障手術(はくないしょうしゅじゅつ)
白内障は目の中にある水晶体というレンズが濁る・曇る病気です。
水晶体には若ときには、近くを見たり、遠くを見たりと、ピントを合わせる機能があります。加齢に伴って、この機能が失われると「老眼」と呼ばれる症状がでます。さらに、加齢が進むと、水晶他が濁ったり、曇ったりして「白内障」と呼ばれ、かすみ目や視力低下の原因となります。
現在の医学では白内障は手術以外では治せません。手術で新しい、人工の眼内レンズと交換すると行ったことを行います。
白内障手術は眼科の中で最も多数行われる手術であり、日本中でなんと、1年間に約100万件が行われます。
僕が1年間に行う白内障手術は、他の病院様での非常勤手術などを含めても1000件くらい。日本で行う手術の1000分の1、0.1%にしかなりません。
そこら中の病院で、毎日毎日行われているんです[:びっくり:]

手術では、仰向けに寝て頂き、まずは麻酔の目薬をつけます。
次に、消毒を念入りに行います。

イラストでは水色の部分が白内障の濁りになります。実は、レンズの全体が全て濁って、交換するわけではなく、イラストでいうと赤い袋に包まれた、水色の部分の濁りを、赤い袋を残して、水色の部分を掃除する手術です。

目玉を取り出すの??と良く質問を受けますが、そんなことありません。
仰向けに寝て、まぶたを大きく開く器械をつけ、僕たちが上からのぞきながら手術をします。

まずは、こんな感じで2mm程度のキズを黒目や、白目の部分に作り、目の中に器械などを入れる通り道を作ります。


次に、レンズを包んでいる袋の一部に穴をあけます。


この方は、レンズの濁りを小分けにする方法として、プレチョップという器械を使って、写真では左右に濁りを分割しています。
(僕は手術中のまぶしさを減らすために、あまり強い光を使わないため、写真が暗くなってしまします。見えにくいかもしれませんが、すみません)


濁りをある程度、小分けにしたら、今度は超音波と言って器械の先から振動を出す掃除機を入れます。振動で濁りを粉々に砕きながら、掃除機のように吸い出してしまうのです。


濁りを取り出して、キレイな袋だけの状態になったら、眼内レンズ(矢印)という新しいレンズを、小さく折りたたんで目の中に入れます。目の中でレンズを開いて、袋の中に固定します。(最近は、レンズを小さく折りたたんでいれ、目の中で開くことで、小さな傷口で手術ができるようになりました。)


最後は目の中に入れた薬などを洗い流して、おしまいです。

普通の症例ですと数分で終わってしまいますが、稀には特殊な症例があり、手術の方式を変えるなど、特殊な処置を必要とする患者様もいます。
どのような手術方法を選択するかは、担当の医師とよく相談しましょう。

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 鉾田市 茨城町)

パーフロロカーボン

水曜日に手術をした糖尿病の患者様も経過良好で、明日退院です。

手術の前、緑矢印は網膜(眼球の奥に位置するカメラのフィルム)の前にべったりとドス黒い出血があります。青矢印は出血などが固まってできた増殖膜(ぞうしょくまく)というカサブタです。(正式にはちょっと違いますが一般に分かり安い表現で。)
カサブタが引きつれを起こすことによって、目の中がグチャっとしてしまいます。
手術でカサブタをとって新しい出血が起こらないように、レーザー光線というもので網膜を焼きます。

これが今日の写真です。手術後4日ですが、かなりキレイになっています。オレンジ色の網膜が見えますが、周囲にやや白っぽい斑点がたくさん見えます。この白い斑点がレーザーで焼いたヤケドの後です。斑点が1?2ヶ月経って、黒っぽく変わってくると、出血しにくい安定した状態となります。

手術前の状態をイラストで書くとこんな感じ。

緑が網膜です。茶色のカサブタ(増殖膜)が引きつれを起こすせいで、網膜にしわがより、内側に剥がれてきます。

以前はこのような症例では、網膜にしわがあったり、水がたまってしまい、キレイにレーザーのヤケドを作るのが難しかったのですが、最近はパーフロロカーボンという、比重の重たい液体を目の中に入れることで、手術中にしわを伸ばしたり、レーザーを簡単にうつことができるようになりました。
しわしわの紙の上に、重石を転がして、しわを伸ばすような感覚です。

