今日の午後は小美玉で井上先生と手術、夕方は県内の医院様で硝子体手術のお手伝いをさせて頂きました。
無事に終わっています。
午前の外来では、以前に一緒に仕事をした事がある、メガネ屋さんの紹介で患者様がいらっしゃいました。また、コンタクトレンズ関係の仕事の方の紹介でいらした方も。どちらも遠方からの紹介で、近くにも眼科があるかと思いますが、わざわざ当院を紹介してくれたようです。紹介の方の名刺を持参したりして。
眼科関係のかたに紹介を頂くのって、信頼関係と言うか、とても嬉しいです。
もう数年、顔をあわせておらず、連絡も怠ってしまっていたのですが、ありがたいなと思います。懐かしいというか、機会があればまたお会いしたい方って沢山います。
さて、ちょっとサボっていましたが、今日は病気の事を。
帯状角膜変性症(たいじょうかくまくへんせいしょう)
角膜(黒目)に、カルシウムなどが沈着し、角膜が濁っていく病気です。まぶたが開く隙間の部分(瞼裂:けんれつ)を中心に濁るのですが、角膜の中心部からやや下方に、横に濁りが広がります。
原因
腎臓病や副甲状腺の病気、リウマチなどの全身疾患をお持ちの方や、ぶどう膜炎、緑内障などの目の病気をお持ちの方に出やすい傾向がありますが、何の病気もない人にも出ることがあります。一部は遺伝性のものもあります。また、手術でシリコンオイルが入っている方や、一部のステロイド点眼剤の副作用などでも起こりえます。
房水の代謝異常や、涙の異常(ドライアイや、酸アルカリなどのpHの異常)などが関連しているようですが、また明確な原因・病態はまだ分かっていません。
症状
進行のスピードは人それぞれですが、進行ともに濁りが強くなり視力が低下します。また、表面がざらつくために、傷がついたりして、痛みや充血、メヤニの原因になることもあります。
腎臓が悪く透析をされている患者様の写真です。角膜の中心部より少し下方に、左右に広がる白い混濁が見えるでしょうか?右の写真は、光の当て方を工夫して、濁りが目立つように撮影しています。
今月当院にいらした患者様たちですが、上はぶどう膜炎後の患者様、中央は緑内障で手術後の患者様、下は生まれつき見えない(先天盲)の患者様です。やはり、目の病気をお持ちの方に多くみられます。
治療
ぶどう膜炎があれば、その治療を。ドライアイがあれば、その治療を。行っていきますが、明確に進行を予防する方法はまだありません。
濁りが強くなって、視力が下がってしまった場合や、痛みが強い場合には、以下の治療を行います。
?PTK(レーザー治療的角膜切除術)
角膜ジストロフィーで書いたものと、全く一緒です。以下参照。
http://blog.sannoudaiganka.jp/?eid=138832
濁った角膜をレーザーで削り取ってしまう術式です。安全で、よい成績が期待できますが、残念ながら、様々な理由で保険適応が得られず、自由診療だと費用が高めになります。また、治療後にはメガネなどの屈折が遠視となります。
?濁りを溶かしちゃう。
まるで化学の実験のようですが、酸でカルシウムの結晶を溶かしてしまおう(キレート)。といった治療です。塩酸やEDTAと呼ばれる薬品を使用します。結構簡単に溶けだしてしまうのですが、あまり溶かしすぎると、角膜が濁ってしまうなどの副作用が出ることがあり、注意が必要です。点眼麻酔で数分の治療です。
?ゴリゴリ削り取る。
レーザーや薬を使わずに、鑷子などでゴリゴリ削り取る。という、かなり古典的な治療法です。視力の回復という意味では、上記の??にはかなり劣ります。他の病気などの状態で視力があまり期待できない場合や、カルシウムがガッチリと硬く付いている場合などに、仕方なく行ったりします。これも点眼麻酔で数分の治療です。
?や?は保険診療で、1割負担で2650円の手術になります。
どの治療法も、一度濁りをとっても、再発する可能性があります。
また、何度も何度も削ったり、溶かしたり出来るものではありません。
治療によって、角膜の表面にキズが出来るため、キズが治るまでの数日間は、けっこう痛みがあります。このため、痛みがなくなるまでの間は、ソフトコンタクトレンズで表面を覆うなどして経過観察を行います。
はじめまして。
私は、京都博愛会病院薬剤科に勤務しております。
当院の眼科医師より、突然「EDTAの調整をして欲しい」という依頼がきたので、ネットで検索しておりましたら貴院の情報、そして先生のブログにたどり着きました。
