竹馬形成術

今日は日曜日ですが、患者さん(長女)に依頼されて、新しい術式に挑んでみました。幼稚園で流行っているのかな??

竹馬形成術
?近所のホームセンター(カインズホーム)で、細めの丸太を2本、薄い板(10mmx45mmx900mmくらい)1枚、麻のロープ、ボルト・ナットなどを買ってきます。

合計650円。

?丸太は患者さんの身長合わせて、少し切断し、電動ドリルで穴を開けます。

穴にボルトを通して、ナットで止めます。
(足をのせる板がズレにくくなるかと思ってつけてみました。正式に竹を使うと節があって、節の引っかかりでズレにくくするようですが、今の時期に竹を取りに山に行くのは蚊に刺されそうで・・・。)

?薄い板、ラワン材を買ったのですが、それを4等分にのこぎりで切って、丸太に、麻のロープで縛りつけました。


初めての術式でしたが、成功のようです。シックな竹馬ができました。

今晩は知り合いの家族と、家でバーベキューの予定です。
きっと子供たちで取り合いになるほど、大人気の竹馬になるかな?と期待大[:嬉しい:]

パン工房 ぶれっど

今日は土曜日でしたが、1?2週間前から、早めの手術が望ましい患者様が沢山になったので、午後から手術に。午前中に網膜剥離も来たので、そちらも一緒に。

上方の剥離ですが、黄斑が剥がれる前に対応できました[:グッド:]

週末なので、石岡市の紹介を。
パン工房 ぶれっどさん
八郷方面、柿岡にあるパン屋さんです。


緑がいっぱい。テラスやウッドデッキなど、いつも我が家の庭で真似したい(できるものなら)と思う素敵な外観です。

沢山のパンがあるのですが、一番人気という「幻のクリームパン」は、パンの皮だけが売っていて、レジに持っていくと、あとからクリームを入れる方式です。
僕は「イカスミベーグル」が、子供は「トトロのパン」が好みです。
そして、全体的にリーズナブル。6個くらいパンを買っても1000円くらい。

パン屋さんの横にケーキ屋さんが併設してあり、「石岡サンド」も売っています。(また書きたいと思っていますが、石岡サンドは市内の多くのデザート店が参加している、町おこしイベントです。)

一番東側には、レストランもあります。
出来たてのパンとや地区の野菜を使った、ハンバーグやパスタのセットが人気です。

茨城県で人気のあるサザコーヒーも入っています。
今年の夏休みの週末は、八郷のプールで子供と泳いだ後に、ここでランチ。というのが定番でした。

眼窩脂肪ヘルニア(脂肪脱)?

今日の午後は以下の手術を行いました。
・翼状片手術(遊離弁移植)1件
・斜視手術(前後転)1件
・白内障手術 12件
・網膜硝子体手術(茎離断)2件
 (裂孔原生網膜剥離:重症、黄斑前膜)
無事に終わりましたが、網膜剥離の方は古い全剥離で、網膜全周切開+シリコンオイル置換という大変な術式となりました。

さて、新しい話題でも。
眼窩脂肪ヘルニア(脂肪脱)?
ヘルニアとは、体内の臓器が、本来あるべき場所からズレてしまった状態を言います。
・脊椎の椎間板がズレると、椎間板ヘルニア。首なら頸椎ヘルニア、腰なら腰椎ヘルニアとか。僕は頸椎ヘルニアで困っています・・・。
・足の付け根の靭帯が弱って、隙間から腸がプリンっと出てきてしまう、ヘルニアも有名でしょうか?脱腸(だっちょう)とも呼ばれます。

眼窩脂肪ヘルニアは、その名前の通り、眼窩(眼球の後方)にあるべき脂肪が、移動して、目の前の方に出てきてしまう病気です。

ピンク矢印の先に、プックリとした柔らかい膨らみがあります。これが脂肪ヘルニアです。

眼窩脂肪
眼窩(がんか)とは、眼球が入る頭蓋骨のくぼみのことです。
(眼窩底骨折のサンプル)
ドクロって、目が入るところがくぼんでいますよね??
この眼窩の中に、眼球(目玉)や、外眼筋(がいがんきん)と呼ばれる眼球を動かす筋肉、血管や神経などが入っています。他に、眼球の後ろ側のスペースや筋肉の隙間は、脂肪で満たされていますが、この脂肪の事を眼窩脂肪と呼びます。眼窩脂肪は、眼球をぶつけた時にクッションの役割する事などをして役立ちます。

MRIですが、中央左にある白い丸が眼球。その後ろ、写真の右側に筋肉や脂肪が写っています。イメージ図の方がいいかな?

