最後の外来  小美玉市医療センター

今日は少ししんみりした気分です。

最後の外来  小美玉市医療センター
5年前に筑波大学からの派遣として、非常勤で勤務が始まった小美玉市医療センターですが、その後、山王台病院の常勤となってからは毎週外来・手術と、さらに数多くの患者様の診療に携わらせて頂きました。
5年間も関わると、重症で思い入れの強い患者様、家族みんなで通院してくれた患者様、何度も通院が途切れて怒ってしまった患者様・・・。たくさんの思い出があります。
もともと小美玉市の病院であった国保中央病医ですが、5年前に指定管理者として山王台病院(幕内会)が指定を受けました。今回、5年間の任期が満了し、山王台病院(幕内会)としては、医業の派遣が終了となりました。
3月は「先生に会いに来たよ。」と、顔を見に受診をしてくれる患者様も沢山いました。外来が混んでしまうので、なかなか長話はできませんでしたが、とても嬉しかったです。
お昼に外来が終わって、人気のない待合室と、だれもいない手術室を歩きましたが、なんとも言えない気分です。

5年間、小美玉市近隣の地域のためにどれくらい役に立てたかは不明ですが、少しは貢献できたのでしょうか。もう少し頑張るところがあったのかな?外来は待ち時間が長くなりがちでしたが、予約制にした方がよかったのか。モニターや、病気の説明など、分かりやすい医療の設備をもっと整えたほうが良かったのか。
かなりの手術を行いましたが、術後感染症(眼内炎)が1人も発生しなかっのは本当に良かった。
終わってしまってからの方が、いろいろと考えてしまいます。

長らく支えて下さった地域の患者様、そしてスタッフの皆さん、本当にありがとうございました。

お住まいが近く、眼科内科クリニックへの受診が不自由でない場合には、引き続き診療をさせて頂ければと思います。

交通の手段など、通院が難しい場合には、現在も常勤の井上先生に診療の依頼をしてありますので、小美玉市医療センターでの通院を継続して下さい。
医療センター受診中でも、急に見えなくなった場合などは、遠慮なく山王台の眼科内科クリニックに電話を下さい。

最近受診をされて、紹介状などを受け取っている方は、そのままクリニックの予約をとって頂ければ大丈夫です。受診間隔が長期で、紹介状などもなしでクリニックに受診される場合は、現在お使いの点眼瓶(目薬)、もしくはお薬手帳を持参頂けると助かります。
小美玉市医療センターでの外来と異なり、基本的に完全予約制・予約優先の診療をしています。受診前にお電話にてご予約をお勧めします。

さくら

今日の午後は臨時で手術を行いました。
・緑内障手術 1件
・白内障手術 1件
・網膜硝子体手術(茎離断)2件
 (黄斑円孔1件、眼内悪性リンパ腫疑い生検+黄斑前膜)
無事に終わっています。

さくら
急に暖かくなってきて桜の季節になりました[:桜:]今年は早いですね。
4月に子供が小学校に入学しますが、きっと散ってしまっているでしょう・・・[:汗:]

病院の桜もいい感じ。僕は朝と夜にちょっと見るだけですが、なんとなく気持が華やぎます。僕は夜のライトアップが結構好きです。
眼科内科クリニックで処方箋をもらって、本院前の薬局屋さんに行く人は、歩いて向かうのもいいかもしれませんよ。

でも、平日はもちろんですが、次の週末は仕事の予定なので、我が家は残念ながら今年のお花見は難しそう[:悲しい:]

視神経炎? 治療その2 ステロイドパルス療法

今日のお昼は白内障手術のみ9件、無事に終わりました。
午後の外来は空いていて、のんびり。久しぶりに、外来が途切れてしまっている「心配な人リスト」に電話ができました。リストがキレイにさっぱりしました。

今日は視神経炎の具体的な治療に関してです。
視神経炎? 治療その2 ステロイドパルス療法
体内にはステロイドといって、体にかかるストレスや負担、炎症などを抑える働きを持つホルモンが、もともと存在しています。
以前に、ぶどう膜炎のブログでステロイド治療について記載したことがありますので、ご参照ください。
視神経炎は免疫のバランスが崩れて(自己免疫性疾患)、自身の視神経(症例によっては脳や脊髄)に炎症を起こしてしまう病気ですが、
治療法は、ステロイドを体外から余分に投薬してあげることで(自分が産生する量以上に)、視神経の炎症を抑え、病態を落ち着かせることを目的とします。
ステロイドには内服薬(飲み薬)や、注射薬(点滴)、眼科では点眼薬(目薬)、眼球周囲への局所注射などの使用法があります。
目薬では眼球の後方の視神経には届きませんし、初期治療として安易に飲み薬を使用することは予後を悪くするという報告もあり、視神経炎の標準治療としては、点滴による治療が行われています。