突然の事で大変失礼とは思いましたが、EDTA、もしくは1%塩酸の具体的な調整方法などを押していただきたく、コメントを送信させていただきました。
お忙しいとは思いますが、お連絡をいただけましたら、幸いです。
社会福祉法人京都博愛会 京都博愛会病院 薬剤科 島祥子
こんにちは。
現在は塩酸を使用していますが、詳細はお電話等にて連絡させて頂きます。
テスト送信
後ほど、相談させて頂きたいことを送信いたします。
はじめまして
先生のブログが素人の私にも理解しやすくとても助かっております。有難うございます。
ご多忙な中申し訳ございませんが、どうぞよろしくお願いいたします。
帯状角膜変性の塩酸やEDTAの処置の違いについてお教えいただきたいです。
娘がぶどう膜炎(若年性関節リウマチ)で、現在ヒュミラとMTXで炎症が落ち着いていますが、右目は帯状角膜変性で矯正視力が、0.2です。
発病してからもうすぐ10年で関節は発症当時から軽い症状です。
両目白内障術、緑内障の手術ずみです。目の方はH27年4月にヒュミラを始めてから安定しておりますが、それまでは炎症があり、
ケナコルトやデカゾロンを注射した時期もあり、炎症に振り回される毎日でした。
炎症のことを考えたり、一年前は右目の鼻の上の視野が一部欠けている事が判明して、両目続けて緑内障手術したりと、次々いろんな問題がありました。
今始めて、目の状態が落ち着き、以前からずっと視力低下に影響していて、気になっていた帯状角膜変性を手術できないものかと思うようになりました。
主治医の先生のお話は、レーザーでの手術が中心で、塩酸やEDTAはほとんどご経験がないようでした。こちらが希望すれば塩酸やEDTAをして下さるが、レーザーがおすすめのようです。
私としましては、ぶどう膜炎はこれからも一生続くと思われます。レーザーは何回もできないので、また帯状角膜変性になった時の為、今レーザーはしたくありませんし、レーザーは角膜が薄くなるので正しい眼圧が測定しにくいと聞きました。
質問? 上記理由でレーザーではなく塩酸かEDTA希望ですが、栗原先生もレーザーのほうが良いとお考えですか?
質問? とても失礼な話ですが、塩酸やEDTAは、ご経験が少なくても簡単な手術なのでしょうか? こすりすぎると濁ってしまうともあり心配です。
質問? 栗原先生は現在塩酸を使っておられるとのことですが、どうしてですか?塩酸とEDTAの違いはなんですか?どちらがおすすめですか?長所短所は?どちらも同じくらいの火傷したようになるのでしょうか?
質問? いま軽い帯状角膜変性のようですが、このまま取らずに置いておいたら、今よりいっぱいこびり付いてきた場合は塩酸やEDTAでこすり取れず、いきなりレーザーですか?
主には、塩酸とEDTAは誰でも簡単にできる手術なのかとても気になっています。それから、塩酸とEDTAのどちらを選ぶか?です。
ご迷惑おかけします。どうぞよろしくお願いいたします。
こんばんは。
?混濁の程度や状況によってどちらがいいとは言えません。
肉眼で分かるような白く石灰化しているようなケースでは、レーザーよりも手術的な切除+薬の方が良好です。
また、通常は緑内障手術後や、緑内障の患者さんはレーシックを含めてレーザー治療の適応に含まれません。何かの間違いではないかと・・・。「レーシック、緑内障」などで検索してみてください。術後の眼圧測定が難しくなってしまいますし、治療時にはものすごい高眼圧になります。
?すごく簡単です。非常勤先で他の先生に1回指導すれば、2回目からは全員簡単に自身で手術をされています。
?塩酸の方が購入・管理・保存が楽だから。という理由です。安全性や治療成績は両者同等です。
?軽い混濁に向いているのがレーザーで、ある程度以上になるとレーザーの出力を均一にかけることができなくなるため、手術になります。
ご多忙な中、丁寧な御返信いただきまして誠に有難うございます。
娘は、緑内障をもっていることを忘れずに治療方法を考えていかないといけないですね。
栗原先生に大切な事に気づかせていただき有難うございました。
これ以上絶対に視野を欠けさせてはいけないことを肝に銘じておきたいと思います。
レーシック 緑内障で検索してみました。
基本、緑内障はレーシックを受けることができないのが、一般的であると知りました。
フラップ無しのPRK手術なら緑内障でも受けれるように書いてあるページがありました。
主治医の先生説明では、エキシマレーザーで削り、蓋をするようには話されていなかった。様に思います。
エキシマレーザーで蓋アリは高眼圧になる可能性があり?