・赤矢印の先が外眼筋。外眼筋は大きなものが、上下右左の4つ、他に斜めに働く小さめのものが2つで、合計6つの筋肉が眼窩の中におさめられています。
・緑矢印の先の黄色い部分が眼窩脂肪です。眼窩脂肪ヘルニアは脂肪が青矢印の方に、眼球の前の方に出てきてします病気です。

原因は、strong>ほとんどが加齢・年齢によるものです。
本来眼窩の中は、眼球や筋肉、筋膜(靭帯)などでギュウギュウに埋められているのですが、筋肉や靭帯が加齢によってやせ細って、眼窩に隙間ができ、その隙間から、本来眼球よりも後ろ側にあるべき眼窩脂肪が、眼球の前の方に出てきてしまうのです。

同じ人の左右の目では、眼窩の形状や眼球の大きさ、外眼筋などに大きな違いがあることは少ないので、両眼性になる場合が多いようです。

治療法などは別の機会に。今日もお読み頂きありがとうございました。

緑内障25 最新手術 バルベルトチューブシャント?

今日は白内障手術を8件、夕方は県内の他院様にて硝子体手術のお手伝いでした。
手術は問題なく無事に終わりましたが、今日は久しぶりに助手なしでの手術になりました。数年前は、助手なしで1人で手術をすることが多かったのですが、現在は井上先生や、その他沢山の先生に代わる代わる来て頂いたり、ナースにも助手をしてもらう事もありますが、みんな気配りのできる人ばかりなので、僕は手術に集中できて助かっています。久しぶりに1人でやってみると、ありがたさを再確認できます。支えて頂き、本当にありがとうございます。

さて、昨日バルベルトチューブシャント?を記載しましたが、さっそくコメント欄で質問を受けたので、そのあたりについて、書いてみようと。
緑内障25 最新手術
バルベルトチューブシャント?

以前も記載しましたが、この春・4月から緑内障手術で、チューブシャントという術式や、手術に使用する物品の費用などが、保険診療内で行う事が出来るようになりました。
バルベルトが4月。エクスプレスが6月に発売され、今までは自費で輸入して頂いかなくては行う事が出来なかった医療が、保険診療で出来るようになったことは喜ばしいことです。

ただし、新しい手術方法には、それなりに不安定な要素もあり、飛びつけばいいというものではありません。
現在のところ、当院で行ったチューブシャントは全例で大きな合併症もなく、眼圧の経過も良好ですが、5年後、10年後にどういう経過となるかは、今後もしっかりとした観察が必要です。

エクスプレスシャントは、基本的に通常のトラベクレクトミーを簡易化・安定化させたようなもので、もしも眼圧が上昇しても、通常の手術に乗り換えることは、難しいことではありません。基本的には、初回の緑内障手術(トラベクレクトミー)に対して、行われることが多くなります。

では、バルベルト チューブシャントはどうかというと、バルベルトは基本的には、他の緑内障手術を複数回行ったうえで、それでもどうにも眼圧の安定を得られない、難症例・超重症例に行うための手術方法と考えられています。

トラベクレクトミーを繰り返して行った人は、黒目・角膜の近くの結膜で、ブレブ(房水の貯留池)を作ることが困難になります。そんな時に、バルベルトチューブの中を通して、眼球の後方に水を排出させるという方法ですが、大きく切ったり縫ったりすることが必要になり、一度バルベルトを縫いつけた場所は癒着がひどく、追加の手術を行う事が困難になります。

