今日の夕方は、少し外来を早めに終わりにさせて頂き、網膜剥離の手術を行いました。
県南の医院様からの紹介で20代の男性、少し前に白内障の手術をして頂いたようです。手術は無事終わり、視力も回復したようなのですが、最近になって網膜剥離が見つかったようで。
もともとアトピーがある方です。実はアトピーの方は、若くから白内障になったり、網膜剥離になりやすいことが知られていて、眼科医の中では、白内障手術⇒網膜剥離。というのは、非常に怖いのですが、とてもよくある話です。アトピーがあると、とにかく目が弱いようで、網膜剥離になったり、なったあとも手術が難しかったり、なかなか大変です。
網膜剥離に関しては、以前にたくさん書いたつもりでしたが、本日の手術の方式はまだでしたので、今日はその話題で。
裂孔原性網膜剥離? 治療その2
強膜内陥術(きょうまくないかんじゅつ)
以前に記載した(ブログ:2011.10.24 Monday)、硝子体手術と呼ばれる術式は、剥がれた網膜をくっつけるために、眼球の内部に器械を直接挿入し、硝子体(ゼリー)を除去して、空気の力などで網膜を眼球の壁に押し付ける方法でした。(網膜⇒眼球壁)
強膜内陥術は、眼球内に器械を入れたり、網膜に直接触ることなく、網膜と眼球壁をくっつける方法で、剥がれた網膜はそのままに近い状態で、眼球の壁を内側に押し込んで、網膜にくっつけるような方法です。(眼球壁⇒網膜)
こんな感じで、緑の網膜が内側に剥がれているとすると、
上方から、シリコンスポンジという物資を、押し込んで縫いつけ、眼球自体をゆがませて、眼球の壁と網膜をくっつけます。
実際の手術です。
まず、強膜(白目)を覆っている結膜という粘膜を切開し、強膜を露出させます。
強膜に紫のペンで印をつけてあるのが分かりますか(黄緑矢印)??
この印の内側の部分の網膜が、断裂して、網膜剥離の原因になっている穴の部分です。この周囲に、針と糸を通しています。
強膜に通した糸で、眼球を押し込むように、シリコンでできたスポンジをキツク縛り付けます。
白いうどんのような物が、シリコンスポンジです。シリコンというと、女性が胸に入れたりもしますが、体中に安全に留置することができる物質です。
こんな感じで、シリコンのスポンジを数か所縫いつけたり、目を動かす筋肉の下を通したりして、眼球を凹まして穴をふさいだり、網膜をくっつけていきます。
網膜剥離の程度が強い場合には、網膜と眼球壁の間に溜まったお水を除去した方が、早くくっつきます。写真の水色の矢印は、白目に穴を開けて、溜まったお水を抜きだしているところです。(治療のイメージ図では赤矢印の作業です。)
網膜剥離といっても、年齢も程度も原因も様々なので、患者様にあった治療法を選択していかなければなりませんが、この治療法は、一般的には年齢が若く、硝子体(ぜりー)が眼の中にたくさん残っている方に、よく行われます。
硝子体手術に比べて、この手術(強膜内陥術)の良い点は、
・眼球に穴を開けたり、器械を入れたりしないので、バイキンが入って感染症を起こしたり、大出血を起こしたりといった、重大な合併症が起きにくいことです。
悪い点は、
・目を押し混んだり、ぎょろぎょろさせて引っ張ったり、硝子体手術よりは痛みが強いこと。(以前は全身麻酔で行うことの方が多かったようです。)
・直接、眼内をいじって治すわけではないので、重度の網膜剥離などでは、治せない症例が多いこと。⇒治せなかった場合には、硝子体手術を行います。
・眼球の形が変わって、乱視や近視が大きくなること。
などがあります。
注)どの術式がよいかは、その患者様の年齢や、症状、網膜の穴の数や、穴の大きさ、穴の位置、発症後の期間。様々な条件により異なりますので、担当の先生とよく話し合うようにしましょう。
栗原先生、こんにちは。
自分は1年前の3月に右目が網膜剥離になり、市内の大学病院でシリコンを縫いつける手術を受けましたが、再発で1ヶ月後にもういちど同じ手術をうけました。
2回目の手術のあとは大丈夫だと言われていましたが、6月の診察でまた再発があり、硝子体手術を受けました。
手術後は目の中の出血が止まらず、2週間後に再手術。
8月の検査でまた再発し、目の中にシリコンオイルを入れる手術と白内障の手術を受けました。
その後は網膜はくっついていると言われています。
はじめの手術の前は視力が1,0だったのですが、今はメガネをかけても0,08で、小さく曲がって見えています。
4月にオイルを抜く手術を受けることになっていますが、主治医の先生からはオイルを抜いたら再発することがあると言われています。
再発するかもしれないのにオイルを抜いたほうがいいのでしょうか?手術後はどれくらい見えるようになるでしょうか?
