視神経炎? 視神経(ししんけい)とは

今日は県外から、外来や手術見学の先生に来て頂きました。
午後は以下の手術を行いました。
・眼瞼下垂症 2件(CO2レーザー:ミュラー筋タッキング)
・白内障手術 9件
・網膜硝子体手術(茎離断)3件
(黄斑前膜1件、動脈瘤1件、BRVO後の増殖網膜症1件)
あまり難しい手術はなく、5時前に終わって、夜は見学に来てくれた先生と食事ができました。

時間も出来たので、久しぶりですが病気のブログを進めます。
視神経炎? 視神経とは
普段の診療でみる眼科の病気というと、ほとんどが眼球の内部、もしくは眼球の表面上の問題です。
(中が濁っているとか、網膜が破れているとか、出血している。または、眼球の表面が乾いている、ゴミが入った、充血して目ヤニが出る。などなど)
表面上の問題は、スリットランプで拡大して診察すれば、簡単に把握できますし、眼球の内部の問題も、瞳孔を開いて、レンズでのぞきこめば殆どの病気はすぐに診断がついてしまいます。
ところが、「目が見えなくなった。」と、患者さんが来院された場合に、どんなに目の表面や、目の内部をのぞきこんでも、全く異常がない場合も稀にはあるのです。
「物が見える」という事象は、実は眼球だけで成り立っているわけではありません。眼球は光を感じ取る、ただのアンテナの役割で、実際に物を見て認識しているのは脳なのです。
「目が見えない=目の中に異常がある」と考える人が多いかと思いますが、実は、眼球に全く異常がなくても、脳が機能しなければ物は見えないのです。例えば、後頭部の脳梗塞で、視覚野が完全にダメになってしまうと、目の中はキレイで問題のない状態でも、失明してしまうのです。
(目玉だけを取り出して、物を見ることができるのは、ゲゲゲの鬼太郎のお父さんだけですね。)


これは、眼球から伸びた神経が、脳の後方の視覚野(しかくや)と呼ばれる部位までつながっているイメージ図です。(黄色矢印の先が視覚野です)

視神経(ししんけい)
視神経は、眼球内で光を感じ取った網膜(カメラのフィルム)が、束になって脳へ伸びていく、橋渡しの部分です。上のイメージ図の赤矢印の部位が視神経です。両眼の視神経は、頭の中の視交叉(しこうさ)と呼ばれる部分で混ざり合って、その後再度分離して、後頭部の視覚野に伸びていきます。

・視交叉よりも後方、後頭部の脳側に異常があると、両眼から伸びる神経が含まれているため、基本的には両眼の目の見え方に同じような障害をきたします。
・視交叉よりも前方、眼球との間、つまり視神経に異常があると、異常がある方のみの見え方に障害をきたします。

視神経や視交差、脳などの病気は、頭の内部の問題であり、通常の外来診療で、スリットランプやレンズを使っても、のぞきこむことはできません。
視神経の病気を疑った場合には、視力や視野などの検査に異常がないか?左右差がないか?対光反射に左右差がないか?などをよく観察し、MRIなどの検査を行っていく必要があります。

赤でくくった部位が視神経です。この中に、なんと約100万本の神経線維が存在しているんですって。

外科的な手術に比べると、複雑で難しい分野なのですが、僕は個人的に、眼球内に異常が見当たらない場合に、視神経に異常があるのか?それとも脳?脳のどのあたりが悪いのか?などを、いろいろ考えながら、診療を勧めるのが結構好きなのです。
続きはまた後日。最後までお読み頂き、ありがとうございました。

瞳孔?  瞳孔の異常 その2

今日は以下の手術を行いました。見学の先生にもいらっしゃって頂きました。
・眼瞼下垂症手術(眉毛下皮膚切除術)1件
・眼窩腫瘍切除 2件
・白内障手術 9件
・網膜硝子体手術(茎離断)4件
 (黄斑円孔1件、黄斑前膜2件、糖尿病網膜症2件)
みなさん無事に終わりました。

今日も瞳孔の続きを書いてみます。
前回は、瞳孔・虹彩の形態的な異常に関して書きましたが、今日は、瞳孔の機能としての異常について書いてみます。

?瞳孔の機能的な異常
瞳孔の大きさは、脳の活動によりコントロールされているのですが、
・交感神経という神経から刺激が伝わると、瞳孔が大きく(散瞳)なり、
・副交感神経という神経から刺激が伝わると、瞳孔が小さく(縮瞳)なります。

寝ているか起きているかなど、脳の興奮状態により、瞳孔の大きさが変わったり、他にも、睡眠薬や安定剤の内服も瞳孔の大きさに影響します。麻薬やコカインなどで脳がおかしな状態になっている時も、瞳孔をみるとバレちゃうのですよ!

