今日は以下の手術を行いました。
・眼瞼下垂症手術 2件
・加齢性下眼瞼内反症(逆さまつ毛)1件
・瞳孔形成術+眼内異物除去 1件
・白内障手術 6件
・網膜硝子体手術(茎離断:黄斑前膜)1件
・緑内障手術(バルベルトインプラント)1件
みなさん無事に終わりました。今日は片眼の方が多くちょっと少なめ。
最後の症例は、重症例の緑内障のみに今年の4月から正式に保険診療で認められた術式です。今日の方は、大学病院などで両眼ともにそれぞれ3回以上も手術をされている患者様でしたが、なかなかコントロールがつかずに新しい術式で対応させて頂きました。
技術としては難しい手術ではないのですが、昔の手術の癒着がひどいのと、まだ僕が慣れないせいもあり、50分ちょっとかかってしまいました・・・。もっともっと勉強・修行が必要です。
今日の緑内障の手術方法なんかもブログに載せようとか、書きたいことがいっぱいあるのですが、なかなか忙しくて・・・。とりあえず、地道にすすめていきます。
白内障手術 乱視矯正?
LRI(乱視矯正角膜輪部切開)
最近は、白内障手術を行う時には、ついでに乱視(眼球のゆがみ)を補正してしまおう。というのが、多くの眼科で流行ってきているようです。
当院は特に乱視の軽減に力を入れており、以前に主な方法について書きました。
⇒白内障手術 乱視矯正? 強主経線切開
⇒白内障手術? トーリック眼内レンズ
最近は?のレンズの開発が進み、かなり強い乱視までを補正できるようになってきています。
なので、なかなか出番がないのですが、最近行った乱視矯正の患者様が今週再診でいらしたので、そこから話題を。
眼球が完全な球体であれば乱視がない状態、ラグビーボールのようなキレイな楕円状にゆがんだ状態を正乱視(せいらんし)と呼びます。そして、眼球がデコボコとしていびつにゆがんだ状態を、不正乱視(ふせいらんし)と呼びます。
上下左右対称のような、キレイなゆがみの乱視(正乱視)には、トーリック眼内レンズによる補正がとても有力で、かなり強度のゆがみまで補正出来るようになってきています。
ところが、デコボコにゆがんだような不正乱視にトーリックレンズを入れると、相性が悪くて余計に見えにくく感じてしまう症例があることが分かっています。
こんな時には、角膜(黒目)を切り刻むことで、角膜の形状を変化させ、乱視を軽減させる方法が有用です。
白内障手術 乱視矯正? 強主経線切開でも書いたのですが、基本的に角膜を切開すると、切り込みを入れた方向の角膜のカーブが和らぎ、その方向の近視の度数が減弱します。
昨年末に翼状片という角膜(黒目)の上の出来物を切除した69歳の女性です。(本当は、こんなに大きくなるまで放っておいてはいけません。)
これは、翼状片切除手術後、一週間の写真ですが、一見かなりキレイになっています。
今回、約半年過ぎで前回手術後の角膜のキズや形が落ち着いたことと、70歳になって1割負担になったころから、白内障の手術が予定されました。手術の前の検査で角膜(黒目)のデコボコさ加減を、精密に測定する角膜トポグラファーで撮影をしてみると、
写真や診察ではキレイに見えても、実際には角膜はデコボコで、専門的ですが、-5.75Dというかなり強い乱視が残ってしまっています。このまま白内障手術をしたのでは、裸眼の視力はかなり悪いものとなってしまいます。
そこで、手術では角膜を切開して、どうにか目玉がマル、球体に近づくようにと頑張ります。
6月4日の手術ですが、
?まず、通常の白内障手術で、強主経線切開を行い、少しでも乱視を和らげます。斜めの乱視が強いのですが、青線の方向の乱視を弱める効果があります。
?次に、手術前に角膜トポグラファーで撮影した角膜のゆがみを補正するように、角膜に切開を加えます。
右が切開後ですが、わずかに出血の赤い線が見えるくらいで、肉眼ではあまり片がが分かりませんね。
こんなナイフを使って、角膜に切り込みをいれます。