お忙しいと思いますがよろしくお願いします。
こんばんは。ご連絡ありがとうございます。
大変な経過で、不安を感じているのだと思います。
担当の先生も頑張っているのだと思いますが、きっと重症なケースなのでしょうね。
オイルは、安全に抜くことができるのであれば、抜くべきです。将来的に濁ってしまったり、緑内障などの合併症を発症する方もいます。また、オイルが入っている期間は遠視になってしまったり、物がゆがんで見えたりすることもあります。
ただし、担当の先生のいう通りですが、オイルでどうにか押さえつけている網膜は、オイルを抜いた場合に再度剥がれてしまうこともありうるのです。
手術前にある程度の推測「大丈夫そうか?ダメそうか?」は可能ですが、実際には予想通りになることばかりではなく、残念ながら再剥離が起こってしまえば、早急に再手術が必要になります。
手術後の見えかたは、半年程度かけてゆっくりと改善するかもしれませんが、頂いたコメントからの推測では、良好な視力への回復は難しいのかもしれません。(診察をしていないので、なんとも言えませんが。)
再発時などに、中心部の視力までが低下する病態になっていたのであれば、視力の回復は難しいかと思いますが、中心部には病変が及んでいなかったのであれば、それなりの回復は期待できる場合もあります。担当の先生はなんといっておられますか?
おいくつになりますか?年齢が若い方の方が、最終的な網膜の回復力は高いかもしれませんが、病気が落ち着かない場合には重症化しやすいなどの特徴があります。
早速のお返事ありがとうございます。自分は38才です。
担当の先生は、視力はやってみないと分からないというだけで、あまり詳しく説明をしてくれません。
担当の先生は網膜剥離の専門なのかが不明ですが、一度栗原先生に診察をして頂くことはできますか?幸い通院出来る距離に住んでいるのですが、オイルを抜く手術を栗原先生にして頂くことは可能でしょうか?
もちろん診察も手術も可能です。
ただし、担当の先生も精一杯頑張っておられるのだと思います。以前の手術の状態(目のどのあたりが弱いとか、どこに創口を作成したか、どこが気になっていたか)など、詳しく分かって、次の手術に生かせるのも、もとの主治医の先生なのだと思います。
(診察を引き受けないとは言っていません。よく考えるべきだとは思いますというだけです。)
もともと網膜剥離の専門医とか、網膜硝子体の専門医という資格は日本には存在しません。自分で、網膜が専門だと名乗るか名乗らないかだけです。網膜の研究論文を書いて、専門が網膜硝子体と記載してあっても、硝子体手術を年に数件しかやらない医師もいますし、逆に、専門医を名乗らなくても数百件の手術をこなす医師もいます。
(僕は硝子体や白内障、緑内障の手術数が多いとは思いますが、どれか一つのみを専門をしているわけではありません。)
治療や病院を選ぶのは結局は患者さんの意思によるものだと思います。当院へ受診して頂けるのであれば、もちろんお引き受けいたします。外来が混む場合も多いので、お電話での予約をお勧めいたします。0299-26-3533
年齢やお名前、手術時期などから、個人の特定のリスクがあるかもしれません。コメント欄は部分的な修正が出来ないのですが、ご希望があればコメントごと消去しますので、ご連絡ください。
アドバイスありがとうございます。
来週、定期検針と手術の説明を受ける予定があります。
主治医とよく相談して考えたいと思います。
納得がいかない場合には栗原先生の診察を受けてみたいとおもいます。
ちなみに、佐野は本名ではないので大丈夫です。お気遣いありがとうございます。
前回書き込みしましたが、4月の中旬にシリコンオイルを抜いてもらう手術を受けました。
4日目に白くぼんやりみえて視野の欠けが広がったと思ったのですが、3人の医師の診察で問題ないとのことで5日目に退院になりました。それでも見え方が悪いので、土曜日に近所の眼科で診察を受けると網膜剥離が再発しているとのことでした。
本日かかりつけの大学病院を受診して、明日から入院して再手術の予定です。今回はガスで治るだろうとのことですが不安でいっぱいです。
4日目の視野の欠損は再発の前兆だったという説明でしたが、再発の前兆で視野が欠けることはあるのでしょうか。このまま同じ病院で治療を受けてもいいのか不安です。
どう思いますか?
こんばんは。遅くなって申し訳ありません。
良好とはいえない結果のようで、大変心配をされていることと思います。
再発の前兆で症状が発生していたのかは、診察をしていないので何とも言えませんが、まだ剥がれていなくても、網膜が硝子体により牽引されることによって、光が見えたりするので、これが見えたいた可能性や、手術直後と思いますので、炎症などによっても様々な症状が起こりえます。
もしかしたら、すでに網膜が剥がれていた可能性も否定はできませんが、うすく剥がれているくらいでは、通常の診察では判定できないこともあるかと思います。
網膜の中心部に近い部位であれば、OCTで簡単に分かりますが、周辺部のOCT撮影は困難です。
特殊なレンズを目に接触させて診察をすると、薄い剥離も判別しやすくなりますが、手術直後は感染症の問題で、直接接触する検査はできる限り控えようという思いもあります。
すでに入院しているのでしょうか?
今後、良い方向に経過することをお祈りしています。