血管新生緑内障? 術後管理

すごい雪ですね!さすがに、今日の外来は予約変更が多くなり、とても空いていて、のんびり出来ました。
午後の手術は以下を行いました。
・眼瞼腫瘍(乳頭腫)1件
・結膜腫瘍(皮類腫?脂肪腫?)1件
・外斜視(前後転)1件
・白内障手術 7件
・網膜硝子体手術(茎離断・黄斑前膜)1件
無事に終わっています。手術も少なめで、4時ちょっとには終了。
今日は早く帰って、子供の相手も出来ました[:子供:]

血管新生緑内障 術後管理
緑内障の手術は、実は手術自体よりも、術後の処置をいかにしっかりやるかのほうが重要です。
例えば、白内障の手術では、もちろん術後の目薬をつけて頂くことは必須ですが、基本的には、医師の手術さえ上手くいけば、そのまま成功となります。適当な数字ですが、重要度を数字で表すと手術が99%、術後の管理は1%といった程度かなと。
網膜剥離で硝子体手術を行った場合には、手術が上手くいっても、術後の「うつ伏せ」を協力をして頂けないと、なかなか治りません。成功するためには、手術が50%、患者様のうつ伏せの努力が50%です。
緑内障(トラベクレクトミー)の手術はどうかというと、「手術は切って縫うだけ。」です。簡単だとは言いませんが、成功するための重要度は手術が20%、術後の管理が80%と、手術よりも術後の管理のほうが大切だと、僕は思っています。術後の処置も少なからず痛みがあり、患者様の協力+医師の能力の両方が必要です。

トラベクレクトミーの術後管理
前回、トラベクレクトミーという緑内障手術では目に穴を開けて、房水を目の外に流す。と言う事を書きました。この穴・流れ路を上手に保つ管理について記載します。

痛そうですが、手の平に釘をさして貫通してしまった方がいたとします。病院で釘を抜いて、消毒して・・・。1日か2日も経てばキズ・穴はふさがってしまいますよね。人間の体には、組織に癒着を起こすなどして、キズをを治そうとする働きが備わっています。
緑内障手術で、せっかく水の流れ路(バイパス)を作ってあげても、キズが癒着してふさがってしまえば、手術の効果が全くなくなって、眼圧が上昇してしまいます。
では、キズがふさがらないように大きな穴を開ければいいかと言うと、あまりに水が漏れ過ぎてしまえば、眼球は凹んでつぶれてしまします。
ですから、緑内障の手術では眼球が凹むほど大きな穴ではなく、かつ、ある程度の水が流れて、眼圧が高くならないように。なんていう、ちょうどいい穴を作成することが目標です。個々の患者様によりますが、多くは5?15mmHg程度の眼圧に落ち着くようにします。

この水の流れ路は、手術のみで出来てしまうわけではなく、術後の管理によって、その都度、微調整しながら、1週間?2週間程度かけて安定した流れ路を作成していくのです。

個々の患者様の状態によって、「癒着が早そうだから、少し大き目なキズを作ろう。」とか、多少色を加える事はありますが、実は手術で作るキズの大きさや、形などは、日本中の眼科で、ほとんど大差がありません。みんな同じような手術をしています。
同じ手術をしても、癒着が早い人、遅い人、いろいろな人がいるので、手術後の経過をみながら、適切な処置を行う事で、如何に微調整をしていくかで成績が決まります

癒着が進んで、眼圧が上がってくる場合
?マッサージといって、眼球を押して、一過性に眼圧を無理に上昇させ、キズ口から水を流して、キズを開きます。下を向いて頂き、医師が上まぶた圧迫しますが、患者様は少し痛みがあります。ご協力下さい。キズが安定したあとは、ご自身で行って頂く場合もありますが、術直後のデリケートな時期には医師のみが行います。
?キズを縫った糸を切ることで、キズを開きます。レーザー切糸と言いますが、レーザー光線は結膜などの組織を素通りして、強膜を縫いつけた糸のみを切ることが可能で、とっても便利です。ちょっと分かりにくいので、次回きちんと説明します。
?手術:手術から時間がたっていて癒着が強い場合には、手術室などで、針を使って癒着をはがしたり(ニードリング)、再手術をしたりします。

癒着が遅く、水が漏れ過ぎて、眼圧が低すぎる場合
?安静、力を入れない、目を押したりこすったりしない。癒着が早い時のマッサージと同じで、水が勢いよく流れると、キズが開いてしまうので、なるべく安静にします。目薬をつける時にも眼球を圧迫しないように、少し目の縁から離れた部位を引っ張るなど気をつけましょう。目を押さないことは、手術後に最も重要なことです。手術を受けた患者様は頑張りましょう!
?目の中にゼリー状の物質などを注射して、さらさらの房水と入れ替えることで、キズ口からの水の漏れを抑えて、癒着を早める方法もあります。
?圧迫眼帯といって、キズ口の上を抑えて、水の流れを減らして癒着を進めたりします。
?キズ口を縫いなおす。なかなか眼圧が上がらない場合には、必要になります。

最終的に、多くの場合では1週間?2週間もすると、キズ口の癒着や、房水の流れ路の幅などが安定していくため、検査や通院の間隔を延ばせるようになります。
女性が耳にピアスをあけて、ほっとけばすぐに穴が閉じてしまいますが、安定すると、しばらく何もしなくても、穴が開いたままになるのと似てますかね??

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