H26年3月の手術実績:茨城県 山王台病院 眼科

H26年3月の治療実績を集計しました。
宮井副院長と、スタッフの頑張りのおかげで、当院で治療をしてあげられる患者さんは順調に増えています。
(スタッフの皆は、いつもお昼休みもなくてごめんなさい。ありがとう。)
ただ、当初の予定と反して、治療数が増える一方で、新規の患者さんの手術申し込みも多くなり、まだまだ半年待ちの状態です。
後日記載したいと思いますが、4月から診療報酬改定があり、多くの病院では白内障手術を両眼一緒にすることができなくなります。わざわざ入院を2回に分けたり、白内障のためだけに2週間近く入院したり・・・。基本的に入院の白内障手術は患者さんの自己負担(支払額)が上昇します。
当院は今まで通り、2泊3日で両眼の白内障手術が施行可能ですので、これまでと同じ金額で治療が可能です。(今回の改定では日帰り手術は変更はありません。送り迎えが可能なら日帰り手術の方が安価です。)
不況なご時世、医療費を気にする方も少なくないと思いますので、当院はまだまだ順番待ちが長くなりそうな気もして・・・。ちょっと不安です。

H26年3月の手術実績
手術合計 203件
内訳

・白内障手術 137件

・網膜硝子体手術 19件(糖尿病・網膜剥離・眼底出血・黄斑円孔など)
・緑内障手術 12件
・結膜の手術 5件(翼状片など)
・眼瞼(まぶた)の手術 15件(霰粒腫・眼瞼下垂など)
・その他の手術 15件(瞳孔・角膜・涙器など)

レーザー手術合計 29眼
内訳
・網膜光凝固 9眼(糖尿病・眼底出血などに対するレーザー)
・YAGレーザー 18眼(後発白内障に対するレーザー)
・緑内障レーザー 2眼(SLTレーザー・虹彩光凝固:LI)
*手術数は基本的に保険診療で請求された件数です。両眼同時手術などは2件と計算しています。

抗VEGF薬 硝子体注射 57件(加齢黄斑変性症などに対する注射です。ルセンティス・アイリーア・アバスチンの合計)

ステロイド薬 テノン嚢注射 23件(糖尿病や網膜静脈閉塞症などでの黄斑浮腫などに対する注射です。マキュエイド・ケナコルト)

白内障などの緊急性のない手術の待ち時間は、6ヶ月待ち、10月からの予約となります。
明日も剥離だー。頑張ろう!

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 行方市 鉾田市 茨城町)

結膜の悪性腫瘍

今週は千葉県の開業医様が手術見学に来てくれました。
恥ずかしながら財布を忘れてしまい、夕食をご馳走になったのですが、
僕の知らない色々な話が聞けて良かったです。
主に白内障手術や、眼内レンズ交換の手術をみて頂いたのですが、
当院にいらっしゃる先生方は翼状片手術に興味を持って頂くことが多いようです。(→翼状片手術の詳細ブログ

翼状片の話題から、少し話しをすすめてブログを書いてみます。
結膜の悪性腫瘍
結膜(白目の粘膜)に何かができて受診される場合、そのほとんどが良性です。
当院では、瞼裂斑などの見た目の問題での手術は引き受けていないので、手術を行う大多数が翼状片になります。
←翼状片のサンプル

ただし、同じようなできものがあっても、自己判断で翼状片と決めつけてはいけません。

昨年当院で手術をした、高齢の女性の患者様です。
以前から翼状片で通院歴があったようですが、残念ながら翼状片ではありませんでした。扁平上皮癌(へんぺいじょうひがん)という悪性腫瘍でした。
命に係わる可能性があり、抗癌剤の希釈点眼薬で小さくさせた後に手術で切除をしています。現在も定期的に抗癌剤の点眼薬を使用していますが、幸い再発もなく安定しています。
術後経過


これは悪性リンパ腫といって、白血病の一種です。一部を切除し、顕微鏡で観察をして確定診断になります。治療は血液内科に紹介となりましたが、抗癌剤や、場合によっては放射線による治療が必要になります。早期発見で助かりましたが、やはり発見が遅れれば命に係わる病気です。

目にちょっとできものができても、あまり気にしない人もいるかもしれませんが、眼科でもたまには悪性(癌)が見つかることもあるのです。あまり自己診断をせずに、できものができた時は一度は専門家の診断を受けてくださいね。

