今週は100歳以上の患者様や、聾唖の90代の患者様など、他院にて白内障手術ができなかったり、手術途中で中断になったという紹介例が多く、比較的大変な週でした。みなさん無事に終わってよかったです。
以前に記載した通り、「純粋に濁りをとって新しいレンズをいれる。」という意味では、白内障手術に手遅れはないので、当院では白内障手術の適応の大前提は「不自由があって、治したい人は手術を引き受けます。」「どんなに視力が悪くても、本人が不自由がなく、希望がない人は手術はしません。」と、基本的には「患者さんの希望」が手術の適応としています。
ただ、90代の患者様は毎週のようにいらっしゃいますし、数ヶ月に1回は100歳オーバーの患者様がきて、時には認知症など、いろいろと大変な思いもするので、やっぱり「80歳くらいで元気なうちに。」手術をしておくほうがいいのかな?なんて、心が揺れたりします。でも、無理に手術を勧めるのも本意でなく・・・。
最近、宮井副院長と先月の手術ビデオの鑑賞会?復習・勉強をしたのですが、とってもビックリしたことが!!
動画をYOU TUBEに登録するというスキルを身につけたので、手術ビデオをのせてみることにしました。(手術がグロテスクと思う人は、参照をお勧めしません。)
栗原 耳側切開
宮井副院長 Toric IOL 上方切開
栗原 斜方切開
宮井副院長 上方切開
栗原 IFIS 耳側切開
宮井副院長 IFIS 斜方切開
なにがビックリって、自分たちでみても、どっちが自分の手術が分からないくらい、そっくりです。宮井先生が赴任してもう少しで1年。もともとは手術方法(プレチョップ法かフェイコチョップ法かなど)は、かなり違ったのですが、毎月行う勉強会で、あっちがいい。こっちがいいと相談しているうちに、お互いそっくりな手術になっていました[:びっくり:]
最後のIFISの症例なんて、ちょっとですが、虹彩(茶目)が出てしまうところまでそっくり。
もしも僕が急なインフルエンザで倒れても、同じ手術をしてくれそうです。
医師が10人も20人もいる大学病院などでは、全員で同じような手術手技や手術レベルを維持するのは難しいと思いますが、当院ではお互いに手術件数も多く、一緒にしょっちゅう勉強会をしているので、いつの間にかそっくりになってしまったようです。
茨城県内で眼科医をしています。
栗原先生の評判は非常によくブログもよく拝見しております。
手術ビデオから質問させてください。
1.初めに角膜中央にあるのは粘弾性物質ですか?本日やってみたのですが視界が歪んでしまい断念しました。使用方法など工夫があるのでしょうか?それとも他の薬剤ですか?
2.粘弾性物質を入れた後に、左右の虹彩下に何か入れているのは瞳孔ブロックの予防でしょうか?
無駄のない繊細な手術で評判通りと思います。勉強になりました。
M先生
お名前のアルファベットでしょうか?
はっきりと思い当らず、すみません。
投稿直後のコメント、ありがとうございます!
お答えできる範囲で参考になればと思います。
?ビスコートです。
残念ながらゆがみます・・・。特に工夫はありません。
CCCで穿孔・嚢を把持する時を除いて、角膜中央での微細な手技はありませんので、慣れてしまえば特にストレスは出ないかと思います。
僕は、看護師さんや、非常勤の手術では助手なしで執刀することもいいので、基本的には何かのせて手術することがほとんどです。
CCCが終わってからビスコートをのせる場合もあります。コンドロン点眼もゆがみが少なく悪くないと思います。
当院では、外来での両眼同時手術がほとんどで、眼帯をせずに帰宅となります。角膜の状態が悪いと、当日の視力が悪くなってしまうので、できる限りSPKが出ないようにしたりと、角膜の乾燥にかなりナイーブになっています。片眼手術で眼帯をするつもりであれば必要のない処置かもしれません。
?前房内麻酔です。
角膜内皮への影響を考えて、ビスコートなどで置換した後に、虹彩に吹き付けるように少量投与しています。
以前に、他の先生からも「瞳孔ブロックの予防?」と質問を受けたことがありますが、虹彩下にBSSを流すなどで、ブロックを予防するような手技があるのでしょうか?(逆に質問ですみません。)
ご連絡ありがとうございます。
他にも質問があれば、ぜひ手術見学にいらして下さい!
瞳孔ブロックが生じた後に解除することはあるかと思いますが、予防的に効果があるのかは存じておりません。ビデオを見る限り手術は点眼で十分と思いますが、前嚢麻酔は効果がありますか?麻酔薬は何をお使いですか?