他に、明るい・暗いでも、瞳孔の大きさは変動します。
・明るい所で、目に光が入り、脳に眩しさが伝わると、副交感神経が働き、瞳孔が小さくなります(縮瞳)。
・暗い所で、目に入る光が足りないと脳が判断すると、交感神経が働き、瞳孔が大きくなります(散瞳)。

このような、明るさによる瞳孔の大きさの反応を、対光反応と呼びます。

面白いのは、例えば、右目にライトで光をあてると、もちろん右目の瞳孔は小さくなるのですが(直接対光反射)、同時に左目の瞳孔も小さくなるのです(間接対光反射)。
右目に眩しい光をあてると、正常な脳であれば、脳の反応は両眼に等しく起こるように出来ているのです。

なので、正常な人間であれば瞳孔の大きさは、右と左で同じになります。
瞳孔の診察では、左右差をみることが重要で、左右の瞳孔の大きさが、直径1mm以上差がある場合には、なんらかの異常がある可能性があると考えて精密検査を考える必要があります。


これは先日治療した視神経炎という病気の患者様の写真です。
上が暗い状態、下が明るい状態での写真ですが、向かって左側の方が、右に比べて瞳孔が大きくなっているのが分かりますか?視神経炎では瞳孔が大きくなっている方が悪い状態になります。光を当てても、光が脳にしっかりと届かないので「瞳孔を小さくしよう。」という副交感神経が働かないのです。

対光反応は、
・目が光を感じ取る
・光を感じ取った脳が、活動する
・脳からの刺激が、交感神経や副交感神経から虹彩に伝わる
などが、全て問題なく働くことで起こる反応です。

右目・左目・右脳・左脳、どこが悪くても反応に異常が起こったり、瞳孔の大きさに左右差が出たりします。

診察室で、僕が患者さんの両目に交互に光をあて、目をじっと覗き込んでいる場合があります。右・左・右・左と、ライトを交互に当て続けるため、とっても眩しくて患者様には不評だと思いますが、視力が悪いのは、右の眼が悪いのか?目のどこが悪いのか?それとも、左の脳が悪いのか?などを推測するために重要な検査なのです。やられる人は頑張ってくださいね。

少し専門的になってしまいましたが、瞳孔の話はこれでお終いです。
今日もお読みいただきありがとうございました。

庭のスケートリンク(失敗)

今日は午前のみ外来ですが、終わり次第、娘の幼稚園の発表会へ。
半日の遅刻ですが、ビデオを撮ってもらったので、それでなんとか見ていた振りを??
2人の子供が大きくなってくると、それぞれの行事の日取りが重なったり、なにより仕事と都合が合いにくくなったり、今後はさらに大変になりそうです。

そういう仕事だと分かってくれるといいのですが、
「たまにはいいところを見せなくちゃ!」と、先月ちょっと頑張ってみました。
実は失敗談なのですが、同じ悩みを持つお父さんたちが、同じ失敗をしないようにとブログにしてみます。(そんな事をする人は、いないのかもしれませんが。)

スケートリンク作成(失敗談)
実家の近くにスケートリンクがあるのですが、お正月にちょっと帰省した時に、子供に初体験をさせてみました。
すごく喜んでいたので、「バケツの水も凍るのだから、スケートリンクが作れるのでは?」と安易な考えが浮かんでしまい、いつも利用しているカインズホームへ。

ひとまず2mX2mの木枠を作成。(成功したら、庭一面に拡大する予定でしたが・・・)


木枠の上に厚手のブルーシートを引いて、


3?4cmほどの深さになるように水を張りました。

結果、毎日、氷は張るものの、一番寒く、厚い氷ができた時でも2cmくらい。

子供たちがゆっくりとなら、乗っかることはできますが、足踏みするとパキパキ割れてしまいます[:撃沈:]

結論:この辺りでは自然のスケートリンクは難しい

まあ、近所の同級生たちと、氷を投げ合って、水浸しになって風邪をひく。という遊び?には役に立ったようですが。
1ヶ月の役割を終えて、先日解体されました・・・。


これは同じ日に、余った木材などを使って作った鳥のエサ場です。
こちらも1ヶ月経っても、まったくエサが減りません[:撃沈:]
結論2:この辺りの住宅街では、野鳥の観察はあまり期待できない