眼科医って、あまり命にはかかわらないはずですが、なぜだか当院は悪性腫瘍の患者様がしばしば来院されます。今年に入ってだけで、脳腫瘍が3名も見つかったり・・・。

緑内障26 病状説明と治療継続

今週末は娘の誕生日で、オンコールを宮井副院長にお願いして、
ゆっくりと過ごさせて頂きました。

緑内障26 病状説明と治療継続
当院では、視野検査の結果や、病状説明書などを適宜渡すようにしています。
というのも、緑内障って、日本の失明の原因の第一位なのですが、その大きな原因として、治療の脱落者が非常に多いことがあるからです。
つまり、「出された薬を付けてくれない人」「途中で通院をやめてしまう人」がとっても多いのですよね。
多くの報告があり、良いもの悪いものがありますが、治療開始1年で20%から、ひどいものでは約半数50%の患者さんが脱落した。なんていう発表も耳にします。
・痛くもない。
・痒くもない。
・重症になるまで、本人は視野がかけているのがわからない。
・薬を付けても特に治るというものでもない。
・病院で「変わりない」といわれるけど、何のこと?
という病気なので、途中で治療が嫌になってしまう方がでるのも、理解できなくはありません。

そんな中で、最近ちょっと調べてみたら、当院は診断後の2年程度の期間で見ると、なんと98%の患者さんが通院を続けてくれているということが判明しました。とっても優秀な患者さんだらけのクリニックなのです!(開院後4年弱なので、まだまだ歴史は浅いですが・・・。)
暗点を自覚してもらったり、説明文を作ったり、重症で受診がしばらく途切れている人には電話で通院を促したり。しっかり管理のできる落ち着いている人はできるだけ、通院間隔を延ばして通院を楽にしたり。
こちらで工夫をしていることも多々ありますが、実際に頑張ってくれているのは患者さん自身です。本当にありがたいことです。

ただ、開院直後や、それ以前の病院勤務からお付きあい頂いている患者さんは、そろそろ僕の顔にも飽き飽きしているかな?通院が途切れてしまうのではないかな?と、たまに不安に思っています。
皆さんに渡している視野の結果ですが、単に眼圧の数字だけ書いてあるだけでは味気ないでしょうか?

最近、我が家では消しゴム判子というのが流行っていて、妻や子供たちが、せっせと消しゴムを削って、印鑑を作っているようです。

ちょっと覗いてみたら、結構上手な出来栄えです。
もしかして、眼科の作れる?と聞いてみると、

「栗メガネ判子」 なかなか良いのでは?


視野検査の結果の、矢印のところに押してみました。

「落ち着いています判子」 これを押す人だらけになったら最高です。
白黒の印刷物に色が入るだけで、少し華やかな印象にもなりますよね?
(ちなみに、お相撲さんの絵を入れてほしいとは頼んでいないのですが・・・。)

それにしても、通院継続率が本当に良好です。
これについては、10月の日本臨床眼科学会で発表してみることにしてみます。
宮井副院長には、当院の得意とする黄斑浮腫について発表してもらうことになりました。
1人体制の時は、忙しすぎて学会発表の機会がとりにくかったのですが、2人になって診療以外の分野でも頑張っていけそうです!

眼瞼腫瘍(まぶたのしゅよう) ? 手術その2

昨日は、つくば市で新しく開院した眼科様から網膜剥離の紹介がありました。
当院へは初めての紹介でしたが、早期のご紹介のおかげで、無事、黄斑が剥がれる前に手術ができました。経過もよく月曜日に退院可能と思います。早急な対応をありがとうございました。

今日の外来では、わざわざ横浜から「まぶたのできもの」の切除希望でいらした患者様がいらっしゃいました。簡単にキレイにできそうでしたので、そのまま切除をお引き受けできました。
ただ、ちょっと気になっていたことがあったので、途中になっていた「まぶたのしゅよう」のブログの続きを書いてみたいと思います。

眼瞼腫瘍(まぶたのしゅよう) ? 手術その2
眼瞼腫瘍?眼瞼腫瘍?手術方法にて、
腫瘍には良性腫瘍や、悪性腫瘍(癌)があること、
主に手術で、他には冷凍凝固や炭酸ガスレーザーで治療することがあることを記載しました。