ステロイドパルス療法
炎症を抑える働きをもつステロイド剤を、短期間で大量に点滴する治療法です。
当院では、主にソル・メドロールという薬を使用しています。
ソル・メドロール 1000mgの点滴を、午前中に1時間かけて投与
同じ点滴を3日間、連続で行います。

(人間が正常時に自分の体で産生するステロイドの、200倍以上の量を、1日で投与します。まさに大量療法ですね。)
超高齢者や、小児のお子さん、他の疾患で全身的なリスクが高い患者さんでは、500mgと半分の量で治療をしたりもします。

副作用
ステロイド剤はとっても有用なお薬ですが、残念ながら副作用も沢山あります。
・感染症が起こりやすくなる、糖尿病の悪化、胃潰瘍、骨粗しょう症、高血圧、高脂血症、体重増加、筋力低下、精神症状、体が火照る、不眠などなど。
(もともと、免疫力による炎症は、バイ菌などの外敵が体内に入ってきた時に、体を守る防衛反応として存在します。ステロイドは炎症を抑えてしまうので、バイ菌が体に入った時の防衛反応が出来なくなってしまうのですね。)
副作用と書くと、みなさん治療に怖気ずいてしまうのですが、ステロイドパルス療法では、ステロイドの量が多い割に、全身的な副作用が起きにくいとされています。
ただし、重症の肺炎を起こしたり、糖尿病が急激に悪化したり、血圧の変動から脳や心臓に急に負担がかかったりと、非常に稀ですが、重篤な副作用も起こりうるので、基本的には入院での治療をお願いしています。
(当院では外来治療は行っていません。)
比較的よく起こる副作用としては、ドキドキと動悸を感じたり、体がほてったり、眠りにくくなったり。このような場合は安静にしたり、睡眠薬を処方して対応します。超高齢者では、一過性ですが、精神症状「ここはどこ?私はなにしているの?」など、精神的に不安定になってしまう事があり、家族の方に付き添いをお願いする場合があります。

その後
3日間の治療1回(1クール)で、完全によくなってしまう症例はいいのですが、残念ながらまだ病気の勢いが残ってしまう場合もあります。そのような場合には、1週間毎程度で同様の治療を繰り返し、重症例では3クールの治療を行う事があります。
また、点滴でのパルス療法の終了後に、再発のリスクが高い症例では、飲み薬のステロイド剤を内服し、ゆっくりとステロイドを減らしていく治療を追加することもあります。

今回例にしている患者様のケースでは、

初診日の視野検査の結果です。視力は0.05まで低下しています。
初診日にMRIを含めて全ての検査を施行し、当日中に確定診断。
翌日の朝から入院し、ステロイドパルス療法
(夜に治療をすると眠りにくくなったり大変なので、翌朝からの治療に。)

1クール目のパルス療法後です。まだ中心部に暗点(視野の見えない部位
)が残っており、視力は0.2
MRIでも僅かに炎症があり、翌週に2クール目のパルス療法を施行しました。

2クール目の治療後は、暗点が縮小し、視力も0.8まで回復しました。
2週間程度様子をみたのですが、反対目の視神経に炎症と視野障害があり、ステロイドの飲み薬を開始。(プレドニン1日30mgから徐々に減量中)

これは最近の結果ですが、両眼ともに落ち着き、視力も0.9?1.0を保っています。

視神経炎? 治療その1 なにもしない

今日は日曜日ですが、茨城県眼科医会主催の勉強会に参加しました。
糖尿病黄斑浮腫と前眼部OCTの講演でした。
糖尿病黄斑浮腫の講演では、現在当院で行っている医療とほぼ同じ、むしろ当院の方がかなり積極的な医療を行っていることが確認でき、安心できました。
(当院では糖尿病でレーザー治療が予定された段階で、OCTの黄斑マップでほんの僅かでも浮腫があれば、アバスチンとマキュエイド・ケナコルト注射をルーチンで併用して、視力の低下を防ぐ工夫をしています。)
夜は、県内の大先輩の先生にお酒を奢って頂きました。明日は平日なので、体調がちょっと心配です。ブログを書く前にウコンドリンクを飲んでおこう。

さて、視神経炎の続きです。
視神経炎? 治療その1 なにもしない
急に視野が欠けたり、視力が低下してしまう視神経炎。自己免疫性疾患と言われても、難しい内容だし、あまり納得できない患者さんも多いのでは?
少しでも早く、治療を受けたい。元に戻りたい。と思うのがあたり前ですよね?

