視神経炎? 検査・診断 その1

今日は千葉県の先生が見学に来てくれました。午後の手術は以下の通り。
・白内障手術 14件
・翼状片手術 1件
・網膜硝子体手術(茎離断)5件
 (増殖糖尿病網膜症2件、黄斑前膜2件、裂孔原生網膜剥離1件)

網膜剥離は、つくば市の患者様。赤矢印が網膜の断裂部(原因裂孔)です。
左から、剥離⇒復位⇒レーザーで焼き付け
ご紹介の先生のおかげで、発見後すぐに手術に辿り着けました。

今日は視神経炎の検査・診断について書いてみます。
視神経炎? 検査・診断 その1
先月、実際に当院で治療をした患者様のケースをモデルに。

今回の患者様は60代男性
(通常は10代?50代の方が多く、少し女性の患者様が多いようです。)
フランスで入賞経験のある画家(油画)の先生で、治療後に絵を頂いちゃいました。ありがとうございました。

問診(主訴)
「数日前から右目が見えなくなっている。中心部から下の方が見えない。4日ほど前からおかしかったが、日に日に見えない場所が広がっている。」
といった訴えで来院されました。

視力検査
メガネをかけた、最高矯正視力は、右目が0.05、左目が1.0
右目が病気で、著しい視力の低下があることが分かりました。

対光反射
瞳孔は明るい光を当てると、眩しさを軽減するために小さくなります(縮瞳)。
この反応を対光反射と呼びます。(対光反射の以前のブログ⇒瞳孔?瞳孔?
視神経炎では、病気の方の目は光を感じ取る機能が弱っているために、目に光を当てても眩しさを感じにくくなっています。
病気の目は、正常な目に比べて瞳孔が大きくなります。

右目と左目に、個別に光を当てて撮影した、瞳孔の写真です。左の写真が右目、右の写真が左目です。視力の悪い右目の瞳孔が、左目よりも大きいことが分かります。

眼科の検査では散瞳薬と呼ばれる、瞳を広げる目薬をつけて、瞳孔を大きくしてから眼底検査を行います。
「急に視野が欠けた」という患者さんがいらした場合には、網膜剥離や網膜の血管が詰まる病気など、散瞳薬を使った眼底検査で発見できるものが大多数なのですが、問診などから視神経炎を疑った場合には、散瞳薬を使った検査はすぐには行ってはいけません。
散瞳薬を使った眼底検査の前に、必ず対光反射を確認する必要があるのです。散瞳薬を使用してしまうと、瞳孔が開いてしまって、元の瞳孔の大きさを確認することができなくなるためです。
一度瞳孔を開いてしまうと、対光反射や視野検査などの検査を、当日中に出来なくなってしまう事もあり、結果、治療が遅れてしまうとになるので注意が必要です。

今日は手術が多めで、スタッフも見学の先生もみんな残業に。ご協力ありがとうございました。僕も疲れたので、今日はこの辺で、続きは後日に。

視神経炎? 視神経症の分類と原因

今日の午後は、他院様での硝子体手術に呼んで頂きました。
最近は県外での仕事が増えています。このあたりでは車がとっても大事です[:車:]

視神経炎? 視神経症の分類と原因
視神経が障害されると、視力低下や視野の異常などが起こります。(⇒視神経炎の症状
視神経の病気は、眼球の内部の検査のみではハッキリしないことが多く、総じて診断や治療が難しく、国が指定する難病にも含まれているほどです。
視神経が障害される病気を、まとめて視神経症と呼ぶのですが、以下のようなものに分類されます。
虚血性視神経症:視神経を栄養する血流の障害によって起こるもの
外傷性視神経症:ケガが原因で、視神経が曲がったり、断裂するなど
遺伝性視神経症:遺伝子の問題で、先天性(生まれついて)のもの
中毒性視神経症:シンナーや、ある種の薬物によるもの
圧迫性視神経症:視神経の周囲にできた腫瘍病変などの圧迫によるもの
梅毒性視神経症:感染によるもの
視神経炎:免疫機能の異常が原因と考えられているもの(自己免疫性疾患

