何日かにわたって、ドライアイについて記載しましたが、
コメント欄でご質問を頂きました。
よくある質問なので、回答させて頂きたいと思います。
たまに目が痛くなるので眼科に行きましたが、ドライアイで、黒目に傷があると言われて、その後ずっと目薬をもらっています。目薬を付けたときはよくなるのですが、やめるとまた痛くなることがあります。いつもの眼科では目薬を付け続けるように言われ、毎月通っていますが、平日は仕事があり、なかなか通院できないこともあります。
目薬をつけないと失明したりするのか不安です。薬を付け忘れてしまうことも多いのですが大丈夫でしょうか。
?完治は難しい病気です。
ドライアイは、原因にもよりますが基本的に慢性疾患です。涙が少なかったり、乾きやすい事が原因で、様々な症状が起こります。
治療は、先日記載した通りですが、基本的に涙液の産生量を回復させるような治療法は、現在の医学では存在しません。
一部、結膜炎やアレルギー、角膜炎後などの疾患に続発して、ムチン層や角膜表層の異常があり、それらが原因の場合には、元となる疾患の改善とともに完治するものもあります。結膜弛緩症やまぶたの異常などでも、手術治療などにより改善するものもあります。
ただし、多くの場合は涙液の減少を少なからず伴っており、完治という状態に持っていくには、涙液の量を増やすことが必要です。これができないために、完治ということが難しいのです。
点眼薬による治療は、少ない涙液を補充してあげようという、その場しのぎの治療法ですので、点眼後は潤って調子がいいのに、しばらくするとまた症状があるというのは、その通りだと思います。
(最近ジクアスという、粘液の産生を増やす点眼薬が発売されました。これは、一部回復という意味も含んでいるのかもしれませんが。)
乾く日、乾かない日など、季節や時間帯によって症状に変化がでることもあります。これは、体調や環境によって症状が変動があるためです。
脱水や体調の悪い日、夕方夜間は、涙の分泌も低下します。涙の分泌が同じでも、湿度の低い日や、エアコンの風、パソコンなどまばたきが減る作業などでも、乾き方が変わります。
このように、多少の変動はありますが、多くの患者様の涙の量は、むしろ年齢とともにだんだん減っていくのが当たり前ですので、ドライアイは調子の良い日、悪い日を繰り返しながら、長い年月でみると徐々に悪化する疾患です。
(鼻涙管閉塞症・狭窄症という、涙の流れが悪くなる病気が出たりすると、逆に涙が余って、あふれるようになる方もいます。)
?どこまで治療をするか
ドライアイは、超重症例を除いて、失明したりするような重大な病気ではありません。(重症例では角膜が傷だらけになり、感染症を起こすなどして、失明に至ることもあります。)
ほとんどのドライアイの患者様は、自覚症状を和らげるために治療をしています。
ドライアイには様々な治療法があり、きちんとした方法をとることで、ほぼすべての患者様の症状を緩和することができます。
乾くのがツライ、痛い、メヤニが出るなど、いろいろな症状がありますが、その症状をできるだけなくしたいと思うのであれば、積極的に治療をするとよいでしょう。しかし、なかにはちょっとくらいゴロゴロしてもいいや。と思う方もいらっしゃると思います。私はそれはそれでいいのではないかと思います。
嫌な言い方ですが、医療には時間もお金もかかります。通院して、目薬を処方される(買う)ことの負担と、ゴロゴロする痛みと、どちらの負担が大きいかというのは、性格や個人的な事情により様々と思います。
しっかりとした治療を続ければ、症状はなくなり、症状を出にくくする効果もあるでしょう。
人によっては、症状があるときのみ薬を使いたいという人もいるでしょう。
人によっては、症状があっても、治療をしたくない人もいるでしょう。
失明するような重篤な病態でなければ、どこまで真剣に病気と向かい合うかはその人次第と思います。
僕は眼科医なので、どちらかと言うと、目の病気は治したいと思ってしまうのですが、治療を受ける受けない、通院をするしないは、患者様の自由です。人間なので、医師と患者様の相性もあります。ご自身がお金を払うのに値する、納得できると思う先生にかかればいいと思います。
*角膜がこすれて、キズがたくさんある場合には、キズに感染を起こして失明騒ぎになることがあります。このような場合には、僕も「絶対に治療が必要です。」と言う事があります。多くの場合には、キズがひどければ痛みもひどいので、患者様自身が治療を望まれますが、糖尿病の患者様や、コンタクトレンズを長期で使う患者様など、キズの重症度に反して、痛みなどの自覚症状がない場合があります。このような患者様には、継続した点眼薬が必要であり、その旨をお話ししています。
質問者様が、毎月の診察や、継続的な点眼薬が必要なのかは私にはわかりません。もし、ご希望であれば一度受診して頂ければ詳しく検査・お話をさせて頂きます。
毎月診察する医師の方が、熱心な先生であるという考えもできます。質問者様の目の健康をとても心配しているのかもしれません。当院受診が難しければ、かかりつけの先生に、自分はどのようなドライアイなのか?継続した治療が必要なのか?他によい方法はないのか?いろいろ聞いてみるといいと思いますよ。
白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 鉾田市 茨城町)