茨城県民の日

今日、11月13日は、茨城県民の日のようです。
廃藩置県で、初めて、茨城県という名前が使われたことに由来するとのこと。
県内の学校はほとんどお休みです。
医療機関は特に関係なく、通常通り診療を行いますが、
学校が休みだからか、お子さんの視力低下での受診が沢山ありました。
「春に学校の視力検査で引っかかった」とか。
問題なかったのでよかったですが、もう少し早く受診しましょうね。

うちの子供の幼稚園もお休みですが、パパは普通に勤務なので、妻のじいじと、ばあばが、どこかに連れ出してくれました。いつもありがとうございます。
県民の日、子供だけが休みな感じがしますが、核家族が増えた今は、いろいろと大変なご家庭も多いだろうなと。

午後は、県内の医院様で手術をさせて頂きました。
最近はどこにお手伝いに行っても、十数件とか沢山の手術があります。
今日の医院様も手術の順番待ちが来年の2月のよう。
うちはとうとう4月に・・・。
目の病気の人って、本当に沢山います。眼科医が少ないのかな?

県民の日について、紹介などを書こうと思いましたが、ネタが浮かびませんでした・・・。

翼状片手術? 遊離弁移植

今日のお昼は以下の手術を行いました。
・眼瞼下垂症手術 1件(皮膚切除+挙筋タッキング)
・翼状片手術 1件(遊離弁移植)
・白内障手術 7件
無事におわりました。

翼状片手術
翼状片は、白目の方から黒目(角膜)の方へ、腫瘍性の病変がのびてきて、角膜を覆ってしまう病気です。(⇒翼状片)多くは黒目の内側、目頭側にできます。
現在の医学では、治療法は手術しかなく、手術で出来物を切除します。
手術をするかしないかは、出来物の大きさや、増悪傾向(大きくなっているかどうか)で判断します。担当医の先生とよく相談しましょう。

今日の患者様は、70代の女性で、かなり大きな翼状片です。瞳孔(黒目の中心部)に病変がかかってしまいます。(本当はもっともっと早くに手術をしてほしいのですが・・・。)

手術では、まず仰向けに寝て、麻酔の目薬をして消毒を行います。
僕たちは患者様の頭側に座るので、手術の写真は上下左右が反対になります。
(当院は手術中の眩しさを減らすために、照明を最小限で行っています。写真が暗くなってしまいますがご了承ください。)


まず、翼状片の本体に、麻酔の注射をして、プックリと膨らませます。
(麻酔には出血を抑制する作用のある成分が混ざっています。)


次に、もう一か所、黒目の上側(写真では下側)に麻酔をします。ここは、あとで移植をするための、キレイな粘膜をもらう場所です。


翼状片を覆う正常な粘膜(結膜)の一部を切開します。

イメージだとこんな感じ。赤が翼状片の病変、黄色が正常な結膜です。


次に、黒目(角膜)を覆っている病変(翼状片頭部)を、ピンセットで引っ張って剥ぎ取ります。少し残った組織も、ナイフを使って削ぎ落とします。


奥の方へと続く病変(翼状片体部)を、引っ張り出すようにできるだけ切除をします。


病変の多くが除去され、キレイになりました。
ピンク矢印の先は内直筋という眼球を動かす筋肉です。実は、病変(翼状片体部)はもっと奥の方まで続いているのですが、あまり頑張って、出来物をとろうとしすると、誤って内直筋を傷つけてしまう可能性があります。翼状片は全ての組織を取り除くことは不可能で、安全に取れる部分だけ切除をします。


奥の方に残った病気が、また大きくなって黒目の方に伸びてくると、再発となります。年齢や性別、病気の大きさなどから、再発率が高そうな場合には、マイトマイシンと呼ばれる再発予防剤(抗癌薬)をしみこませたスポンジ(水色矢印)を、1分?3分程度、接触させます。

病変を除去した部分は、粘膜がなくなり、白目(強膜)が剥き出しの状態となってしまいます。強膜が剥き出しだと、バイキンによる感染が起こりやすくなったり、強膜を覆うために、翼状片が再発しやすくなったりするので、剥き出しになった白目(強膜)を、キレイな粘膜で覆う必要があります。(結膜弁移植