自己免疫性疾患とは、本来、外敵から自分の身を守る働きを担う免疫の力が、間違って自分自身に働いてしまう病態です。
以前に、ぶどう膜炎のブログで記載したことがあるので、そちらもご参照ください。⇒自己免疫性疾患

視神経炎は、なんらかのきっかけ(例えば、ウィルスの風邪をひいたあとなど)を元に、視神経を構成する成分に対して自己抗体が形成され、視神経に炎症や脱髄が起こってしまう
病気であると推測されています。

視神経は脳や脊髄と同じ、中枢神経と呼ばれる神経組織に分類され、脳や脊髄と似た構造をもつ様です。
視神経炎を発症した場合、視神経にのみ特徴的な成分に自己抗体が産生された場合には、視神経のみが障害されますが、
視神経と脳の両方に存在する成分に、自己抗体が産生された場合には、視神経と同時に脳も障害を受けてしまいます。

視神経炎と呼ばれる病態には、自己抗体の種類や、炎症の起こる場所によって、以下の4つの病態が含まれると考えられています。
?多発性硬化症(MS):視神経と脳を中心に炎症がおこるもの
?視神経脊髄炎(NMO):視神経と脊髄を中心に炎症がおこるもの
?抗AQP4抗体陽性視神経炎:NMOのうち明確な自己抗体が判明しているもの
?特発性視神経炎:視神経のみに炎症がおこるもの

明日も早いので、今日はこれでお終いです。
スタッフの皆様へ。さきほど県南の医院様から電話にて、網膜剥離の紹介がありました。急いで手術が必要な症例のようです。ご協力ください。

視神経炎? 病態と症状

最近、花粉症で来院される方が増えている印象です。
今日のお昼は以下の手術を行いました。
・白内障手術 9件
・緑内障手術 1件
みなさん無事に終わりました。

視神経炎? 症状
視神経は、眼球内で光を感じ取った網膜(カメラのフィルム)が、束になって脳へ伸びていく、橋渡しのコードです。視神経炎は、この視神経になんらかの原因で炎症が起こってしまう病気で、免疫機能の異常が原因として推測されています。

電化製品のケーブル・コンセントは、電線がゴムやビニールのカバーで包まれることで、電気が安全に内部の電線を伝って、流れることができます。剥き出しの銅線では、電気が別の方向へ流れて、ショートしてしまいますよね??
正常な視神経のコードも、髄鞘(ずいしょう)と呼ばれる成分で包まれていることで、ものすごいスピードで、かつ正確に、眼球から脳へと信号を伝えるのに役立っているのです。
視神経炎では炎症によって、このカバー(髄鞘)が破れてしまい、中の電線(視神経)がむき出しになることで(脱髄:だつずい)、信号を上手に伝えることができなくなったり、ダメになってしまうのです。
眼球に映った映像の情報を、脳へと送る事ができなくなるので、ものの見え方が低下してしまいます。

症状
視力低下:重症例では、数日以内に0.1以下になることもあります。
視野異常:特徴的な例では、中心暗点(物を見る中心部の視野欠損)
色覚異常:特徴的な例では、赤や緑が分かりにくくなります。
瞳孔異常:目に光と当てた時の瞳孔の反応が弱くなります(対光反応減弱)
眼球運動時痛:目を動かすと痛みが出ることがあります。

次回、記載しますが、実は視神経炎の一部は、脳や脊髄にも同じような病変を合併するものがあり、それらの病気の場合には、
脳や脊髄の病気の発生した場所に一致して、様々な症状が出現します。
手足の麻痺、振え、痛み、しびれ、
表情が作れない、ろれつが回らない、話せない、飲み込めない
排尿障害、失禁、気分障害
眼振、物が2重に見える(復視)
 などなど

