今日は以下の手術を行いました。
・眼瞼下垂症手術 2件
・白内障手術 8件
・眼内レンズ整復 1件
(他院での手術後にズレてしまったレンズを目の中で縫いなおし)
・網膜硝子体手術 2件
(黄斑前膜 1件、増殖糖尿病網膜症1件)
みなさん無事に終わりました。
以前の続きです。
「さかさまつ毛」
退行性眼瞼内反症(たいこうせいがんけんないはんしょう)
今日は前回と別の手術の方法についてです。
8月17日に手術をした84歳男性です。
加齢によって、まぶたの皮膚・筋肉がゆるんでしまい、まつ毛が上向きに生えています。
実際の手術です。
まずは、手術の前に皮膚に麻酔のシールを1時間張ります。
その後、まぶたに麻酔の注射をします。
手術の写真は上下反対になります。
矢印の部位、まぶたの皮膚に4か所、ペンでしるしをつけます。
しるしをつけた部分の皮膚に、メスでちょっとだけキズを開けます。
(縫った糸が皮膚のキズ穴に隠れるようにするためです。)
次に、アッカンベーをして、まぶたの内側(結膜)を青矢印のように2回?3回続けて縫い、糸を通します。
まぶたの内側(結膜)を縫った、その針と糸を、まぶたを貫通させて皮膚側(表側)に出します(赤矢印)。皮膚側では青矢印のように、最初に付けた穴を通しながら、一番右上の部分まで縫っていきます。
(青や緑の方向が、水平方向・横方向のたるみを改善する効果があります。赤の矢印の方向は、上下方向・縦方向のたるみを改善する効果があります。)
皮膚側を縫うときはこんな感じ。
一周縫い終わると、まぶたの中には緑の矢印のような形で、糸が一本入っています。赤い矢印が実際の糸ですが、7-0という糸です。
最後に写真右上の赤矢印、実際には下まぶたの表側、一番外側の穴から出ている、2本の糸(行ってきたのと、帰ってきたの)をギュッと縛り上げると、写真のようにまつ毛(まぶた)が外側をむきます。
これが手術翌日の写真です。
少し皮下出血がありますが、皮膚や筋肉を切ってしまう「眼輪筋縫縮」という手術方法に比べると、翌日でもかなりキレイです。
縫った糸は皮膚の穴に隠してしまうため、抜糸もいりません。
これは手術後1週間です。
まつ毛もしっかり外を向いており、見た目も手術をしたことが分からない程度まで戻ります。
この術式は、出血も少なく、時間も10分程度と患者様の負担は少ない方法です。ただし、先日の「眼輪筋縫縮」に比べると、治療の効果は少し弱く、重症例では再発してしまう事があります。
肉眼で、まつ毛が上を向いて、少し黒目に当たる人などが適応です。
まぶたが折れ返って、アッカンベーをしないとまつ毛が見えない人や、皮膚がたくさん余っている人、肥満体形の人などは、初めから「眼輪筋縫縮」を選択した方がよいでしょう。
白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 鉾田市 茨城町)