結膜弁移植には、
・周りの粘膜を引き寄せて縫い縮める方法(有茎弁移植)や、
・離れた粘膜を持ってきて貼りつけたり、縫いつける方法(遊離弁移植
があります。
当院では、術後の見た目のキレイさや、再発率の低下を目標として、主に遊離弁での手術を行っています。


黒目の上側の粘膜は、まぶたに覆われているために、何歳になってもキレイな粘膜が残っています。また、上方の結膜は、切除後に粘膜が再生するまでの時間も、まぶたに覆われており、バイキンによる感染が起こりにくいという利点があります。
緑矢印の部分の結膜をハサミで切開しています。


切除した結膜(遊離弁)です。これを写真右側の翼状片切除部(白いところ)に移植します。


剥き出しになっていた病変部に、糊で貼り付けをして、手術終了です。

だいたい局所麻酔で10分?15分程度。
今回の患者様は、少し大き目で15分かかりました。再発例では出血が多く、もっと長くなることもあります。
通常は日帰り手術で行う手術ですが、今回は、反対目の手術(白内障)も同時に行ったため入院となりました。
手術の費用は3割負担で15000円程度、1割だと5000円程度です。

翼状片をお持ちの方へ。
できれば、あんまり大きくなる前に手術をさせてくださいね。

サザコーヒー:ひたちなか市

昨日手術の患者様も良好のようで、今日は落ち着いた日曜日です。
子供の習い事の発表会に出かけたりしました。

日曜日のブログは、石岡や茨城の紹介をしています。
先日伺ったお店のことを書いてみます。
サザコーヒー本店
茨城にいると、ちょっとおしゃれなレストランとかで、サザコーヒーというのを目にする事があります。都内で食事をする時にもたまに。
気にはなっていたのですが、先日、茨城を紹介する雑誌に「茨城を代表するコーヒー店」として、サザコーヒー本店が紹介されていました。
石岡からはちょっと遠いのですが、子供たちと県北にいく予定があったので、帰りにちょっと寄ってみました。


入口からおしゃれな感じがします。

中に入ると、コーヒー関連の雑貨がいっぱいです。


店内は結構広くて、週末のお昼すぎでしたが、お客さんでいっぱいでした。
奥の方には、変な??仮面のオブジェがいっぱいありましたが、写真を撮り忘れました。


テラス席に座らせて頂きましたが、キレイな中庭で、オリーブってこんなに大きくなるの?とか思いながら、静かに過ごしました。こういう素敵な庭をみると、我が家もただの芝生ではなくて、木がいっぱいの庭にしちゃおうか?と、迷ってしまいます。


シチューの豚肉がとっても柔らかい!

絵の書いてあるカプチーノを飲むのは、実は生まれて初めての経験でした!

ケーキも美味しかったです。(僕は栗原という名前だからか、ケーキと言えばいっつもモンブランです。)

他に、サザブレンドというコーヒーを飲みましたが、いつも病院で飲んでいる「ブルックス」のドリップバックコーヒーと比べると、少し濃い印象で、その割に苦みとか酸味が少ないような??
美味しいコーヒーってこんな感じなのかな??コーヒー目当てでくるお客さんが沢山いるので、きっと美味しいコーヒーなのでしょう。
コーヒーの味に詳しくない僕には、どういうものが良いコーヒーなのかが不明で、なんとも評価しにくいです・・・。ブルーマウンテンとかキリマンジャロとか、飲んだだけで分かる人もいるのでしょうね。

自分にはコーヒーの判別ができないことを悟った日でしたが、お店の雰囲気はとっても良かったです。こういうお店が似合う、ダンディーな大人になりたいな。

心構え

今日は土曜日ですが、午後に少し急いだ方がいい重症例・難症例の手術を行いました。
・白内障手術 5件
・網膜硝子体手術 3件(茎離断1件、増殖2件)
問題なくできました。



白内障手術の写真ですが、この方は、ぶどう膜炎・角膜内皮炎後の患者様で、水泡性角膜症(角膜内皮400弱)の状態です。黒目(角膜)が濁っている状態で、目の中に入れた機械もボヤけて良く見えません。水晶体の濁り(白内障)も殆ど見えない状態です。手探り状態での手術は危険度が高いのですが、心の目?、何度も何度も重ねてきた手術の経験で、「このあたりに濁りがあるはず」というイメージを描きながら手術をします。
10分程度と、少し時間は長めでしたが、無事に通常の手術(PEA+IOL)ができました!
(この患者様は、角膜移植をしないと視力は回復しません。今回は成熟白内障による眼圧上昇が起こってしまい、緊急性の問題から、まず白内障を除去して、安全に角膜移植の待機をすることが手術の目的です。)


