最新式MRI Ingenia3.0T?

ちょっと遅れてしまいましたが、最近、医師として嬉しいことが。
実は、少し前から、山王台病院本院で、新型のMRI装置が稼働しています。

最新MRIの導入
PHILIPS社製 Ingenia3.0T

Ingenia3.0Tという機種のフルオプション搭載機器で、現時点では最高のMRIと言えます[:見る:]

人間の肉眼で体の内部をのぞく事は出来ません。(眼球は直接のぞける、非常にまれな組織です。)
体の中の状態を調べるために、昔から医療では、超音波(エコー)を使ったり、放射線を利用してレントゲンを撮ったり、さらに高度になるとCTで断面図を撮影したり。そのうち、磁場・磁力を利用してMRIという撮影が行われるようになりました。
MRIは、脳梗塞や脳腫瘍など脳の病気、脊髄の病気、腹部や女性器の病気、筋肉の病気、目の奥の眼窩の病気、現代の医学では、まだまだありとあらゆる病気の評価にとても役立ってきました。

今回、導入されたMRIはどこが新型かというと、
?通常のMRIは1Tとか1.5T(テスラ)と呼ばれる強さの地場を使用しますが、今回の機種は3T(3テスラ)という強い磁場を利用することで、画質が向上し、より詳細で正確な検査結果を得ることができます。また、検査時間も短く
なり、患者様の負担を減らすことができます。
?3TのMRIは数年前から存在しましたが、ノイズの大きさや歪みが問題となることがありました。今回のPHILIPS社製のIngenia3.0Tは、特殊デジタルコイルの開発により、強い信号強度を得ることが可能な一方、ノイズや歪みを減少し、より高画質での撮影が可能です。
?200cmと、非常に広い範囲での高速撮影が可能で、全身の撮影が行えるようになりました。
?これらにより、全身拡散強調画像の撮影によって、全身の癌検索や、癌の転移の確認などを行うことが可能になります。


これは、全身拡散強調画像:body diffusionの撮影ですが、体の様々な場所に癌が転移していることが、一回の撮影で分かってしまうのです。同じような検査を、これまではPETと呼ばれる、放射線物質(放射能)を体内に点滴で入れる検査で行ってきましたが、全く副作用のないMRIで行えるようになったことは非常に画期的です。
「全身に癌がないか調べたい。」みんなの憧れですよね。都内などで数十万円かけて、PETを取り入れた人間ドックを受ける方もいらっしゃいますが、MRIで同じような検査ができるようになるなんて、素敵です。(検査によって、得意な癌、不得意な癌がありますので、担当医とよくご相談下さい。)
僕の両親にも絶対に受けさせますが、今のところ、とにかくMRIの予約が混んでいるので、数ヶ月待ってから茨城に呼びたいなと。

これから、徐々にのせていきますが、眼科としてのMRIも取るたびにビックリしています。
専門的ですが、直筋や斜筋なんてあたり前。眼動脈や眼静脈、しかも眼動脈から涙腺に伸びる血管まで、追う事が出来ます。視神経周囲の脂肪なんかもくっきり。今まで、MRIではよくうつらなかったけど、たぶん視神経炎でしょう。なんて言っていた症例も、Ingenia3.0Tならあたり前のように撮影できるのではないかと。
新しい器械で、今まで見えなかった病気が、手に取るように分かる。こういうのって、医者としてはものすごく刺激的で、ワクワクします。幸せ[:ときめき:]

先進医療認定施設 多焦点眼内レンズ

今日は以下の手術を行いました。
・眼瞼内反症手術 1件(加齢性のさかさまつげ)
・白内障手術 5件
・網膜硝子体手術 2件(離断1・増殖1)
 (黄斑前膜1件、増殖糖尿病網膜症1件)
無事に終わりましたが、

この糖尿病が辛かった・・・。
コンステレーションでオイルもいれて、1時間半もかかりました。
(最近は1時間半かかる手術って、年に1件か2件です。)

昨年、申請をして、認定が下りたものの、ついつい忘れていたことが。
実は、当院も先進医療認定施設に認定されました。
先進医療認定施設
多焦点眼内レンズ

先進医療とは、一般の保険診療で認められている医療の水準を超えた最新の先進技術として、厚生労働省が認めた医療機関のみが実施できる医療行為のことです。

よい医療、最先端の医療の全てが保険適応となるのが理想ですが、不況の世の中、財源も限りがあり、そうはいかないのが現状です。
そういった医療は自由診療と言って、全額自費でやり取りをしなくてはいけませんが、一般的に自由診療は高額です。