また、通常のトラベクレクトミーでつくられるブレブは、黒目・角膜のすぐ上などにプックリと出来るため、水がきちんと排出されているかなどを、診察で簡単に確認することができます。もしも、ブレブに癒着が起こっても、ニードリングという処置で癒着を剥がすことも出来ます。

通常のトラベクレクトミーでつくられる、ブレブのイメージと写真です。

一方、バルベルト手術を受けた人の診察の写真です。、

左の青矢印の部分を拡大したのが、右の写真ですが、ピンク矢印の先に眼内に差し込まれたチューブの一部は見えるものの、

イメージのように、水が目の奥の方に流れて溜まっていく様子は、診察では調べることができないのです。なので、どの程度、水の貯留池ができているのか、癒着が進んでいるのかどうかなど、詳細を把握することが困難なのです。

少し難しい内容となってしまいましたが、まとめとしては、バルベルトチューブシャントの術式は、他の緑内障手術を行っても上手くいかない場合に、他の方法がないので、仕方なく行う最終手段。といった意味合いの強い手術になります。
(現時点では、バルベルト手術を行った場合、全例で定期的な経過観察を行い、経過報告を厚生省に提出することが義務付けられています。)

医学の進歩とともに、新しい手術方法がどんどん増えています。緑内障の手術と言っても、何種類もあるのですが、個々の症例に対して最適と思われる手術方法を提案・実施することが、僕たちの責務です。

緑内障24 最新手術 バルベルトチューブシャント?

今日のお昼は以下の手術を行いました。
・白内障手術 8件
・眼窩脂肪ヘルニア(脂肪脱)切除  2件
みなさん無事に終わりました。
今日はいつも助手に来ていただく先生がお休みで、大先輩の先生に助手に来て頂きました。緊張しましたが「上手」と褒めて頂き、とても嬉しかったです。今後も「人に見て頂いて恥ずかしくない手術」ができるよう、もっともっと精進します。

緑内障24 最新手術 バルベルトチューブシャント?

緑内障の再手術が必要になった場合、ブレブという房水の貯留池を作るための結膜などに癒着や萎縮が起こっているため、同じ場所での手術ではキレイなブレブが作りにくく、難しい。といったことを、先日のブログで記載しました。
なので、2回目の手術などでは、場所を少しずらして手術をします。例えば1回目の手術が黒目(角膜)の右上の方であれば、2回目の手術は黒目の左上の方にブレブを作ったりします。しかし、何度も手術を繰り返して、癒着をしてしまう人では、黒目の周りが癒着だらけになってしまって、ブレブの作り場所に困ってしまいます。

黒目・角膜のすぐ近くの結膜に癒着や萎縮があると、上のイメージ図ような場所にブレブを作成することができなくなってしまうのです。

そんな時に、水の貯留池・ブレブを黒目・角膜の周りではなく、もっと目の奥の方に作ることがあります。そんな時に使用するのが、バルベルトチューブシャントになります。人工のチューブを目に縫いつけて、離れた場所に水を流す術式です。

イメージではこんな感じ。黒目から後ろ側に離れた場所にブレブ・水の貯留池を作ります。

では、実際の手術の例で。
2ヶ月くらい前の手術ですが、患者様はサルコイドーシスというぶどう膜炎が原因で緑内障となり、10年くらい前から眼科で治療をしています。これまで大学病院での手術歴もあり、両眼で7回程度の手術を繰り返し受けていますが、眼圧が上昇してしまいます。

まず、仰向けに寝て、消毒と麻酔の注射をします。
次に、結膜を一度剥がして、バルベルトチューブを入れるポケットを作ります。


縫いつけるバルベルトチューブはとても大きいので、かなり大きなキズを作る必要があります。


これがバルベルトチューブですが、左側のチューブの先端を前房とよばれる角膜の後ろ側に挿入します。チューブの中を矢印のように水が流れて、目の奥の方に縫いつけた、右側のプレートから水が奥の方に広がる構造です。



