マイボーム腺機能不全

昨日今日と、多くの外来患者様の受診がありました。出来るだけ待ち時間がないように。と思いますが、頑張りたいと思います。
夜は県南の医院様で網膜剥離などの硝子体手術に呼んで頂きました。クリニック様ですが、20時とか21時とか結構遅くまで頑張っている眼科は沢山あるようです。明日も土曜日ですが別の県南の医院様で硝子体手術が数件あり、今週は網膜の手術が14件。家族の顔を見ている時間より網膜を見ている時間のほうが長いよう。網膜、網膜、網膜。網膜ばかり見ている気分です。でも体調がいいのか?眼精疲労はないようです。

ブログでは網膜を忘れて、まぶたについて書いてみます。
マイボーム腺機能不全
先日、マイボーム腺梗塞について記載しました。マイボーム腺の出口が詰まって、米粒のような硬い芯ができてしまう病気です。ただし、実際の症例ではそのような米粒状の芯が出来てしまう症例は少なく、ドロドロとした分泌物が溜まることの方が圧倒的に多いようです。マイボーム腺からの分泌の低下はドライアイ(乾燥性角結膜炎)と大きな関係があり、記載してみます。

マイボーム腺は、まぶたに存在する油を分泌する組織です。この油によってまばたきが滑らかになったり、涙の表層を油がコーティングすることで、目の表面からの涙の蒸発をゆっくりにさせたりと、目にとってはとっても重要な油です。
体質や体調、加齢、清潔さ、コンタクトレンズなどによって、
このマイボーム腺の機能が低下し、出口が詰まったり、油が固形状になったり(液体の油でないと上手に目の表面に広がりません)、汚い油にバイ菌がついて感染症を起こしたり、
このような状態をマイボーム腺機能不全と呼びます。

マイボーム腺からキレイな液体の油が分泌されないと、涙の表面を油で覆う機能が落ちてしまうために、涙の蒸発が早くなりドライアイを招きます(涙液蒸発亢進型ドライアイ)。また、古い油がベタベタすると感じたり、メヤニが出やすくなったり、ドライアイが原因でゴロゴロ痛んだり。目の不快感の原因として、マイボーム腺のトラブルは非常に大きなウエイトを占めます。
特に高齢の患者さんでは、油の分泌が悪くなったり、洗顔が上手に出来なくなったりするようで、診察をすると多くの患者さんでマイボーム腺の詰まりを発見するようになります。(というか、マイボーム腺が詰まっている人のほうが圧倒的に多くなります。)


今日来た患者さんの写真です。左が受診時。赤矢印の先、マイボーム腺の出口に固形状の油が並んでいます。ピンセットでまぶたをつまんで、油をしぼりだす処置をしてみると、右の写真のように黄色い(汚い)油が一気に出てきます。人によっては練り歯磨きのような油がニュルニュル出てくる時も。
この処置(マイボーム腺マッサージ)をすると、しばらくの間、ショボショボ・ベタベタが改善するようで、処置が好きな患者さんは「またあれやってくれ。」となるのですが、
目薬の麻酔をしてはいるものの、少し痛みがあるようで「もうやりたくない。」という患者様も少なくありません。

自宅で自分でできる治療法としては、お風呂や蒸しタオルで、まぶたを温めたり(温めると油は柔らかく溶けやすくなる)、やはりよく洗顔をすることが重要です。通常の石鹸がしみる場合には、ジョンソン&ジョンソンのベビー石鹸が良いようです。
重症の人は、めん棒でまぶたの縁を擦ってキレイにしてもらうのですが、高齢の方では老眼だったり、手足が不自由だったり、普通に顔を洗うのさえ面倒でしてくれない方がいたり、実際にはなかなか難しいようです。
(元気だけど面倒だから洗顔しない。という方に、マイボーム腺マッサージを行うと、処置の痛みが嫌なので、次の診察の時にはしっかり洗顔してきてくれる方がいます。それをみて、僕は「痛かったんだろうな。でもキレイにしてくれるようになってよかった。」と頭の中で思って、1人でニヤニヤしたりしています。)

今日もお読み頂きありがとうございました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です