これは30代の増殖糖尿病の患者様。既に視力は0.1しかありません。
両手を使って、カサブタをキレイに除去することができました。視力の回復は困難ですが、失明は避けられたかと思います。

なんと、同じ人の反対目。こっちもカサブタだらけ・・・。手術自体は満足いく結果ですが、明日以降の観察が重要です。

上記の患者様たちの手術は、超重症・難症例ですが、昨日から「明日の手術は頑張るぞ!!」とイメージトレーニングをしたり、朝にはゲンを担いでみたり??
難しい手術の前は、なんとなく気持ちが戦闘態勢になります。

ただ、今日は一件、とっても疲れる手術が・・・。
硝子体出血という、目の中が真っ赤に出血し、物が見えなくなる病気があります。以前のブログでも書いたのですが、出血をした原因によって、治療や予後が様々です。
今回は、50代の男性で、総合病院様からの紹介。視力は明るい・暗いが分かる程度に低下しています。実は、以前に左目の糖尿病網膜症で手術をした病歴があるものの、その後の定期健診をサボってしまったようです。今回出血した右目も、同様に糖尿病が原因では?とのことで、紹介となったのですが、
本日、手術で出血を除去していみると、糖尿病網膜症はほとんどなく、網膜剥離という病気が出血の原因であることが判明しました・・・。

矢印の先に網膜の断裂部です。かなり大きな断裂の、重症の網膜剥離です。
糖尿病のちょっとした出血で、簡単に洗浄して終わり?と予想して、手術の時間も30分位を予定していたのですが、途中で網膜剥離が原因であることが判明し、時間も50分ちょっとに延長。術後もうつ伏せが必要になってしまいました。
幸い、視力があまりに悪く、患者様も早期の手術を希望されたので、視野の中心部の網膜は保たれ、視力もまずまず回復するものと思います。

予想外に難しかったり重症であることが、手術中に急に判明すると、こちらの心構えができておらず、少しあたふた、気持ちが揺らぎます。
しかも、今日の手術の中では、一番簡単な症例だと思っていた症例で、手術の順番を1番目としていたため、その後の手術の時間も少し遅れ気味になったり・・・。

いつでも、どんな病態に出会っても、ポーカーフェイスで、涼しく乗り切れるような、強いハートを持てるようになりたいと思った一日でした。頑張るぞ!

眼球破裂:一次縫合

今日は以下の手術を行いました。
・白内障手術 13件
・緑内障手術(エクスプレスシャント)1件
・網膜硝子体手術 2件(茎離断1・切除1)
・強角膜縫合 1件(破裂一次縫合)
最後に1件、緊急手術がありましたが、定時に終えられました。

今日の緊急手術からひとつ話題を。
眼球破裂:一次縫合
60代の女性、昨日転んでしまい、左目をぶつけてしまったようです。
水戸市の総合病院様を受診し、午前中に紹介となりました。
視力は光覚弁(-)、とりあえずですが、明るい暗いも分からない、失明の状態です・・・。(手術後に光を取り戻せるといいのですが)

黒目(角膜)の内側が真っ赤で、出血がひどくて、眼内の状態は不明です。
白目(結膜・強膜)も真っ赤で、結膜下出血と呼ばれる状態です。(結膜下出血のブログ
単に目の中で出血しているだけなら、様子をみるだけで勝手に止血されて、キレイになっていく場合もあります。出血が止まらなくても、最終的に手術で洗えばキレイになります。
ところが、よーく診察してみると、反対の目に比べて、少し目が柔らかいようです(眼圧が低い)。
そんな時は、眼球破裂といって、目玉がパンクしてしまって、中身が漏れ出てしまった分、眼球が柔らかく(眼圧が低く)なっている可能性があります。

眼球破裂を疑って、頭部のCT検査をしてみると、

写真左側が右の眼球ですが、右の眼球はキレイな状態です。赤矢印の先は、白内障術後の眼内レンズです。
写真右側が左目の眼球ですが、右に比べて、内部の色が不均一なのが分かりますか?緑矢印の先の濃い白は、濃厚な出血の塊です。水色矢印の先の真っ黒は、空気になります。⇒残念ながら、眼球破裂が確定です[:悲しい:]
(CT検査では、破裂の有無だけでなく、眼内にガラスや、石の欠片など、異物が見つかることもあります。素手で殴られたとか、明らかに異物がないと言い切れる場合を除き、必須の検査です。)