エキシマレーザーで蓋無しは高眼圧にならないという事でしょうか?
娘の場合は、帯状角膜変性の濁りがあるのでボーマン膜も削ってしまわないと、濁ったボーマン膜で蓋をすると又濁りで見えないように思います。
主治医の先生はレーザー手術おすすめと話されていました。
質問?
しかし、緑内障でエキシマレーザーはしないのが一般的なのに
エキシマレーザー蓋無しで本当に緑内障を進ませてしまわないのた不安です。
質問?
エキシマレーザーでした場合と塩酸での場合と、術後いつから眼圧測定できるのでしょうか?眼圧の変動が心配です。
質問?
塩酸やEDTAも眼圧上昇するのでしょうか?
質問?
軽い帯状角膜変性でも塩酸が向いてないという事はないのですね?
質問?
レーザーした場合、近視の人は度数が弱くなると聞きましたが、現在娘は白内障手術も両目してありますので遠近両用メガネです。
帯状角膜変性の手術予定の視力が
視力検査は-9.0 -1.5 A40度です。
眼鏡は-5.25 円柱-1.5 軸度90 加入度+2.75です
レーザー手術すると老眼の場合は、度数どうなるのでしょうか。
質問?
エキシマレーザー術後はコンタクトレンズも使用しない方が良いのですか?角膜を削っているからフィット感にかけ、傷ができるとありました。(ぶどう膜炎もあるのでコンタクトは不可だと思うのですが、娘が年頃になったら、短時間でも良いのでコンタクトレンズしたいらしいのです。勝手な質問ですみません)
栗原先生に勉強させていただいて、また主治医の先生に相談したいと思います
知識を栗原先生のおかげで深めることができています。有難うございます
質問攻めで申し訳ございません。
お時間的に、お答えいただける範囲でどうぞよろしくお願いいたします。
レーザーが望ましくないのは、治療時に眼球を押し付けて固定するときの一過性高眼圧もそうですが、なによりその後の眼圧検査の信頼性が薄れてしまうことがメインの理由です。
末期の緑内障を除いて、治療時の影響はあまり考える必要はありません。
薬剤での手術は基本的には眼圧に影響を及ぼしません。
レーザーで角膜を削ると近視が軽減します。
どの程度削るかは、混濁の状況によるので何とも言えませんが、現状で強度近視のようですので、屈折矯正という点においてはレーザー治療が有利かと考えます。
いづれにしても、緑内障の病態や角膜変性の程度が正確にわからないとと何とも言えません。主治医の先生ともよく相談ください。
御多忙ですのに、都度お返事をいただきまして本当に感謝しております。
栗原先生のおかげで、知識を深めることができました。
主治医の先生とも話し合い、塩酸で削り取ることとなりました。
これからもぶどう膜炎はずっと続くと思われます。
先の長い娘の人生、帯状角膜変性が再発するでしょうし、正確な眼圧の数値管理していきたいので、塩酸での処置を選びました。
色々とお教えいただきまして本当に有難うございました。
無事に帯状角膜変性の塩酸処置を終えて落ち着いています。
少し視力も上がり塩酸で良かったです。
塩酸処置の当日と翌日はかなり痛がっていましたが、みるみるうちに目の周りの荒れも取れ、痛みもなくなり炎症も出ず
無事に学校生活を送っています。
御多忙ですのに、私のような質問にお答えいただき感謝しております。有難うございました。
部外者ですが
この書き込み並びに遣り取りは
非常に有効なネット上の情報資源として
助かる人は多いと思います。