こんな感じです。手術中は仰向けに寝ているので、重い液体(カーボン)を入れると、図では青になりますが、カーボンの重みによって、しわが伸びたり、網膜が押し付けられて、網膜はく離をコントロールすることができます。

手術のみでは、しわが伸びない場合には、シリコンオイルや、空気といった、比重の軽いものを目の中に入れて、手術後にうつぶせになることで、しわを伸ばす。といったことを行う必要があります。

こんな感じで、カーボンとは逆に、軽い物質を入れて、その浮力によってしわを伸ばします。

今回の患者様も、手術前にはうつぶせが必要だと説明していましたが、手術中に思ったよりキレイにカサブタがはがせ、また、重いカーボンのおかげでしわを伸ばしたり、レーザーを打つことができ、うつぶせもなし、入院も短く済みました。

ただし、カーボンは高価なのが難点です。1本3?4万円位します。
高額医療といって、患者様の実質の負担は変わらないのですが、ちょっとした液体が数万円って、医療ってお金がかかります・・・。

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
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8月の手術実績

8月分の手術数を集計しましたので、掲載します。
ブログで逆さまつ毛などの記事を書いていましたが、いつもよりまぶたの手術が多い月でした。

手術合計 133件

内訳

・白内障手術 83件

・網膜硝子体手術 18件(糖尿病・網膜剥離・眼底出血・黄斑円孔など)
・涙器の手術 1件(NSチューブ)
・眼瞼(まぶた)の手術 15件(眼瞼下垂・さかさまつげ・霰粒腫)
・結膜の手術 3件(翼状片・結膜弛緩症)
・緑内障手術 7件
・その他の手術 6件(斜視、瞳孔形成など)

レーザー手術合計 13眼
内訳
・網膜光凝固 5件(糖尿病・眼底出血などに対するレーザー)
・SLTレーザー 1件(緑内障に対するレーザー)
・YAGレーザー 7件(後発白内障に対するレーザー)

*手術数は、分院である小美玉市医療センターとの合計数です。手術数は基本的に保険診療で請求された件数です。両眼同時手術などは2件と計算しています。 白内障の手術時に、逆さまつ毛や眼瞼下垂の手術を追加で行っておりますが、それらはカウントしておりません。また、病気が古くてNSチューブが挿入できなかった症例などもカウントしていません。

抗VEGF薬 硝子体注射 20件(加齢黄斑変性症などに対する注射です。ルセンティス・マクジェン・アバスチンの合計)

ステロイド薬 テノン嚢注射 9件(糖尿病や網膜静脈閉塞症などでの黄斑浮腫などに対する注射です。トリアムシノロン)

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
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さかさまつげ (加齢性)? 手術 軽い人

今日は以下の手術を行いました。
・眼瞼下垂症手術 2件
・白内障手術 8件
・眼内レンズ整復 1件
 (他院での手術後にズレてしまったレンズを目の中で縫いなおし)
・網膜硝子体手術 2件
 (黄斑前膜 1件、増殖糖尿病網膜症1件)
みなさん無事に終わりました。

以前の続きです。
「さかさまつ毛」
退行性眼瞼内反症
(たいこうせいがんけんないはんしょう

今日は前回と別の手術の方法についてです。

8月17日に手術をした84歳男性です。
加齢によって、まぶたの皮膚・筋肉がゆるんでしまい、まつ毛が上向きに生えています。

実際の手術です。
まずは、手術の前に皮膚に麻酔のシールを1時間張ります。
その後、まぶたに麻酔の注射をします。

手術の写真は上下反対になります。
矢印の部位、まぶたの皮膚に4か所、ペンでしるしをつけます。
しるしをつけた部分の皮膚に、メスでちょっとだけキズを開けます。
(縫った糸が皮膚のキズ穴に隠れるようにするためです。)


次に、アッカンベーをして、まぶたの内側(結膜)を青矢印のように2回?3回続けて縫い、糸を通します。


まぶたの内側(結膜)を縫った、その針と糸を、まぶたを貫通させて皮膚側(表側)に出します(赤矢印)。皮膚側では青矢印のように、最初に付けた穴を通しながら、一番右上の部分まで縫っていきます。
(青や緑の方向が、水平方向・横方向のたるみを改善する効果があります。赤の矢印の方向は、上下方向・縦方向のたるみを改善する効果があります。)