結膜を剥がしてできたポケットにバルベルトを挿入します。大きいですよね?実はバルベルトにも3種類の形があるのですが、これよりももっと大きなものもあるのですよね。
右の写真はポケットにいれて、動かないように白目・強膜に縫いつけているところです。水色矢印のさきが水が漏れ出すプレート部。黄緑の矢印の先が水が流れるチューブになります(中に血液があり赤く見えます)。
このチューブがむき出しだと、チューブがズレたり、感染したりしやすいので・・・、


白目・強膜の一部にナイフで切り込みを入れて、めくりあげ、チューブを包み込みように縫いつけて固定します。チューブの先端は、黒目・角膜と白目・強膜の間くらいから、眼球の内部に差し込まれます。
イメージではこんな感じに。

最後にはじめに剥がした結膜を、元通りに縫いつけて手術終了です。

最終的には、チューブの中を水が流れて、通常の緑内障手術・トラベクレクトミーよりも、水の貯留池・ブレブが眼球後方にできます。水が目の外に流れる分、内圧が低下し、眼圧が下がる仕組みです。

局所麻酔で40分程度の手術ですが、バルベルトには3つのタイプがあり、手術方式も若干の違いがあります。どちらかというと、眼科の中では大きな範囲を切ったり縫ったりする手術ですので、手術自体は多少の痛みがあります。痛みに弱い方は、セデーション(少し眠くなる処置)がいいかもしれません。

今日も最後までお読み頂き、ありがとうございました。

H24年8月の手術実績:茨城県 山王台病院 眼科

今日の午後は知り合いの先生の医院へ、硝子体手術のお手伝いに行きました。
初めてお会いする先生も見学に来ており、夜に食事をしながらお話をさせて頂きました。出身大学の異なる先生方とのお話は、とても勉強になります。また機会があればお会いできればと思います。

さて、8月の治療実績を集計しました。
重症例や緊急手術の紹介が多く、祭日がなくて手術日も多かったので、集計してみるとやはり過去最高の手術数となったようです。忙しかった実感はありましたが150件を超えるとは・・・。
H24年8月の手術実績
手術合計 151件
内訳

・白内障手術 102件

・網膜硝子体手術 22件(糖尿病・網膜剥離・眼底出血・黄斑円孔など)
・緑内障手術 9件
・涙器の手術 2件(NSチューブ・涙嚢切開など)
・眼瞼(まぶた)の手術 5件(眼瞼下垂・さかさまつげ・霰粒腫)
・結膜の手術 8件(翼状片・結膜縫合)
・その他の手術 3件(斜視・瞳孔形成・角膜形成など)

レーザー手術合計 6眼
内訳
・網膜光凝固 7件(糖尿病・眼底出血などに対するレーザー)
・YAGレーザー 6件(後発白内障に対するレーザー)
・SLTレーザー 1件(緑内障に対するレーザー)

*手術数は、分院である小美玉市医療センターとの合計数です。手術数は基本的に保険診療で請求された件数です。両眼同時手術などは2件と計算しています。 白内障の手術時に、逆さまつ毛や眼瞼下垂の手術を追加で行っておりますが、それらはカウントしておりません。

抗VEGF薬 硝子体注射 36件(加齢黄斑変性症などに対する注射です。ルセンティス・マクジェン・アバスチンの合計)

ステロイド薬 テノン嚢注射 21件(糖尿病や網膜静脈閉塞症などでの黄斑浮腫などに対する注射です。トリアムシノロン)

白内障などの緊急性のない手術の待ち時間は、4ヶ月待ち、年明けからの予約となっています。

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 行方市 鉾田市 茨城町)

楽しかったです。

今日も網膜剥離の紹介があり、午後の外来の途中でやっつけました!
明日も知り合いの医院様で硝子体手術があり、今週は月?土曜まで、初の平日一週間の硝子体完投です。
夕方は、口腔外科の先生と眼窩底骨折の手術でしたが、他の科の先生の手術はとても刺激的で、ワクワクします。いっぱい技術を盗まなくては。

眼窩底骨折についても、検査や治療など、今後ブログで書いて行きます!

