ドライアイ? 涙点プラグ

以前にドライアイについて書いていたのですが、季節がら乾燥が強く、ドライアイの悪化する患者様が増えてきています。
エアコンの風向きや、加湿器などと上手に付き合っていきましょう。

今日来た患者様で、点眼薬や眼軟膏による治療でも、角膜(黒目)のキズが消えない人がいたので、涙点プラグという治療を行いました。

涙点プラグ
http://blog.sannoudaiganka.jp/?cid=4963
2011.05.31 Tuesday;ドライアイ?治療
上記にて以前にも書いたのですが、
涙は目の表面を潤した後に、目がしらの涙点(るいてん)という出口から鼻の奥の方に流れていきます。一般の方では、涙の約10%が目の表面からの蒸発でなくなり、約90%が涙点から流れ出ていきます。
涙点プラグは、この涙の出口(涙点)に詰め物をして涙をせき止め、涙が目の表面に留まる時間を長くしよう。という治療です。

どんな人に?
?点眼薬による治療を行っても乾いてしまう場合
?点眼薬などのアレルギーで、点眼薬が使えない場合
?仕事やライフスタイル、コンタクトレンズの問題で、点眼薬治療が合わない場合
などの場合に考える治療です。

実際の治療
?目の表面に、目薬の麻酔を行います。
?涙点を先のとがったものを挿入し、少し口を広げます。
?涙点にシリコンなどで出来た詰め物(涙点プラグ)を押し込んで終わり。
痛みもなく、非常に簡単な治療で、1分?5分くらいで治療完了です。
(もちろん日帰り)

今日の患者様の左目です。(写真の左側が鼻側)

少しアッカンベーをすると、青矢印の部分に涙点、涙の出口があります。
今回は、下の涙点に治療を行いますが、同じ部位の上まぶたにも涙点はあります。

治療後です。矢印の先に、白い詰め物がされているのが分かるでしょうか?
今回の患者様は、まず下の涙点のみ治療を行いましたが、それでもドライアイがコントロールできない場合には、上のまぶたの涙点も治療をおこないます。

メリット
?点眼薬は1日に多くても6回程度が上限です。付けた直後は潤いが良好ですが、点眼と点眼の間の時間で、乾いてしまう場合には困ってしまいます。涙点プラグは、1日を通して、同様の効果が期待できます。
?人工涙液(点眼薬)は、あくまで涙の代わりであり、完全に人間の涙と同じではありません。人間の涙にはたんぱく質やビタミンなど、目の表面に必要な栄養分が含まれていますが、あまりに人工の目薬をつけてばかりいると、自分の涙が目薬で流されてしまい、目の表面に必要な栄養分がなくなってしまう事があります。涙点プラグなら、自分の涙が目の表面に滞在する時間が増えるので、人工の涙液に比べて自然な状態を保つことができます。結局のところ、自分の涙がもっとも優秀なのです。
(1日に10回とか目薬をさすのはおかしい事で、そうしないといられない。なんて人は涙点プラグなど、他の治療法を試すべきです。)
?点眼薬に対してアレルギーが出る場合や、他の疾患も合併して数多くの点眼薬が必要な患者様は、点眼薬の種類や回数を少なくすることができます。(多くの目薬に防腐剤という添加物が入っていますが、あまり多く使うと、目に毒性を示すことが多くなります。)

デメリット
?軽症のドライアイの患者様が、涙点プラグを入れると、逆に涙があふれてしまう事があります。
?若い患者様などでは、目がしらに異物感を感じたり、プラグとこすれて逆に目にキズがついてしまう事があります。
?涙の働きの一つに、目の表面のホコリや老廃物、花粉などのアレルギー物質を洗い流す。というものがあります(自浄作用)。涙点プラグは涙の出口をふさいでしまうために、花粉やホコリが留まり、かゆみやメヤニなどの結膜炎が起こりやすくなってしまう事があります。

ただし、涙点プラグは、上記の合併症などが問題となった場合には、眼科で数秒で取ってしまう事が出来ますので、あまり不安になる必要はありません。数年前からは、シリコン製の詰め物のみでなく、ゼリー状の詰め物を詰める方法も行われています。ゼリーは3ヶ月ちょっとで自然に溶けていきます。プラグがゴロゴロして合わないという場合や、プラグの前にちょっと試してみたい。という患者様などもいます。

治療後は?
?合併症がなければ、一生涯入れていてもいいプラグですが、強くこすったりすると、勝手に取れてしまう事があります。あまり、目がしらを擦らないようにしましょう。涙点プラグには0.5mm?1.2mmくらいで、いくつかサイズがあります。小さい涙点プラグを入れて、取れてしまったという場合には、より大きめのプラグを入れるようにします。一番大きなプラグを入れても取れてしまう場合には、涙点を縫いつけてしまう治療などを行います。
?上記のように、プラグを入れると、花粉やホコリが溜まりやすくなってしまうので、ホコリっぽい作業をした後や、花粉症の時期、寝る前などに、人工涙液の目薬を使用して、ときどき目を洗って清潔に保つ必要があります。

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