今日は以下の手術を行いました。
・加齢性下眼瞼内反症(眼輪筋縫縮術)1件
・白内障手術 9件
・網膜硝子体手術 4件(茎離断3件、切除1件)
(黄斑前膜2件、静脈閉塞に伴う黄斑浮腫1件、他院様術後の硝子体混濁+乱視補正1件)
13時から手術の予定が、僕が13時半からと勘違いをしてしまい、外来手術の方たちは30分余分にお待ちになって頂くことに・・・。本当にすみませんでした。手術は皆さん無事にいき、17時には終えられました。
久しぶりに早めの帰宅で、子供と面白い遊びをすることができましたが、どんな遊びかは、後日、週末のブログなどで書いてみますね。
翼状片手術? 手術の時期
前回、大きくなりすぎた翼状片は手術が大変。というブログを書きました。
⇒翼状片手術?、翼状片手術?
前回のブログだけをみると、早く取ってしまった方がいいのか?という事になりますが、実際はそうではありません。外来では翼状片をお持ちの方は数え切れないほどいますが、手術を勧めるのはごく一部の患者様です。
翼状片をお持ちでも長期間にわたって悪化しない・大きくならない場合もあり、そういう場合は手術をする必要性は薄れます。
また、手術は100%安全で、全くリスクがないというわけではありません。
手術の合併症のリスクと、手術をしないことで予想される不利益を天秤にかけて、よく考える必要があります。
手術の時期? 症状で決める
一般的に、翼状片が大きくなるごとに、以下の症状が出現します。
?充血、ゴロゴロ、メヤニが出やすい
?乱視が強くなり、視力が下がる
?瞳孔(黒目の中心部)にまで育つと、ほとんど見えなくなる
眼球の動きが悪くなり、物が2つに見える(復視)
手術は上記の症状を軽減、予防するために行うのですが、
まず、どの程度の状態を治療の目標とするか?で、手術の時期は変わります。
例えば、上記の症状???で考えると、
A:充血やゴロゴロが嫌な人⇒?の段階で手術
B:乱視が強くなっていくのが嫌な人⇒???で手術
C:乱視くらいは気にしない⇒?で手術
D:失明さえしなければいいと思う人⇒?以降で希望があれば手術
といった具合です。
通常の患者様で、D:失明さえしなければいい。という人は見かけません。
Aの人は、どんなに小さくても、手術のリスクの説明などを聞いて、ご自身が納得すれば、手術となるでしょう。
実際の診療で一番多いのは、BとCで悩む人です。
翼状片が大きくなってくると、角膜(黒目)がゆがんで、乱視が強くなっていきます。軽度の歪みであれば、手術で軽減することができますが、ある程度以上のゆがみによって、不正乱視という状態となってしまうと、手術で翼状片を切除しても、不正乱視が残ってしまいます。
不正乱視というのは、角膜が凸凹になってしまう状態で、角膜トポグラファーという機械などで測定しますが、メガネのみでは完全な矯正は出来ずに、コンタクトレンズや屈折矯正手術が必要になるやっかいな乱視です。
これは、翼状片で不正乱視が発生してしまった患者様の角膜トポグラファーです。通常の凹凸のないキレイな角膜は、黄色や黄緑一色で均一になりますが、不正乱視の症例では、様々な色で凸凹が表現されます。
この不正乱視が残ってしまうと、将来、白内障手術を受ける時に乱視矯正も可能なトーリックレンズの使用が難しくなったり、多くの場合で裸眼で1.0などの良好な視力を望むことは難しくなります。
最終的に裸眼で良好な視力を獲得したい。と思う人は、角膜トポグラファーなどで不正乱視が出てきた場合には、手術を考えなくてはいけません。⇒B
そうではなくて、眼鏡やその他の治療を使ってでも、それなりに見えればいいや。という人は角膜の中心部(瞳孔)付近に近づくまでは、手術を急ぐ必要はありません。⇒C
手術の時期? 経過で決める
翼状片の悪化するスピードは人それぞれで、人によっては数ヶ月で大きくなる場合もありますし、人によっては何十年も変化しない場合もあります。
例えば、胃癌や肺癌、どんな癌でもそうですが、どうせ取ることが決まっているなら、大きくなって、どうしようもなくなってから手術をするよりも、
早い時期、病気が小さい時に取っておいた方が、手術も小さくて済みますし、痛みも少なく楽ですよね?
翼状片も同じです。
大きくなっていくのが明らかであれば、早めに取っておいた方が、実際には手術も安全で簡単です。
定期検査を受けることで、進行のスピードを確認し、将来不都合が起こる可能性が高いと思えば、手術をして、リスクの芽を摘んでおくことが望まれます。
逆に、例えば、70歳で小さな翼状片を発見して、75歳の時点で極わずかにしか大きくなっていない。なんていう場合には、手術は必要ないと思います。
みるみる大きくなる翼状片というのは少なく、多くは数ヶ月とか、年単位で進むものがほとんどです。当院では、初診時に翼状片がある場合には、まず半年後程度の再検査で悪化のスピードを確認します。(小さいものでは、予約を取らない場合も多々あります。)半年後に大きな変わりがなければ、以降は1年に1回程度の定期検査で十分かと思います。
(患者様自身の肉眼で、明らかに大きくなっている場合には、予約の前でも受診するようにお願いします。)
以前は、上のように、黒目と白目の境と、黒目の中心(瞳孔)に線を引いて、半分とか、3等分とかにした線を引いて、大きくなった・ならない。を検討していましたが、
現在は茶目(虹彩)の細かい模様まで、キレイな前眼部写真をとても簡単に撮影することができるようになったので、大きくなったかどうかは簡単に分かるようになりました。上述の角膜トポグラファーなども、病気の進行を調べるにはいい検査です。
一昨日、手術をした患者様です。2等分した半分を超えていますね。
ちなみに手術翌日の昨日の写真です。
これは来週手術予定の患者様。半分をちょっと超えたくらい。
これは再来週の患者様。大きすぎです・・・。瞳孔、レッドゾーンにかかってきています。
石岡近隣は、なぜだか大きい人ばかりです。
ちょこちょこっと、簡単に取れちゃう手術に憧れます。