また、自由診療と保険診療を一緒に行う事を、混合診療と言いますが、国民皆保険の問題とか、医療の平等性とか、いろいろな問題で現在の日本では混合診療は認められていません。なので、自由診療を一部でも受けてしまっていると、本来は保険診療で受けられるべき検査などまで全額自費になってしまうので、とにかくお金が何倍もかかってしまうのです。なんかちょっと矛盾している気もしますが、これを破ることは法律上できませんでした。

ただし、安全性や有益性などから、厚生労働省が取り決めた一部の医療については、自費で賄われるべき先進的な医療と、保険診療との併用が認められるようになりました。それが先進医療です。
これにより『先進的な医療・特殊な医療にかかる費用』は全額自己負担となりますが、『先進医療にかかる費用』以外の、通常の治療と共通する部分(診察・検査・薬代等)の費用は、保険診療で行うことが出来るようになります。

眼科では、白内障手術時に多焦点眼内レンズを入れる手術が先進医療として認められています。(多焦点レンズに関しては、別の機会に書きたいと。)
ただし、どの病院でも先進医療として保険診療を利用できるわけではありません。手術数や専門医、視能訓練士の有無など一定の基準を満たしていないと認定施設として、認められないのです。

手術数や実績は1年以上の結果を添付しないといけないので、申請出来ずにいたのですが、昨年、開院後1年半で基準を満たしたので、申請してみました。
結果、厚生労働省より、H24年1月1日付けで、
当院も先進医療認定施設として認定されました。
ので、ここにご報告致します。

厚生労働省のHPに認定施設の一覧が掲載されています。
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/sensiniryo/kikan02.html
数えてみると、現在のところ、199施設が認定されているようです。
日本中で、白内障手術を行っている医院は、約3600施設と言われているので、認定施設は5%ちょっと。開院1年半でその中に入れたのは、おそらく最速かと。ちょっと嬉しい[:祝:]

茨城県では、7施設目になるようです。
他には、
?つくば市 高田眼科様
?つくば市 筑波大学附属病院様
?取手市 松本眼科様
?水戸市 小沢眼科内科病院様
?ひたちなか市 中村眼科医院
?ひたちなか市 赤津眼科様

そして、?石岡市の当院となりました。パチパチ[:拍手:]

???まで、比較的歴史のある有名な眼科ばかりです。
山王台病院 眼科も頑張って行きたいです!

角膜ジストロフィー? 治療その2

今日は午前の外来が55名。
緊急で眼窩底骨折の患者様がいらしてこれからMRIをとります。手術にならないといいのですが・・・。
お昼は13時半から白内障4件、結膜弛緩症2件の予定です。
夜は外出する予定なので、今日はお昼休みにブログを書いてしまおう!

先週に引き続き、角膜ジストロフィーの治療です。
角膜ジストロフィー? 治療その2

濁った角膜を交換しよう!
角膜移植
角膜が沈着物で濁ってしまった場合、濁りを取り除かなくてはいけません。
前回は、角膜の表層が濁った場合の治療で、レーザー光線を使用して削り取る、PTKという治療を記載してみました。
角膜ジストロフィーと言っても、沈着物の種類や遺伝子異常の違いによって、濁りの程度や、沈着物が蓄積する場所は様々です。PTKは顆粒状角膜変性症などの表層の濁りを削り取ることは得意ですが、濁りが角膜の深い部分にある場合では削り取ることはできません。濁りが深い場所にある場合は別の治療が必要になります。
こんな場合は、角膜を丸く切り抜いて別の角膜と交換してしまう、角膜移植という治療法が行われます。
人工角膜の開発も進み、ある程度は人間に使われることが増えてきてはいますが、現在の医学で行われる角膜移植のほとんどは、亡くなった方のご好意でアイバンクを介して頂くものです。ドナーカードをお持ちいただける方が増えては来ていますが、まだまだ数に限りがある、とても貴重な角膜です。また、PTKと比べて、かなり大掛かりな手術で手術自体のリスクもあり、治療には細心の注意や病気へのご理解が必要です。
昨年、角膜移植を行って頂いた70代の患者様の写真です。角膜移植で有名な千葉県の大学病院様に紹介、手術を行って頂きました。