麻酔はキシロカインです。
効果は、点眼のみとの比較が難しいのですが、それなりにあるのではないかと思います。
術後、「痛くなかったよ。」と言ってくれる患者さんでも、僕たちに遠慮していて、本当はある程度の痛みを我慢してくれることもあるのかもしれません。
待合室や、ご家族には「少し痛かったけどね。」なんていう言葉が出ていないか、僕はとてもビクビクしています。
前房内麻酔は、少ししみる感じがあるようですが、注入時に「少ししみますよ。」と声をかければ、驚くような感覚は少ないようです。
当院は多くが両眼同時手術ですので、両眼にテノン嚢下麻酔や、球後麻酔をしてしまうと、帰れなくなってしまいます。点眼麻酔と、前房内麻酔なら術直後よりある程度の視力が期待できるというのもあるかと思います。
点眼麻酔だけでも痛くないかもしれません。でも、本当は少し痛いかもしれません。
僕たちは、「痛くないだろう」よりは「痛いかも」という意識で手術に臨んだほうが、患者さんにとってはHappyでしょうか?
僕は、手術中に患者さんがビクッと動くことに敏感です。
痛かったかも。と、心配になってしまします。
先日、手術の動画をUPしましたが、その後、最近さらに気を付けていることがあります。US挿入時の眼圧上昇による、急な眼内のストレッチを軽減するために、挿入時の還流圧を下げたモードを作成し、徐々に上昇させるようにしています。
フットスイッチの操作が煩雑になりますが、少しでも痛みを軽減できれば、やりがいがあります。
(この方法は、最近、先輩医師のI先生に教えて頂きました。I先生ありがとうございます。)
痛みのない手術は理想的ですよね。
多くの医院で、知識・スキルを共有して、「手術の痛みが怖いから受けたくない。」なんて患者さんがゼロになるといいですね。
当院では、まだまだ気を付けていることが沢山あります。
県内の先生とのことですが、すみませんが思い当りません。
しつこいですが、お時間があればぜひ見学に来てくださいね。
例えば、ビデオを見てもらえばわかりますが、当院では眼内手技が中断される場合は、できる限り顕微鏡の光源をoffにしています。術者が気が付かないときは、助手が手で光をさえぎるルールを作ったり。
もし、M先生が、こうしたほうがいいのでは?というアドバイスがあれば、ぜひ教えてくださいね。
いつも楽しく、そして勉強させて頂いております。
前房麻酔を取り入れようと考えておりました。
使用薬剤、量、濃度、作成方法等、ご教示頂ければうれしいです。
S先生
こんばんは。ご連絡ありがとうございます。
すみませんが、公には薬品の使用に添付文書上の問題があります。お手数をおかけいたしますが、病院の方へお電話を頂けませんでしょうか?
ありがとうございます。
お忙しいのでお電話するタイミングが難しいですね。
よろしければ”見学”の方もお願い致します。
S先生、M先生
お電話ありがとうございました。
お互いによい情報は交換して、高めあっていきましょう。
見学の日程の希望が出ましたら、再度ご連絡ください。
眼科の開業医をしています。
素晴らしいブログで、いつも勉強させていただいております。
私は少しでも散瞳が悪いと、すぐにリトラクターをかけてしまいます。術後に瞳孔異常をきたす例もあるので、迷うことはありますが、開業の立場上、トラブルは避けたいので。
IFISのビデオは、重度の小瞳孔ですが皮質の残存はおこりませんか?先生は、リトラクターなどを使用することは全くないのでしょうか?
田中先生
ご連絡ありがとうございます。
リトラクターも使います!ただ、一般的な眼科の先生よりは使う頻度は低いと思います。
当院から他院への紹介というのはなく、難症例の紹介が多い医院と思いますが、年に1例か2例にしか使わないと思います。
0.1?0.2%程度でしょうか?
白内障手術のみの目的での使用は少ないですが、硝子体トリプルなんかに使うと、とてもやりやすいです。
瞳孔機能が低下するのは一部と思いますので、やはり安全に手術をするために、必要と思えばリトラクターをかけるべきだと思います。
合併症に対する対応やリスクは、病院とご開業の先生とでは異なると思いますし。
もうすぐ、CTRが認可されると耳にしています。安全で便利なグッズが増えるのは楽しみですね。
私もリトラクターはあまり好きではありません。
先生と同じ考えで術後の瞳孔変形は気になりますよ。
八重で切開も見た目が悪いので、
古いですがベーラーで拡張します。
1回拡張すると、その後の開きも良好です。
おすすめです。
M先生
こんばんは。先日はご連絡ありがとうございました。
ご連絡が行ったかと思いますが、お話した医院で、土曜日の見学がOKとのことですので、今後みんなで勉強しあいましょう。
(僕の手技でも何かアドバイスがあれば教えてくださいね!)
