今日は以下の手術を行いました。
・外斜視手術 1件
・白内障手術 8件
・網膜硝子体手術 2件(黄斑前膜・糖尿病網膜症)
無事に終わっています。
糖尿病の人かたは30代の男性で、糖尿病のカサブタがまずまず張っており、ちょっと大変でした(水晶体温存・茎離断)。
外斜視も20代の男性ですが、基本的に若い男性は、手術の痛みや緊張感に弱い傾向があります。人の手術はできるのですが、僕も手術を受けることになったら緊張しそうです。だいたい女性の方が痛みに強いようです[:女:]
糖尿病網膜症
網膜光凝固術(レーザー治療)
さて、実際のレーザーの方法です。
?麻酔の目薬をします。
(これは目を固定するレンズをくっつけるため。レーザーの痛みは消えません)
?診察台に顔を乗せて、目が動かないように特殊なレンズを目にくっつけます。
?部屋を暗くして(医師が見やすくするため)、レンズを通して、レーザー光線を発射し、網膜にヤケドを作ります。
(赤矢印がレーザー)
?一つのヤケドが直径0.2mm?0.8mm程度の円形ですが、目の血管の詰まり具合によって、網膜全体で、500?重症例では2000個程度のヤケドを作ります。
レーザーが網膜に当たると、チクッとか、ズキンと痛みがあるようで、患者様には申し訳ありませんが、1日に数百回の痛みを我慢して頂くことになります。皆様ごめんなさい。
1回の治療でヤケドを作り過ぎると、目に負担がかかって、失明は防げるものの、視力が下がってしまうことが多いため、治療は3?4回程度に分けることが普通です。例えば、1日に1600発のレーザーを照射する場合よりも、1日の治療では400発のレーザーを照射し、2週間毎に4回治療を行い、合計1600発としたほうが、多くの場合で良好な視力を残せます。今日は網膜の右上のほう、次回は左下のほうなどと勧めていきます。
(治療費がかかるのは最初の1回だけです。)
治療後の写真です。レーザーをうつ目的は、その部位の網膜を多少なりとも殺してしまって、血液を欲しがらなくさせることです。ですので、レーザーでヤケド状になった部分は、ある程度見えにくくなります。赤矢印が物を見る中心の網膜で黄斑(おうはん)と呼ばれます。この部位にレーザーを照射すると、視野の中心部が見えにくくなってしまうため、基本的に絶対に照射してはいけない部分です。丸く囲った部位も、視力・視野として生活上とても重要な部位になるので、これらの部位を避けて、それよりも外側にレーザーを照射します。(黄斑浮腫という状態で、仕方なく中心部に迫ってレーザーをうつこともあります。)
写真の周りの方に、灰色?黒色の丸い斑点が見えるでしょうか?これが一つ一つのレーザーによるヤケドのあとです。この方は一昨日こられた65歳の患者様ですが、治療前はひどい出血の重症例でしたが、半年前に治療して、ヤケドの部分の網膜を犠牲にしたことで、現在は非常に落ち着いた状態で、次回からは半年に1回の検査で済む事になりました。視力は0.9程度と免許証を維持できていますが、焼いた部分の見え方は少し悪くなるため、視野の外側の方は少し暗くなる(視野が狭くなる)という自覚症状は残ります。
以前は蛍光眼底造影検査などで、血流の悪い部位のみにレーザーを行う、巣状光凝固というものが行われる事も多かったようです。ただし、この場合には網膜症の進行を抑える能力が低かったり、将来的に追加のレーザーを必要とする場合も多々あり、欧米ではほとんど行われません。日本でも現在は多くの病院で、網膜を全体的に照射する、汎網膜光凝固というものが行われます。
治療はかなり高価ですので、一度治療をしたら、可能なら一生涯、無理でも出来るだけ長い期間、再治療が必要にならない方がいいですので。
これは、糖尿病網膜症と網膜中心静脈閉塞症という病気の合併で、7月29日にレーザーをした60歳女性です。
レーザー後、数日の写真です。沢山の出血があり、黄斑浮腫という病態を伴っているため、視力は0.5まで低下しています。白く映っている丸い斑点がたくさんあります。この淡い、白い丸が、レーザーをしたあとです。ヤケドができてすぐには、このように白くうつります。
(この方の治療はレーザーのみではなく、ステロイド剤やホルモン剤の注射を併用しています。)
これは治療後一ヶ月、右下の方の丸は、まだ白く見えますが、左上の方は、白い丸からやや灰色の丸に、色が変わってきています。浮腫はなくなり、視力は1.0まで戻っています。
これは9月にいらしたときの写真です。レーザーのあとが灰色?黒っぽくなってきています。このような色になると、レーザーの効果が安定して、出血しにくい網膜となります。視力も1.0を維持、出血がほとんど無くなっているのが分かるでしょうか?次回の診察は2ヶ月後、それでも大丈夫なら年に2?3回の診察となっていきます。