後日記載しますが、基本的な治療は炎症を抑えるホルモン製剤である、ステロイドという薬を使うことです。
(⇒ステロイドについては、以前のぶどう膜炎のブログを参照
ステロイドには目薬や飲み薬、点滴などの使用方法がありますが、視神経炎の初期治療では、主に
ステロイドパルスと呼ばれる大量の点滴療法が行われます。
ところが、僕たちは視神経炎と診断したからと言って、全員の患者さんを治療するわけではありません。

治療をしても長期成績は変わらない??
現在の医学の基本的な考え方は、エビデンス ベースト メディスンが基本です。(⇒エビデンスの詳細は、以前のブログを
科学的根拠に基づく医療という意味で、たまたま1人に行った医療が上手くいったかではなく、何百・何千といった、多数の治療の結果を統計学的に評価して、
本当に有効であった治療を行っていこうというものです。

視神経炎について、アメリカで発表された多施設調査の結果では、なんと、治療を受けたグループと、無治療で観察したグループとの10年後の長期予後(治療成績)は、あまり差がなかった(治療の意味がなかった)というものでした。

治療をしなくても(無治療でも)、回復する症例は自然に回復するし、
治療をして一度は回復しても、再発を繰り返して、最終的に失明に至る確率は、無治療で失明していく確率と同じくらい。といった具合です。

では、治療は全くの無意味なのか?というと、そうではありません。
10年後の結果は同じでも、回復までの期間を早めたり
残念ながら再発を繰り返し、最終的に失明に近い状態になる運命でも、無治療で早々に見えなくなってしまうよりも、治療によって出来るだけ見える期間をのばすことは可能です。
また、症例によっては、多発性硬化症と呼ばれる、脳に病変が合併する病態
への進行を抑える可能性があると考えられています。

ステロイドには副作用がありますし、治療をした方が良い・しなくても同じ?などさえハッキリしないのですが、今の医学では、ステロイドパルス以外にきちんとした治療法が確立されていないので、申し訳ありませんが、僕たちの説明も少しあいまいなものになってしまいます。(これで治ります!!とは言い切れない。)そもそも難病に指定されている難しい病気なのですよね。

現時点の一般的な考え方としては、
・視力低下や視野欠損の程度が軽く、片眼性で、脳や脊髄への病変を認めない場合⇒無治療で観察
・視力低下や視野欠損が高度、両眼性の病気、脳や脊髄にも病変がある。または脳や脊髄に病変が発症する可能性が高い⇒ステロイドパルス療法+α
となっています。
(+αについては、後日記載)

別件ですが、ステロイドパルス療法(点滴)後に、ステロイドの内服薬を用いることはありますが、初期治療で内服薬を使用することはありません。
初期治療で安易に内服薬を処方した場合には、多発性硬化症という全身的な病気を発症するリスクが高まってしまうとさえいわれており、治療というよりやってはいけないこと。と考えられています。

次回から具体的な治療について記載していきます。

点鼻薬

今日も花粉症の患者さんが沢山きました。
午後は、県内の医院様で手術をさせて頂きました。
硝子体手術や、白内障、眼内レンズ縫着、まぶたの手術など10数件。
自分の医院以外での手術をするのは、環境や器材・設備も多少づつ異なり、新鮮な気持ちになります。特に、いろいろな分野の手術が入っていると、ワクワク楽しいです。

ブログで花粉症と書いたからでしょうか?
知り合いの先生が薬を送ってくれたり、薬剤師の先生が薬の情報を教えてくれたり。ノドが痛いのも、スタッフがノド飴をくれたり、すぐに水を用意してくれたり、手術中も飲めるようにストローが準備されていたり。
みなさん、ありがとうございます[:楽しい:]

眼科医だけあって、目薬の勉強はしているつもりですが、
どうしても、内服薬や、他の薬の知識が乏しくなってしまいます。
僕は、花粉症の患者様に点鼻薬を処方する場合に、フルナーゼやザジテンという薬を処方することが多かったのですが、今回、薬のことを教えて頂いた時に、聞いたことがない名前の点鼻薬の話が出てきました。