皮膚側を縫うときはこんな感じ。


一周縫い終わると、まぶたの中には緑の矢印のような形で、糸が一本入っています。赤い矢印が実際の糸ですが、7-0という糸です。


最後に写真右上の赤矢印、実際には下まぶたの表側、一番外側の穴から出ている、2本の糸(行ってきたのと、帰ってきたの)をギュッと縛り上げると、写真のようにまつ毛(まぶた)が外側をむきます。


これが手術翌日の写真です。
少し皮下出血がありますが、皮膚や筋肉を切ってしまう「眼輪筋縫縮」という手術方法に比べると、翌日でもかなりキレイです。
縫った糸は皮膚の穴に隠してしまうため、抜糸もいりません。


これは手術後1週間です。
まつ毛もしっかり外を向いており、見た目も手術をしたことが分からない程度まで戻ります。

この術式は、出血も少なく、時間も10分程度と患者様の負担は少ない方法です。ただし、先日の「眼輪筋縫縮」に比べると、治療の効果は少し弱く、重症例では再発してしまう事があります。
肉眼で、まつ毛が上を向いて、少し黒目に当たる人などが適応です。

まぶたが折れ返って、アッカンベーをしないとまつ毛が見えない人や、皮膚がたくさん余っている人、肥満体形の人などは、初めから「眼輪筋縫縮」を選択した方がよいでしょう。

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さかさまつげ (加齢性)? 手術 ひどい人

今日は以下の手術を行いました。
・霰粒腫切除 1件(まぶたのできもの)
・白内障手術 2件
・眼内レンズ交換 1件(以前に他院で手術後のレンズがズレてしまったもの)
みなさん問題なく終わりました。

以前の続きです。
「さかさまつ毛」
退行性眼瞼内反症(たいこうせいがんけんないはんしょう)
今日は手術についてです。

これは先週の月曜日に手術を行った、88歳女性の右目です。
前回「さかさまつげ?」で書いたとおり、まぶたの皮膚や筋肉が矢印のように上下方向・左右方向に緩んで、まぶたがたわみ、まつ毛が上向きになってしまっています。

手術は局所麻酔で行います。
手術の写真は上下反対になります。

まず、余っている皮膚にペンでしるしをつけ、麻酔の注射をします。(麻酔の前に注射の痛みを和らげるシールを1時間張ります。)

次に、ペンでしるしをつけた部分の皮膚(余った皮膚)をメスで切り取ります。出血を少なくするために、クリップのようなもので、まぶたを挟んで行います。

横方向に伸びる矢印の部分は、眼輪筋といって目を閉じるために使う筋肉です。加齢によって、この筋肉や靭帯が伸びてしまう事が、さかさまつ毛の一因となります。

矢印のように、筋肉を折り返して糸で縫うことで、筋肉の張りを良くして、まぶたをピンと伸ばすようにします。

筋肉の処置が終わったら、皮膚を縫い合わせます。

最終的にはこんな感じ。こちらの患者様は88歳と高齢でキズをしっかり止めたいのと、血液がサラサラになる飲み薬を使用していますので、止血のため
もあって、6-0という少し太めの糸で縫ってあります。


これが手術翌日。矢印の部分が黒く目立つのは、縫った糸です。ワーファリンといって血液が止まりにくい薬を使っているため、内出血が大きくなってしまいました・・・。(普通の方は翌日でももっとキレイです。)

これが本日です。ちょうど術後1週間で、抜糸を行いました。
まだちょっとだけ、赤みがありますが、もう1週間位でキレイになります。
さかさまつ毛は治っています。少しアッカンベー(外反)をしているようにみえますが、少し糸が緩むなどして1ヶ月後くらにピッタリになります。


これは6月末に同様の手術をした84歳男性です。
(7月に写真撮影のシステムを変えたので、画質などが異なります。)

これは、先週いらしたとき、手術から1ヶ月半くらいです。
これくらい立つと、キズ口もほとんど分からなくなります。

この手術の方式は「眼輪筋縫縮術:がんりんきんほうしゅくじゅつ」と言います。
余った皮膚はまるまる取ってしまいますし、筋肉を直接縫い縮めますので、非常に治療の効果が高いです。基本的には、ほとんど100%の患者様のさかさまつ毛(眼瞼内反症)を治せます。
欠点は、皮膚を切るので、?手術がちょっとは痛い、?出血するので、少しの間は見栄えが悪い、?抜糸が必要、?少し時間がかかる。といった事になります。
日帰り、注射による局所麻酔で、だいたい15分くらいの手術です。
1割負担だと、自己負担が2000円くらいになります。

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
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霞ヶ浦 ふれいあランド

ものすごーく久しぶりですが、なんと入院患者様0名です[:拍手:]

今日は行方市 玉造の
「霞ヶ浦 ふれいあランド」に行ってきました!
http://www.city.namegata.ibaraki.jp/index.php?code=682

行方市開発公社とあるので、霞ヶ浦、水道に関連したかなり公的な施設でしょうか?以前から気になっていたのですが、初チャレンジです。

施設内に子供用の水遊び場があり、服のまま、水着で。みんな思いっきり遊んでいます!

