東京国際フォーラムまで高速で1時間ちょっとなので、車で往復していますが、今日は寒くて雨で、交通事故渋滞が多発。行きも帰りも2時間以上かかりました。追突玉突き事後も目撃しましたが、大変そうでした。僕も気をつけなくては。
さて、今日は二つの視野検査の比較です。
静的視野(ハンフリー)vs 動的視野(ゴールドマン)
どちらも、まっすぐ前の一点を動かずに凝視して、周囲に光が見えたらボタンを押す検査で、視野(物の見える範囲)を測定するのですが、測定方法や得意不得意など、少し違いがあります。
指標
・静的視野は、光の指標が動かずに、一点でピッと光ります。
・動的視野検査は、見えない部分から光を見える部分に動かしていく検査です。
何を測定?
・静的視野(ハンフリー)は、主に中心30度の視野を、詳細・微細に測定することができ、中心に近い視野の変化をかなり初期の段階から指摘する事が出来ます。
・動的視野(ゴールドマン)は、より広い範囲で、視野全体がどんな形をしているか、そして暗点が存在するかどうかを調べることができます。
器械vs人間が測定
・静的視野(ハンフリー)は、基本的にコンピューター制御で、測定器がほぼ全自動で効率よく測定します。一般に測定時間が短く、器械が勝手に測定するため、検査員の技量で検査結果に大きな差がでにくい。というメリットがあります。医院によっては看護師さんや、助手さんが測定することもあるようです。(実際には、先日説明したキャッチトライアルなどを、どう対応するかで差が出来ますが。)
測定時間は上手に検査ができる人では、片眼10分かからないくらいです。(器械のスピードを落としたり、やり直す場合は長くなります。)
患者さんとしては、検査が一定のスピードで、ピッ・ピッ・ピッと、自動で進んでいってしまうので、理解力や体力などに不自由がある方(子供や高齢者など)が検査を受けると、上手にボタンを押せなくて、誤差だらけになってしまいます。視力の悪い患者様も、中心の光を見続けるなどが難しかったりで、検査が上手くいきません。
・動的視野(ゴールドマン)は、検査員(人間)が視標を出し、検査員(人間)が検査結果を記録します。静的視野の正確さが器械の能力に左右されるのと違って、動的視野では、測定する検査員の技量によって正確さが大きく左右されます。ですので、多くの施設で、国家資格のあるORT(視能訓練士)が検査を担当します。僕は当院のクリニックのORTを信頼していますが、かなり正確に結果が取れていると思います!
検査の時間は病態や、年齢などにより大きく異なります。視野や視力が正常で、若い患者様では片眼10分弱で終わってしまうかもしれませんが、高齢の方で、見えない場所がポツポツと点在するような、複雑な視野の患者様では片眼で30分以上かけて、じっくりと見えない場所を探していくこともあります。
高齢者や視力が悪いなどで、静的視野では上手く検査ができない患者様でも、動的視野はORTが、様子をみながらゆっくりと検査をしたり、休憩しながらも出来るのが大きな利点です。
(近年、コンピューター制御の動的視野計も発売されるようになりましたが、技術をしっかりもったORTによる検査と比べると、正確さと言う意味では、天と地ほどの差があります。)
緑内障:初期or進行期
ここまでの話は、分かりましたでしょうか?分かりやすく書きたいと思いつつ、なかなか表現って難しい・・・。
緑内障の患者様に限って、まとめるてみますと、
?初期?中期で、微細な病変を調べる場合
⇒静的視野(ハンフリー)
?静的検査が難しくなってくる緑内障の進行期、高齢者など
⇒動的視野(ゴールドマン)
と考えて頂ければOKです。
なので、高齢で検査が苦手という方を除き、若い患者様で、動的視野(ゴールドマン)の検査をして、結果のコピーを渡されている患者様は、申し訳ありませんが、少し重症なのだと思って、診療にお付き合い頂ければと思います。(1?2ヶ月に1回の検査を行います。)
最後に
費用
・静的視野は片眼3000円・両眼6000円(1割負担で600円)
・動的視野は片眼1950円・両眼3900円(1割負担で390円)
検査員の労力が少なめて、時間も早くて、器械が自動で行う静的視野の方が費用は高くて、
人間が時間をかけて測定し、ORTの専門的な技術を必要とする動的視野の方が検査が安いのです。
多くの眼科医、ORTが納得がいかない部分ですが、医療ってよく分かりませんね。
検査に使う器械が高価か、どうかで医療費が決まっているようです。静的視野はコンピュータ制御で、器械自体は確かに高いのですが。「重症例の患者さんを正確に評価するため」に必要な動的視野よりも、静的視野が高いのはどうなのだろう?