一次縫合
眼球破裂は、眼科で扱う外傷のうち、最も重篤なものです。
多くの場合で、目の中身が外に出てしまったりします。目の中の何が、どのくらい出てしまったかによって、予後は様々ですが、完全に元通り。なんてことはあり得ません。むしろ、ある程度以上の網膜が破れたり、外に出てしまったりしている場合には、失明することのほうが余程多いのです。

目の中身の殆どがなくなっている場合や、破裂のキズが複雑で、眼球の形状を保てない場合などには、眼球内用除去術という眼球の中身を摘出するような手術をして、義眼の装用を勧める場合もあります。

白内障などの通常の手術では、手術の前に、どういう手術を行って、どんな結果が予想される。という事を説明してから手術を決定します。ただし、眼球破裂では多くの場合で、「手術をやってみて、キズの状態をみてから、良いと思う方法をとりますね。」という説明を行います。(もちろん、最悪の場合は眼球内用除去+義眼とか、一次縫合のみとか、硝子体手術も行うなどの、複数の可能性を説明はしておきます。)


手術室で、消毒を終えた状態です。眼球内は真っ赤ですが、軽く触るとペコペコに柔らかい状態です。どこかにキズ(穴)があって、中身が漏れているようです。


ハサミで結膜を切って、白目(強膜)のどこかに、穴がないか探していきます。
ここにはないようですね。(写真左上の白目はキレイなようです。)


あった!キズがありましたよ。
写真で黒目(角膜)の下方に、緑矢印から緑矢印まで、長ーいキズがありました。5,6年前に白内障手術を受けていたとのことですが、その時のキズがパックリと開いてしまったようです。
(あとあと聞いたら、以前に知り合いの先輩医師に白内障手術をして頂いたようです。先輩すみません。残念ながら、眼内レンズは目の外に飛び出てしまっているようです・・・。)
眼球破裂で、キズ口を探す場合に、昔うけた白内障手術のキズ口が開いて、中身が出てしまうことは、比較的多いようです。(眼球破裂をする人は、非常にまれですので、白内障手術を怖がる必要はありません。)


中の水などが漏れなくなるまで、キズ口を糸でしっかりと縫っていきます。


黒目(角膜)のすぐ裏側にべったりとついた血の塊を除去しています。
出血を洗い流して、網膜剥離などが確認されれば、それも治さなくてはいけません。(出血している状態では、目の中をのぞくことができないため、網膜剥離などが起こっているかを正確に判断することはできません。)

ところが、この患者様、もともと心臓の病気があり、ワーファリンという、血液をサラサラにして、血が固まりにくくなる強いお薬を飲んでいるようです。
少し眼内の洗浄をしてみましたが、血が止まる気配がありません
こんな時は、潔く撤退です[:GO!:]
今日はきっぱりと撤退し、30分ちょっとの手術で終了です。

血みどろの状態で手術をしても、成功率や安全性が低下します
また、眼球後方の硝子体手術は、目の中に水を循環させながら行うのですが、破裂のキズ口を縫ったとは言っても、しっかりとくっついているわけではないので、循環させる水が漏れ出たりして、やはり安全性が低下します。

眼球破裂の緊急手術では、安全性が低いと思ったら、まずはキズ口を縫って止めるだけ。
これを、一次縫合といいます。
(もちろん、安全に手術が出来ると思える場合には、その場で出来る限りの手術を進めていきます。)
数日から2週間程度で、出血やキズの状態が落ち着いたところで、網膜の手術2次手術を行う事を考えていきます。

といっても、この患者様が、今後、どんな手術を行う事なるかは、まだまだ未定です。数日後に血が止まって、詳しく検査が可能になったら、網膜の大部分が失われていた。なんていうことが見つかる場合もあり、そんな場合には、今回の一回の手術で終了で、視力や追加の手術を諦めて頂くこともあります。
逆に、追加の硝子体手術で、シリコンオイルを入れて(2次)、数ヵ月後にシリコンオイルを抜いて(3次)。眼球破裂では、後から水泡性角膜症という病態を伴う事もあり、最終的に角膜移植(4次)をして。少しの視力を残すために、何度も何度も手術を重ねる場合もあります。