基本的に、角膜の厚みを測定し、角膜90%の深さを切開をします。残りが10%しかなくなるので、かなり深い切り込みを入れることになります。強い乱視を補正するには、長い切り込みをいれ、弱い乱視を補正するには短い切り込みをいれるのですが、やり方は施設毎にある程度は異なりますので、詳しくは担当の医師にお聞きください。
これは、6月11日の外来で撮影した術後のトポグラファーですが、キレイとは言えませんが、かなりゆがみが減少して、乱視の度数を-1.69Dまで軽減することができました!患者様にもとても喜んで頂いています。
最近はトーリック眼内レンズの普及で、LRIを行う事がだいぶ減りました。上記のような角膜がデコボコの特殊な例(不正乱視)に行うだけなので、月に1件とか2件とか。
ところが、ちょうど最近、正乱視でもLRIをやった症例がいたので、ついでに。
6月6日に手術をした80代の女性ですが、黄斑前膜という手術を行います。既に他院で白内障手術が済んでおり、眼内レンズが入っているため、トーリックレンズが使えません。
トポグラファーと照らし合わせて、切り込む位置に目印をつけます。
角膜の厚みの90%まで切開できるメスをつかって、黒目の両脇に切開を入れます。
黒目の両脇に赤い出血の線がみえますか?
引き続き、黄斑前膜の手術を行います。
(LRIはついでに行い、無料です。)
左が手術前、-3.25Dの乱視がありましたが、2日後の検査では右側、-1.0Dの乱視にまで軽減できています。
こんにちは。
職場で山王台の眼科の評判がよかったので、先日かかりましたところ、白内障と診断されました。
先生も看護士さんも非常に丁寧で、病院もホテルのような清潔感がありましたし、白内障の写真をもらったりと、総じて満足しました。混んでいるのも納得しました。
しかし、どうにも納得がいかないのが、手術が4ヶ月も5ヶ月も待つのは、通常の考えとしてはおかしいのではないかと思います。
視力が悪くて困っているから病院に行ったのに、それを4ヶ月も我慢するのは、患者としては納得がいきません。
待合室で、遠くから手術をしに来ている人が沢山いるという話を聞きましたが、先生は白内障はどこでも受けられると仰りましたが、それなら石岡の人間を優先するとか出来ないものでしょうか。
こんばんは。返信が遅くなりすみません。
お褒めの言葉と貴重なご意見を頂き、誠にありがとうございます。
手術の順番待ちについては、皆様に大変申し訳なく思っています。本来、手術を行う曜日を増やすなどがいいのだと思いますが、現時点では外来の時間を減らすこともできず、当院の手術枠は月曜のお昼と、水曜日の午後のみとなっています。(緊急手術を除く)
少しづつですが、手術の枠を増やしているのですが、やはり手術は安全が第一ですので、手術時間を無理に短縮したり、急いで雑に手術をすることはできませんので、急激に増加させることはできません。
白内障手術は緑内障の合併などを除き、多くの場合で緊急性がないので、少し甘えさせて頂いている部分はありましたが、今後、出来る限りご期待に添えるように努力して参ります。
特殊な症例を除き、通常の白内障手術の成績では、施設によってものすごく差があるものではありませんので、順番待ちが難しい場合には、現時点では他院様へ転院頂くのも手段の一つとしてお考えください。
また、私個人としては、県内でも他に数か所で定期的に手術をさせて頂いていますが、通院距離に問題がなければ、そのような関連施設様にて対応させて頂くことも可能です。
(同様のケースで、関連医院様に紹介をさせて頂いている患者様が数名おりますが、takashi様は当院で予約中の患者様でしょうか?もしご希望があれば、対応致しますのでご連絡頂ければと思います。)
昨日のブログにも記載しましたが、来年度以降、施設やスタッフの拡充、手術枠や外来枠の見直しなど、改善に努めたいと思います。貴重なご意見をありがとうございました。