[:きのこオレンジ:]今日は次女の入学式があったようです。仕事なので夜に様子を聞くだけですが、「早く小学校に行きたい。月曜日まだかな!」と、楽しそうな様子は見ているこちらも嬉しくなります。
[:きのこグリーン:]今週末は仙台で日本眼科学会総会があるのですが、今日も栃木県の患者様ですが超重症の糖尿病網膜症の手術(しかも両眼)があり、明日も診察が必要ですので学会参加は断念・・・。
穴だらけで血管新生緑内障もあり、今年一番の症例でした。
[:きのこブルー:]この春は新しい眼科検査機器が3つも導入されました。きっと今日の学会で一番注目されているであろう、カールツァイスのOCTアンギオグラフィーも茨城県で初導入となっています(現時点では県内では1台のみ稼働)。地域の患者さんに最新の優れた医療機器で診療にあたれるのは本当に幸せです。
と、いいことも悪いことも沢山の春です。
糖尿病の手術も上手くできたし、結局はいいことばかりなのかな?
今日は、昨年の春に導入した輸入角膜移植に関して記載します。
角膜移植術(輸入角膜移植)
角膜は眼球の表面で光を透過させたり、光を屈折(ピントをあわせる)のに役立つ臓器で、一般的には黒目というとわかりやすいでしょうか?(下図の赤矢印)
角膜(黒目)は、それ自体が茶色や黒色なわけではなく、透明な膜で内部の組織が透けて茶目や黒目として観察されます。
ケガや病気などで角膜が濁ってしまうと、光が通りにくくなり視力が障害されますが、重度の濁りで他に治療法がない場合に行われる最終手段が角膜移植になります。
濁ってしまった自分の角膜の全て、または一部を切除して、新しい透明な角膜を移植する手術ですが、人工角膜は実験としては進んでいるものの未だ実用段階ではなく、標準的にはお亡くなりになった方の角膜を頂いて移植することが広く行われています。
左が手術前の角膜が濁った状態。右が移植後になります。
国民性や宗教観によるものと思いますが、日本人は移植のドナー登録には消極的といわれ慢性的に角膜が不足している状態です。多くの場合で移植を申し込んでも数ヶ月から数年の待ち時間が発生し特に茨城県は待ち時間が長いようです。移植希望者(需要)>角膜提供者(供給)
幕内先生はじめ様々な関係者のご協力により、平成27年4月より当院にてアメリカから安全に角膜を輸入することが可能(茨城県初)となりました。角膜輸入費用は当院にて負担していますので、患者様のご負担は通常の保険診療の手術費用のみで治療が受けられます。
初回移植例から1年がたちますが、これまでの症例では1例のみ軽度の拒絶反応(すぐ回復)があった以外は大きな合併症もなく、全例で視力回復を得られています。角膜移植にも様々な術式がありますが、詳細は別の機会に掲載していきたいと思います。
*当院ではアメリカより、Aランク(最高ランク;角膜内皮細胞数が多い)の角膜で、フェムトセカンドレーザーで術式に応じたデザインカットがされたもののみ輸入してます。アベノミクスのためか円安で輸入額が高額となり、病院経営にはかなりの負担の大きいマイナスの手術です。大変申し訳ありませんが、現時点では茨城県内の患者様のみ、そして県内の眼科の先生からの紹介状があるケースのみお引き受けしています。
(角膜の費用を患者さんに請求することは混合診療のリスクがあり、お引き受けしていません。)
*眼科医の先生方へ
全層移植の再手術など、高リスクの手術は専門的には行っていません。PEA+IOL後の術後水疱性角膜症に対するDSAEK(角膜内皮移植)は低リスク好成績で対応可能です。安心してご紹介下さい。
*日本の法律、アイバンクでは角膜を金銭的に購入することは禁止されています。が、角膜が必要で困っている患者さんが沢山いるのも現実です。倫理的に何があってる間違っているという問題はこのブログで討論するものではないと思いますので質問はお控えください。