このような症状が合併する場合には、眼科のみで診療を行うのではなく、
神経内科の先生が主体となって治療をお願いすることになります。

視神経炎? 視神経(ししんけい)とは

今日は県外から、外来や手術見学の先生に来て頂きました。
午後は以下の手術を行いました。
・眼瞼下垂症 2件(CO2レーザー:ミュラー筋タッキング)
・白内障手術 9件
・網膜硝子体手術(茎離断)3件
(黄斑前膜1件、動脈瘤1件、BRVO後の増殖網膜症1件)
あまり難しい手術はなく、5時前に終わって、夜は見学に来てくれた先生と食事ができました。

時間も出来たので、久しぶりですが病気のブログを進めます。
視神経炎? 視神経とは
普段の診療でみる眼科の病気というと、ほとんどが眼球の内部、もしくは眼球の表面上の問題です。
(中が濁っているとか、網膜が破れているとか、出血している。または、眼球の表面が乾いている、ゴミが入った、充血して目ヤニが出る。などなど)
表面上の問題は、スリットランプで拡大して診察すれば、簡単に把握できますし、眼球の内部の問題も、瞳孔を開いて、レンズでのぞきこめば殆どの病気はすぐに診断がついてしまいます。
ところが、「目が見えなくなった。」と、患者さんが来院された場合に、どんなに目の表面や、目の内部をのぞきこんでも、全く異常がない場合も稀にはあるのです。
「物が見える」という事象は、実は眼球だけで成り立っているわけではありません。眼球は光を感じ取る、ただのアンテナの役割で、実際に物を見て認識しているのは脳なのです。
「目が見えない=目の中に異常がある」と考える人が多いかと思いますが、実は、眼球に全く異常がなくても、脳が機能しなければ物は見えないのです。例えば、後頭部の脳梗塞で、視覚野が完全にダメになってしまうと、目の中はキレイで問題のない状態でも、失明してしまうのです。
(目玉だけを取り出して、物を見ることができるのは、ゲゲゲの鬼太郎のお父さんだけですね。)


これは、眼球から伸びた神経が、脳の後方の視覚野(しかくや)と呼ばれる部位までつながっているイメージ図です。(黄色矢印の先が視覚野です)

視神経(ししんけい)
視神経は、眼球内で光を感じ取った網膜(カメラのフィルム)が、束になって脳へ伸びていく、橋渡しの部分です。上のイメージ図の赤矢印の部位が視神経です。両眼の視神経は、頭の中の視交叉(しこうさ)と呼ばれる部分で混ざり合って、その後再度分離して、後頭部の視覚野に伸びていきます。

・視交叉よりも後方、後頭部の脳側に異常があると、両眼から伸びる神経が含まれているため、基本的には両眼の目の見え方に同じような障害をきたします。
・視交叉よりも前方、眼球との間、つまり視神経に異常があると、異常がある方のみの見え方に障害をきたします。

視神経や視交差、脳などの病気は、頭の内部の問題であり、通常の外来診療で、スリットランプやレンズを使っても、のぞきこむことはできません。
視神経の病気を疑った場合には、視力や視野などの検査に異常がないか?左右差がないか?対光反射に左右差がないか?などをよく観察し、MRIなどの検査を行っていく必要があります。

赤でくくった部位が視神経です。この中に、なんと約100万本の神経線維が存在しているんですって。

外科的な手術に比べると、複雑で難しい分野なのですが、僕は個人的に、眼球内に異常が見当たらない場合に、視神経に異常があるのか?それとも脳?脳のどのあたりが悪いのか?などを、いろいろ考えながら、診療を勧めるのが結構好きなのです。
続きはまた後日。最後までお読み頂き、ありがとうございました。

