今日は緑内障治療の歴史の分岐点になるかもしれない新しい話題を。
日本初導入!!
CYCLO G6 レーザー①
新型毛様体凝固術
先日、房水の産生量を減少させることで眼圧を下げるという、毛様体凝固術についてのブログを記載しましたが、これは合併症として炎症が強くでたり、最悪の場合、房水を作る機能が消失し眼球が小さくなってしまう眼球勞という状態になるというリスクと隣り合わせの治療でした。
CYCLO G6は、iridex社が開発した新型のレーザー緑内障治療機器で、房水の産生を抑制したり、明確な原因は分かっていませんが、ぶどう膜流出路から房水の排出を亢進させることで眼圧を低下させることができると考えられています。緑内障手術に抵抗する(手術後経過も高眼圧)症例に対した成績として、主だったいくつかの論文を要約すると、眼圧30%以上の低下、または眼圧の正常化(20mmHg以下)を得られる可能性が70~80%で得られるという、とんでもない成績を誇る画期的な治療機器です。(30%以下の眼圧下降も含めると、基本的には治療によってほぼ100%で少なからず眼圧が低下します。)
しかも欧米では最長7年間の観察をしたも研究もありますが、眼球勞などの重篤な合併症の発生が世界中で未だかつて1例もないという、安全性に関しても非常の安心できる機器です。(低眼圧になりにくいという安全性の高さから、現在、世界中で眼圧が低めの症例に関しても治療の適応が広がってきています。)
日本での国内使用の承認直後に当院でもデモ使用(レンタルして試す)を行いましたが、8眼の治療を行い、大きな合併症はゼロ、眼圧下降は平均で28mmHgから19mmHgと32%以上の眼圧下降を得ることができました。
そして昨日12月7日、CYCLO G6が当院に日本で初導入されました!!
導入直後に新生血管緑内障で紹介、緊急入院した患者様がいらっしゃり、さっそく夜間に治療を行いましたが、術前眼圧55mmHgから治療翌日には25mmHgと、我々もビックリするほどの治療効果を得られています。
正規導入後、国内第一例目に治療を受けた患者様から治療動画のUPを許可頂きましたので掲載してみます。(僕の音声付きで恥ずかしいですが・・・。)
CLCLO G6 治療動画 (クリック)
もちろん治療効果には個人差がありますし、日本人での長期安全性の評価、治療条件の調整(レーザーの照射方法、エネルギー量や治療時間、麻酔方法)などが必要ですが、それも含めて、もし将来的に低眼圧の症例にも適応が広がっていくのであれば、これは緑内障治療の世界が激変してしまう可能性がある治療です!!
まずは高眼圧での治療から開始しています。緑内障治療を数多くこなす大学病院では間違いなく必要とされ、数年で国内の多数施設に導入されると予想されますが、現状では治療施設が限られます。 本来、当院は遠方からの患者様の治療を極力お断りしていますが、失明リスクの高い高眼圧緑内障の患者様は、安全性の高い、この治療に限り緊急レスキューの意味で全国からの治療を引き受けます。
眼科の先生方も難治例、術後高眼圧例、仕方ないとあきらめる前にご紹介下さい。