今週は県北の病院の先生が手術見学に、県南からも外来見学に来てくれた先生がいたりと、いろいろと情報交換ができて楽しかったです。
ただ、山王台病院アネックス新館ができてから、少し緩和していた満床問題ですが、今週は網膜剥離の緊急手術3名のうち、2名が満床で入院できず外来手術に・・・。経過良好ですが眼内に空気が入っている間は視力がないので、通院が大変そうです。すみません。
来週、近隣の臨床懇話会で、簡単な講演の依頼がありました。
発表スライドから、一部流用して、ブログのネタに。
翼状片? 翼状片手術動画
まず、翼状片については、以前のブログを参照下さい。
⇒クリック(下の方から順にご覧ください。)
翼状片の手術の術式には、細かく分けるといろいろな方法があるのですが、
大きく有茎弁移植(ゆうけいべんいしょく)と、遊離弁移植(ゆうりべんいしょく)に分かれます。
・有茎弁移植は、翼状片を切除した後の結膜の欠損部を、傷の周囲の結膜を引っ張って縫いつけて閉じる方法です。昔からある方法ですが、術後の再発がやや多く、術後の目頭に赤みやふくらみ、皺が出来やすいことが難点です。
・遊離弁移植は、欠損部と全く関係のない部位の、完全にキレイな結膜を持ってきて貼りつける術式です。一般的に再発が少なく、術後の見栄えが良いと考えられていますが、手術手技や面積が増え、手術時間も長くなりがちなため、医師側にとっては少し面倒な術式です。
当院ではH22年の開院以降、翼状片に対して全例で縫合をしない結膜遊離弁移植を採用し、既に200例以上の治療を担当させて頂いております。
翼状片手術で最も多い合併症は、術後の翼状片再発で、教科書にもよりますが、数%?多いものでは10%近くで再発するとされています。
もちろん、今後の経過を見守る必要はありますが、開院から現時まで、当院で開院後の200数十例での再発率はなんと0%となっています。(再発例は1名もいません。)
翼状片手術に関しては県外の患者様の手術も多く、眼科の先生の手術見学も多々ありますが、2ヶ月程度前に治療をした患者様に動画公開の許可を頂いたので、UPしてみたいと思います。
翼状片手術動画 ←クリック
(結膜遊離弁移植)
上のビデオの患者様の経過写真です。
術前
術後翌日
術後1ヶ月後
術後はだいたい1ヶ月くらいたつと、赤みが引いていきます。
最後の写真はまだちょっと出血がありますが、次回の来院ではキレイになっている予定です。
ちなみにこれは、有茎弁移植を受けた方の術後写真です。
(他院様ではなく、申し訳ないのですが私が5年以上前に他院で手術をした経過です。医学の進歩を感じます・・・・。)
*1.有茎弁移植が劣っているとか、完全に悪というではありません。有茎弁は周囲の結膜をやや無理やり引っ張って縫いつけるので、皺や凹凸が残りやすく、周囲組織に残存した翼状片の細胞が、黒目(角膜)の近くに存在しやすくなるために、再発が多くなるリスクがあるだけです。とっても上手な先生が行えば問題なくキレイに仕上がります。
*2.今回のビデオの術式は、使用する薬剤などで保険診療で認められにくいものも含まれています(当院では余剰費用は医院で負担しています)。
海外では、同様の手術に加えて羊膜移植を行い、数千例、再発がなかったとする先生がいるようです。よい医療はどんどん保険適応になるといいのですが。それにしても、翼状片数千例って、世界にはスケールが大きな話があるものです。
眼科15年目の勤務医です。
以前に片眼をうちで行った男性患者さんが、そちらで片眼の手術を希望され、先日術後に戻りました。千葉ですがわかるでしょうか?
大きな翼状片で大変な症例かと思いますが、患者さんの話では痛みもなく10分くらいで終わったとのことで驚いています。
動画をみて同じような手術を始めてみましたが、普通の症例でも有利弁の扱いが難しかったりどうしても30分くらいはかかってしまいます。
一度見学をさせていただくことはできますでしょうか?
お世話になります。
お返事が遅くなってしまい大変申し訳ありません。
片眼を羊膜移植の経歴がある患者様のことでしょうか?
少し遠方からの症例が多くなってきており、間違っていたらすみません。
ビデオは2年くらい前のもので、今は初めにテノン嚢下麻酔をしたりと、いろいろと変わってきています。
(最初に翼状片に針を刺すより、テノン嚢下麻酔後のほうが痛みが少ないです。)
ぜひ見学にいらしてください。
まずはお電話頂ければと思います。
当院手術日は月・水・金ですが、水曜日が手術時間が長く、外眼・白内障・硝子体・翼状片など症例内容がほぼ毎週あるのでお勧めです。
火曜日と土曜日は、開業医様などでの手術もありますが、日程的にご希望があれば対応可能と思います。
また、MRさんなどにお願して、手術ビデオのみ依頼頂いても構いません。