アラミスト点鼻薬
花粉症のお薬は、飲み薬、目薬、点鼻薬、超重症例では注射薬などがあります。
飲み薬は、目にも鼻にも効きますが、眠気などの副作用が起こりえます。目薬や点鼻薬は、症状のある場所だけに効果的に働き、全身的な副作用が少なくてすむのが利点です。
アラミスト点鼻薬は、僕がこれまで処方していた薬と違って、1日1回で効果が安定することで、人気のある薬らしいです。
鼻腔の中にスプレーすることで、鼻粘膜のヒスタミンを減少させ、抗炎症作用、抗アレルギー作用を示し、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの鼻症状を改善させる効果があります。

毎日1回、続けることで効果が安定するようです。
僕は、月曜日のお昼にもらってすぐにつけ始めましたが、今日、水曜日の夜にはかなりいい感じです!!薬剤師の先生、ありがとうございます。

薬の効果や使い心地には個人差があります。決してアラミストがベストだという事ではありませんが、
薬の使用回数は少ない方が楽。今までの薬が効きにくい。という方は、是非教えてくださいね。
(僕は恥ずかしながら、きちんと回数を守れないタイプなので、1回で済むのはとても嬉しく思いました。)

それにしても、アラミストの発売は3年前のよう。
眼科専門の薬ではなくても、もう少し早く情報を手に入れられるように、幅広く勉強をしなくてはいけないと実感しました・・・・。

視神経炎? 検査・診断 その5

今日のお昼は以下の手術を。
・白内障手術 8件
・網膜硝子体手術・茎離断 1件(網膜剥離)
網膜剥離は網膜中心静脈閉塞症を合併している症例で、県内の先生から当日中に紹介して頂け、早期治療が出来ました。

とにかく花粉症の患者様が多くなっています。今日の外来は午前・夕方あわせて110名。1/4?1/3くらい花粉症なのでは??僕の人生では1日でみた花粉症の患者さんの数はきっと最多だと思います。

視神経炎? 検査・診断 その5
視神経炎の検査をそろそろ終わりにしたいと。

中心フリッカー値
ゆっくりと点滅する光を見つめていて、点滅の速度を徐々に上げていくと、ある程度の速度で、チラチラとチラつく感じを受けます。そして、さらに速度を上げていくと、光の点滅が分からなくなり、ただ光っているように見えます。
健康な目では、より早いスピードで点滅するライトのチラつきを実感することができますが、視神経炎などの見え方が落ちる病気では、同じスピードの点滅を認識できなくなり、ライトがつきっぱなしという認識になります。
病気の特性によって、赤が見えにくい、青が見えにくい。などがあり、3色の光源で検査をしたりします。
一応は、正常な目では1秒間に35回以上の点滅を認識可能ですが、視神経炎では35回の点滅は認識が難しくなるようです。
(測定環境や、光度、病気の状態により、あくまで参考値です。)

髄液検査
視神経炎には、眼科のみで対応する視神経のみに炎症が起こるタイプと、同じ中枢神経である、脳や脊髄にも炎症が起こるタイプのものがあります。
(多発性硬化症:MSや、視神経脊髄炎:NMO)
脳や脊髄は、頭蓋骨や脊椎のなかで、髄液(ずいえき)と呼ばれる透明な液体にプカプカ浮いている状態で存在します。くも膜下出血などでは、この髄液に血液が混ざったりします。
髄液検査は、この髄液の性状を調べるために、横向けに寝た状態で、背中の一部から脊椎の中に注射針を刺し、髄液を採取し、性状を調べる検査です。
本来は透明なはずの髄液ですが、脳や脊髄にも炎症を伴う場合には、髄液に白血球という免疫を担当する細胞が混ざっていたり、たんぱく質の濃度が上がったりします。
(僕は、この検査は自分では試行していません。内科の先生にお願いしています。)

神経学的検査
多発性硬化症:MSや、視神経脊髄炎:NMOなどの、中枢神経にも影響が伴う病態では、その病変の部位に応じて、全身の運動や感覚などにも異常が起こる場合があります。
筋力や、腱反射、感覚検査など、全身的な評価が必要になりますが、これらは眼科の手を離れて、神経内科の先生方に診療をお願いする形となります。