瞳孔?  瞳孔の異常 その2

今日は以下の手術を行いました。見学の先生にもいらっしゃって頂きました。
・眼瞼下垂症手術(眉毛下皮膚切除術)1件
・眼窩腫瘍切除 2件
・白内障手術 9件
・網膜硝子体手術(茎離断)4件
 (黄斑円孔1件、黄斑前膜2件、糖尿病網膜症2件)
みなさん無事に終わりました。

今日も瞳孔の続きを書いてみます。
前回は、瞳孔・虹彩の形態的な異常に関して書きましたが、今日は、瞳孔の機能としての異常について書いてみます。

?瞳孔の機能的な異常
瞳孔の大きさは、脳の活動によりコントロールされているのですが、
・交感神経という神経から刺激が伝わると、瞳孔が大きく(散瞳)なり、
・副交感神経という神経から刺激が伝わると、瞳孔が小さく(縮瞳)なります。

寝ているか起きているかなど、脳の興奮状態により、瞳孔の大きさが変わったり、他にも、睡眠薬や安定剤の内服も瞳孔の大きさに影響します。麻薬やコカインなどで脳がおかしな状態になっている時も、瞳孔をみるとバレちゃうのですよ!

他に、明るい・暗いでも、瞳孔の大きさは変動します。
・明るい所で、目に光が入り、脳に眩しさが伝わると、副交感神経が働き、瞳孔が小さくなります(縮瞳)。
・暗い所で、目に入る光が足りないと脳が判断すると、交感神経が働き、瞳孔が大きくなります(散瞳)。

このような、明るさによる瞳孔の大きさの反応を、対光反応と呼びます。

面白いのは、例えば、右目にライトで光をあてると、もちろん右目の瞳孔は小さくなるのですが(直接対光反射)、同時に左目の瞳孔も小さくなるのです(間接対光反射)。
右目に眩しい光をあてると、正常な脳であれば、脳の反応は両眼に等しく起こるように出来ているのです。

なので、正常な人間であれば瞳孔の大きさは、右と左で同じになります。
瞳孔の診察では、左右差をみることが重要で、左右の瞳孔の大きさが、直径1mm以上差がある場合には、なんらかの異常がある可能性があると考えて精密検査を考える必要があります。


これは先日治療した視神経炎という病気の患者様の写真です。
上が暗い状態、下が明るい状態での写真ですが、向かって左側の方が、右に比べて瞳孔が大きくなっているのが分かりますか?視神経炎では瞳孔が大きくなっている方が悪い状態になります。光を当てても、光が脳にしっかりと届かないので「瞳孔を小さくしよう。」という副交感神経が働かないのです。

対光反応は、
・目が光を感じ取る
・光を感じ取った脳が、活動する
・脳からの刺激が、交感神経や副交感神経から虹彩に伝わる
などが、全て問題なく働くことで起こる反応です。

右目・左目・右脳・左脳、どこが悪くても反応に異常が起こったり、瞳孔の大きさに左右差が出たりします。

診察室で、僕が患者さんの両目に交互に光をあて、目をじっと覗き込んでいる場合があります。右・左・右・左と、ライトを交互に当て続けるため、とっても眩しくて患者様には不評だと思いますが、視力が悪いのは、右の眼が悪いのか?目のどこが悪いのか?それとも、左の脳が悪いのか?などを推測するために重要な検査なのです。やられる人は頑張ってくださいね。

少し専門的になってしまいましたが、瞳孔の話はこれでお終いです。
今日もお読みいただきありがとうございました。

庭のスケートリンク(失敗)

今日は午前のみ外来ですが、終わり次第、娘の幼稚園の発表会へ。
半日の遅刻ですが、ビデオを撮ってもらったので、それでなんとか見ていた振りを??
2人の子供が大きくなってくると、それぞれの行事の日取りが重なったり、なにより仕事と都合が合いにくくなったり、今後はさらに大変になりそうです。

そういう仕事だと分かってくれるといいのですが、
「たまにはいいところを見せなくちゃ!」と、先月ちょっと頑張ってみました。
実は失敗談なのですが、同じ悩みを持つお父さんたちが、同じ失敗をしないようにとブログにしてみます。(そんな事をする人は、いないのかもしれませんが。)

