今日は直前に手術キャンセルがあり、少しヒマかと思っていたら、
網膜剥離や角膜潰瘍、黄斑円孔などなど、緊急や準緊急の対応が必要な初診がゾロゾロ。疲れた・・・。
午後の手術は、
・白内障手術 11件
・翼状片手術(遊離弁移植) 1件
・網膜硝子体手術(茎離断)2件
(裂孔原生網膜全剥離・黄斑前膜)
無事に終わってよかったです。
網膜剥離はお盆のころから中心部も見えていないようで、全部剥がれていました・・・。
今日は、緑内障の手術について。
緑内障23 最新手術
バルベルトチューブシャント?
緑内障手術の中で、最も広く行われているのは、トラベクレクトミーという術式で、眼球に穴を開けて、中のお水(房水)を外に流すことで内圧を下げよう。というものです。
一般的な術式は以下を参照下さい。
トラベクレクトミー?血管新生緑内障
トラベクレクトミー?
エクスプレスシャントを使用したトラベクレクトミーはこちら。
一般的なトラベクレクトミーのイメージ図ですが、赤の矢印が房水を目の外に流すための抜け道。青は目の外の水の貯留部(ブレブ)です。
この水の貯留池:ブレブは、結膜という粘膜でできた袋です。(イメージ図では黄色の部分)
一か月前にエクスプレスシャントでブレブを作成した血管新生緑内障の、50代の男性が、ちょうど本日いらっしゃいました。黄色矢印がブレブになり、内部に房水が溜まっています。水が入っている分、結膜がプックリと膨らんでいるのですが分かりますか?細い光を当ててみると、緑矢印の下側半分(角膜・黒目)と、上側半分(結膜のブレブ)でくびれがあり、上半分が膨らんでいるのが分かります。手術前は点眼薬・内服薬を沢山使用して眼圧27mmHgと高値でしたが、本日は8mmHgと良好な経過です。
この方は当院で初めて手術をした患者様で、キレイなブレブができている症例です。
これは他院様で2回の手術後に、当院に転院された患者様ですが、当院で1年ちょっと前に再手術を行いました。左が手術後の写真で、しばらくは眼圧も10程度で良好でしたが、右は最近の写真です。ブレブを作っていた結膜が白く萎縮したり、キズが癒着を起こして、ブレブが小さくなり、水の溜まる体積が少なくなったため眼圧が上昇してきています(現在:点眼薬なしで20を超えてきた)。この患者様は明後日、ニードリングという処置を行う予定です。
明後日のニードリングで、上手く眼圧が下がるといいのですが、もしもそれでも眼圧の低下を得られない場合には、再度、緑内障手術をやり直して、ブレブを作成するしかありません。しかし、白く萎縮してしまった結膜や、強く癒着を起こしてしまった結膜では、キレイなブレブが作る可能性は非常に低くなります。
通常は再手術では、前回のキズ口を避けて、新しい場所にブレブを作成することを試みるのですが、上記の患者様のように、何度も緑内障手術を行った患者様で、キズ口が何か所もある場合、新しいキズ口を作ることがとても難しくなります。(キレイな粘膜が残っている場所がない。)
こんな時に行う手術が、バルベルトチューブシャントになります。
次回は、実際の術式などについて書いてみますね。