今回は、ダメダメなパパでした。

瞳孔? 瞳孔の異常 その1

お昼に網膜硝子体や緑内障の緊急手術がありました。
午後の診療も遅れずに開始ができ、スタッフの協力・優秀さに感謝です。
夜は近隣の先生方に糖尿病網膜症について、1時間の講演をさせて頂いたのですが、数日前から、のどがイガイガして、声が枯れていて大変でした[:悲しい:]

瞳孔? 瞳孔の異常
瞳孔は目の中に入る光の量を調節したり、ピントの調節などにも役立ち、状況によって、大きくなったり小さくなったりと、変動を繰り返しています。(明るいところ⇒散瞳、暗いところ⇒縮瞳)

瞳孔の異常は大きく2つに分けられます。
?虹彩の構造上の異常
?神経学的な機能上の異常

?虹彩の構造上の異常
・瞳孔が大きすぎる場合
外傷などによって虹彩が断裂したり、瞳孔を小さくするための筋肉が麻痺してしまう場合があったり(麻痺性散瞳)、手術手技の問題で虹彩が切除されていたり、稀ですが生まれつき虹彩が全くない。または一部がない。なんていう人もいます。
⇒虹彩がない・瞳孔が大きすぎると、光が入り過ぎてしまうので、眩しくなってしまいます。手術で虹彩を縫合したり、人工の虹彩を縫いつけたり、虹彩の模様の入ったコンタクトレンズを使って頂く場合などもあります。

眼球破裂後の虹彩損失

・瞳孔が小さすぎる・偏位している場合
ぶどう膜炎などの目に炎症が起こる病気や、手術後、外傷後などでは、目の中に炎症が起こり、虹彩が小さくなったまま癒着をしてしまう場合があります。瞳孔が中心部から外れて、端っこにズレた状態で癒着をしたりしてしまう場合も。サンピロという目薬の副作用で瞳孔が小さいまま癒着をしてしまうことも。
⇒瞳孔が開かないと、目の中に入る光が少ないために、視界が暗く感じます。
瞳孔が偏位してズレていたりすると、光の通り道が遮られ、視力が下がってしまう場合もあります。また、目の中を循環する房水の流れに影響して、緑内障という病態を起こすこともあります。
炎症による癒着が軽度・早期の場合には、瞳孔を広げる目薬(散瞳薬)のみで解決してしまう場合もありますが、ある程度、癒着のひどくなったものや、偏位しているものでは、瞳孔を切ったり縫ったりする手術を行う事もあります。

瞳孔偏位による視力低下⇒手術で中心部を切開

?神経学的な機能上の異常

こちらの?をメインで書こうと思ったのですが、
ちょっと眠くなってしまったので、今日はこれでお終いに。

実は、視神経炎という病気の患者様がいらっしゃり、それに関連して瞳孔について書き始めたのですが、前置きばかり長くなってきています・・・。

瞳孔?

今日からブログを再開します。
昨日は僕の知っている中では最も手術数が多い、著名な硝子体サージャンの先生とお食事をさせて頂くことができました。いろいろ勉強になり、モチベーションも上昇です[:up:][:up:][:up:]
もっともっと頑張るぞ!(と、別に怠けていたわけではないのですが。)

今日の午後は、
・瞳孔形成手術(他院様術後) 1件
・白内障手術 11件
・網膜硝子体手術 3件(増殖1、茎離断2)
(増殖糖尿病網膜症・糖尿病黄斑浮腫・BRVO後の増殖網膜症)
みなさん無事に終わりましたが、最後の症例は久々の1時間越え(80分
)で、カサブタをとるのが大変でした。

今日の話題から、少し一般的なことを書いてみます。

瞳孔
瞳孔(どうこう)とは、下の図で矢印の先、

虹彩(茶目)の中心で作られる光の通り道、穴の事を言います。
瞳孔は、常に一定の大きさではなく、必要に応じて、大きくなったり(散瞳・さんどう)、小さくなったり(縮瞳・しゅくどう)しています。