スケートリンク作成(失敗談)
実家の近くにスケートリンクがあるのですが、お正月にちょっと帰省した時に、子供に初体験をさせてみました。
すごく喜んでいたので、「バケツの水も凍るのだから、スケートリンクが作れるのでは?」と安易な考えが浮かんでしまい、いつも利用しているカインズホームへ。

ひとまず2mX2mの木枠を作成。(成功したら、庭一面に拡大する予定でしたが・・・)


木枠の上に厚手のブルーシートを引いて、


3?4cmほどの深さになるように水を張りました。

結果、毎日、氷は張るものの、一番寒く、厚い氷ができた時でも2cmくらい。

子供たちがゆっくりとなら、乗っかることはできますが、足踏みするとパキパキ割れてしまいます[:撃沈:]

結論:この辺りでは自然のスケートリンクは難しい

まあ、近所の同級生たちと、氷を投げ合って、水浸しになって風邪をひく。という遊び?には役に立ったようですが。
1ヶ月の役割を終えて、先日解体されました・・・。


これは同じ日に、余った木材などを使って作った鳥のエサ場です。
こちらも1ヶ月経っても、まったくエサが減りません[:撃沈:]
結論2:この辺りの住宅街では、野鳥の観察はあまり期待できない

今回は、ダメダメなパパでした。

瞳孔? 瞳孔の異常 その1

お昼に網膜硝子体や緑内障の緊急手術がありました。
午後の診療も遅れずに開始ができ、スタッフの協力・優秀さに感謝です。
夜は近隣の先生方に糖尿病網膜症について、1時間の講演をさせて頂いたのですが、数日前から、のどがイガイガして、声が枯れていて大変でした[:悲しい:]

瞳孔? 瞳孔の異常
瞳孔は目の中に入る光の量を調節したり、ピントの調節などにも役立ち、状況によって、大きくなったり小さくなったりと、変動を繰り返しています。(明るいところ⇒散瞳、暗いところ⇒縮瞳)

瞳孔の異常は大きく2つに分けられます。
?虹彩の構造上の異常
?神経学的な機能上の異常

?虹彩の構造上の異常
・瞳孔が大きすぎる場合
外傷などによって虹彩が断裂したり、瞳孔を小さくするための筋肉が麻痺してしまう場合があったり(麻痺性散瞳)、手術手技の問題で虹彩が切除されていたり、稀ですが生まれつき虹彩が全くない。または一部がない。なんていう人もいます。
⇒虹彩がない・瞳孔が大きすぎると、光が入り過ぎてしまうので、眩しくなってしまいます。手術で虹彩を縫合したり、人工の虹彩を縫いつけたり、虹彩の模様の入ったコンタクトレンズを使って頂く場合などもあります。

眼球破裂後の虹彩損失

・瞳孔が小さすぎる・偏位している場合
ぶどう膜炎などの目に炎症が起こる病気や、手術後、外傷後などでは、目の中に炎症が起こり、虹彩が小さくなったまま癒着をしてしまう場合があります。瞳孔が中心部から外れて、端っこにズレた状態で癒着をしたりしてしまう場合も。サンピロという目薬の副作用で瞳孔が小さいまま癒着をしてしまうことも。
⇒瞳孔が開かないと、目の中に入る光が少ないために、視界が暗く感じます。
瞳孔が偏位してズレていたりすると、光の通り道が遮られ、視力が下がってしまう場合もあります。また、目の中を循環する房水の流れに影響して、緑内障という病態を起こすこともあります。
炎症による癒着が軽度・早期の場合には、瞳孔を広げる目薬(散瞳薬)のみで解決してしまう場合もありますが、ある程度、癒着のひどくなったものや、偏位しているものでは、瞳孔を切ったり縫ったりする手術を行う事もあります。

瞳孔偏位による視力低下⇒手術で中心部を切開

?神経学的な機能上の異常

こちらの?をメインで書こうと思ったのですが、
ちょっと眠くなってしまったので、今日はこれでお終いに。

実は、視神経炎という病気の患者様がいらっしゃり、それに関連して瞳孔について書き始めたのですが、前置きばかり長くなってきています・・・。

瞳孔?

