今日は緊急、重症の患者様はおられず、比較的落ち着いた日でした。
高齢の方の涙目の治療で、NSチューブというのがありますが、1日に3件やったのは初めてで、ちょっと疲れました。治療自体は比較的簡単なのですが、麻酔など少し痛い治療のようで・・・。痛い治療って、気分的に、お互いになんとなく嫌ですよね。NSチューブのブログもまだ書いていませんが、おいおい頑張ります。
さて、久しぶりに白内障の手術でも。
白内障手術 乱視矯正?
トーリック眼内レンズ(乱視矯正レンズ)
以前に、当院で白内障手術をする時には、必ず全ての患者様に、乱視を少なくする努力をしていることを記載しました。
詳しくは⇒http://blog.sannoudaiganka.jp/?eid=140047
前回は、強主経線切開といって、白内障手術のキズ口の作る位置によって乱視を減らす方法を書いてみたのですが、強主経線切開による乱視の矯正効果は、比較的小さいもので、乱視が弱めの人に行う治療です。
今回は、当院で現在最も多く行っている乱視治療について書いてみます。
白内障手術では、濁った自分のレンズを取り出して、人工のキレイなレンズと交換するのですが、この人工のレンズ(眼内レンズ)に乱視の度数を加えたレンズが、トーリック眼内レンズ(乱視矯正レンズ)になります。
眼内レンズの写真ですが、左の写真の赤矢印の先に、小さな3つの点があるのがわかるでしょうか?これが、このレンズに加えられた乱視の方向(軸)の目印になります。右も同じレンズの写真ですが、青方向と、緑方向でレンズの度数が異なる構造となっています。
実際の例です。手術の前に角膜トポグラファーという検査の器械で、角膜(黒目)の乱視成分を測定します。この症例では、横方向の歪みが強いようです。
ちょっと専門的なのですが、この歪みの強さ(度数)や、縦か横かなどの方向(軸)の数値をコンピューターで計算すると、
こんな結果が出てきます。
この患者様では、4度、横方向にレンズを入れるといいみたい。
手術の前に、どの方向(軸)にレンズを合わせるかなどをチェックして。
いざ手術。
手術では、白内障の濁りを取った後に、小さく折りたたんだレンズを目の中に挿入します。
目の中にいれたレンズが広がると、赤矢印の先に乱視の方向(軸)を表す印が見えます。この患者様は、横方向にレンズを入れると乱視が減る予定なので、針でつっついて、レンズを目の中で時計回しに回転させています。
最後は、こんな感じ。とってもキレイに入りました。
今までは、乱視の強さが3段階のレンズしかなかったのですが、昨年からかなり強い乱視まで7段階に矯正できるようになり、手術後に乱視が強すぎて・・・。なんていう症例はまずいなく、とっても役立っています。
乱視用のトーリックレンズは、日本では2009年から発売されていますが、本日の時点では、アルコン社(レンズ販売数世界1位)という会社からしか発売されていません。
独占販売だから?なんと、定価は1枚15万円とかして、日本で使用できる眼内レンズのなかで最も高価です。(当院はこのレンズが手術総数の3?4割とかなり多いので、割引して頂いてはいますが。)
保険診療では、患者様が支払う費用はどんなレンズを入れても一緒なので、出来るだけいいレンズ、少しでも乱視が減って、よい視力が得られるレンズを。と思って、トーリック眼内レンズを使用しています。