まずは数日間、入院して頂いて、経過を見守りたいと思います。
少しでも明るさが残るといいのですが。

予習

今日の外来は午前中だけで78名と、かなり混雑しました。
13時から小美玉で白内障10件、夕方から他院様で硝子体手術3件のお手伝い。
遅刻をしないように。と頑張りますが、移動の車で事故を起こさないように気をつけなくては[:車:]

予習
一昨年の開院以来、ずっと続けていることがあります。
それは、翌日受診予約の患者様のカルテを、前日に予習することです。
「明日はどうしようか?こうなってたら、ああしよう。こうだったらあれにしよう。」なんてことを、カルテにメモしています。

残念ながら僕は天才ではないので、全員の患者様の名前・お顔・視力・病状を暗記することはできません。
なので、予約外の患者様の場合には、「こんにちは。ちょっとお待ちください。」と挨拶をして、「ええっと、この方は何の病気だっけ??」と考えながら、以前のカルテをパラパラ見直します。
予習さえしておけば、僕の頭でも丸1日くらいは、だいたいの内容を覚えておくことができるので、診察室に入った瞬間、「手術後半年経ちましたが、如何ですか?」「この間の目薬はどうでしたか?」なんて言うことが可能になります。カルテを見返す時間が無くてすむので、診療の待ち時間の削減にもつながっているかと。

半日で78名の患者を診察すると、どうしてもお一人お一人との時間が短めになってしまうのですが、少しでも濃度の濃い時間でご満足頂けるように、予習を続けていきたいと思います。
ちょっと自慢ですが、なんと、この2年半、予習をサボった日は一日もないのです!(夜にお酒を飲んで、翌日の早朝に二日酔いで点滴をしながら、予習をしたことは何度かありますが、それでも外来の前に間に合わせました。)
これからも頑張ろう[:グッド:]

今日は、来年から入職してくれるかも?しれない、ORT(視能訓練士)さん2名が見学に来てくれました。時間がなく、挨拶もできませんでしたが、せっかく来てくれたのに本当にごめんなさい[:しょんぼり:]
質問があれば、お電話下さいね。

加齢黄斑変性症? 検査:アムスラーチャート

なかなかブログの時間が取れずに、更新が滞ってしまいました。
少しづつ進めていきます。
今日のお昼は、白内障手術を8件。無事に終わりました。

加齢黄斑変性症?
検査:アムスラーチャート

黄斑変性症では、視野の中心部の見え方が悪くなりますが、
症状としては、中心部の見え方が、
・ゆがんで見える
・中心が暗く見える
・ぼやけて見える
・不鮮明になる
 などが起こります。
ただし、これらの症状は、片方の目だけが病気の場合、両眼で物を見ている時には自覚症状に気がつきにくい。という特徴があります。
ですので、病状を実感したり、悪化していないかを調べたり、自分に病気が無いかを調べたりするのは、片目をつぶって検査をする必要があります。

黄斑変性症では、眼底検査やOCT検査など、病院で行う検査が重要なのはもちろんですが、自宅で自分で病状をチェックする場合に役に立つのが、アムスラーチャートです。

ちょっと専門的な名前ですが、実際にはただの方眼紙です。
通常は各直線がまっすぐに交差して見えますが、黄斑変性症では以下のサンプルのように、ゆがんだり、暗く見えたりします。

みなさんは、問題なく、線がまっすぐ見えますか?
線がゆがんだりする病気は、黄斑前膜や、糖尿病や静脈閉塞症に合併する黄斑浮腫など、黄斑変性症以外の病気もありますが、どれも早めの治療が望ましい病気です。片方の目をつぶって、片目づつチェックをして、もし異常を感じたら、明日すぐに眼科にかかりましょう。

当院でfollowを受ける人には、できるだけアムスラーチャートを渡して、
病状に応じて、「冷蔵庫に貼っておいて、一ヶ月に1回はチェックして。」「一週間に1回はチェックして。」などとお願いしていますが、もしも、見えかたに悪化が起こった場合には、再診の予約日の前でも、出来るだけ早く受診するようにお願い致します。
(僕は患者様についつい、冷蔵庫に貼って。と説明してしまうのですが、冷蔵庫にプリントとかを貼るのって、一般的ですかね?僕の実家では、いろいろな物が冷蔵庫に貼ってあったのですが・・・。)