夜は、そのまま口腔外科の先生と復習会?飲み会?に。
いつの間にか外科の先生とも合流して、夜中まで思いっきりストレス発散です。
結構な時間になってしまいましたが、僕は明日の手術は午後からなのでいいですが、他の先生は朝から仕事かな?山王台のDr.みんな若い!!

緑内障23 最新手術 バルベルトチューブシャント?

今日は直前に手術キャンセルがあり、少しヒマかと思っていたら、
網膜剥離や角膜潰瘍、黄斑円孔などなど、緊急や準緊急の対応が必要な初診がゾロゾロ。疲れた・・・。
午後の手術は、
・白内障手術 11件
・翼状片手術(遊離弁移植) 1件
・網膜硝子体手術(茎離断)2件
 (裂孔原生網膜全剥離・黄斑前膜)
無事に終わってよかったです。

網膜剥離はお盆のころから中心部も見えていないようで、全部剥がれていました・・・。

今日は、緑内障の手術について。
緑内障23 最新手術
バルベルトチューブシャント?
緑内障手術の中で、最も広く行われているのは、トラベクレクトミーという術式で、眼球に穴を開けて、中のお水(房水)を外に流すことで内圧を下げよう。というものです。

一般的な術式は以下を参照下さい。
トラベクレクトミー?血管新生緑内障
トラベクレクトミー?
エクスプレスシャントを使用したトラベクレクトミーはこちら。


一般的なトラベクレクトミーのイメージ図ですが、赤の矢印が房水を目の外に流すための抜け道。青は目の外の水の貯留部(ブレブ)です。

この水の貯留池:ブレブは、結膜という粘膜でできた袋です。(イメージ図では黄色の部分)

一か月前にエクスプレスシャントでブレブを作成した血管新生緑内障の、50代の男性が、ちょうど本日いらっしゃいました。黄色矢印がブレブになり、内部に房水が溜まっています。水が入っている分、結膜がプックリと膨らんでいるのですが分かりますか?細い光を当ててみると、緑矢印の下側半分(角膜・黒目)と、上側半分(結膜のブレブ)でくびれがあり、上半分が膨らんでいるのが分かります。手術前は点眼薬・内服薬を沢山使用して眼圧27mmHgと高値でしたが、本日は8mmHgと良好な経過です。
この方は当院で初めて手術をした患者様で、キレイなブレブができている症例です。


これは他院様で2回の手術後に、当院に転院された患者様ですが、当院で1年ちょっと前に再手術を行いました。左が手術後の写真で、しばらくは眼圧も10程度で良好でしたが、右は最近の写真です。ブレブを作っていた結膜が白く萎縮したり、キズが癒着を起こして、ブレブが小さくなり、水の溜まる体積が少なくなったため眼圧が上昇してきています(現在:点眼薬なしで20を超えてきた)。この患者様は明後日、ニードリングという処置を行う予定です。
明後日のニードリングで、上手く眼圧が下がるといいのですが、もしもそれでも眼圧の低下を得られない場合には、再度、緑内障手術をやり直して、ブレブを作成するしかありません。しかし、白く萎縮してしまった結膜や、強く癒着を起こしてしまった結膜では、キレイなブレブが作る可能性は非常に低くなります。

通常は再手術では、前回のキズ口を避けて、新しい場所にブレブを作成することを試みるのですが、上記の患者様のように、何度も緑内障手術を行った患者様で、キズ口が何か所もある場合、新しいキズ口を作ることがとても難しくなります。(キレイな粘膜が残っている場所がない。)
こんな時に行う手術が、バルベルトチューブシャントになります。
次回は、実際の術式などについて書いてみますね。

モラル

今日の午後は他院様で硝子体手術に呼んで頂きましたが、他に、週末に当院で手術をした患者様も、出血や高眼圧の問題で再手術を行いました。
重度の糖尿病網膜症では、合併症のリスクも高く、再手術が必要にになることも少なくありませんが、やはり最短で治って頂くのがベストですから、申し訳ないなと。今日も手術自体は問題なく終わっていますが、それでも再出血をしたりする時はするのですよね・・・。
明日の診察は期待と不安でいっぱいですが、何があっても出来ることをきちんと行って、誠心誠意対応したいなと思います。

