今日の午後は開業医様で白内障手術を8件行いました。無事に終わっています。
白内障手術は濁った水晶体と、人工の眼内レンズを交換する手術です。
人工の眼内レンズは、通常は50年とか基本的に一生涯もつので、白内障手術は人生で一回行えば、2度行う事はありません。
ただし、たまには不具合が生じて、再度手術を行う事があります。
眼内レンズ偏位・脱臼(がんないれんずへんい・だっきゅう)
挿入した眼内レンズがズレてしまった状態です。
ズレている程度によって、偏位(ちょっとズレ)、亜脱臼(まずまず)、脱臼(目の奥の方まで落ちる程のズレ)と呼びます。
原因はぶつけてしまったことであったり(外傷)、もともとレンズを支える構造が弱い(加齢や偽落屑症候群)、白内障手術での合併症(破嚢)などが原因になります。
レンズがずれると、急激に視力が低下したり、目の中の水の流れに変化が起こり、眼圧が上がる緑内障と呼ばれる病態が出ることもあります。
8月29日に手術をした89歳の男性です。
以前に他院にて白内障手術を受けたとのことです。
矢印の部位にレンズの上縁が見えますので、レンズが下方にズレているようです。
図で表すと、
通常は上のようであるのが、下図のように下方にズレています。
目の中に入っているのはこんな感じのレンズのようです。
手術の写真は上下反対になります。レンズが上の方に向かってズレテいます。赤の矢印の部分にレンズの足が見えます。
白目から器械を入れて、レンズを前の方に押し上げます。
緑矢印のあたりに1mm程度のキズをつけて、青矢印のようにレンズの足を目の外に出します。
レンズの足の部分に細い糸を縛りつけ、同じ糸を白目の部分に縫いつけるなどします。青矢印は目の中を針で縫っています。同じことをもう片方のレンズの足で行います。
最終的にはこんな感じ。
日帰りで行って、外来はご自宅近くの小美玉市医療センターでのfollowとなったため、まだ術後の写真は撮っていないので、術後の写真が手元にはないのですが。
手術は上手くいったと思うのですが、今回の手術はキズ口が1mm程度と、非常に小さいのが良いことですが、目の中での操作が、けっこう窮屈でやりにくいため、時間は30分ちょっとかかりました。
4mm程度キズ口を作って、古いレンズを取り出して、新しいレンズを縫いつけた方がよほど早く出来るようです。今後はどうしよう。
白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 鉾田市 茨城町)
昨年都内の大学病院で眼内レンズ二度目の偏位で手術受けることになりなりましたが、医師の説明が良く理解できず、検索しましたら、栗原勇大先生のブログ2011.09.13で大変勉強になりなりました。私の場合、以前に縫い付けた、糸が片方切れておりました。古いのを取り出し、新しいのを縫い付けました。分かったのも先生のブログのおかげです早期に安心して手術を受けることができました。その後も不安なこと、目に関して分からないことがあれば、ブログを参考にしております。ありがとうございます。 67歳男性
ご連絡ありがとうございます。
無事に手術が終わったのだと思いますが、よかったですね!
元のレンズを再利用する方法は、キズ口が小さくていいと思いますが、操作がやや煩雑になるようです。
(個人的な意見ですが、入れ替えの方が、手術は安全な気がします。もちろん目の状態によりますが)
また、眼内レンズも、経年劣化によって、視力に影響するほどではなくても、多少は濁ったりすることが分かっています。
年齢もまだまだお若いようですので、以前の古いレンズよりも、新しいレンズに入れ替えることがメリットが大きいと、担当の先生が考えられたのかもしれません。
少しでもお役にたてたなら、よかったです。