半日遊んで、くたくたです。
まだまだ、「虹の塔」「水の科学館」など、回りきれません。
クリニックから20分ちょっと。小学生くらいまでの遊び場としては最高です。
帰り道はちょっと、メインの道から外れて、

霞ヶ浦から望む筑波山。

夜は友人の家でBBQをご馳走になりました[:ビール:]
ゆったりした週末です!明日からまた頑張れます[:グッド:]

小美玉市 第6回 ふるさとまつり

土曜日の午後はお休みなので、
小美玉市の「第6回 ふるさとまつり」に行ってみました!

実は、石岡の山王台に勤務する以前から、小美玉市医療センターには非常勤で働いていたので(今も働いていますが)、小美玉には3年以上かかわらせていただいています。
今まで参加したことないお祭りでしたが、各地区の踊りなど、みなさん頑張っていて、予想以上に盛り上がっていました!
出店の価格が、とっても良心的で、1000円もあれば、かなり満腹+酔っ払いです[:ビール:]

小美玉音頭??に、あわせて盆踊りが盛り上がっていました。
最後の花火も良かったです[:ラッキー:]

さかさまつげ (加齢性)?

土曜日は午前のみ外来です。さっき終わりました。
平日忙しい、サラリーマンの方などが多い曜日です。

今日は「さかさまつげ」のお話です。
まつ毛には、目の中にゴミやホコリが入るのを防ぐ役割がありますが、
生える方向が黒目の方を向いてしまうと、黒目を擦って、傷つけたり、ゴロゴロの痛み、メヤニの原因となって「さかさまつげ」と呼ばれます。

加齢に伴って増える、さかさまつげですが、

こんなふうに、数本だけ生えるものは、睫毛乱生(しょうもうらんせい)と呼ばれて、「抜く」という治療を行います。外来で抜いてもいいし、おうちで自分や、ご家族に抜いて頂くのも良いかもしれません。
毎回抜くのが面倒だと言う場合には、まつ毛の毛穴に針を入れて、高圧電流を流して、生えにくくするといった、「睫毛電気分解:しょうもうでんきぶんかい」という治療もあります。


このような「さかさまつ毛」は、退行性眼瞼内反症(たいこうせいがんけんないはんしょう)と呼ばれます。
まつ毛のみが上向きに生えるのではなく、まぶた自体が内向きになるために、生えてくるまつ毛の全てが、さかさまつ毛になります。
原因は、残念ながら、みなさんの嫌いな加齢です。

クリニックの生井沢君、20代のピチピチのまぶたです。
若い時の下まぶたは、直線的で張りがあります。

加齢によって、まぶたの皮膚や筋肉にユルみが出ると、縦方向(緑)と横方向(青)に、まぶたがたわみます。このたわみによって、まぶたが内側に向いてしまう事が原因です。(高齢の方ほど、下まぶたが曲線的になります)
このようになると、むしろまつ毛を抜かないほうがよい事が多くなります。
抜いてもまつ毛は生えてきますが、生えて来たての短いまつ毛は、腰が強くて余計に黒目(角膜)にキズをつけるリスクがあります。
ではどうするか?と言うと、手術で一発で治してしまいます。

手術に関してはまた次回[:!:]

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
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水晶体脱臼(落下)

今日は緊急手術などもなく、落ち着いた日でした。

先週の木曜、今週の火曜日と緊急で手術を行った、水晶体脱臼のお話です。
水晶体脱臼(すいしょうたいだっきゅう)

8月18日、19日のブログにも書きましたが、水晶体と呼ばれる、目の中のレンズが、正規の場所からずれてしまう状態です。
図でみるとこんな感じ。

レンズがズレてしまう原因は、生まれつきレンズの支えが弱い人や、病気、加齢、外傷であったりしますが、白内障手術の失敗などでも同じような状態になります。

レンズが目の奥に落ちてしまうと、光を曲げる(屈折)する力がなくなり、ピントが全く合わないために、ほとんど見えなくなります。また、今回の症例のように、目の中の水の流れに変化を起こして、緑内障という状態を引き起こしたり、目の奥の組織を傷つけて、網膜剥離という重症の病気を起こす事もあります。
ですので、目の奥まで落ちてしまったレンズは、基本的には取り除いて、白内障手術のように、新しいレンズを入れる必要があります。
目薬一回で、ずれた水晶体が溶けてしまうと楽なのですが、そういう医学はありませんので、治療法は手術になります。