H24年10月の手術実績:茨城県 山王台病院 眼科

最近は少し忙しく、ブログの更新が止まっています[:しょんぼり:]
コメントでご指摘頂きましたが、手術の順番待ちが長くなり、ご迷惑をおかけしています。昨日は小美玉市医療センターでも12件の白内障を行ったり、頑張ってはいるつもりですが、なかなかご期待に追いつきません。春に増改築や、診療スケジュールなどの変更が予定されていますので、いい案を考えたいと思います。

10月の治療実績を集計しました。
H24年10月の手術実績
手術合計 165件
内訳

・白内障手術 116件

・網膜硝子体手術 20件(糖尿病・網膜剥離・眼底出血・黄斑円孔など)
・緑内障手術 3件
・眼瞼(まぶた)の手術 13件(眼瞼下垂・さかさまつげ・霰粒腫)
・涙器の手術 5件(NSチューブ・涙嚢切開など)
・結膜の手術 3件(翼状片・結膜縫合)
・その他の手術 5件(斜視・瞳孔形成・角膜形成など)

レーザー手術合計 20眼
内訳
・網膜光凝固 10眼(糖尿病・眼底出血などに対するレーザー)
・YAGレーザー 10眼(後発白内障に対するレーザー)

*手術数は、分院である小美玉市医療センターとの合計数です。手術数は基本的に保険診療で請求された件数です。両眼同時手術などは2件と計算しています。 白内障の手術時に、逆さまつ毛や眼瞼下垂の手術を追加で行っておりますが、それらはカウントしておりません。

抗VEGF薬 硝子体注射 51件(加齢黄斑変性症などに対する注射です。ルセンティス・マクジェン・アバスチンの合計)

ステロイド薬 テノン嚢注射 27件(糖尿病や網膜静脈閉塞症などでの黄斑浮腫などに対する注射です。トリアムシノロン)

白内障などの緊急性のない手術の待ち時間は、4ヶ月半待ち、3月中旬からの予約となります。

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 行方市 鉾田市 茨城町)

加齢黄斑変性症? 検査:OCT・光干渉断層計

今日の午後は以下の手術を行いました。
・白内障手術 14件
・網膜硝子体手術 5件(茎離断4件、硝子体切除1件)
(糖尿病網膜症・硝子体出血2件、黄斑前膜2件、硝子体混濁1件)
今日はちょっと疲れましたが、みなさん無事に終わりました。

加齢黄斑変性症? 光干渉断層計
OCT(optical coherence tomography)

前回も記載しましたが、黄斑変性症のうち、特に悪性のものが滲出型黄斑変性症になります。滲出型の変性では、黄斑部の網膜に新生血管という「弱い血管」が形成され、そこから水分や血液が漏れ出して貯留します。
この新生血管からの漏れ出しを見つけるのが、前回記載した蛍光眼底造影検査ですが、造影検査以外にも滲出性の病態を評価するのに重要な検査があり、それがOCT・光干渉断層計になります。
OCTは、眼底カメラと異なり、網膜の断面図を撮影する事が出来る検査機械です。

OCTに関しては、以前に書いたブログもご参照ください。


これは、正常な方のOCT画像です。網膜は中心の黄斑の部分だけが少し凹んで、なだらかなカーブを描きます。網膜は実は1枚の膜ではなく、細かく分けると10層に分かれた構造を撮っています。よーく見ると、地層の断面図のように、直線が重なって形成されているのが分かるでしょうか?



この2つは、網膜が萎縮してしまい、黄斑部の細胞が少なくなっている例です。全体として網膜が薄くなっています。網膜の層構造も乱れて、線がグネグネ曲がっているのが分かりますか?
このような状態を非滲出型変性、または萎縮型変性と呼びます。

次は、当院で治療中の滲出型変性(悪性)の患者様たちのOCT画像です。

性状や萎縮型に比べて、網膜の厚みが厚くなっているのが分かるでしょうか?
黒く抜けて見える部分は、網膜の中に貯留した水分を示しています。滲出型の黄斑変性では、新生血管から漏れ出た出血や水分によって、網膜が厚く膨らんだ状態となります。