青が自分の濁った角膜、赤が交換したキレイな角膜です。
大変申し訳ありませんが、PTKに引き続き、角膜移植も当院では行っておりません。当院は、ほとんどの眼科手術に対応していますが、レーザーを使用した屈折矯正手術、PTK、角膜移植、涙嚢鼻腔吻合術に関しては他院様へ紹介させて頂いております。
(角膜移植って、あまり数が多い手術ではありません。上記の千葉の病院が日本で一番手術件数が多いようなのですが、それでも年に300件とか。白内障とはわけが違います。一般のクリニックで安定した成績を残すほど件数がないのですよね。そのうちフェムトセカンドレーザ?による手術や、人工角膜、再生角膜などの開発が進み、一般的に安全に行われるようになったら、当院でも対応していきたいと。)
角膜移植も、全てを交換する全層移植から、最近は問題の場所だけを移植する部分移植(パーツ移植)など進歩があります。今日は時間もないですし、角膜移植に関しては、もっと書きたい内容が沢山ありますので、別の機会により詳しいブログを書きたいと思います。

点眼薬・眼軟膏
濁りを取ったり、視力を回復するわけではありませんが、眼表面のキズや痛みの問題に対しては、点眼薬や眼軟膏を処方し対応します。

その他
PTKと角膜移植は、現在の角膜ジストロフィーの主な治療法で、濁りを取り除く事が出来ます。ただし、再発しにくいもの・しやすいものがありますが、基本的には遺伝子の異常などが解決するわけではありませんので、一度キレイになっても、最終的には再発しうる治療法です。
学会などで耳にする限りでは、特殊な点滴薬と光線の治療で濁りを溶かし出すような治療や、遺伝子治療などで、蓄積物が溜まらなくするような治療法が、動物実験などでは行われているようです。
将来、より安全で、よりよい治療法が開発されることを祈ります。

急いで書いたので、誤字脱字あったらすみません。

レッドブル ボックスカートレース?

実は眼科医の先生たちと、近々、面白いイベントに参加させて頂くことになっています。それは、
レッドブル ボックスカートレース!
http://www.redbullboxcartrace.jp

テレビコマーシャルで、宣伝しているスポーツドリンクで、「レッドブル 翼を授ける」というフレーズを聞いたことがあるでしょうか?

こんな飲み物。
「レッドブル・Red Bull」は飲料水以外に、たくさんのスポーツや、モータースポーツに携わっているメーカーです。そのレッドブル主催のイベントで、手作りのカートでレース!というのが、ボックスカートレース。

今日の午後はその作成のために、みんなで集まって、作業をしてみました。

新聞紙を沢山貼り付けて。まだまだですが、この先楽しみです!

角膜ジストロフィー? 治療その1

ブログのおかげだと思いますが、今日も都内からの患者様が3名いらっしゃいました。石岡のいちクリニックに、都内から足を運んで頂くのはとても光栄なことです。もちろん近隣地域の医療を担いたい。というのが一番ですが、遠くから来て頂く患者様は、どちらかというと重症例や治療が上手くいっていない方が多いようです。遠方の難しい症例に出会えることは医師としては幸せです。これからも頑張ろう!

今日は昨日の続きで、角膜ジストロフィーの治療法です。
角膜ジストロフィー? 治療その1

削り取る!
PTK (レーザー治療的角膜切除術)
沈着物の蓄積や混濁が、角膜の表面に近い場合には、その部位を削り取ってしまう。という方法が行われます。エキシマレーザーや、最近はフェムトセカンドレーザーというレーザーが使われます。
実は、このレーザーを使って角膜を削る。という手技は、LASIK・レーシックという近視を矯正の治療にとても似たものです。近視や乱視などを矯正する手術をまとめて屈折矯正手術と呼ぶのですが、現在の日本では屈折矯正手術は、自由診療という保険の効かない治療に該当します。当院では現在はレーシックは行っていないので、他の医院様にお願いする形を取らせて頂いています。

60代の女性で、昨年、県内でレーシックができる施設様で治療をお願いしました。(茨城県内にはレーシックの器械は大学病院などにもなく、2つの個人医院様にしかないようです。レーシックは都内に偏っているようですよね・・・。)
上が治療前、下が治療後です。白い濁りが削り取られて、キレイになっています。よい治療をして頂いて、本当にありがたく思います。