例えば、
・明るいところでは、目の中に入る光の量を減少させ、眩しくならないようにするために、瞳孔は小さくなります(縮瞳)。
・暗いところでは、目の中に入る光の量を増加させ、明りを少しでも取り入れようと、瞳孔は大きくなります(散瞳)。
このような、明るさ・光によって、瞳孔が動くことを対光反射(たいこうはんしゃ)と呼びます。
お亡くなりになった人は、目に光を当てても瞳孔が動きません(対光反射なし)。テレビドラマなどでよく見るかと思いますが、医師が目にライトをあてて、「ご臨終です。」というのは、瞳孔・対光反射を観察しているのですね。

他にも瞳孔が大きくなったり、小さくなったりする要因として、自立神経に関連するものがあります。
興奮すると瞳孔が大きく散瞳します
「興奮して、目を見開く。」なんていう言葉を聞いたことがあるでしょうか?まぶたを大きく開ける。という意味もあるかと思いますが、瞳孔にも当てはまるのですね。
・寝ている時やリラックスしている時には、瞳孔は小さく縮瞳します。

また、近見反射といって、本を読んだり、近くのものを集中して見る時には、瞳孔が小さくなる反応もあります。
瞳孔が小さい方が、ピンホールカメラの原理のようにピントが合いやすくなるようです。ピントが合わない時に、目を細めると見やすくなるのも似た理由です。

正常な瞳孔は、キレイな円形をしていますが、ケガなどの外傷や、手術で痛んだ場合や癒着、何らかの病気などによっては、キレイな円形では無くなったりします。瞳孔が茶目の中心部ではなくなってヒキツレを起こし、視野が欠けたり、視力が下がったりする場合には、状況によって、手術で瞳孔を形成する場合もあります。

(全く関係ありませんが、ネコやキツネの瞳孔は縦長ですね。縦長の瞳孔は夜行性の動物の一部に見られるようです。)

また、目や脳、神経の様々な病気によって、瞳孔の大きさが変化してしまったり、光を当てた時の対光反射が無くなってしまったりすることがあります。

お酒の力を借りないと、なかなか人の目を見られないシャイな僕ですが??、
仕事のため「何か瞳孔に異常はないかな?」と、まじまじと患者さんのお顔や目を覗き込んでしまう事が多々あります。
変な奴だと思うかもしれませんが、診察のためにやっているのですよ。

次は、瞳孔の異常について書いてみます。

H25年1月の手術実績:茨城県 山王台病院 眼科

今更ですが、あけましておめでとうございます。
1ヶ月間、ずっとブログを中断してしまいました。
年末年始もずっと入院患者様がいらっしゃったり、
1月は網膜剥離の紹介が多かったり、大きめの学会があったりと、
なんだかんだ忙しくなってしまいまして・・・。

2月の前半に講演依頼が2回あり、それが終わったら少しのんびりするかと思います。病気の説明ブログや、Q&Aなども、少しづつ対応したいと思います。

ひとまず、1月の治療実績を集計しました。
年始や学会の影響でやや少なめでしたが、重症の硝子体手術が沢山ありました。
昨日は千葉県から見学に来て下さった先生もいて、もう少しで開院3年ですが、徐々に硝子体手術の専門病院として認知して頂けるようになっています。

H25年1月の手術実績
手術合計 112件
内訳

・白内障手術 77件

・網膜硝子体手術 19件(糖尿病・網膜剥離・眼底出血・黄斑円孔など)
・緑内障手術 2件
・眼瞼(まぶた)の手術 6件(眼瞼下垂・さかさまつげ・霰粒腫)
・その他の手術 5件(結膜・涙器・角膜の手術など)

レーザー手術合計 11眼
内訳
・網膜光凝固 3眼(糖尿病・眼底出血などに対するレーザー)
・YAGレーザー 8眼(後発白内障に対するレーザー)

*手術数は、分院である小美玉市医療センターとの合計数です。手術数は基本的に保険診療で請求された件数です。両眼同時手術などは2件と計算しています。 白内障の手術時に、逆さまつ毛や眼瞼下垂の手術を追加で行っておりますが、それらはカウントしておりません。

抗VEGF薬 硝子体注射 49件(加齢黄斑変性症などに対する注射です。ルセンティス・マクジェン・アバスチンの合計)

ステロイド薬 テノン嚢注射 18件(糖尿病や網膜静脈閉塞症などでの黄斑浮腫などに対する注射です。トリアムシノロン)

白内障などの緊急性のない手術の待ち時間は、約4ヶ月待ち、6月からの予約となります。

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 行方市 鉾田市 茨城町)

H24年の治療実績(幕内会として)

治療実績(H24年1月?H24年12月)

