今日の午後は小美玉市医療センターで、井上先生と一緒に手術でした。
・白内障手術 9件
・老人性下眼瞼内反症(逆さまつ毛)1件(眼輪筋縫着)
無事に終わりました。
いつもは、そのあと夕方から、開業医様のお手伝いに行くことが多いのですが、今日はお休みだったので早めに帰宅ができ、久しぶりに子供の寝かしつけを頑張ってみました[:子供:]
たまには、眼科の珍しい病気を書いてみますね。眼科医って、目のことしか診療できない医師が多く、医師の中ではちょっと情けない?ように思えますが、でも目の病気も数えられないほどあるのですよ!なんて。
アルビノ(先天性眼皮膚白皮症・眼白皮症)
メラニン色素って、聞いたことがありますか?体を紫外線などから守るために、メラノサイトという細胞が作る色素ですが、どちらかというと女性の天敵??というイメージを持つ方もいるかもしれません。茶色や黒の色素は、体の皮膚、頭髪、そして眼科では茶目(瞳孔・虹彩)に多く見られます。
アルビノは、このメラニン色素の合成に何らかの問題があり、色素が上手く作ることができない病気です。全身的、皮膚や頭髪などにも変化を認める物を先天性眼皮膚白皮症、全身的には目立った異常はなく、眼球内だけに異常を認めるものを眼白皮症と呼びます。
原因は遺伝子による異常で、先天性(生まれつき)の問題になります。様々な病形がありますが、男女を決定する遺伝子に問題があることが多く、患者様の多くが男性になります。(後天性;生まれてから病気でメラニン色素の障害がおこる病気もあり、ぶどう膜炎という病気の中の原田病というものが有名です。)
残念ながら、今の医学では完治を目的とする治療法がなく、色素を正常に戻すことはできません。各症状を和らげるための対症療法が中心になります。
先日、当院にいらした片目の眼白皮症、アルビノの男性です。
明らかに、茶目(瞳孔・虹彩)の色の違いが分かると思います。
眼底も、
同じフラッシュの量で、同じ撮影法ですが、色素の違いが分かるかと思います。
写真左の右目がアルビノですが、左目は正常です。
この方は、片眼性ですが、軽度のものでは、茶目(虹彩)のごく一部だけのものや、両眼性、全身性など、軽症?重症のものまで様々です。
当院の別の患者様ですが、より色素が薄く、黄斑の形成不全があり、残念ながら0.1以下の弱視の症例です。
メラニンは、お母さんのおなかのなか(胎生期)でも、黄斑などの目の形成に役割があるようで、軽症の一部のアルビノの患者様を除いて、多くの場合に黄斑の形成不全などが起こります。
また、眼科では、メラニンはぶどう膜(虹彩・毛様体・脈絡膜)に存在するのですが、虹彩(茶目・瞳孔)や脈絡膜は、目の中に入る光の量を調節したり、暗室効果に役割があり、メラニンが少ないと、羞明(しゅうめい)と言って「まぶしさ」を感じやすかったり、羞明を避ける目的などから、眼振(がんしん)と言って「目がゆらゆら揺れたり」が起こり、視力や見え方を阻害するようになります。
これらにより、多くのアルビノでは、弱視といって眼鏡をかけても視力が1.0未満、重症例では0.1以下となってしまう事があります。
羞明・眩しさには、サングラスや、虹彩付きコンタクトレンズなどを処方して、症状を軽減したり、
弱視が原因で斜視が起これば、手術をしたりしますが、そのような対症療法を行うのは、ある程度の年齢になってから行います。
本当は赤ちゃんの時から、虹彩付きコンタクトレンズなどの装用が出来れば、障害の軽減や、よりよい発達につながるのかもしれませんが、赤ちゃんにそのような治療を行うのって、現実的にはできないのですよね・・・。
軽症例で、「ちょっと眩しい」なんていう患者様にサングラスの話をするくらいならいいのですが、重症例で、弱視・眼振・斜視などがある場合には、残念ながら、僕ら眼科医が役立つことは殆どできません。
無力・・・。先天性の病気って嫌だなぁ。
では、何もできないなら、診療はいらないのか?というと、そうではなく、重症・軽症によりますが、ある程度の定期検査は必要です。
上記の片眼のアルビノの患者様の隅角(目の中を循環する房水の出口)の写真ですが、こういった部位もやはり正常とは言えません。将来的に緑内障などの病気を発症する可能性も通常よりは高くなります。この症例でも1年に1回の定期検査をお勧めしています。
今日も最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。
はじめまして、板東厚二郎と申します。
先天性の白皮症です、最近特に日光が眩しく感じるようになっています、視力も下がっているのですが、やはり白皮症の原因もあるのでしょうか!
目の色は正常です、ただの勘違いであればよいのですが、一度眼科でよく検査
した方がいいですか?
これまで特に紫外線対策もしてこなかったです!
ご回答のほど、よろしくお願いします。
こちらのアドレスまでご回答お願いします!
遅くなってすみません。
瞳孔の色が茶色(正常)でも、眼底の色素は欠損している部位がある可能性はあります。眼科で1回でも診察を受けて頂くと、簡単に判明できます。