ゴールデンウィークはとてもゆっくりできました!
連休中に緊急の患者様を7名程度お引き受けしましたが、1名、留守でお引き受けできませんでした(何かを燃やしていて、目に入ったかた?)。すみませんでした。
今日は4名の手術を行いました。無事終わりました。
・白内障手術 6件(2名は両眼)
ロービジョンケア
当院では、かなり多くの患者様の手術等を引き受けさせて頂いております。
ただし、残念ながら、糖尿病や黄斑変性、緑内障などで、末期になられてから初診となる患者様も多数おられ、そのような病気では手術によって失明は防げるものの、元通り見えるなど、回復して頂くことは現在の医学ではできません。
私たちは「いかに多くの患者様を見えるように出来るか」だけではなく、「見えない患者様にどう向きあい、お付き合いしていくか」ということを常に考え、最善の医療を行っています。
ロービジョンケアとは様々な眼病で、視力が低い、または視野が狭いなど、視機能が十分でない患者様で、回復することが困難な場合に、どのようにしたら、よりよい生活を送って頂けるかに対応することをいいます。
?視機能の評価
まず、視力や視野、コントラストなど、患者様の見え方、不自由となる点を詳細に把握し、どのようなケアが必要かを検討します。
?生活環境のアドバイス
・例えば下方の視野が狭いようであれば、歩行時につまずいて転倒する事がないよう、気をつけるようお伝えします。
・脳梗塞後などで左側、右側などの視野が消失している場合には、歩行時の注意などに加えて、ご家族と歩行する時には、不自由な側にご家族の方がいて頂いた方がよいでしょう。歩行の介助法なども指導します。左側が見えない場合は、食卓での椅子の配置として、ご本人の左側に壁がくるように(右側にご家族)、席の配置を考えるとよいでしょう。
・視力の弱い人は、物が白っぽく見えたり、眩しさを感じやすい傾向があります。近年は欧米風の住宅が増え、室内のクロス・壁紙などは白くて、明るい住宅が増えていますが、カーテンやベットカバー等の色調を、灰色や茶色などの、少しトーンを落とした色にすることで、かなり改善します。白い食器に白いご飯では、コントラストが低くて見えにくいため、ご飯の食器も黒などにした方が見えやすくなります。眼科では真っ白な壁紙などは少なく、見栄えが悪くても黒などを取り入れている医院が多いと思います。視力の弱い方に配慮しているためです。
?ロービジョンエイド
ロービジョンエイドは、視力や視野の弱い方が、特殊な器械を使うことで、残っている機能を発揮しやすくする器械のことです。
・遮光眼鏡;眩しくて物が見えずらい場合には、眩しさを軽減する眼鏡を作成します。
・ルーペ(むしめがね)も、その視力や病状によって、多種多様のものが販売されております。
・拡大読書機;新聞などを、テレビ用の大きなモニターに映し出し、文字を読むことが可能になります。眩しさを抑えるために、白黒反転の機能もついています。(背景が黒、文字が白に逆転します。)
その他、白杖(安全用の白い杖)、単眼鏡、点字ディスプレイ、点字タイプライター、文字読み明け装置などの、数多くの機材があります。
?身体障害者、視覚障害の申請
国の基準を満たす、視力障害や視野異常がある場合に申請が可能です。
等級を取得することで、重症度によりますが、医療費の扶助や、通院の介助、上記のロービジョンエイドの扶助(多くの場合は患者様は1割負担)など様々なサービスが受けられるようになります。
視覚障害者の認定は、市役所の福祉科を通じて、都道府県知事の指定する医師の診断書を提出する必要があります。
残念ながら日本の眼科医療は、回復の見込めない患者様に十分なケアが行き届いてはいないと言われています。視覚障害に該当することを知らない患者様や、ロービジョンエイドのことをご存じでない患者様が多くいられます。
当院では、????の全てのケアを行っています。
ロービジョンエイドとしても遮光眼鏡、ルーペ、拡大読書器などを常備しており、専門的なアドバイスが可能です。治療が不可能と言われているが、どうにか頑張って文字を読みたい。そんな患者様がお近くにおられましたら、ぜひ当院を勧めて下さい。
(視野検査や、ロービジョンエイドなどは、非常に時間がかかることがあります。基本的に予約制で行っておりますので、まずは電話にて予約をしてください。)
白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 鉾田市)
初めまして。わたしは子育て中の弱視者です。最近ブログをはじめ、わたしと同じような立場でブログを書かれている人はいないものかと検索したところ、先生のページにヒットしました。探していたブログ内容ではありませんでしたが、興味深く拝読しました。ロービジョンケアにも熱心に取り組まれていると知り、とても嬉しく、心強く感じました。弱視者問題研究会という団体の活動をしており、7月にその定例会に視能訓練士さんをお招きしたのですが、眼科では医師の下で検査やデータ収集に追われるため、ロービジョンケアの実践は難しいことなどを聞いていたからです。
こんにちは!ご連絡ありがとうございます。
医師の仕事は見えなくなるまで。と考える方もいるようで、見えにくくなってからは通院をして頂けなくなってしまう方もいらっしゃり、教科書などもまだまだ少なく、勉強したいと思っても、なかなか難しい面もあります。
ロービジョンに力を入れたいと思うものの、敷居が高いのも実際です。
視能訓練士さんや、今は補装具の処方は業者さんにも手伝って頂いておりますが、もっと勉強をして、少しでもよい生活のお手伝いを出来ればと思います。
診療の時間の問題であったり、おそらく医師に対して遠慮をしてしまう方もいらしたり、なかなか皆さんの、本心を知ることが難しい事を実感しています。実際に困っている事など、もっと知りたいのですが。
maimamaさんのブログも、参考にさせて頂けたら幸いです。
トイレのウォシュレットやセンサー感知機能に関しては、今まで考えたこともなく、なるほど。と思いました。
ローヴィジョンと言っても、原因の疾患や目の状態は様々で、単眼鏡が良い人など、患者様により様々ですが、maimamaさんは、中心暗点とのことですが、ブログからは拡大読書器をお使いですか?パソコンのモニターに表示するタイプでしょうか?
もし使用中であって、使いやすいモニターの機種などがあれば教えて頂きたいのですが。
拡大読書器が適応だな。とか、読書器に慣れれば文字が見えるのでは?と思っても、価格や、大きさなどの問題もあるので、簡単に勧めることができないことも多々あります。お部屋が広くない人に勧めて、邪魔だなと思われたら嫌だなとか。
医師が勧めると、必要ないと思っても購入をしてしまう方も少なからずいたりして。押し売りにみたいになったら嫌だなど、とても迷う事があります。
難しいですよね。
栗原拝