シリコンオイル

今日の午後は県南の眼科医院様で手術をさせて頂きました。
・白内障手術 3件
・網膜硝子体手術 2件
 (網膜剥離、増殖糖尿病網膜症)

40才程度と非常にお若い患者様ですが、写真のように、眼球の奥、網膜にべっとりとカサブタ(増殖膜)が張っていて、表現が悪いですが、グシャグシャといった状態です。
(写真の中心部の白色の組織が、左上、左下、右下のほうに伸びていますが、それが全てカサブタです。中心部のやや右上にオレインジ色のものが見えますが、そこが視神経乳頭と呼ばれる組織です。)
すでに網膜が皺だらけですが、このままカサブタのヒキツレが進むと、やはり失明してしまうので、手術で取り除く必要があります。

手術では目の中に器械を入れて、ピンセットのようなものや、小さなハサミを使用して、カサブタを取り除きます。最近は、ほとんどの手術で25Gと呼ばれる小さな、細い器械を使用して手術をするのですが、本日は、あまりに重症例であり、20Gと呼ばれるかなり大きな器械を使うことになってしまいました。

増殖糖尿病網膜症手術では、カサブタをとっても、すぐに網膜の皺が伸びて、平らになるわけではありません。多くの症例では空気を目の中に入れて、うつ伏せをすることで、浮力を使用して皺を伸ばします。数日たつと空気が吸収され、房水とよばれる体液に置換されます。(空気を入れない場合もありますが、この場合は、最近は学会で定められ、増殖手術とは呼びません)
本日の症例は超重症であり、数日でなくなってしまう空気では、病気を抑え込むことは難しいと思いましたので、久しぶりにシリコンオイルとよばれる物質を使いました。

シリコンオイルを目の中に入れて手術を終えると、オイルが網膜を押しつけて、皺を伸ばしたり、網膜剥離を予防する効果があります。空気に比べると、そういった意味では治療効果が高くなります。ただし、シリコンオイルが入っている間は、遠視になったり、物が歪んで見えたりします。また、長い間では濁ってしまったり、緑内障と呼ばれる病気の原因になることもあり、ある程度落ち着いた時点で再手術をして、除去する必要があります。
空気の場合は、自然に抜けていき、再手術もいらないのと比べると、このような点がデメリットになるため、重症例で主に使用されています。

シリコンというと、女性が胸に入れたり、お相撲さんが頭に入れるなど、美容整形的な面がありますが、眼科では治療用の物質として非常に大事な役割があります[:ひらめき:]

と、先ほど高速で帰ってきましたが、交通事故で外傷の患者様が救急車で来院、緊急入院しておられました。外傷性前房出血、硝子体出血、高度の続発性緑内障(高眼圧症)で、視力は全くありません。ひとまず様子をみますが、手術にならずに治ってほしいな。やっぱり忙しい・・・。もう一人くらい眼科医がほしいな。

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 鉾田市)

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