今日からブログを再開します。
昨日は僕の知っている中では最も手術数が多い、著名な硝子体サージャンの先生とお食事をさせて頂くことができました。いろいろ勉強になり、モチベーションも上昇です[:up:][:up:][:up:]
もっともっと頑張るぞ!(と、別に怠けていたわけではないのですが。)

今日の午後は、
・瞳孔形成手術(他院様術後) 1件
・白内障手術 11件
・網膜硝子体手術 3件(増殖1、茎離断2)
(増殖糖尿病網膜症・糖尿病黄斑浮腫・BRVO後の増殖網膜症)
みなさん無事に終わりましたが、最後の症例は久々の1時間越え(80分
)で、カサブタをとるのが大変でした。

今日の話題から、少し一般的なことを書いてみます。

瞳孔
瞳孔(どうこう)とは、下の図で矢印の先、

虹彩(茶目)の中心で作られる光の通り道、穴の事を言います。
瞳孔は、常に一定の大きさではなく、必要に応じて、大きくなったり(散瞳・さんどう)、小さくなったり(縮瞳・しゅくどう)しています。

例えば、
・明るいところでは、目の中に入る光の量を減少させ、眩しくならないようにするために、瞳孔は小さくなります(縮瞳)。
・暗いところでは、目の中に入る光の量を増加させ、明りを少しでも取り入れようと、瞳孔は大きくなります(散瞳)。
このような、明るさ・光によって、瞳孔が動くことを対光反射(たいこうはんしゃ)と呼びます。
お亡くなりになった人は、目に光を当てても瞳孔が動きません(対光反射なし)。テレビドラマなどでよく見るかと思いますが、医師が目にライトをあてて、「ご臨終です。」というのは、瞳孔・対光反射を観察しているのですね。

他にも瞳孔が大きくなったり、小さくなったりする要因として、自立神経に関連するものがあります。
興奮すると瞳孔が大きく散瞳します
「興奮して、目を見開く。」なんていう言葉を聞いたことがあるでしょうか?まぶたを大きく開ける。という意味もあるかと思いますが、瞳孔にも当てはまるのですね。
・寝ている時やリラックスしている時には、瞳孔は小さく縮瞳します。

また、近見反射といって、本を読んだり、近くのものを集中して見る時には、瞳孔が小さくなる反応もあります。
瞳孔が小さい方が、ピンホールカメラの原理のようにピントが合いやすくなるようです。ピントが合わない時に、目を細めると見やすくなるのも似た理由です。

正常な瞳孔は、キレイな円形をしていますが、ケガなどの外傷や、手術で痛んだ場合や癒着、何らかの病気などによっては、キレイな円形では無くなったりします。瞳孔が茶目の中心部ではなくなってヒキツレを起こし、視野が欠けたり、視力が下がったりする場合には、状況によって、手術で瞳孔を形成する場合もあります。

(全く関係ありませんが、ネコやキツネの瞳孔は縦長ですね。縦長の瞳孔は夜行性の動物の一部に見られるようです。)

また、目や脳、神経の様々な病気によって、瞳孔の大きさが変化してしまったり、光を当てた時の対光反射が無くなってしまったりすることがあります。

お酒の力を借りないと、なかなか人の目を見られないシャイな僕ですが??、
仕事のため「何か瞳孔に異常はないかな?」と、まじまじと患者さんのお顔や目を覗き込んでしまう事が多々あります。
変な奴だと思うかもしれませんが、診察のためにやっているのですよ。

次は、瞳孔の異常について書いてみます。