最近は、角膜の断面図を撮るOCTなども使われるようになりました。(通常の眼底OCT説明⇒2011.08.17.Wednesday;http://blog.sannoudaiganka.jp/?cid=5107)

右がOCTでの角膜の断面図です。青く囲んだあたりを、病気の症例でみてみると、

左が治療前、右が治療後ですが、緑矢印の先の白い濁りがなくなっていることが分かります。

このレーザーで削り取る治療ですが、近視を矯正するレーシックと似た治療なので、副作用と言いますか、近視が治ってしまったり、遠視になってしまうという事が起こります。もともと強度近視のかたなどでは、ちょうどいいかもしれませんが、近視のない方はよく注意しないといけません。また、角膜ジストロフィーの患者様が白内障手術を行う場合には、将来的にレーザー治療を行う可能性があれば、白内障手術の時に、わざと近視となるように設定しておく。なんていうことも考えておかなければなりません。

レーザーを使用してPTKを行って濁りを削り取っても、沈着物が蓄積する遺伝子・体質自体がなくなるわけではありません。なので、一度キレイになっても、その後の期間では再発してしまいます。再発の期間や程度は病気の種類によって異なりますので、詳しくは担当の医師に相談しましょう。再発時には、再度PTKで削り取ることができますが、削るたびに角膜が薄くなって、より遠視になっていきます。2?3回の治療を行うと、角膜が薄くなりすぎて、それ以上削り取ることができなくなるため、角膜移植などの治療に進みます。

医療って、お金が難しいのですが、レーシックなどの治療は自由診療です。角膜ジストロフィーの治療に限っては、実は条件を満たせば、保険が適応になるとされているのですが、常勤の眼科専門医が3名、常勤の麻酔科医師もいないといけない。など、保険が使える施設として認定されるには、ありえないような条件が必要です。なので日本中で行われる治療のほとんどが自由診療となっています。とても良い治療ですし、病気を治すためなのに、なんでそんな条件をつけたのだろう・・・。納得がいきません。

角膜ジストロフィー?

今日は午前小美玉、午後クリニックで外来です。どちらも結構混みました。お待たせしてしまった患者様、すみませんでした。
風邪は治っていると思うのですが、ノドがまだイガイガしています。外来はしゃべり続けなくてはいけないのがツライ。

今日はちょっと変わった病気のお話です。
角膜ジストロフィー
角膜は、肉眼で黒目として見えますが、実は透明な組織で、光を遠したり、屈折(ピントを合わせる)させることが仕事です。透明なので、目の内部の茶色の組織や瞳孔などが茶目・黒目として見えるのです。

この角膜ですが、透明性を維持するために、眼内を循環する房水や、涙液、または空気中の酸素などから、必要な栄養分を適宜取り入れたり、老廃物を排出したりすることを繰り返しています(代謝)。
角膜ジスロトフィーは、ほとんどの例で原因となる遺伝子の変異(間違い)が発見されており、遺伝子の問題で、栄養分の吸収や老廃物の排出などが上手くいかずに、角膜の中に不必要な物質が溜まってしまう疾患の総称です。

分類
専門的なので、詳しい内容は省略しますが、
・顆粒状角膜ジストロフィ
・格子状角膜ジストロフィ
・斑状角膜ジストロフィ
・膠様滴状角膜ジストロフィ
・フックス角膜内皮ジストロフィ

など、さらに様々な疾患があります。

原因
ほとんどの角膜ジストロフィーでは、病気の原因となる遺伝子の異常が見つかっています。なので、何かをしたから発病した。というものではなく、生まれつきの病気です。

沈着物
病気によって様々ですが、コレステロールカルシウム、聞きなれないと思いますが、ヒアリンアミロイドなんて呼ばれる物質などが角膜に溜まっていきます。

症状
沈着物によって、角膜が白く濁ってしまいます。
濁りによって、かすむ、眩しい、視力低下などの症状が起こります。
ただし、病形によって、濁りの程度や位置(中心部は視力低下につながりやすい)、発症時期、進行のスピードもかなり異なるので、一概には言えません。重篤なものでは失明に至る事もありますが、軽症例では全く自覚症状のない場合もあります。
また、角膜の表面上に沈着物がある場合には、こすれたり、キズの原因になったりして、強い痛みの原因となることもあります。


