ちょっと遅れてしまいましたが、最近、医師として嬉しいことが。
実は、少し前から、山王台病院本院で、新型のMRI装置が稼働しています。
最新MRIの導入
PHILIPS社製 Ingenia3.0T
Ingenia3.0Tという機種のフルオプション搭載機器で、現時点では最高のMRIと言えます[:見る:]
人間の肉眼で体の内部をのぞく事は出来ません。(眼球は直接のぞける、非常にまれな組織です。)
体の中の状態を調べるために、昔から医療では、超音波(エコー)を使ったり、放射線を利用してレントゲンを撮ったり、さらに高度になるとCTで断面図を撮影したり。そのうち、磁場・磁力を利用してMRIという撮影が行われるようになりました。
MRIは、脳梗塞や脳腫瘍など脳の病気、脊髄の病気、腹部や女性器の病気、筋肉の病気、目の奥の眼窩の病気、現代の医学では、まだまだありとあらゆる病気の評価にとても役立ってきました。
今回、導入されたMRIはどこが新型かというと、
?通常のMRIは1Tとか1.5T(テスラ)と呼ばれる強さの地場を使用しますが、今回の機種は3T(3テスラ)という強い磁場を利用することで、画質が向上し、より詳細で正確な検査結果を得ることができます。また、検査時間も短く
なり、患者様の負担を減らすことができます。
?3TのMRIは数年前から存在しましたが、ノイズの大きさや歪みが問題となることがありました。今回のPHILIPS社製のIngenia3.0Tは、特殊デジタルコイルの開発により、強い信号強度を得ることが可能な一方、ノイズや歪みを減少し、より高画質での撮影が可能です。
?200cmと、非常に広い範囲での高速撮影が可能で、全身の撮影が行えるようになりました。
?これらにより、全身拡散強調画像の撮影によって、全身の癌検索や、癌の転移の確認などを行うことが可能になります。
これは、全身拡散強調画像:body diffusionの撮影ですが、体の様々な場所に癌が転移していることが、一回の撮影で分かってしまうのです。同じような検査を、これまではPETと呼ばれる、放射線物質(放射能)を体内に点滴で入れる検査で行ってきましたが、全く副作用のないMRIで行えるようになったことは非常に画期的です。
「全身に癌がないか調べたい。」みんなの憧れですよね。都内などで数十万円かけて、PETを取り入れた人間ドックを受ける方もいらっしゃいますが、MRIで同じような検査ができるようになるなんて、素敵です。(検査によって、得意な癌、不得意な癌がありますので、担当医とよくご相談下さい。)
僕の両親にも絶対に受けさせますが、今のところ、とにかくMRIの予約が混んでいるので、数ヶ月待ってから茨城に呼びたいなと。
これから、徐々にのせていきますが、眼科としてのMRIも取るたびにビックリしています。
専門的ですが、直筋や斜筋なんてあたり前。眼動脈や眼静脈、しかも眼動脈から涙腺に伸びる血管まで、追う事が出来ます。視神経周囲の脂肪なんかもくっきり。今まで、MRIではよくうつらなかったけど、たぶん視神経炎でしょう。なんて言っていた症例も、Ingenia3.0Tならあたり前のように撮影できるのではないかと。
新しい器械で、今まで見えなかった病気が、手に取るように分かる。こういうのって、医者としてはものすごく刺激的で、ワクワクします。幸せ[:ときめき:]