黄斑変性症でのOCT検査では、簡単に書くと、
・網膜が薄く、ペッタンコ⇒非滲出型・萎縮型変性。
落ち着いた病態で進行はゆっくり。治療の必要なし。

・網膜が厚く膨らんでいる⇒滲出型変性。
急に進行したり失明することも。治療を考える。

(一般の方に分かりやすい内容で記載しています。実際には、新生血管の状態など、OCT画像から様々な情報を検討します。)

蛍光眼底造影検査では、非常に稀ですが、アレルギーによってショックを起こるなどの合併症のリスクがあります。一方、OCT検査は副作用が全くないことが利点となります。また、造影検査はとても眩しくて、約10分の撮影時間がかかるのに比べて、OCTの検査は数秒で撮影ができてしまうのも利点になります。

実際の診療では、OCT画像や、造影検査、眼底の診察所見などの結果を組み合わせて、診断をしたり、治療法を考えたりしています。

今日もお読み頂き、ありがとうございました。

加齢黄斑変性症? 検査:蛍光眼底造影検査

今日のお昼は以下の手術を行いました。
・眼瞼腫瘍切除 2件
・翼状片手術 1件
・白内障手術 6件
みなさん無事に終わりました。

加齢黄斑変性症? 
検査:蛍光眼底造影検査

加齢などによって黄斑部の性状が変わってしまう病気が、黄斑変性症。
ひと言で「性状の変化」と言っても、いろいろなタイプがあるのですが、網膜に水がたまったり、出血をきたす病態を、滲出型黄斑変性症と呼ぶことを、黄斑変性症?で記載をしました。
滲出型黄斑変性症では、黄斑部の網膜に新生血管(しんせいけっかん)と呼ばれる、「弱い血管」が形成され、そこから水分や血液が漏れ出して貯留してしまうのです。

前回?で、診察や眼底カメラで、黄斑の状態を観察することを記載したのですが、眼底カメラでは、出血をしたり、水分が漏れ出したという結果は分かっても、「どこから・どのように・どんな程度で」、水が漏れ出しているのか?出血をしているのか?ということは、正確には評価ができません。
こんな時に役立つのが、蛍光眼底造影検査になります。

まず、フルオレセインや、インドシアニングリーンという造影剤と呼ばれる薬を、腕などから点滴で血管の中に流します。
血流に乗って、眼内の血管の中を流れた造影剤は、眼底カメラの光に反射をして、血管が白く写つります。これを連続して撮影することで、眼内の血液の流れを把握することができます。
造影剤は正常な丈夫な血管からは漏れ出ることはありません。ところが、新生血管と呼ばれる弱い血管がある場合には、そこから造影剤が漏れ出してきてしまうのです。



当院で治療をしている、黄斑変性症の患者様たちのサンプルです。
左が通常の眼底写真です。黄斑部に病気があるのは分かっても、血管からの漏れ出し(滲出性病変)があるのかは不明です。
中央の写真は、造影剤を流して、数十秒後に撮影した蛍光眼底造影の結果です。そして、右の写真は、さらに数分経過したあとに撮影したものです。

上の3症例のように、滲出型黄斑変性症で、新生血管がある場合には、新生血管から造影剤が漏れ出て、病変部に溜まった造影剤が白く写ります。出血をしやすい悪性度の高い弱い血管ほど、漏れ出しが大きく、時間がたつごとに病変部がどんどん白くうつるようになります。

蛍光眼底造影検査は、黄斑変性症の確定診断時や、治療によって病気がどの程度良くなっているのか?完治しているのか?再発がないか?などの判定を行う場合にも使用されます。

とても重要な検査なのですが、造影剤にアレルギーを持っている人が検査を受けると、吐き気や蕁麻疹が生じることがあったり、非常に稀ですが、重症例ではショックと言って命にかかわる重大な副作用が起こることがありえます。(当院では造影検査を行う時には、近くに人工呼吸を行うためのマスクや薬剤などを常備し、すぐに内科や外科の医師の協力が得られるようにしています。)
ですので、症例によっては、造影剤の検査を行わなくても、明らかに黄斑変性症の確定診断が出来る場合や、治療法を迷う必要がない場合には、造影検査を省いてしまうケースもあります。

今日も最後までお読み頂き、ありがとうございました。
明日も友人の先生の医院で硝子体手術のお手伝い。夜は小児眼科の偉い先生と食事をさせてもらえることになりました。最近、小児で悩む症例が多かったのですが、よく勉強をしてきます。
なかなかブログの更新が進みませんが、実際の診療も大事なので。