学校健診 弱視

今日の午前の外来はちょうど50名で、もう終わってしまいました。
午後からは手術が9件で以下の予定です。
・白内障手術 6件(上方切開2,耳側2,斜方2,乱視レンズ2)
・緑内障手術(トラベクレクトミー)1件
・翼状片手術 2件

条例などで、春になると学校健診で視力検査が行われます。
当院は、手術目的の方が多く、やや高齢の患者様が多い病院なのですが、今週は子供さんに沢山受診して頂いています。月曜日は80名の外来のうち、10名以上がお子様の視力検査でした。

屈折性弱視(くっせつせいじゃくし)
弱視とは視力が上手に発達しなかったために、大人になって、眼鏡をかけても視力が出ない状態を言います。先天性の白内障や網膜の病気など、重篤な病気が原因のことも稀にはありますが、斜視や、屈折性弱視と呼ばれるものが大多数の原因を占めています。

近視や遠視、乱視などを屈折異常と呼びます。大人になって屈折異常があっても、眼鏡やコンタクトレンズを使用することで、ほとんどの方は問題ない視力が得られます。そのような方は、小さい頃には屈折異常がなかったか、あっても軽いものであったと推測できます。

実は、生まれたばかりの赤ちゃんは、明るいか暗いかぐらいしか分かりません。その後、きちんと物が見える状態を保つことで、0.01から1.0以上に向かって視力がどんどん伸びていきます。4?5歳くらいになるとほとんどの子が1.0以上の視力を獲得します。
このように視力が発達するためには、網膜に鮮明な映像をあわせることが必要です。
多くのお子さんは、屈折異常がない、またはあっても軽度なものなので、何もしなくても視力が勝手に発達しますが、子供の時から、強い遠視や乱視などの屈折異常がある場合には、ぼやけた映像したしか目の奥に届かないため、網膜や視神経、その後の脳神経なども、ぼやけた映像を理解・処理できる程度までにしか発達しません。このような場合を屈折性弱視と呼びます。

視力が伸びる・発達するのは6?7歳程度までと言われており、その時点で眼鏡をかけても1.0が見えない場合は、一生涯眼鏡をかけても1.0見えないということになります。つまり弱視です。

もし、強い屈折異常がみつかれば、子供のころに網膜にピントを合わせるような眼鏡をかけることで弱視を回避、視力を育てることができます。
重度の弱視は3歳児検診で引っかかることが多く、その場合、6?7歳までの3?4年という長い治療期間が確保できます。軽度や中程度の弱視は入学前検診で引っかかることが多いですが、やはり1?2年の治療期間が持てるため、この2つの検診で引っかかった場合、現在の医学ではほとんどの屈折性弱視を治療することが可能になっています。

実はこの1週間以内で、学校健診で視力低下を指摘され初診となったうち、7?9歳のお子様3名が屈折性弱視でした。もちろん治療は行ってはみますが、すでに視力が発達する限界の時期(臨界期)を超えているのであれば、残念ながら視力の改善は期待できません。
良く勘違いされてしまうのですが、弱視は眼鏡をかけても見えないのです
例えば、眼鏡をかけても0.7が見えないのであれば、一生涯運転免許は取れないということです。
その3名は、みさなん、3歳児検診や入学前検診で異常を指摘されたのに、それぞれ理由はあるのでしょうが、眼科にはかかって頂けなかったようです。

お子さんに、「君は運転はできない可能性が高い。こういう職業はあきらめましょう」と伝えるのはとても辛いです。屈折性弱視は治せる病気です。検診で異常を指摘されたら必ず受診するようにしましょう。

学校健診の紙なども、「視力が不良です。眼科の専門医の診察をお勧めします。」などとしか書かれていないものが多いですが、「将来、運転免許証が取得できない可能性があります。診察をお勧めします。」とかに変えた方が、リアリティーがあって受診してくれる親御さんが増えそうですが、どうだろう。

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 鉾田市)

“学校健診 弱視” への2件の返信

  1. こんにちは。
    5月11日に、母が白内障の手術をして頂きました。
    両方の目を一緒に手術するのが少し怖かったようですが、手術の夜にはとても良く見えると、喜んでいました。マスイがしみたけど痛みは全然なかったようです。
    久しぶりの満面の笑みをみて、私もとてもうれしくなりました。
    待合室でも喜んでいるかたがおおぜいおられ、石岡にいい先生がきたとみんなが言っています。
    お忙しいと思いますが、どうぞお体に気をつけてください。
    本当にありがとうございました。

  2. 11日は両眼手術の女性が2名おられるので、どちらの方か不明ですが、喜んでいただけてよかったです。
    診察室にお一人でいらっしゃる方が多いのですが、もしご一緒に来院されているご家族の方はぜひ、一緒に診察室にお入りください。白内障がきれいになった状態などをモニターで一緒に見ることができます。
    お気遣いいただき、ありがとうございます。僕は体は元気なので大丈夫です。がんばります☆

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