観血的手術合計 1579件
内訳
・白内障手術 1041件
・網膜硝子体手術 219件(糖尿病・網膜剥離・眼底出血・黄斑円孔     ・黄斑前膜など)
・緑内障手術 50件
・眼瞼(まぶた)の手術 109件(眼瞼下垂・さかさまつげ・霰粒腫)
・結膜の手術 50件(翼状片・結膜弛緩症)
・涙器の手術 64件(NSチューブ・涙嚢の手術)
・その他の手術 46件(斜視、角膜、レンズ整復、瞳孔形成、眼窩など)

レーザー手術合計 206眼
内訳
・網膜光凝固 100眼(糖尿病・眼底出血などに対するレーザー)
・SLTレーザー 33眼(緑内障に対するレーザー)
・YAGレーザー 73(後発白内障に対するレーザー)

*手術数は、分院である小美玉市医療センターとの合計数です。手術数は基本的に保険診療で請求された件数です。両眼同時手術などは2件と計算しています。 白内障の手術時に、逆さまつ毛や眼瞼下垂の手術を追加で行っておりますが、それらはカウントしておりません。また、病気が古くてNSチューブが挿入できなかった症例などもカウントしていません。

抗VEGF薬 硝子体注射 436件加齢黄斑変性症などに対する注射です。ルセンティス・マクジェン・アバスチン)

ステロイド薬 テノン嚢注射 226件(糖尿病や網膜静脈閉塞症などでの黄斑浮腫などに対する注射です。トリアムシノロン)

H24年12月の手術実績:茨城県 山王台病院 眼科

年末ギリギリまで難しい手術をしたので、お正月も入院となってしまう方もおりますが、多くの方は本日で退院できてよかったです。。

年始は1月4日より、通常の診療となります。
緊急はできる限り対応します。
昨年も記載しましたが患者様にお願いもあります。
救急外来はあくまで救急です。

更新が滞っていましたが、12月の治療実績を集計しました。
H24年12月の手術実績
手術合計 134件
内訳

・白内障手術 93件

・網膜硝子体手術 20件(糖尿病・網膜剥離・眼底出血・黄斑円孔など)
・緑内障手術 4件
・眼瞼(まぶた)の手術 5件(眼瞼下垂・さかさまつげ・霰粒腫)
・結膜の手術 4件(翼状片・結膜縫合)
・斜視手術 3件
・その他の手術 5件(涙器・前房異物など)

レーザー手術合計 17眼
内訳
・網膜光凝固 12眼(糖尿病・眼底出血などに対するレーザー)
・YAGレーザー 3眼(後発白内障に対するレーザー)
・SLTレーザー 2件(緑内障に対するレーザー)

*手術数は、分院である小美玉市医療センターとの合計数です。手術数は基本的に保険診療で請求された件数です。両眼同時手術などは2件と計算しています。 白内障の手術時に、逆さまつ毛や眼瞼下垂の手術を追加で行っておりますが、それらはカウントしておりません。

抗VEGF薬 硝子体注射 50件(加齢黄斑変性症などに対する注射です。ルセンティス・マクジェン・アバスチンの合計)

ステロイド薬 テノン嚢注射 16件(糖尿病や網膜静脈閉塞症などでの黄斑浮腫などに対する注射です。トリアムシノロン)

白内障などの緊急性のない手術の待ち時間は、5月連休頃からの予約となります。

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 行方市 鉾田市 茨城町)

ECCE・水晶体嚢外摘出術

今日は以下の手術を行いました。
・翼状片手術(遊離弁移植) 1件
・白内障手術 10件
・眼内レンズ交換 2件(他院様術後エラー)
・網膜硝子体手術(茎離断) 5件
(増殖糖尿病網膜症2件・糖尿病性硝子体出血1件・黄斑前膜1件・黄斑円孔1件)
難しい症例が多かったですが、無事に終わりました。
そろそろ、手術納めの医院も出てくる時期ですが、当院ではまだまだ先の話です・・・。

今日は時間ができたので、久しぶりに手術の話題で。
ECCE・水晶体嚢外摘出術
白内障手術の特殊な術式の一つをご紹介します。
以前に、通常の白内障手術・水晶体超音波乳化吸引術(PEA)について記載したことがあります。機械の進歩とともに、最近の白内障手術のほとんどは、キズ口は2mm程度。時間は5分程度。で終わってしまうことがほとんどです。
ただし、全員が全員、同じような手術で同じような結果を得られるわけではありません。目の組織が弱い人や、濁りが強く・硬くなり過ぎてしまった人などでは、通常の手術(水晶体超音波乳化吸引術・PEA)ができないケースもあるのです。