すみません。少し変な印象になってしまったかもしれませんが、僕も全く瞳孔を切開しないわけではありません。できる限りしない。というスタイルです。
ベーラーって、熊手みたいなやつですよね?以前に先輩の医師が使っているのを見たことがあります。あれも括約筋が断裂する印象がありますが、円形の瞳孔が保てるのはいいですよね。
また、お会いした時にお話ししましょう!
栗原先生
先週はどうもありがとうでした。勉強になりました。
本日さっそくプレチョッパートライです。まだまだ難しいですが、頂いたビデオでも勉強してみます。
栗原先生は全部プレチョップでの手術なのかと思っていましたが、見学した日だけでもいろいろな手技が出てきて、本当に多妻ですね。
自分のレベルだと、いろいろ手を出して大丈夫か不安ですが、とりあえずまだプレチョップやってみます。
難しかったらまた見学させてください。
こんばんは。
多妻って。嫌な誤字ですね・・・。多才でよろしいですか?
月に数件とかの手術では、一定の手術の方が安定するのかもしれませんが、先生のような手術件数であれば、どの手技に慣れるべきかという悩みは必要ないかと思います。
緑内障がうまくなったら、白内障が下手になる。ということは考えませんよね?プレチョップがうまくなっても、フェイコチョップが下手になることはありません。
核が移動しないように。など、両方同じように気をつかうところもありますが、基本的にはそれぞれ別の手技と思って望めばいいのだと思います。
僕だって、まだまだ伸び盛りと思います。(思いたい)
お互い頑張りましょう!
お疲れさまです。
あいかわらずお忙しそうですね。噂は聞いています。
そんななか申し訳ありませんが10件分の手術ビデオを送ってしまったのですが、時間のあるときにでもみて頂けませんか?すでに業者さんに頼んでしまいました。
この2年くらい自分の手術に進歩がみられず凹んでいます。
モチベーションとかも落ちてきてしまい、時間がとれればまた見学にもお邪魔させて下さい。
お久しぶりです!DVD頂きました。
偉そうで申し訳ありませんが、少し気になったところだけ。
いくつか記載してみます。
(電話の方がいいでしょうか?お時間あれば夜に電話下さい。)
・助手の方と思いますが、イソジン水かけすぎかと・・・。最初の洗顔以外であまり強く、頻回にかけると角膜上皮が痛み、かえって乾きやすくなります。やさしくそっと、最小限で。
・数例、上方強角膜の時、テノン麻酔と思いますが術野の関係とはいっても麻酔は極力下方がいいです。上方の麻酔は眼瞼下垂を起こすことがあり、僕の価値観では白内障手術では禁忌かと思っています・・・偉そうですみません。僕もレクトミーで術中に上方の視野がとりづらい時に行うことはありますが。
・プレチョッパーの最初の一刀目は、水晶体の前面の中心部に当てるほうが割れると思います。核の中心という意識でなく、前面での中心。どうしてかは僕も不明ですが、なぜだか割やすくなります。今は下方より(6時)と思いますが、より上方から(12時)入ります。
⇒これ、説明しにくいです。分かりにくければ電話で。
・USを入れた時に前房が深くなった症例がありました。強度近視とかと思いますが、患者さんは結構痛いと思います。強度近視とか痛みに弱そうな人は、最初から還流圧を下げて、危なければ時間が長くなっても吸引も下げた方がいいかと。
ここ数年は僕のところでは、USを入れるときに低眼圧で入って、3段階で吸引中に徐々に眼圧を上げていきます。目が慣れるせいか痛み(圧迫感)が少ないようです。これだと反応を見ながら、圧を上げない。とかも可能です。
・ハイドロの時に創口が開くことが多いようです。右側に針を入れるときに、創の右側に針がふれないように。少し上方にも開いている感じです。下方に押さえつける印象で。
僕も反省の日々です。ある程度のレベルになると、あまり大きなレベルアップはありませんが、なんだかんだど、経験の分は毎年少しづつ上達しているものです。以前にUPしたYOU TUBEの動画をみて今は恥ずかしくなります・・・。でも、動画を新しく変えてしまうと、検索でヒットしにくくなってしまうので・・・。