頸椎ヘルニア? MRI

今日の外来も花粉症の患者さんが沢山!!
午後は他県の医院様で、硝子体やまぶたの手術を行いました。
自分の目もあまりに痒いので、手術前にも目薬が必須です。

昨日は弱気なブログを書いてしまいましたが、
眼科とは関係なくても、頸椎ヘルニアで困っている患者さんはかなり多いはず??
実際に頭痛を主訴として「目のせいでしょうか??」と、受診された患者様にMRI検査を行って、頸椎ヘルニアを発見し、整形外科を紹介したことも多々ある僕です。
同じ悩みをもつ人のためになればと、体験談や調べた治療法について書いていきたいと思います。(このシリーズは不定期で記載予定)

頸椎ヘルニア? MRI
僕が頸椎ヘルニアになったのは3年くらい前のことです。
子供と肩車をしていて、ハシャギまくったあと、少し痛みを感じました。
当日はそれほど重大に考えなかったのですが、翌朝に痛みで全く動くことができない自分がいました。
それ以来、年に数回、ちょっとしたことで、ものすごーく痛くなる日々を送っています。(なんでもない時は、全く痛くないのですよね。)
今週は、月曜日の早朝に「洗顔をして、顔を拭く」という、何気ない動作で、いきなり激痛に。朝の外来までに、痛み止めや血流改善薬などを飲みまくって、どうにか外来に遅刻しないですみました。

今週撮影してもらったMRIをUPします。

緑矢印の、黒く上下に伸びるものが脊髄です。その両側で白く上下に伸びるのは髄液です。脊髄や髄液の左側に背骨が写っているのが分かるでしょうか?
骨と骨の間には、椎間板という組織がありますが、赤矢印の先の3つの椎間板は、右側にはみ出して、緑矢印の脊髄に接触しています。
脳からの指令で手足を動かしたり、手足の間隔を脳に伝える役割を持つのが脊髄ですが、椎間板ヘルニアでは、はみ出た椎間板によって、脊髄が圧迫されてしまうので、痛みを感じたり、ヒドイ場合には手足を動かすことができなくなってしまう病気です。

僕は年に数回、痛みを感じることがあるものの、思い通りに動かないとか、そういう事はないので、自分で手術をすることは問題ありません。動かすことにも問題が出るようになったら、手術治療を受けなくてはいけないのかな?と思っています。(この辺りは、別の機会に記載します。)


ちなみに、右は2年くらい前の1テスラのMRI画像です。左は今週撮影した3テスラの最新型MRI。
久しぶりに撮影したので、悪くなっていないか比べてみようと思いましたが、あまりに画質が違うので、評価困難でした。(ブログにアップするのに、3テスラの方は、5分の1程度に画素数を落としていますが、それでもこんなに差があります。3テスラMRIはキレイです。)

当院の3テスラMRIについて⇒以前のブログ?その?

花粉症

うーん。体調が悪いです・・・。
ノドがイガイガ。首はヘルニア。花粉症。
ノド飴を舐めながら、外来をしたり、
首にカラーを巻いて、痛み止めを飲んで手術をしたり、
 (外来では格好悪いので、首はガマン)
花粉症で、鼻をカミカミ、目薬もつけて。
今日は残念ながら、当院で硝子体手術をした患者様の再手術がありました。
心まで少し不健康です[:悲しい:]

当院は現在のところ、眼科医は1人なので休むわけにはいかないのですが[:冷や汗:]

それにしても、今年の花粉症は大変です!!
数日前から、両目、まぶたまで真っ赤な人たちが沢山受診されています。最近話題の、中国の黄砂やPM2.5の影響もあるのでしょうか?僕も人生でもっとも重度の花粉症を味わっています。
患者さんには、「この目薬は、シーズンを通して、きちんとつけましょう。」と説明して処方をしていますが、自分の薬は忘れまくっている、ダメな医者です。
(今日はネガティブ)

当院の花粉症治療については、以前のブログを。

視神経炎? 検査・診断 その4

今日の午後は以下の手術がありました。
・眼瞼下垂手術 2件(炭酸ガスレーザー使用のミュラー筋短縮)
・白内障手術 9件
・網膜硝子体手術(茎離断)4件
 (増殖糖尿病網膜症2件、糖尿病黄斑症・前膜1件、BRVO後の前膜1件)
どうにか定時で、皆さん無事に終わることができました。