たまには宣伝を。
当院でのレーザー治療の特徴です。
?失明を防ぐだけでなく、出来る限り、視力を温存することを目標としています。
黄斑浮腫という病態を伴うと、多くの場合で著しい視力の低下をもたらすことが分かっています。当院では、最高レベルのOCT検査機器を用いて、浮腫の評価を行い、少しでも浮腫がある場合には、ステロイド剤の注射や、アバスチンというホルモン製剤の注射を積極的に併用しています。(アバスチンは無料で行っています。)
それでも、浮腫が残ってしまうばあには、強力な治療法である網膜硝子体手術を行っています。
(黄斑浮腫に関しては、後日、ブログに記載していきます。)
?高い治療効果を期待して、しっかりとしたヤケドを作っています。
レーザーは血流を元に戻す治療ではありません。一部の網膜を犠牲にして、必要とする血液・酸素の量を目減りさせる治療です。視力に影響しにくい、周辺部の網膜(視野の外側の方)に、しっかりとしたヤケドを作って、血液・酸素の必要量をきちんと下げるようにします。まれに、治療後の患者様で、針の穴のように小さいヤケドのあとを見ることがあります。残念ながら、小さいヤケドでは、痛みがあって、費用が高いだけで、まったく治療をした意味をなさない場合もあります。しっかりとした面積のレーザーのヤケドを作ることが重要で、当院では時間をかけても、きちんとしたヤケドを作るようにしています。結果として、長期間の治療効果が期待でき、1年後などに追加をするかたは、ほとんどいらっしゃいません。
?できるかぎり痛みに配慮します。
当院では、最新式のレーザー機器を用いて、出来るだけ痛みや視力に優しい治療を行っています。それでも、痛みが辛い場合には、積極的に麻酔薬の注射を行い、無痛での治療を行っています。(レーザー時の麻酔は無料です。約半数の方が麻酔を希望されています。)
(注射をした場合には、治療後、数時間は視力が大幅に低下します。ご自身のみで帰宅する場合は3時間程度の休憩が必要になります。)
夕飯がまだなのですが、おなかも減ってきたので、今日はこの辺で。
明日も県南の病院様から紹介の患者様がくると電話があったようで、また網膜剥離かな?今日は早めに寝ましょう。
レーザーに関しては、この3回でひとまず終了にします。
今日も、最後まで読んで頂いた方ありがとうございました。
白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 鉾田市 茨城町)
こんにちは、1938年生・私は横浜市旭区在住 鈴木惣一郎です。加齢に伴い成人病街道歩み始めてます。「AMD」光凝固術
近日中予約決行の覚悟決めました。術後(運転免許更新・M.S.予備審査・済み ゴールド免許所持者)大型2種免許所持者の為、警察署で再度検査が在ります。
不安が募ります。
栗原先生のお話ご丁寧でありがたいです。77才私、拝読いたしました。
お体ご自愛ください。
終。2014長月我が長男貴県内某大学付属高等校学校で教師
麻酔は施行しない医院様がほとんどと思います。
麻酔をしないことは全く悪いことではありません。普通のことです。
少し痛いと思いますが、治療頑張ってください!
初めまして。お忙しい中、失礼します。
最近、3つ目の眼科受診で「黄斑浮腫」が見つかった44歳女性(2型糖尿病約12年)です。
この病気を調べていて、貴ブログに辿り着きました。
今は、もっと早くブログに出会って色々なことを知っていれば・・という思いと、この病気って何?どんな治療?痛い?費用は?という不安&ビビりの感情が渦巻いています(T_T)
大きな病院へと紹介されたので19日(金)に某医大で初受診なのですが、何も分からないし目のことなので心配でたまりません。
大げさですみません。
先生の知り得ることで、簡単でもいいので何か教えていただけたらと思います。
(一方的なメールになってしまって申し訳ありません)
遅くなってすみません。
質問が抽象的すぎて、回答が難しいです。
・ステロイド剤の注射(マキュエイド・ケナコルト)
・抗VEGF薬の注射(ルセンティス・アバスチン)
・レーザー治療
・硝子体手術
などが治療法になります。
担当の先生のお話をよく聞いて、担当の先生に質問をして、
それでもわからないことがある場合に、もう一度質問をください。
時間が許せば、黄斑浮腫に関するブログも更新していく予定です。
お忙しい中でのご返信、有難うございました。