高額療養費制度? 上手な活用法

今週は、水曜から土曜日まで医療関係の方々との食事会が続き、先週の体調不良ダイエットから一転、プクプクに体重が増加してしまいました・・・。
昨日は眼科医会の理事の先生の紹介で、他県の眼科の先生と、3人で神楽坂に。
ミシュラン☆☆☆の高級なお店でしたが、奢ってくれるそうで、遠慮なく飲んできました[:熱燗:]眼内レンズのことなど、いろいろ教えて頂き勉強になりました。

高額療養費制度? 上手な活用法

先日、高額療養費について記載しましたが、簡単に言うと、「ひと月の中であれば、どんなに医療費が掛かっても自己負担は一定額で上限。」という制度です。
今日はその利用法について書いてみます。

?まずは使おう。
よい制度でも使わなくては意味がありません。
70歳以上の患者様は申請は不要です。70歳以上の患者様は病院の方で申請し、利用をしています。
70歳未満の患者様は、事前申請と、年末調整での申請に分かれます。
年末調整の場合は、ひとまずは窓口で自己負担分の3割などを支払い、あとでお金が戻ってくるようになります。領収書を保管し、年末の確定申告が必要です。
当院では、3割負担の患者様で治療費が8万円を超えそうな場合は、できる限り事前申請をお勧めしています。
事前申請をしておくと、会計の時点で限度額以上は支払う必要がなくなりますので、用意するお金の額を減らすことができます。
事前申請は、国保の場合は市役所、健保の場合は会社の人事課や総務課など、健康保険を担当している部署にご相談ください。「来月、病院で治療費が高くなりそうです。」とお願いすると、「限度額認定証」という紙がもらえるので、治療時や入院時に持参ください。

?支払をまとめよう。
限度額の上限は、基本的に月単位です。
例えば、70歳の人が外来で白内障手術を受ける場合、ほとんどの人の自己負担は、片目でも上限の12000円ですが、同じ月内であれば、両眼でも12000円です。今月は右目の治療で、来月は左目の治療というのは、非常にもったいないことです。
他には、当院では再手術がありうるような難しい手術をする場合、できる限り月初めに行うようにします。今月手術をして、合併症の処置が来月になれば自己負担が増えてしまうからです。
また、眼科以外の治療も合算できるので、時間が許すのであれば、大きな治療をするときには、できるだけ同じ月にまとめることで自己負担を減らすことができます。
注)お金も大事ですが、治療よりも優先されるべきではありません。担当の先生が医学的に治療と治療の間をあけるべきという場合は、あきらめましょう。

?年齢と限度額、入院か外来か
収入によって限度額は変わりますが、標準的な家庭で考えると、
70歳未満では、外来80100円・入院80100円+α
70歳以上では、外来12000円・入院44000円

が上限となります。
・例えば、69歳で両眼の白内障手術を受けると、自己負担は外来では8万円弱、入院した場合80100円+αですが、70歳になってから外来で受ければ、両眼で12000円なので、6倍近い差があります。
当院ではよほどの不自由や、免許更新などの理由がなければ、69歳の方に白内障手術は進めず、70歳を待つようにお話します。
・また、70歳以上では、外来と入院での限度額は約4倍と大きな差があります。両眼の白内障手術で、通院の送り迎えを頼むのが大変と思っても、遠方の病院でなければ3日間ほど往復でタクシーを使っても入院するよりも安いかもしれません。

他にも、世帯合算(家族内の医療費の合計額を考慮)や、多回数該当(年に3回以上、4回目からはさらに上限が低く)といった制度もあります。
医療費が高額で気になった場合は、担当の先生や病院、保険などに問い合わせてみてください。

10年以上前、僕が研修医のころは、患者さんにお金の話をすることは全くありませんでした。日本も不況で、医療費の問題で迷われる患者様が多くなったのは間違いありません。
最近は「これはいくらです。」「こっちは安いけど、副作用が多くなります。」といった会話を毎日するのが当たりまえになりました。時代は変わっていきますね。今も収入によって受けられる医療に差が出始めているのですが、今後、自由診療との混合診療が解禁になると、もっともっと差が大きくなっていくのでしょう。
混合診療によって最先端医療の分野は進むのかもしれませんが、どちらがよいのか、僕には難しい問題です。今の現状でできる医療を全力でやっていくだけです。

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