個人的に、今週は喉の痛みと咳、首のヘルニアの悪化で、かなりツライ状態です・・・。説明が聞こえにくいのではないかと思いますが、ご了承ください。

視神経炎? 検査・診断 その4

MRI
目の表面の病気(まぶたや角膜など)や、目の内部の病気(白内障や網膜硝子体の病気)など、僕たち眼科医が目の中をのぞき込むことで、発見できる病気と違って、視神経炎などの、眼球より後方、脳に近い部分の病気は直接のぞき込むことができません。
視力検査や対光反射、視野検査などを行う事で、「視神経に病気があるに違いない。」とか、「脳のこのあたりに病気があるのかも。」なんていう、推測から診断をしなくていはいけないのですが、やはり推測ではなく、明らかにココが病気です。と確定できた方が良いに決まっています。
のぞき込めない体の中を、評価する方法としては、レントゲンとか、CT、エコーなどなど、いろいろとありますが、磁力を使った安全な検査としてMRIがあり、MRIで視神経炎を診断することができるのです。

撮影の条件や解析の仕方によって異なりますが、以下のMRI画像では炎症がある場所が白っぽく写っています。


頭の上方から撮影した画像です。赤矢印が病気の右眼。緑矢印が正常な左眼です。明らかに右眼の視神経の方が白く写っているかと思います。


これは、横方向から撮影した画像です。やはり、赤矢印が病気の右眼。緑矢印が正常な左眼です。


これは、正面方向からの撮影画像です。赤矢印の右眼の視神経の周囲に炎症が起こって、水が溜まり、白くリング状に写っています。

脳(多発性硬化症)や脊髄(視神経脊髄炎)にも炎症が合併するタイプでは、脳や脊髄にも病変が現れます。

MRI検査は、視神経に炎症が起こっていることを直接確かめることができる、視神経炎ではもっとも重要な検査の一つです。

実は以前は、細い視神経の小さな病変をMRIで発見することは、とても難しいことでした。「MRIを撮ったものの、病変は写らない。でも、視野検査などの結果からは視神経炎があやしいので、治療をしてみようか?」という事が多々あったものです。
1年半前に当院に導入された3テスラのMRIは、非常に精密に病変を抽出することが可能で、これになってからは視神経の炎症を評価することが、とても簡単で正確に行えるようになり助かっています。
(機械だけではく、撮影条件など、放射線技師さんの腕も重要です。いつもありがとうございます。)
通常のMRIでは病変が分からない。なんて場合でも、発見可能なものが多々あるかと思います。眼科の先生方で、困ることがあったら是非、同等機種などでも試してみてください。

当院の3テスラMRIについて⇒以前のブログ?その?

視神経炎? 検査・診断 その3

今日の午後は小美玉市医療センターで井上先生と、白内障や緑内障を8件、無事に終えました。
夜は県内の医院様で網膜剥離など硝子体手術3件のお手伝いをさせて頂きました。最近、行く先々の病院の手術数もどんどん増えている印象です。目の病気の人が増えているのでしょうか?

視神経炎? 検査・診断 その3

動的視野検査
見え方の評価としては、視力検査が最もポピュラーですが、見え方の評価としては別に視野という概念もあります。視野は物の見える範囲を指します。視力検査は視野の中心部のみ見えていれば答えることができますが、視野検査は広くどこまで見えているか、どの部位が見えていないかを検索する検査です。
以前に緑内障のブログで書いたことがあるのですが、視野検査には、静的視野検査と、動的視野検査があります。(←詳細はそれぞれをクリック)
視神経炎では、視野の全体像を測定する必要があり、一般的にはゴールドマン視野計を用いた動的視野検査が用いられます。


これは正常例での視野検査の結果です。赤い矢印の先が物を見る中心部。緑の矢印は、人間の構造上、生まれつき視野が欠けている部分でマリオット盲点です。


これは今回の患者様、初診時の視野検査の結果です。かなりの重症でしたので、視野の中心部を含めて、左下の方は全く見えていない状態です。右上の方に視野が残っていますが、周辺部の視野では、細かいものを視認することは困難で、視力は0.05まで低下しています。


これは視野の中心部とマリオット盲点がつながるように障害されている例。赤や青色で塗りつぶされている部分が見えないところです。視神経炎では、中心部やマリオット盲点付近の視野が侵されることがよくあります。


これは青矢印の先、中心部の周りに少し視野が欠ける場所があるだけの、軽症例です。中心部に問題がない場合には、視力値の低下は起こりません。

視神経炎を書き始めたものの、まだまだいろいろあります。
ゆっくりと進めてきたいと思います。