今日もつくば市から網膜剥離の紹介です。
写真は網膜の断裂部(裂孔)ですが、すでに黄斑も剥がれた症例で、1.0への回復は難しいようです。10日以上まえから視野が欠けていたようで・・・。受診が遅い・・・。発見後、早急に紹介してくれた先生には感謝です。11時に来院。お昼休みの12時に手術が可能でした。少しでも良好な回復を望みます。
他には、白内障手術後で手術が必要になった患者様の紹介や、硝子体出血などもあり、ちょこちょこ外来の合間に、3件の緊急手術を行いました。さすがに疲れましたが、無事に終わってなによりです。
ぶどう膜炎?
原因と全身の検査 その2
前回、ぶどう膜炎の原因となる疾患、他の全身の病気の一症状として、ぶどう膜炎を発症することがあることを記載しました。
ですので、ぶどう膜炎の患者さんが来た時には、目の検査だけではなく、体の病気も調べなければなりません。
ちなみに目の検査としては、「ぶどう膜炎??」のブログで書いたような目の中の濁りや白血球の状態を調べる検査や、視力や眼圧、蛍光眼底造影検査と言って目の中の血液の流れを調べる検査などが必要です。
左が正常、右が炎症のある造影検査の写真です。
ぶどう膜炎を引き起こす可能性がある疾患については記載しましたが、
実際には、以下のような検査を必要に応じて行います。
?問診(全て)
?口腔、皮膚、性器の診察(ベーチェット/サルコイドーシス)
?聴力(原田病)
?尿検査(腎関連ぶどう膜炎/糖尿病)
?血液検査(ウィルス/寄生虫/サルコイドーシス/糖尿/膠原病/血液疾患)
?レントゲン、CT(サルコイドーシス・リウマチ・関節炎)
?髄液検査(原田病)
?皮膚の生検やツベルクリン(サルコイドーシス)
?硝子体生検(悪性腫瘍やウィルスなど)
?遺伝子検査(原田病/ベーチェット/脊椎炎)
以上を必要に応じて、検査を行います。
実は、3割程度のぶどう膜炎は原因が不明とされており、上記の全てを行っても原因が分からないこともあるとされています。
とういか、簡単な治療で治ってしまうような軽いぶどう膜炎の場合には、上記の検査を行う必要がない場合もあります。
???くらいは、あまり体に負担がかかりませんが、
?髄液検査は「背骨に針を刺して、髄液を採取する」検査であり、体にも負担が大きく100%安全とは言えません。
?硝子体生検は、眼球内の組織を手術によって取り出すのですが、手術によってぶどう膜炎の炎症を悪化させてしまうリスクや、最悪失明につながるような合併症を起こす場合ないとは言えません。
?遺伝子検査は、現在の医学では保険が適応されず、数万円、数十万円の費用がかかる場合もあります。
それほど重大でなくても、
?レントゲンやCTは少なからず放射線被爆を受けますし、?採血だって、何項目も調べれば保険診療でも1万円の以上のコストがかかってしまう事もあります。
重度のぶどう膜炎で、治療のコントロールができない場合には、多くの検査が必要になりますが、
無駄な検査をできるだけ省いて、体への負担を減らし、医療費を出来るだけ減らし、的確な検査のみを行い、的確な診断をしていくのが僕たちの役目です。
それには、目の所見以外に、みなさんからの詳しい問診がとても重要です。体重は?頭痛は?口内炎は?など、些細な事柄でも、出来る限り協力して頂けると助かります。
個々の病気の病態や、必要な検査については、専門的になり過ぎるので、今回は記載をあきらめようと思います。