昨日もちょっと偉そうなことを書いたばかりなのですが、どうしても納得がいかないことがありまして。
モラル
モラルって、道徳。倫理。人生・社会に対する精神的態度の意味だそうです。
領土問題の話題が盛んで、以前より愛国心について考える機会が増えていますが、日本人は正義感が強くて、モラル意識が高い。それが日本人の誇り。そう言われて育ってきました。

昨年末にも書いたのですが、
休日夜間の診療に関して
目のことで困った人がいれば。と、僕は自分の出来る限りの精一杯で、休日でも夜間でも対応をしているつもりです。(もちろん、旅行に行く時もありますし、僕以上に休みのない医師もいるかと思いますが。)
緊急手術や処置の必要があれば夜中にだって行うつもりです。
ただし、当院は院外処方がメインだったり、スタッフも少ないので通常の診療に比べて、満足な検査が行えないリスクもあり、診療を引き受ける前にお願いしていることがあります。

?救急外来では、基本的に応急処置のみ
?精密検査や、薬の処方、お会計は翌日の朝に

受診問い合わせの電話に、前もって上記をお伝えして、それでもよければ。と、受診を引き受けています。

ところが、数日前は、
「今からすぐ行きます。15分でつきます。」とのことで、夜に病院で待つこと1時間。受診がないので、電話をしてみたのですが、出てもらえませんでした。

一昨日は、
診察をして「翌朝に処方をするので来院してください。」と伝えると、「明日も来なくちゃいけないの?」と不満そう。はじめに伝えたのに・・・。1人で対応したので、「保険証の確認や診察料も翌日に。」と話しておいたのですが、そのまま来院されませんでした。
お金がほしいわけではありませんが、診察料も払いに来ないとは、失礼な言い方ですが、人としてどうなのだろうと。(今日まで、どうにもお忙しい理由があって、後日来院予定であれば申し訳ありませんが。)

僕はまだ大丈夫ですが、こういうのが続けば、「もう救急外来をみるのはやめようかな。」と考える時期が来るかもしれません。
医師不足が問題となっていますが、将来、やる気のある若い先生たちが増えても、患者様のモラルがあまりに低ければ、結局は医師を続ける人がいなくなって、さらに医師不足になって・・・。
人として、最低限のモラルを持ちたいものです。

偉そうなブログですみません。
しばらく、眼科の病気のことから離れてしまいましたが、次回からまた頑張ってみます。

お薬大好き・・・。

今日のお昼は以下の手術を行いました。
・白内障手術 6件
・網膜硝子体手術(茎離断)2件
 (硝子体混濁+黄斑前膜、再発性網膜剥離:退院様術後)
無事に終わりました。
むしろ、土曜日に手術の増殖糖尿病網膜症の患者様の眼圧が高く(悪性緑内障疑い)、再手術かどうか、悩ましい・・・。

お薬大好き日本人
外来をやっていると、とにかく目薬を欲しがる人が多くてビックリします。
例えば、
結膜下出血は、薬は効かず、自然治癒します。
白内障の点眼薬に、明確な進行予防があるというエビデンスはありません
それでも、「せっかく眼科に来たから。」とか、「効かなくても、みんなが付けてるから。」とか、とにかく目薬が欲しいよう。

困ってしまうのは、
眼鏡を作りにきて「何も症状はないけど、何か薬をくれ。」
という患者様もいます。いったい何を出せばいいのでしょう・・・。

引っ越しなどで転院してきた人が、結膜炎・ドライアイ・アレルギー、様々な点眼薬を4つも5つも使っていて、「どの症状が一番困っていますか?」と聞くと、「特に症状はないけど、いつの間にか増えていった。」なんていう人もいます。