水晶体超音波乳化吸引術(PEA)は、小さなキズ口から、細い掃除機を目の中に入れて、目の中で水晶体の濁りを細かく砕きながら、吸い出す。という術式ですが、
ECCE(水晶体嚢外摘出術)は、濁りを目の中で砕かずに、少し大きなキズ口を作って、濁りをそのままの形で、プルンッ。と摘出する術式になります。

超音波の器械が発達する前には、ECCEは白内障手術の標準術式でしたが、現在も発展途上国などではECCEの方が数多く行われているようです。
現在の日本では、あまり行われることがなくなっていますが、以下のようなケースで、通常の手術(PEA)ができない場合に選択されます。
・水晶体の濁りが硬すぎて、目の中で安全に砕けない。
・チン氏帯が弱くて、通常の手術に耐えられない。
 ⇒無理をすると、水晶体脱臼眼内レンズ脱臼などにつながる
・角膜内皮細胞が少ない。
 ⇒超音波で無理をすると、水泡性角膜症につながる
・白内障手術(PEA)の途中で、上手くいかなかったとき。

ただし、最近は手術機械が発達したため、濁りが硬すぎて砕けない。というケースは皆無になってきています。(当院のコンステレーションは凄いですよ!)

先週手術の患者様ですが、濁りが真っ白を通り越して、真っ黒。ものすごく硬いのですが、コンステレーションのオジル機能で、なんなく破砕できました。

ECCE・水晶体嚢外摘出術
先週手術した90代の患者様。視力は0.02程度、濁りは硬くはありませんが、角膜内皮細胞が少なく、チン氏帯が弱いために水晶体がグラグラしている症例です。
超音波を使って、目の中で濁りを無理に砕くより、ECCEでそうっと濁りを取り出す方法を選択しました。


白目・強膜の上を覆っている結膜を切開して、緑矢印のように針を入れ、眼球の後方・奥に麻酔薬をいれます。

露出して、少し強膜から血がでるので、電気の熱を使って止血します。


PEAでは切開の幅が2mm程度のキズ口で済みますが、ECCEでは濁りをまるまる取り出せる程度のキズ口が必要です。今回は3種類のナイフを使って、8.5mmの切開を行いました(緑矢印の幅)。


濁りを包んでいる袋に丸い穴を開けます。

濁った水晶体(白内障)をぐるぐると目の中で回転させながら、袋の前方、瞳孔(虹彩・茶目)の上まで持ち上げます(脱臼)。右上の写真では、茶目の上まで濁りがでてきたために、茶目が見えなくなっているのが分かりますか??


濁りの下に、専用のスプーン状のヘラを入れて、引っ張り出すと、
「プルンっ。」と濁りが取り出せます。青矢印の先が摘出された水晶体(白内障です。)


のこった細かい濁りを、負担の少ない掃除機で吸い出して、

人工のレンズ(眼内レンズ・IOL)を入れて、

キズ口を一針縫ったらお終いです。
(この手術が得意な先生では、キズを縫わなくても大丈夫なことも多いようです。僕はこの術式はあまり行いませんし、一針くらい縫った方が、キズを閉じるという意味では丈夫で安全かなと。)

通常のPEAで行う方が、時間も早いし、キズも小さいし、乱視のコントロールも良好です。ECCEは、今の日本では、難症例に限ってものすごく稀に行う術式です。
(たまにしか行わない、少し難しい手術って、眼科医としては、ワクワクして楽しいのですが。)

10000人

お久しぶりです。
あまりに忙しい状態で、更新をサボっていましたら、各方面の方々から、「大丈夫?なにかあった?」などのメールを頂きました。

元気で頑張っています!!
とにかく重症の患者様が多く、日常の臨床で手いっぱいの今日この頃です。茨城県は現在、緊急患者さんの受けれ可能施設が減っており、少し当院への紹介が増えているようです。準緊急手術も年末・年始までビッシリ。白内障の順番待ちはとうとう5月の連休にかかってきてしまいました。
来春に施設含めて、診療体制を強化しますが、それまでは現状で頑張るしかありません。

別件ですが、本日とうとう、クリニックの診察券・カルテのIDが10000を超えました。(特にお祝いはありませんよ。)

遠方の患者様から応援の手紙などを頂くことも多くなり、出来る限り頑張りたいところですが、今後もブログ更新はゆっくりなペースになります。すみません。