ここで手術治療の基本ですが、
・できものが、良性腫瘍と思われる場合
⇒できるだけ、腫瘍のみを切除し、周囲の皮膚や正常組織を残すようにすることで、傷跡が目立たなくなるようにします。具体的には腫瘍から1mm未満の少しだけ外側にメスを入れます。
(腫瘍が良性であることが確実な場合は、腫瘍成分が多少残っても見た目を優先させる場合もあります。)
・できものが、悪性腫瘍(癌)と思われる場合
⇒悪性の程度にもよりますが、絶対に主要組織を残してはいけませんので、例えば腫瘍からさらに3mm程度外側を大きく切除します。そのために、傷口が多少大きくなっても、見栄えが悪くなっても仕方ありません。

僕たちは「第一に安全」を。そして、「次に見栄え」を考えて手術をします。
できる限りキレイに。という意思はもちろんあります。

涙嚢腫瘍摘出後に皮膚を3角形に切開後、反転させて縫ってみたり。

Trichoepitheliomaという良性腫瘍ですが、皮膚ギリギリで切除後、内眼角(目頭)に切開を入れて縫ったり。(中央写真は抜糸前)

良性のイボの仲間ですが、出血しやすい患者様でしたので、メスは使わず、炭酸ガスレーザーで薄く剥離したり。

老人性疣贅はメスでの切除ではなく、炭酸ガスレーザーで蒸散(焼いて組織を消滅させてしまう)させたり。

とにかく、できるだけキレイにしたいという思いはもっています。
それでも、「手術をすれば、必ず傷ができる」のです。

上の炭酸ガスレーザーの術前後の写真ですが、右の手術後の写真は、傷口が少し掘れているのがわかりますか?これは切除後翌日なので、数か月後にはもっと目立たなくなってはいますが、近づいてよーく観察すれば、わずかな傷は残ってしまうでしょう。

一重が美人か、二重が美人かは、その人の価値観によって異なります。
同じように、「どの程度の手術の傷を見栄えが悪いと感じるか?」
そして「まぶたに、どの程度のできものがあると見栄えが悪いか?」
というのも、人によって異なります。
ですので、できものがあるのが見栄えが悪いから手術をした時に、
もし、手術後の傷跡のほうが、より見栄えが悪い。なんてことになったら、
本末転倒ですよね??

患者さんから、非常によくあるご意見なのですが、
「できものが気になるから、今とっちゃってください。簡単なんでしょ?」
というものがあります。
例えば、少しくらい長く薬を使っても、きれいに治りそうな霰粒腫であれば、今は見栄えが悪くても、それは切らずに治すのがいいのではないでしょうか?と医師としては思うのです。

また、切除方法が異なるので、悪性か?良性か?、どんな腫瘍なのかを少し観察しながら調べたい。ということも多々あるのですが、それを患者さんに伝えると、
「とってくれないなら、別の病院にいくよ。」なんてお叱りを受けることもあったり・・・。医療と、患者さんの満足度って、なかなか難しいものです。

できものは、「なんでも取ればいい。というものではない」のです。
医師が様子をみようという時は、それなりに理由があるのかな?とご理解くださいね。

手術数でわかるいい病院 2014

眼科の中で、どの手術が一番難しいですか?
というのは、正式には何とも言えないのですが、
失明する・しないという観点や、細かい操作。という意味では、
網膜硝子体手術という手術を選ぶ医師が多いようです。
(網膜剥離や、糖尿病網膜症、眼底出血、黄斑前膜などの手術です。)

週刊朝日MOOK 朝日新聞出版・2014年2月28日発行の、
「手術数でわかるいい病院 2014」という本で、
眼科手術を行う、ほとんどの医院での網膜硝子体手術件数が掲載されました。

2012年、一昨年の保険診療データですが、当院は206件でした。
茨城県内で100件以上の網膜手術件数があったのは、多い順に、
?小沢眼科様
?筑波大学様
?阿見 東京医大様
?当院
の、4医院のみのようです。
開院翌年2年目のデータで、当時は一人で全ての手術を担当しておりましたが、
今年は宮井副院長も増え、手術数もかなり多くなりそうなので、
多少順番も変わるのかなと。

手術が多いほど優秀というわけではありませんが、
件数が多く、手術に慣れているのは、悪いことではありません。
こういう本がいいか悪いかは別にして、
患者様が治療医院を選ぶのに、一つの参考にはなるのかなと思います。
医師としては、どんなに件数が多くなっても、一つ一つ思い入れを持って
誠心誠意、対応しなくてはいけないなと再確認しました。