白内障の手術後の炎症なんて、1?2ヶ月も経ったら消失するものますが、5年前に手術をした人が、当院にたまたまいらした時に、「なんで目薬をつかっているのですか?ゴロゴロするのですか?」と聞くと、「何だかわからないけど、もらえるものはもらっておいた。」というのもよくあります。自分の薬が何で出ているのかも不明のようです。「手術後だから。」なんていう人もいますが、手術後に5年も経って炎症があるのなら、それは手術失敗です・・・。
(もちろん、慢性結膜炎などで症状があれば薬は必要です。)

「ゴロゴロする、痛い、痒い、メヤニが出る。」
なにか症状があって、その症状を和らげるために薬を使うのは問題ありません。

問題は、必要のない薬を欲しがるのはやめましょう。という事です。

世の中に、
全く副作用のない薬はありません。
付けるほどよく見える・健康になる薬もありません。

薬は得られる効果(メリット)と、副作用のリスクや経費(デメリット)を天秤にかけて、メリットが大きければ使うべきものです。

例えば、殆どの点眼薬には防腐剤と呼ばれる添加物が入っています。防腐剤が入っていることで、開封後1ヶ月とか、中身が腐らないようになっています。この防腐剤はアレルギーを引き起こしたり、角膜にキズが付きやすくなるなどの副作用が知られています。長く使うほど、リスクが高まることも。
食べ物の食品添加物を気にする人は多いのに、目薬の添加物は気にならないのでしょうか?

日本の医学の歴史が好ましい方向には進まなかったせいでしょうか?
自己負担が少なくて済む、国民皆保険のせいでしょうか?
医療=薬という誤った考えが広がり、とにかく、薬をもらう事が医療を受けること。と勘違いをされている方が多いようです。
「薬は安いから。」という人がいますが、1割負担で薬をもらったら、残りの9割はみんなの税金が使われるのです。1割負担の人が薬局で2千円払ったら、それは2万円の薬です。2万円払う事に納得がいくほど、本当に必要な薬ですか?
そういうお薬の積み重ねが、日本の財政が悪くして、消費税を上げるのかもしれません。

のどにウィスルがつく場合を、一般的に風邪と呼びますが、
実は、インフルエンザ以外の、多くのウィルス感染症では薬は効きません。風邪の殆どは自然に治るのです。
抗生物質は細菌という種類のバイキンに効果があるのですが、例えば小児科で熱のあるお子さんに抗生物質を処方しないと、「あの医者は薬も出してくれない。」というクレームが起こったりします。
優秀な小児科の先生は、ウィルス感染による風邪には抗生物質が効かないことを踏まえて、薬によって副作用が起こるリスクや、抗生物質の多用によって起こる耐性菌(抗生物質が効きにくい菌)の発生を心配して、わざと薬を処方しないのです。

日本では、薬を沢山処方してくれる医者が良い医者として、人気が出るのです。
薬がなくても治る場合や、薬の効果が期待できない場合には処方をしない。必要最低限の投薬で治療する。という医学知識のほうが優秀だと、僕は思うのですが・・・。

欧米の患者様に、効果がハッキリしない薬を処方したら、「効果がないものを処方するなんて詐欺か?」と、怒られることが多いようですが、
日本人は、効果がはっきりしなくても、「気休めでもいいから薬が欲しい。」という人が沢山います。
その割に、実際に副作用が起こった場合には、薬害だとかいろいろ騒ぐ人が多いのも特徴ですが・・・。

自分の使っている薬は、何に効果があって、どんな副作用がありうるのか。
多少は知っておくべきではないでしょうか?

僕は、基本的に必要のない薬は出しません。と、強気でいたいのですが、
「薬も出さない、ケチな医者」と怒られるのも微妙なので、
「効果がないと分かっていても、とにかく何か欲しい。」という場合には、「自己責任でね。」と付けくわえて、結局処方をしてしまいます。
我ながら意思が弱いなぁ・・・。

もう一度。
その薬、本当に必要ですか?

(注:医師が診療の上、必要だとして処方している薬は、症状がなくても勝手に中断してはいけません。必要のない薬を、ただ無意味に欲しがるのはやめましょう。というお話です。)