先日、他院様にて治療をお願いした女性です。
角膜の中心部の2/3くらいに、白く丸い混濁(沈着)が起こっているのが分かりますか?右側は角膜の断面図ですが、白い濁りが見えると思います。

診断
確定診断には、遺伝子検査を行う場合もありますが、遺伝子診断は保険適応外であり、多くの場合では行われません。
ほとんどの角膜ジストロフィーは、問診(家族歴)や、体の病気、そして診察所見で診断が可能です。

今日は市内の内科の先生と、食事?をさせて頂くことになりました。
ノドが悪くならない程度に、気をつけて・・・。行ってきます。

ぶどう膜炎? 再発と経過観察

落ち込んでもいられないし、またバリバリ仕事頑張ります!
きっと祖母もその方が。

今日の午後の手術は以下の通りです。
・翼状片手術 1件
・白内障手術 12件
・眼内レンズ補正(他院術後)1件
・網膜硝子体手術 5件
 (硝子体混濁1件、黄斑前膜2件、網膜中心静脈分枝閉塞症後の黄斑浮腫1件、増殖糖尿病網膜症・茎離断1件)
みなさん無事に終わりました。

さて、ぶどう膜炎の説明、一般的な内容としては最後です。
ぶどう膜炎? 再発と経過観察
ぶどう膜炎??で記載しましたが、多くのぶどう膜炎では、ステロイドによる治療が主体になります。ぶどう膜に起こってしまった炎症を、ステロイド剤で炎症を抑えて、病気を落ち着かせることが治療で、炎症を起こした原因をなくしてしまうわけではありません。
なので、ぶどう膜炎は治療によって「治った。なくなった。」っというものではなく、「落ち着いた。」という状態に持っていくことが目標です。
(リウマチや、膠原病、バセドウ病なども同じで、治す。というよりも、落ち着かせる。とう病気です。)

もちろん、一回の治療で落ち着いてしまい、その後は一生涯問題を起こさない症例も数多くあります。ただし、残念ながら、一度は治療で落ち着いても、再発を起こしてしまう症例も少なくはありません。

なので、昔から、どのようにすれば再発を少なくできるか?と、過去の先生方が英知を絞って研究してきたのです。
初期治療はこうするのが成績がいい。次の治療はこうするのがいい。
ぶどう膜炎の種類によって、患者さんの年齢や状態によって、実はやるべき治療というのは、かなりマニュアル化されており、現代の医学では多くの医師が同じ治療を行っているのです(そのはずです。もちろん、重症例などで治療法に悩む場合も稀にはありますが。)

初期治療で、目薬のみで対応するのか、飲み薬や、点滴(ステロイドパルス療法)を選ぶのか。病気によっても異なりますが、そのあたりは担当の医師の指示に従ってください。はじめは患者様も、「痛み、視力低下、充血」など症状がツライので、治療にも協力的で、ほとんどの場合では問題が起こりません。
問題になるのは、その後の治療なのです。
ほとんどのぶどう膜炎では、より濃度の薄い目薬に変更したり、回数を減らしたり。と、ゆっくりとステロイド剤を減量していくことが必要です。
軽いものでは、1?2ヶ月で治療を終える場合もありますが、重症な病態では、何年もかけて薬を減らしていく場合もあるのです。それが、再発をさせない・再発率を減らせることが分かっているからです。

残念ながら、少し症状が改善すると、「治ってしまった。」と、勘違いをされるのか、目薬をつけ忘れるようになってしまったり、通院を中断してしまう場合もあるのです。それで、結局、再発してしまい、さらに悪い状態になってしまう。そんな患者様を何度も何度もみてきました。
きちんと受診するように言っているつもりですが、僕の説明が足りなかったのかのかもしれませんね。でも、中断後に悪い状態になって戻ってくる患者様をみると、どうにも嫌な気持ちで・・・。

患者様にお願いです。
ぶどう膜炎は、きちんと治療しないと再発しうる病気です。自己判断で治療や通院を中断しないようにしましょう。
(当院は出来るだけ、通院回数などを減らすように努力しており、通院回数などは少ない方だと思いますよ。)

当院は、県内外からぶどう膜炎の紹介を受けており、ステロイドパルス療法や、免疫抑制剤が必要になるような重症の患者様も多数おられます。それでも、ステロイド注射や緑内障手術などの進歩もあり、これまで失明に至った患者様は誰一人おりません。まれに、ぶどう膜炎⇒失明と、過度に不安になられる方がおりますが、失明に至ることは殆どない時代になってきています。あまり不安にならずに、治療を継続して受けるように心がけましょう。

