今日のお昼は以下の手術を行いました。
・眼瞼腫瘍切除 1件
・眼瞼下垂症手術 1件
・麻痺性内斜視 1件
・白内障手術 5件
無事に終わっています。
さて、黄斑円孔の続きです。
黄斑円孔? 原因
黄斑円孔の原因を分類すると、以下のようになりますが、
?特発性(加齢に伴う後部症下剥離に伴うもの)
?近視性(強度近視に伴うもの)
?続発性(黄斑前膜など、他の病気によるもの)
?外傷性(外傷により後部硝子体剥離が早まった場合など)
最も多いものは特発性と呼ばれる、加齢に伴って起こる病態です。
加齢に伴って、目の中の硝子体が収縮し、後部硝子体剥離と呼ばれる現象が起こることを以前に書きました。(⇒後部硝子体剥離について以前のブログ)
硝子体の収縮により、正常な目では、網膜と硝子体が問題なく分離・剥離していきます。ところが一部の患者様で、網膜と硝子体の癒着が強い場合に、網膜をビリっと破いてしまう場合があります。黄斑は構造上、薄く弱いという特徴があり、後部硝子体剥離によって、黄斑部の網膜がビリっと破けて、硝子体にくっついていってしまうと、黄斑にぽっかり丸い穴が開いてしまうのです。
若い時の硝子体は、目の中いっぱいに広がり、黄斑部でも網膜と硝子体はペッタリくっついています。
加齢に伴って、硝子体が前の方に向かって収縮を始めます。通常は網膜と硝子体はキレイに離れていきますが、黄斑部での癒着が強いと、硝子体が黄斑を引っ張ってしまいます。OCTでは水色矢印の先に白い線が見えますか?これは硝子体の最後方の境界が写っている画像です。このような状態を黄斑牽引症候群といって、黄斑円孔のリスク群(予備群)として、ゆがみを自覚したりします。
さらに硝子体が収縮した場合にも網膜との癒着が取れないと、網膜がビリっと破れてしまい、黄斑部の網膜が硝子体にくっついて連れ去られてしまいます。OCTで水色矢印の先が硝子体の境界です。ピンク矢印の先に破れた網膜の断片が写り、黄斑部がポッカリと穴になってしまっています。
そんなわけで、
後部硝子体剥離を原因とする裂孔原性網膜剥離と同じようになりますが、
特発性黄斑円孔の原因をあえて上げようとすると、
●生まれ持った性質(黄斑部の網膜が薄い、硝子体と網膜の癒着が強い)
●加齢
という事になりますので、なにか悪いことをしたのかな?などと後悔をする必要はなく、「病気になる人はなる。」という程度にお考えください。
他の黄斑円孔の原因としては、
?強度近視のかたは、網膜が薄く、眼球の形状にも問題があり、黄斑円孔が起こりやすくなったり、重症化しやすくなったりします。
?網膜剥離などで硝子体手術後やレーザー治療後、黄斑前膜でカサブタのヒキツレにより網膜が断裂してしまう場合、
?外傷による外力で、穴が開いてしまう場合などがあります。
?については、網膜剥離の手術後などは、どんなに落ち着いても、1年に1回などの定期通院をお勧めする理由になります。