手術は大きく2つの方法です。
?目の奥の方で頑張る手術(網膜硝子体手術)

18日の女性はこちらです。眼球後方、網膜や硝子体に起こる病気のための手術で、奥の方まで器械を入れて、落ちてしまったレンズ(水晶体)を取り除きます。特殊な液体をレンズの下にいれて、網膜を傷つけないように行えば、傷口も小さく負担が少ない手術です。

こんな感じで、目の奥まで器械を入れます。

赤矢印でさした白い円形の物が、落下した水晶体です。青矢印が硝子体カッターといって、掃除機のような器械です。本来は硝子体カッターはもっとデリケートなものを吸い出す器械で、水晶体(白内障)を吸い出すのは結構時間がかかります。固い水晶体を吸いづつけると壊れてしまうため、この日はカッターを3本も使用して手術も40分以上かかりました。
ただし、眼球のキズはとても小さくてすむため、日帰りで帰れましたし、翌日には矯正視力0.5まで改善しています。

?レンズを引き上げて、黒目の脇から取り出す手術

レンズがもとの場所からちょっとだけズレた場合には、こちらの手術が優先です。(硝子体や網膜を傷つけるリスクがないため)
23日にレンズを取り出した男性は、目の奥までレンズが落ちていたのですが、水晶体があまりに固くて、途中で硝子体カッターで吸うのを諦めて、黒目の脇から取り出しました。硝子体の中をパーフルオロンと言う液体で満たすと、目の奥に落ちていたレンズが浮き上がってきます。

レンズが瞳孔付近に見えるようになったら、黒目の脇にナイフでレンズを取り出す傷口を作ります(青矢印)
(普通は黒目の上方にキズを作りますが、この方は、19日に緑内障手術をして、上方にはそのキズがあるので、仕方なく横?下方に作っています。)

傷口からレンズを取り出します。

傷口が大きいために、キズを縫います。(抜糸は必要ありません)

最終的にはこんな感じ。硝子体カッターで吸うのは早々に諦めたため、手術自体は30分程度と短時間で済みますが、傷口が大きいため、しばらく乱視が大きくなったり、術後にゴロゴロとした痛みがあります。
特に合併症もなく順調ですが、緑内障の傷口のコントロールも必要であったため、結局1週間入院し、明日退院です。

本来は、白内障手術でもそうですが、レンズ(水晶体)をとる手術では、新しいレンズ(眼内レンズ)を挿入することが必要です。
今回のような患者様は、緊急で手術をするために、前もって正常な状態での検査ができていないため、ピッタリ合うレンズの準備ができません。
ですので、メガネなしで本当によく見えるようにするためには、数ヵ月後に傷口が落ち着いてから、再度手術をしてレンズを入れる必要があります。

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 鉾田市 茨城町)

ブログ

今日はクリニックの終了後に、他院様で緊急手術に呼んで頂きました。
内因性眼内炎(ないいんせいがんないえん)といって、身体に起こった感染症が、目の中にまで波及してしまった病気です。
ものすごい重症で、目の中が膿だらけで、普段オレンジ色の網膜が、全て真っ白。網膜の裏側にも膿がたまっています。出来る限りのことはしましたが、視力的には厳しい状態かなと。残念です[:しょんぼり:]

その後、さっきまで別の眼科の先生と飲みに行ったのですが、上記の手術の先生も、飲みに行った先生も、昨日の造影剤のことは知らなかったようで、やっぱり眼科の中ではまだ知れ渡っていないようです。
ブログをみて、高校時代の親友がメールをくれました。製薬会社に勤めているのですが、造影剤のことを詳しく教えてくれました[:聞き耳を立てる:]
まーくん、ありがとう!

最近、ブログをみてからいらっしゃる患者様が増えているのですが、
それ以外にも、昔の友人や、同僚など、いろいろな人から、久しぶりの連絡を頂くことがあり、とても嬉しいです。
医学のことも書きたいのですが、明日も早いので、今日はお休みなさい。