少し休憩。

個人的な事ですみませんが、この週末に祖母と、実家の愛犬が同時に亡くなりました。99歳と、16歳(犬なので100歳くらい?)で大往生でした。
職業上、とても迷ったのですが、今日は手術だけ終えて、夕方の外来はお休みさせて頂きました。患者様にはご迷惑をおかけしてしまい、誠に申し訳ありませんでした。
明日からは外来や、午後の小美玉での手術も通常通り行います。
群馬県まで行ったり来たりしていますが、ちょっと遠くて・・・。
ブログは数日、お休みさせて頂こうと思います。

節分:鬼の目と眼科

今日は節分です!!
実は、ちょっと楽しみにしていたのです。

節分は季節の分かれ目。明日は立春で、まだまだ寒いですが、暦の上では春の始まりになるようです。季節の節目には悪疫や邪気がはびこりやすいので、様々な行事で悪を追い払おう!と。

鬼はーそと!福はーうち!
豆まきで鬼を追い払うのは知っていましたが、調べてみると、豆には、魔物の目や、「鬼の目」を打つということから「魔目」という意味もかけてあるようです。
また、いわしの悪臭とともに、ヒイラギの葉のトゲトゲで鬼を追い払うのも知っていましたが、これも調べてみると、なんとトゲで「鬼の目」を刺すのだそう。

これはきっと、
今晩は鬼の患者さんがたくさん来るに違いない!
鬼の目だって、目は目ですから、全力で治しますよ!

我が家でも豆まきをしました!
今年は、ご近所のお父さんと協力して、交互に変装し、お互いの家に「鬼」の派遣を行ってみました[:怒り:]
(子供が同級生で、よく親子で遊んでいただいています。)

お面と毛布だけの変装ですが、突然玄関が開いて鬼が入ってくるので、両家とも子供たちは大泣き[:冷や汗:]楽しむといった感じではなくなってしまいましたが、パパが鬼をやっつけてくれた!!と、その後は急にパパっ子に[:ラブ:]
ちょっと姑息な手ですが・・・。パパは満足です!

H24年1月の手術実績:茨城県 山王台病院 眼科

寒いですねー[:ゆき:]
風邪が治るまで!と禁酒をしていましたが、昨日はついつい・・・。
府中誉れさんの日本酒を冷で飲むことが多いのですが、
たまには。と、レンジで温めてみたら、冬は熱燗もいいものです[:熱燗:]
飲み過ぎでしょうか?熱はないものの、喉は少し悪化。鼻水がヒドイ。
僕の仕事は、手術ばかりではありません。
実は「話すこと・説明すること」の時間の方がよほど長いのです。
鼻水、くしゃみはとってもツライ[:撃沈:]
困ったなぁ。

今年初めての、1月分の手術数を集計しましたので、掲載します。

手術合計 111件
内訳

・白内障手術 75件

・網膜硝子体手術 17件(糖尿病・網膜剥離・眼底出血・黄斑円孔など)
・眼瞼(まぶた)の手術 6件(眼瞼下垂・さかさまつげ)
・緑内障手術 5件
・涙器の手術 2件(NSチューブ・急性涙嚢炎)
・その他の手術 6件(翼状片・前房異物)

抗VEGF薬 硝子体注射 32件(加齢黄斑変性症などに対する注射です。ルセンティス・マクジェン・アバスチンの合計)
ステロイド薬 テノン嚢注射 19件(糖尿病や網膜静脈閉塞症などでの黄斑浮腫などに対する注射です。トリアムシノロン)

1月は、年明けの一週間は全く手術をしなかったので、手術日が少ないのですが、数えてみるといつも通り。網膜剥離や、急いで手術をするべき糖尿病の患者様の紹介が多かったせいか、緊急での硝子体手術が多くなりました。
手術111件。なんかゾロ目で気持ちがいいですね。

2月はどんな患者様に会うのだろう。
なんて考えていたら、今日も重症の糖尿病網膜症が。しかも両眼・・・。

うーん。ヒドイ。1年以上前から出血してるのを自覚していたとのこと。
順番待ちとか言ってられないので、再来週に手術となりました。
まだ若い患者様。絶対に救わなくては。でも、やりがいがあり過ぎです・・・。

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 行方市 鉾田市 茨城町)